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◆全国郷土ずし紹介 12月 大分県大分市の「関サバのすし」
九州の東端、大分県佐賀関半島。対岸は愛媛県佐田岬です。間にある豊予海峡はわずか16キロで、別名・速吸瀬戸(はやすいのせと)。瀬戸内海と豊後水道を上下する潮の流れは、大変速い。加えて水温の変化は乏しく、プランクトンが豊富なところとして知られています。このため、この海域で生育するサバは肥育がよいのです。脂肪量の季節変化が小さく、身がギュッと締まっています。体色は金色がかり、腹部に線が入っており…。そんなサバが関サバ。水産品の最高級ブランドです。12月から3月が食べ頃です。
この海域は波が高く、また海底の地形も複雑なため、魚網が使えません。伝統的には一本釣りが盛んな地域でした。また、釣った魚は活けじめ(釣ったその場で血抜きを行う方法)にされるため、内臓の寄生虫が筋肉に移動することがありません。さらに、沿岸に根付く性質があって、回遊中に発生するアニサキスの寄生も少ないのです。よって、ほかでは見られない、サバの生食が可能になるのです。
サバの生食といえば、名物「りゅうきゅう(生の魚に醤油、みりんなどの調味液を加えたもの)」がありますが、すしもそうです。大分県内では比較的簡単に、どこでも生サバのすしが食べられます。すし屋さんで注文するときには、ただの「サバずし」ではなく「関サバのすし」といってみてください。プリプリのサバの味が楽しめますよ。
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