ラップバトルで登校再開?
夏休み前から不登校になっていた小学三年生の娘が、年明けからぽつぽつと学校に行き始めた。
ここの所は四日間連続登校している。本人も楽しそうにしている。
またすぐ行かなくなる可能性はあるが、「どうして行けるようになったか」を整理してみる。おそらくあれだろう、という出来事があるので。
不登校のきっかけとなった同じクラスの問題児とのトラブル以降、娘は彼に関連する事柄に関して嫌悪感と恐怖を抱くようになった。名前の頭文字が同じというだけで、弟の名前が呼ばれる度に嫌な反応をしてしまうほどだったという。
「名前」「髪の色」「乱暴者」といった特徴に続き「ラップが好き」ということも含まれていた。音楽ジャンルのラップそのものを嫌がり、テレビなどで流れるとすぐに変えてくれと頼んで来るようになった。それ以前は、今日あった出来事などを、オリジナルのラップ調で話したりもしていたのに。
娘の不登校の間に、例の彼の行動も沈静化してきたとか、反省もしているとか、クラスは娘の味方だとか、そういう事も聞こえてくる。それでも娘はほとんどの日で「登校」より「不登校」を選び続けてきた。
それが年が明けて何故登校を再開出来るようになったのか?
娘が好きな「クレヨンしんちゃん」の放送内容を記してみる。
2022年1月8日(土)ごご4時30分~放送予定
父ちゃんのお土産大作戦だゾ/かたづけたい母ちゃんだゾ/フリースタイルしんちゃん カスカベのラッパー#1
「フリースタイルしんちゃん カスカベのラッパー#1」
ここはカスカベシティ。全ての争い事はラップバトルで決着をつけるストリートキッズの街。
そこに妹を探してやって来たしんのすけは、彼らの戦いに否応なく巻き込まれていく。
2022年1月15日(土)ごご4時30分~放送予定
秘湯に行くゾ/フリースタイルしんちゃん カスカベのラッパー#2
「フリースタイルしんちゃん カスカベのラッパー#2」
ここはカスカベシティ。全ての争い事はラップバトルで決着をつけるストリートキッズの街。
しんのすけの登場により勢力図が塗り変わってしまうカスカベシティ。
風間くんはボスラビッツのリーダーと戦うことになってしまう。
2022年1月22日(土)ごご4時30分~放送予定
ワカサギ釣りだゾ/カサを壊したのはダレ?だゾ/フリースタイルしんちゃん カスカベのラッパー#3
「フリースタイルしんちゃん カスカベのラッパー#3」
カスカベシティの全てを知る、ラップバトル無敗の男、ビーロック。
その伝説の男が皆の前に姿を現わす時、物語はラストバトルへと加速していく。
「クレヨンしんちゃん」原作30周年記念イベントの一貫で放映された、「フリースタイルしんちゃん」全3話では、お馴染みの面子がラップバトルを繰り広げる。すぐに気に入った娘は何度も繰り返し観た。#2でのねねちゃんブチ切れラップで熱狂は更に高まり、#3では四歳の息子も一緒に合唱し始めた。
「苦手」「嫌悪感」「恐怖」を克服するのは、周囲の誰かの言葉ではなく、大好きなアニメの面白い回なのかもしれない。好きなものを繰り返し楽しむ娘だが、その特性は同時に、嫌な事を繰り返し自分の中で蒸し返してしまうことでもある。今回はたまたま、負の記憶を払拭出来る正の記憶を手に入れることが出来た、ということか。
コロナは猛威を振るい続け、2学級が登校再開、新たに2学級が学級閉鎖、なんていう連絡が連日届く。娘の登校気配もいつまで続くかは分からない。だが今回、人の心を動かす、創作物の力というのを目の当たりにした気がする。ひとまず3話で終わった「フリースタイルしんちゃん」だが、またそのうちやると思うので、家族一同楽しみにして待つことにする。