ロシアよ、これがお前らのヒーロー像か
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記念すべき第一回作品はこちら。
それは氷付けの愛国者、アル中の天才科学者、ビール腹の神様を一年間ウォッカに漬け込んでシベリアの寒空にまた一年晒したような作品、「ガーディアンズ」だ!
どぶ男と本作の出会いは数年前に遡る。丁度公開当時、バーフバリを見に行ったときかな?新宿ピカデリーに張り出されてたポスターの中に本作を見つけて「うわぁ!!(乗っかる気しかねえだろこれ)」と思ったのが始まりで、見て……みたいけど何だかなあと思ってるうちに公開が終わって今現在。アマプラで無料配信中とのことだったので「見よ!」となった次第です。
解説:売り込みとしてはどうも「ロシア版アベンジャーズ」らしい。個性豊かなヒーロー達が団結して虚悪に立ち向かう的な。キービジュアルにもバリッバリに意識して「日本よ、これが露映画だ!」と書いてあるあたりからまるわかりだろう。「ってことは原作のアメコミ……いやロシコミとかあるの?」と思って調べたが一向に出てこない。つまるところ原作があるわけではなく、アベンジャーズを意識して"造られた"悲しきヒーロー達なのであるが、悲嘆するほどのものではない。むしろこのキービジュアルを見ればわかる。曲刀二刀流!!超能力!!消える紅一点!!クマー!!!!これでよくアベンジャーズとタメ張ろうと思ったな!?溢れ出る個性豊かなヒーロー達に中2心がくすぐられるであろう。新たな個性、これが平成(ロシア)。
そういえばロシア映画ってハードコア(全編一人称視点のアクション映画)以来だし二本目だな……とか思いつつも視聴開始。
※以降は濃厚なネタバレが入ります。映画を見ながら殴り書いた感想なので、実況ログのような感じなのでそんな感覚で御覧ください。
まずは冒頭、遺伝子実験の様子がOP映像として流れる。うーん、アベンジャーズ言うてたけど力のリソースが同じならアベンジャーズではなくない?一番近いのはX-menでは?
話の筋としては50年前、あらゆる車両をコントロールできるシステムの開発に行き詰まった博士が、嫉妬から同じプロジェクト内の遺伝子実験をしてる博士のデータを強奪、軍に追い詰められるも自信も遺伝子が改竄されて超人になって生き残り50年後、車両をコントロールするシステムを完成させて暴れ始める。それに対抗出来るのはロシア各地に散った、遺伝子実験で成功した超人たちだけ……みたいな話。
え?車両ごとき抑えてどうすんの?船とか衛星抑えろよ!って思ったけど、これは世界第一の陸地面積を誇るロシアの話。確かに陸を抑える戦車が全部掌握されるとなるとかなり辛い。
そして女性指揮官が、各地に散らばっている超人たちを召集をかけにいく。彼ら彼女らは自分達を実験台にされたことを気にしており不老不死でもあるので、それゆえ「周囲の人間が自分より先に死んでしまう」という苦しみもあり人間社会には溶け込めず、半ば世捨て人のような生活を送っているのをこの女性指揮官や超人たちが良い感じに勧誘したりしていく。上司、同僚がいい組織はホワイト企業よね。
元々この超人四人はチームを組んでいたらしく、人間関係のギスギスはそんなにない。連携もかなり取れてる。故にアベンジャーズのような不和、決裂、からの団結みたいなカタルシスはないけど、物語はグダらずにテンポ良く進んでいく。ここはやっぱりアメリカとのお国柄的な差が出てるのでは?個人を「個」として尊重しすぎるが故に対立が起きやすいが、束ねられれば強いアメリカ、社会としての「和」を重視し、個を大きく省みないが故に束ねることが容易いロシア……みたいな。しらんけど。
その代わり、前述した「不老ゆえの悩み」とか「改造の副作用で記憶が失われてる」等、個々人に一つは悩みを抱えているのでそれがシリアス要素に。
そして敵陣に乗り込んで十数分足らずで味方三人が拘束or無力化……残る一人もヴィランにボッコボコ……超速で捕らえられる四人。90分しかないとはいえ展開早くない!?
そして戦車軍団がモスクワに進撃!ついでに暴動!!いや便乗すんなよ。
そして超人四人が速攻でボコボコにされたのはどうも取引だったらしいが、ヴィランに取引持ち掛けちゃいけないって道徳の時間に習わなかったの?出逢って三秒で裏切り。からのモスクワタワー(オスタンキノ・タワーと言うらしい)陥落!からの搬送!え?持ち出してどうすんのそれ……
そしてこの女司令官、勿論無能力だけど強い。ガンファイト的な意味で。各超人の心もまるで魚でも捌くかのように開いてカウンセラーのように聞いていく。人間が出来すぎてる……
ここでヴィランの目的が判明。宇宙に漂ってる冷戦時代の衛星兵器をハッキング、ついでに他の衛星も全部ハッキングするらしい。ただそれにはでかい送信設備が居る……そこで出てくるのがさっきのオスタンキノタワー。これとフェデレーションタワー(これもモスクワにある。ちょっと調べたけどどっちかというと高層ビル)を合体!!900mだ!!アンテナになる!!なんだこの脳筋発想。おそロシア。
そして相手が着々と準備を進めて町から煙が上がってるのに割りとのんきに新装備のトレーニングやら説明を進める組織と超人たち。おい!!人が死んでんねんで!!「完璧だわ」じゃあないんだよ!!
しかしこれ「侵略されそうなニューヨークを守って水際で侵略を食い止めた」アベンジャーズと「既に陥落してるモスクワを解放するために戦う」ガーディアンズと対にしてるのかね?
そして終盤「ガーディアンズは力を共鳴させれば、強力なエネルギー砲が放てる!」これ聞いてフフフッて笑っちゃった。今や見かけなくなって久しいスーパー戦隊のバズーカやん。必殺技、しかも合体技があるのがさすがに日本に物理的に近いだけあるなって感じ。アメコミのヒーローって必殺技が設定されてる奴少ないじゃん?そのかわり攻撃の一つ一つの威力がが高めなんだけど。
熊人間が吹っ飛ばされる時の音が「ぱふ……もふっ……」じゃおかしいだろ!!毛皮に覆われてるからってここでリアリティ重視してどうする!?もっと重い音にしろよ!!
四人でスクラム!!からの~~~モスクワ破ァ!!
えっ!?続編匂わせて終わるの!?やめて!!
総評:うーん、「アベンジャーズをパクろうとして失敗した」のではなく、「アベンジャーズに感化されて自己流のものを造ろうとしたら軟着陸した」ってな感じ。本家本元と比較しちゃいけないしする意味もないんだけど、やっぱり見劣りしちゃうね。バックボーンはかなりしっかり存在してそうだけど、描写がちょっと足りないからワクワク感がない。けど見てて謎の安心感があるのは恐らくロシアと日本が物理的に近いから生み出すエンタメの根底にも似たものが流れるからなのでは?
根底に流れるロシアの「お国柄」も見逃せない。ついでで起こる暴動、街が蹂躙されてるのに呑気に準備を進めるヒーロー達、「個がぶつかり合ってまとまって、一つの大きな力になる」のではなく「団結した中で、個々の苦悩を解決し、強くなっていく」チーム描写など……アメコミヒーローだけでなく日本のヒーローと比較して「ロシアのヒーロー像」というものを推察していくのも楽しいと思う。
これ多分地上波放送で流れたらこれに感化されてオタクに目覚める小学生が出ると思う。そんな感じの雰囲気がある。キャラはみんな結構立ってるから、TVシリーズぐらいのスタンスで続編やってくれると見るかもね。
ここでガーディアンズのイカれたメンバー紹介するぜ!!
【レア】キービジュアル左のおっさん。物静かな修道者のような性格。能力は念動力。岩を飛ばしたり岩で全身を覆って鎧にして攻守完璧にして戦うぞ!!……だが操作できるのは岩やガレキといった鉱物のみ。しょぼ。なので終盤電磁鞭が追加される。
【ハン】キービジュアル真ん中下の二刀流の曲刀使い。スラブ系(たぶん)の顔つきをしてる。超能力は高速移動。すれ違いざまにあらゆるものをズッパズッパと切り裂く。初登場で車後と人を真っ二つにしてたからやベー奴だと思ってたけど、兄との確執で苦悩していた経験あり。
【クセニア】キービジュアル右の女性。能力は透明化。あと体温調整が自在で温度変化にも強い……という触れ込みだけど、サーモグラフィに丸写りだし液体窒素で行動不能になる。温度変化に強いとは。
【アルスス】熊。勿論普段は普通の人間(イケメン)の科学者。自分の意思で熊人間、更に完全な熊に変身可能。終盤背中に熊状態でも発射が出来る重火器ユニットを装備。ゾイドか?個人的には一押しキャラ。
まあ、ざっとこんな感じ。とまあ次回もこんな感じでレビューを書き連ねていければ。