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0912 川越遠足

ちょうど1年前に川越市立美術館まで、「杉浦非水展」を見に来たときは、旧第八十五銀行、現:埼玉りそな銀行川越支店は、まだ改修工事中でした。

今年になってから、この建物の「愛称募集!」なんてニュースを目にしたと思っていたら、いつの間にかオープンしていました。時間が経つのは早い!


江戸時代の川越藩の石高は武蔵国で最大、現在の埼玉県下随一の城下町でした。明治になり、廃藩置県では川越県、次いで入間県の県庁所在地となった。現在の埼玉県成立後、最初に市制を施行したのは川越市でした。
 
現在の埼玉りそな銀行の前身であり埼玉県で唯一の国立銀行であった第八十五国立銀行(後の埼玉銀行)の発祥地も川越でした。

また、甲武鉄道の支線として、国分寺から分岐した川越駅が1895年(明治28年)に開業。のちにこれは西武線となり、戦時中に国鉄の駅ができるまで長くここが「川越駅」と呼ばれていました。
 
川越と池袋を直線的に結ぶ「東上鉄道」の開通は1915年(大正4年)。線路も駅舎も川越駅とは別だったので「川越町駅」と命名されました。(市制の施工にともない1922年に川越市駅と変更になります)

戦時下の1940(昭和15)年、大宮と川越を結ぶ、国鉄(現・JR)川越線が開通し、国鉄「川越駅」となりました。国鉄の名称に合わせて、先にあった西武線の駅名を「本川越駅」に変更させています。

川越の蔵造りの街並みなど、いわゆる観光地にほど近い駅が「本川越駅」なのは、「川越に最初にできた駅だから!」ということなんですね。なるほど。
 
現在も残る蔵造りの街並みは、江戸時代のものではなく、1893年(明治26年)の大火以降に建てられたものが多いのです。
また、川越には大きな空襲はなかったと言われています。
(埼玉県下で大きいのは、熊谷空襲でした。・・・セメント等を運ぶ秩父鉄道のターミナル駅であったからと考えられます)

川越は、伝統的な蔵造りの街並みと、特に大正時代以降の洋風建築が市街地に多く残っていますが、このような個性的なまちなみが形成されたのは、こんな歴史があるからなんですね。

川越のランドマークとして、江戸時代から続く伝統的な「時の鐘」がよく登場しますが、これに並ぶ近代の洋風建築がこの「りそな コエドテラス」(旧埼玉りそな銀行川越支店)です。
 

  • 国登録文化財名称:あさひ銀行川越支店(旧八十五銀行本店本館)  大正7 /1918

  • 鉄骨鉄筋コンクリート造3階建  塔屋・金庫室付、建築面積291㎡

  • 埼玉県川越市幸町4-2

  • 登録年月日:1996年12月20日

  • 設計:保岡勝也

なんと、この建物が素敵なイタリアンレストランになりました。浦和に本社がある「ノースコーポレーション」という会社が運営しています。

日本にレストランは数あれど、こんな甍(いらか)の波を眺めながら、ワインをいただける立地のレストランは、ほかにないのではないかしら。
「甍の波」というのは、桟瓦(さんがわら)の波打つような曲線を指して呼ぶので、連続した桟瓦の屋根の姿は、まさに!

テラスからみえる川越の蔵づくりのまちなみ
テラスでワインをいただけます


テラスがある2階には、気軽なバルもありますが、トラットリアもあります。アズーリコエドです。


こちらでは、銀行時代の金庫室を改造した、本物の鉄骨レンガ造のお部屋でのお食事も楽しめます。

鉄骨レンガ造でできている旧金庫室

立地も、建物も、お料理もアルコールも素晴らしい、こんなにコーディネートされた空間が誕生したなんて。
こんな素敵なレストラン、季節ごとに通いたいですね。