夏の夕方、神社で
泥棒猫です。
前回からの続き。彼と会う。
と言っても彼は長いお盆休み中なので、会うのは仕事が始まってからだな、と思ってた。
そしたらゴルフ帰りに行くから私の都合がつく時間に会いたい。と連絡が入った。どこで会うかなー。食事したりする時間もないし。
考えた末に、毎朝私が参拝してる神社の境内。そこを指定した。お互い車なので駐車場で。
一緒にお参りしたあと、私の車でたくさん話をした。
まず私が今回どれだけ引いたか、怖くなったかを話す。そして私の気持ちも。束縛されすぎるのはいやだということも。
そのあと、彼の話をなるべく遮らないようにゆっくり聞いた。彼はかつてないほど正直に自分の気持ちを言葉にしたと思う。彼の不安や動揺や葛藤。全部、そんなの既婚者のくせに、何言ってるのよ。勝手に苦しめば?って言っちゃえばその通りなんだけど。男のくせに、大人のくせに、何言ってるの?って言っちゃえば、本当に言い返せないと思う。でも取り繕ったり背伸びしたりせず、格好もつけず話す彼。もう終わりなんだな、フラれるんだなって思ってたらしい。
後日、聞いたら
「だからなるべく正直に誠実に冷静に話して、謝って、これまでのお礼も言って、できれば最後に笑顔を見せてもらえたら。そう願ってた。そして本当に万が一、もう一度チャンスをもらえたなら・・。そうも願っていた。」
と。
そうやって1時間くらい、深く深く話し合えたと思う。
この1時間はお互い、相手のことをちゃんと思いやって尊重し合って話せた。そう感じた。
こうして、文章にすると陳腐な話だな、って我ながら思う。だけど渦中は辛かったし苦しかったしめちゃめちゃ真剣だった。
あーあ。中年なのに私たち何をしてるんでしょう。どうしてこんなにお互い囚われるんでしょう。夏の夕方はなかなか暮れなくて、いつまでも明るくて。でも確実に日が暮れるのは早くなる。
そんなことも分かってる。
夏至はとっくに過ぎた。立秋だって迎えた。
だけどまだまだ夏の午後7時は明るくて。
それが10月に入った今では懐かしい。
この話は一応完結。