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パヴァーヌ2章の問題点

パヴァーヌ2章、面白かったですね。
釣りみたいなタイトルになってしまいましたが、これでは2章を批判するnoteではなく、問題点として挙げられがちな話題について考察してみるという記事ですので、安心して読んでください。

■リオの問題点はどこか


パヴァーヌ二章においてプレイヤーが一番モヤモヤしやすいのは「リオの扱い」ではないだろうか。
リオは今回で最もヘイトを集めることになった生徒だが、まず確認しなければならないのは今回の話の中で

「リオはキヴォトスにとって悪の存在ではない」

ということだ。
そこを間違えると一気にスッキリしなくなる。

頻繁に謝るセリフが多いのも恐らく本当に申し訳ないとは思ってるのだろう

そもそもリオがアリスを半ば強制的に連れて行くことになったのは
「アリスが実際に無差別攻撃し、ミレニアム生徒に重症を負わせたから」

であり、リスクを考えるならそれが起こらないよう迅速に自分の陣地で隔離or破壊するという選択肢が合理的なのは否定しようがない。それが分かっているから先生は、あの場で強く「連れて行くな!」という事ができなかったのもあるかもしれない。
またアリスをよく知る生徒からすれば「アリスは生徒じゃない」という主張にはNoを突きつけるだろうが、特異現象捜査部にデカグラマトンについて詳しく調査させているリオからすれば
「ある日突然やってきて偽造書類で入学してきた人間のフリしたAI」
なのでデカグラマトンと大差はない。

よって「アリスを連れて行こうとした」事自体を悪と断定するのは難しいだろう。

しかしそれを誰にも相談しないで実行してしまったのは色々と問題で、それこそ二章の最初でヒマリと二人になった時にどうするべきかをしっかり話し合っていれば何らかの対策を打てたかもしれない。
ヒマリは最終的な結論を除きアリスに対し同じ考えを一部持っていたわけで、リオの独断専行癖が無ければ「ヒマリ程の頭脳を持つ生徒が自分と正反対の結論に至った理由」を考えて、議論する事が出来ていただろう。

まぁ今までの経験からヒマリとは話が合わないから議論するまでもないとも思っただろうが


作中終盤トロッコ問題に例えて決断を迫る場面があったが、その土俵に上げる前にまだ何かあるかもしれないと考えるのがブルーアーカイブにおける冷静な大人であり、ヒマリの幼さと性分によって引き起こされた騒動とも言える。

ヒマリは下水道と呼んでいたが、それは「汚いものを勝手に一人で背負おうとする」という意味合いもあるのかもしれない


■先生はなぜアリスの救出を即断しなかったのか


大前提として、ブルーアーカイブという作品のベースは「生徒達の物語」であり、先生は生徒達の選択を最重要視している。
対策委員会編でも、エデン条約編でも、先生は自分から「助けに行こう!」とは言っていない。


言い方を変えれば一部のシーン以外全然喋らない空気だ。
まぁメタ的な話だと先生は基本的に「プレイヤー」という事になっているのであまり喋り過ぎるとプレイヤーと乖離し過ぎてしまうし、喋る時にいちいち意味のほぼない選択肢が出てくるのもウザったいので喋らないという面もあるだろうが・・・作中での理由もある程度推測は出来る。

それはブルアカにおいて先生とは、そして大人とは、子供を尊重し、とことん信じ、責任を負うものだからだろう。 

このように、先生は基本的に自分からは手を出さず、あくまで生徒を信じてその責任を負うということを一貫している。
逆に生徒を信じず、合理的な判断で生徒を切り捨てた場合、恐らくは連邦生徒会長との世界戦になると考えられる。
また真逆の大人であるベアトリーチェを筆頭としたゲマトリアは、先生には許せない存在としてはっきりと怒りの感情を表している。

それらを踏まえて振り返ると…


前述の通りリオの主張は完全に間違っているわけではなかったし、形勢があまりにも不利な状況で下手な事をしてAMASに攻撃されればそれこそまずいことになる。
またアリス救出を決める場面でもあまり口を出さなかったが、生徒会長と敵対すればミレニアム生徒は立場が悪くなる可能性が高いし、危険なのが分かっているのに先生の方から「行こう」というのはなかなか厳しい。
そもそもリオも先生にとっては大事な生徒で、単純に悪いことをしようとしているわけでもないから判断が難しい…

といった感じになるだろうか。
とはいえ生徒が行くと決めたのであれば、そこは一旦鎮圧して大人しくさせてからお話するのがキヴォトス流なので多少無茶でも無理のない範囲で押し通るのだが。

■じゃあ先生いらなくない!?


勿論いらないわけはない。
戦闘の補助から戦術の指揮まで、先生がいるのといないのとでは雲泥の差がある事が作中でも何度も明言されている。

また、最も重要なのは「先生の介入で物語が変わる」という点だろう。

具体的にどう変わるのか詳細は分からないが、とにかくそういうことらしい。
パヴァーヌ二章でもそれらしきシーンが出てくる。


これがゴルゴンダと同じことに気づいたシーンなのかは不明だが、今までの流れでもリオにとって「あり得ない事」が沢山起き、追い詰められて行った。
リオの計算はトキの武装からも分かるように未来予知に近いレベルのものであると考えられるが、その計算がほぼ100%成功するという結果を出したにも関わらず違った方向へ導かれていくのは、ゴルゴンダのいうような未来改変レベルの先生の影響力だといえるだろう。

子供が無限の可能性を持っているという事でもある

また、ギリギリのタイミングでユウカが割り込んで来たのでわかりにくい(というか描写不足だと思う)が、Divi:sionのエネルギーが99%になるまでゆっくりリオと先生が会話していたシーンでは、恐らく「大人のカード」を使用して何とかするつもりだったのだろうと考えられる。
(というかそうでないとどう考えても生徒も自分も死ぬ場面で説教しているのはおかしいし、裏でユウカと連絡とってたんだとすると描写が足りない)

生徒が自分の命で償い、事態を収めようとした時点で先生は恐らくDivi:sionとリオ両方にぶちぎれていたので、お話フェーズ(説教ではない)に入ったのだろう。
ここでリオの「・・・そのカードは・・・!?」というセリフを入れていたらプレイヤーの見方も大分変わっていた気がする。
また、「大人のカード」という選択肢を話に組み込むと、先生の行動が遅くなる理由にも更に説得力が出るのではないだろうか。

ギリギリまで生徒達の選択に任せ、責任だけを取る。
特に先生が責任を取り切れない生徒の身体や命は、自ら選ぶことは出来ない。
ただ生徒がそれでも仲間のために行くというのならば助けるし、自分も最終手段として迷いなく命を削る。

これが、先生の「先生らしさ」なのかもしれない。

■モモイの復活が早かった理由


モモイは専用スチルが入るくらい重体で意識も戻らなかったのだが、後編が始まるとビックリするくらい早く、しかも元気に戻ってきたので結構拍子抜けした先生も多いだろう。
が、これは単純な話「キヴォトス人だから」で片付けても良いと思う。

モモイがゲーム機を持っていたからDivi:sionの影響を受けて意識が飛んでいたわけではなく、恐らく単純にアリスの攻撃が直撃したせいで速攻沈んでたのだと推測出来る。
とすれば、キヴォトス人の頑丈さと回復の速さは二章内のネルを見てもわかるように異常なのであまり気にする必要はないと考えて良いのではなかろうか。

アリス暴走でモモイ意識不明→シャーレの医務室で2日間目覚めず→セリナ等の活躍により身体は直り、恐らく3日目に目が覚める→ミレニアムで話し合いしてる時に戻ってくる

あくまで推測だが大体そんな感じだろう。

■何にも解決してなくない?


アリスの生まれが「魔王」なのは事実なので否定することは出来ないが、それでも自分達の意思で自由にジョブを、未来を、選ぶ事が出来る。
というのが、恐らくパヴァーヌ二章の大きなテーマなのだろう。

だから二章が終わってもアリスが魔王になる可能性は完全には消えないが、アリスが選んだ勇者の道へ仲間達と進んで物語は終わりを迎える。


ブルーアーカイブは「子供達の青春の物語」だ。
子供が自分のルーツを呪い、一度は遠ざけるも、それを仲間達との協力で乗り越える。
そういうありふれた青春のお話。
だから、問題がその時点では完全に解決しなくても良い。
そもそもアリスが近くにいる事でまた大変な事が起きようとも、彼女達生徒がアリスを望むのならば、先生が大人として責任を負って叶えてあげなければならない。
それが正しいのか正しくないのかは、大きな問題ではない。

その視点で見るとアズサと補修授業部もかなり似ている。
アズサは人殺しの技術を仕込まれ、またその為だけに育てられた生徒だが、ヒフミ達はそれでもアズサと一緒にいる事を選択した。

アズサの場合は続きの話で命令していたベアトリーチェを倒し、組織を壊滅させるところまで行ったので物語としてスッキリまとまっている感があるが、三章までだけならパヴァーヌの二章までと同じく根本の問題はあまり解決していない。
同じ結論に至ってそこで彼女達の物語は一旦の終了を迎えている。

この先をパヴァーヌとしてやるのか否かは不明だが、どちらにしてもデカグラマトンの話はこれからもデカグラマトン編等でいくらでもやる事になるのでそこは問題ないだろう。


■結論


夢、希望、苦難、挫折。かつてあなたも歩んだ物語
今度は、生徒さんたちと一緒に。

ブルーアーカイブ。


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