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資本主義の終焉
昨日はリフレ派の高橋洋一氏の紹介をしました。
リフレ派とは簡単に言えば積極財政派(政府支出を増やしていこう論者)ですね。
「リフレ派」は、「リフレーショナリー(reflationary)」または「リフレーション(reflation)」の略で、経済政策や金融政策の立場や傾向を指す用語です。リフレーションは、物価の下落やデフレーションの進行を抑制し、景気を刺激して経済を持ち直すために、積極的な政策を採る立場を指します。
リフレーショナリーな政策は、通常、以下の要素を含みます:
1. **金融緩和:** 低金利政策や大規模な量的緩和を通じて、金融市場において資金を豊富にし、投資を促進します。
2. **財政出動:** 公共事業やインフラ整備などへの投資を通じて、政府が経済において積極的な役割を果たし、景気を刺激します。
3. **インフレーションの促進:** 一定程度のインフレーションを目指し、物価の上昇を通じて企業の収益を向上させ、雇用を増やすことを重視します。
リフレ派は、主にデフレーションの懸念が高まったり、景気後退が懸念される状況で、経済を活性化させるためにこれらの政策アプローチを支持します。この立場に対しては、インフレーションの急激な上昇やバブル経済のリスクなどが指摘されることもあります。
今日は反対派というか「資本主義の終焉」を伝える本の紹介です。
水野和夫氏の「資本主義の終焉と歴史の危機」です。
2013年に発売された本だが、今を的確に的中させている書。
資本主義が行き詰まった理由を教えてくれる本です。
また覇権国家の歴史と金利の関係も教えてくれる良書です。
行き詰まった資本主義
著者である水野和夫氏は資本主義は終焉を迎えていると述べます。
資本主義行き詰まりの理由として
利潤をあげる空間が無いのに利潤を追求していることを理由としている。
そう、資本主義は
資本主義=市場経済+限りない拡大と成長を目的としたシステム
です。
ですので、成長が止まってしまうと即ち資本主義が終わってしまうということです。
では、成長とは?
一般的な経済成長はGDPで表します。
GDP(国内総生産)は、ある国の国境内で生産されたすべての最終財・サービスの市場価値を表す経済指標です。GDPは国の経済全体の規模や活力を示す重要な指標であり、国の経済評価や比較に使用されます。
そしてこのGDPが前年度比で増加していれば経済成長とします。
しかし、日本ではここ30年 ほとんど経済成長していないのは皆さんもご存知の通りと思います。
資本主義の2つの数式
水野和夫氏は2つの数式を使って市場の解説をしており、それがわかりやすい。
1つ目は資本主義で指標となっているGDP
名目GDP=粗利益×市場規模
右辺を増やせばGDPは増えていたが、伸びなくなった理由は
・粗利益
資源価格の高騰で↓
賃金の低下で↓
・市場規模
先進国の人口減
これにより先進国では経済成長が止まりました。
そこでアメリカは2次元(粗利益・市場規模)の成長を諦めて3次元の成長を目指します。
先ほどの数式、名目GDP=粗利益×市場規模に電子・金融を掛け合わせ
名目GDP=粗利益×市場規模×電子・金融
としました。
しかし、それもリーマンショックで崩壊しました。
2つ目は金融の流れ
Mv=PT
M:貨幣量 v:貨幣流通速度
P:物価水準 T:取引量
先進国はどこもリフレ経済が進んでいます。
「リフレ派」は、「リフレーショナリー(reflationary)」または「リフレーション(reflation)」の略で、経済政策や金融政策の立場や傾向を指す用語です。リフレーションは、物価の下落やデフレーションの進行を抑制し、景気を刺激して経済を持ち直すために、積極的な政策を採る立場を指します。
リフレーショナリーな政策は、通常、以下の要素を含みます:
1. **金融緩和:** 低金利政策や大規模な量的緩和を通じて、金融市場において資金を豊富にし、投資を促進します。
2. **財政出動:** 公共事業やインフラ整備などへの投資を通じて、政府が経済において積極的な役割を果たし、景気を刺激します。
3. **インフレーションの促進:** 一定程度のインフレーションを目指し、物価の上昇を通じて企業の収益を向上させ、雇用を増やすことを重視します。
リフレ派は、主にデフレーションの懸念が高まったり、景気後退が懸念される状況で、経済を活性化させるためにこれらの政策アプローチを支持します。この立場に対しては、インフレーションの急激な上昇やバブル経済のリスクなどが指摘されることもあります。
v(貨幣流通速度)が一定なら金融緩和(通貨発行で流通を増やす)でMが増え、P(物価水準)やT(取引量)が上がる。
しかし、基本的にデフレ経済のため、vが低下し右辺が増えないのが現状である。
資本主義のシステム
そして資本主義とは世界のトップ15%が豊かさを享受するシステムであるとする。
わかりやすいのが日本だろう。
日本は昭和期に国民総中流化を達成。世界トップ15%に。
テレビや自動車の普及がほぼ100%。
↓
物理的・空間的限界
(人口減・モノが売れない(行き渡った))
↓
グローバリゼーションで豊かな国が増える。
↓
15%に入れなくなる
↓
金融資産非保有世帯が増える
1987年 3.3% ⇨ 2013年 31%
となり、日本は総中流から富裕層と低所得層の2層化構造になったのである。
世界がグローバリゼーションに走った理由
先進国(特にアメリカ)がグローバリゼーションに走った理由は市場の拡大だ。
①先進国の利潤率低
②金融緩和
で余ったマネーが途上国へ流れ込んだ。
名目GDP=粗利益×市場規模
の市場規模を増やそうとしたわけだ。
2割の先進国が8割の途上国を貧しくしたまま発展してきた。
その過程で途上国もかつての日本のように成長するが成長に陰りが見えると
資本は次の市場を求める。
何度も繰り返すが限りない成長と拡大を目指すのが資本主義なのである。
民主主義と資本主義
民主主義は価値観を同じくする中間層の存在があって初めて機能する。
⇨中間層の所得が減り没落
成長期は中間層が資本主義を支持。
⇨今の日本は富裕層と低所得民の2層化が進み、民主主義が成り立っていない
では、経済成長している中国は民主化するのか?
グローバリゼーションで格差は国境を超えている。
中国の総中流化は無理⇨民主化は無理。
と著者の水野氏は語っている。
今の習近平は内需の拡大に励んでいるがどうだろう。
中国も人口減に転じたので水野氏の見解が正しそうだ。
覇権国交代の歴史
覇権国が健全な投資先を失い、利潤率が下がると金融拡大に走る。
そうすると金利が下がり、金利が高い国へ覇権国は変わっていく歴史があるようだ。
ジェノバ
↓ スペイン・オランダに金貸し(商業⇨金融にシフト)
オランダ
↓ 東インド会社に投資⇨イギリスに投資
イギリス
↓ 産業革命⇨バブル崩壊
アメリカ
↓ 金利が下がって、利潤率の高い中国へ?
金融に走って、リーマンショックをもたらす
中国?
一時的に中国がアメリカを上回っても先進国と同じ課題に直面する。
現代グローバリゼーションでは覇権国になりえない。
次の覇権国は「資本主義とは異なるシステムを構築した国」とは水野氏の弁。
金融緩和の是非
著者は「量的緩和」を実物経済に反映されず、資産価値を上げて「バブル」をもたらすだけとバッサリだ。
量的緩和(Quantitative Easing, QE)は、中央銀行が金融市場に対して大量の資金を供給し、長期金利を引き下げ、経済を刺激しようとする金融政策の一形態です。通常、中央銀行は政府債券などの金融資産を購入して市場に資金を供給し、金融機関や投資家に対して金利を低く保つことを目指します。
量的緩和の主な特徴は以下の通りです:
1. **資産の購入:** 中央銀行は、政府債券や他の金融資産を市場から大量に購入します。これにより、中央銀行が資金を市場に供給し、金融機関の手元資金を増やします。
2. **金利の引き下げ:** 大量の資金供給により、金融機関が資金を借りる際の金利が低下することが期待されます。これにより、企業や個人が低金利で資金調達でき、投資や消費が促進されることが狙いです。
3. **市場流動性の向上:** 中央銀行の資産の購入により、市場に流動性が増し、金融市場の安定を図ることが期待されます。
4. **長期金利の低下:** 中央銀行が長期債券を購入することで、長期金利の低下を目指します。これにより、住宅ローンや長期投資などが促進される可能性があります。
量的緩和は、通常、金融政策の手段として、景気刺激やデフレーションの防止などの目的で採用されます。ただし、過度な量的緩和がインフレーションや資産バブルを引き起こすリスクも考慮されることがあります。
バブルが一度崩壊すると、GDP2年分の成長を打ち消し、賃金の低下、失業を招く。
⇨金融緩和に走り、金利が下がる。
金利が低い(資本利潤率が低い)状態が長く続くと企業は設備投資をしても儲からない
⇨内部保留を増やす
⇨賃金が下がる
更に今後は3年に1度バブルが来ると警鐘している。
アナリスト・藻谷浩介氏もPHP BUSINESS THE21 2021年3月号で同様のことを語っている。
金融緩和は個人消費を上げない。
大事なのは賃金の上昇としている。
資本主義の終焉において
著者は資本主義に変わる具体的なアイデアは特になかった。
そこは残念ではあるが、
名目GDP=粗利益×市場規模
で粗利益が資源の高騰で下がっていることは既に述べた。
そこで「資源に頼らない電力」が鍵になると語っている。
まさに今だ。
日本は火山大国であるがゆえに世界トップ3の地熱国だ!
今こそ地熱発電を!