見出し画像

競馬雑メモ②道悪馬場の違い、朝露、強風の影響

道悪馬場+血統

ここでは開催の進みによる悪化そのものより、
雨が降って湿ったときの道悪の種類の違い、という方向性で書きます。

道悪と一口で言っても実は色々なタイプの馬場があるわけですが、
良馬場での開催による芝の削れや路盤の踏み固め等の話とちがって
割に予想に組み込まれにくいんですよね。

元気に生え揃った状態での洋芝な重馬場、
開催後半でボコボコした状態の野芝の重馬場、
こうなると走れる馬のタイプが変わると思いませんか?自分は思います。

ということでここでは雑にパターン分けしてかつ、そういう馬場が得意な血統を分けておきます。

・欧州血統道悪型
広くコーナーが緩やかで、直線が急坂の道悪が得意で、洋芝の密度が高ければなおいい。草丈が長くて掘れていない状態でのビシャビシャ状態
雑に言うと開催前半の雨馬場に多い
サドラーズウェルズ、ニジンスキー、アホヌーラ系、
ネヴァーベンド、ミルリーフ、
ブラッシンググルーム系、グレイソヴリン系(トニービンにコジーン等)

・米国血統道悪型
直線が平坦、草丈が長くない状態、開催後半に多い感じの馬場ですね。
不良馬場までいくと怪しいけれど、稍重~重ぐらいの馬場で強いぐらい。
野芝洋芝は問わない。
コーナーは急なコースだとより得意(阪神内回り等)。
ただ、父サンデー系だと母方の血次第では軽いスピードの分が強すぎると
こういう馬場には合わない可能性があり、米国寄りすぎなバランスに注意。
父も米国、母方が一見米国でもこういう馬場で走れる場合には、
母方のどこかしらに欧州由来の成分がある馬だったりします。
ストームバード系(ストームキャットなり)、アックアック、ダマスカス、
フォーティナイナー、シーキングザゴールド(マイネルラヴ等)、ダートの短距離感あるミスプロ系、フレンチデピュティ系、一部のボールドルーラー(短距離条件限定)、プリンスキロ系など。

・日本血統道悪型
平成初期以前に日本で活躍した血統。
欧州血統が入ってきた現状だと何かプラスの要素がないと物足りない状態です。エアレーション作業等の馬場造りの影響が強いとは思いますが
欧州道悪と米国道悪の中間ぐらいの適性で、特化はしていないので
アタマは考えづらいが、とりあえず抑えやすいみたいなイメージはある。
ノーザンテースト系、リファール系、リボー系、ディクタス、パーソロン、ガーサント、(デヴィルズバッグは古すぎないもののタイプはここ)

直近で
欧州血統!道悪実績のある血統だから湿っていても走れる!
と人気した割には勝ち切れなかった馬がいます。

そう、シンエンペラーですね
シユーニ
母方の父ガリレオ、グリーンチューン、ミスワキ
・凱旋門賞馬ソットサスの全弟

で、この兄馬ソットサスの注目するべき場所は
凱旋門賞不良馬場での成績…ではありません
この凱旋門賞はハッキリ言うとレベルが低いので参考外です。
真に注目すべきは仏ダービーでレコードを出したときの成績ですね。
全体タイム2:02:90 23年のエースインパクトが2:02.63で更新するまでの最速タイム)
そう、ソットサスの本来の能力は不良馬場で走れる…のではなく、
レコードタイムを出すほどの快速スピードが出せるタイプということです。
こうなる理由はやっぱり母方の血で
Mr. Prospector12.50%5 x 5 x 5 x 5、Miswaki12.50%4 x 4
というクロスが入るほどの米国の軽いスピード成分が強いところにあると思います。
(ちなみにミスワキとはあのサイレンススズカの母父に入る血です。
おそらくこの血の影響もあり少し長めの距離も早く走れていたのがあるとは思います。父のサンデーサイレンスが母方を引き出すのが上手い種牡馬だったということもプラスしてですが。)

ではこの兄の話を踏まえたうえで、
シンエンペラーの弥生賞を振り返りましょう。

この日、実は良馬場表示でレースは行われてはいたんですが、
芝ダートともに、稍重表示と湿った状態でのスタートをした
開催だったわけです、なのでいくら良馬場に回復したとはいえ、
あくまで良馬場に回復したて、つまり少なくとも、馬場の表面が緩いわけです。(少なくともフランス競馬での表示だとTRES LEGERほど回復はしてない辺り…BONからBON LEGER辺りでしょうか)
なので、弥生賞の時間は良馬場だけど湿ってないわけではないよ、
ぐらいの感覚で見ていかないと駄目だったわけです。
そして、その馬場で行われた弥生賞、シンエンペラーは2着で権利は獲得したものの、コスモキュランダの捲りに敗北はしました。
もちろん弥生賞はあくまで前哨戦でシンエンペラーも立場的にはそこまで勝ちに躍起にならないでもいいぐらいの馬ではあったのは確かなんですが、
あくまでここでは馬場との適性面での話で結果について考えます。


シンエンペラー血統表

まあ、たしかにノーザンダンサーの血の本数もそれなりに豊富ではあるので、欧州血統と呼べなくもないですよ、ないんですが、
それにしたって米国の軽いミスプロの血も多く入りそれがクロスしまくっているわけなんですよ、兄がフランスダービーでレコード出すぐらいには。
それでいて、稍重から回復したての弥生賞で二着…。
この配合割とチグハグというか、どっちつかずなんですよねぇ。
バランスが良いと言うよりは、中途半端に適性が偏らず、善戦はするんだけど、特化型なタイプに負けやすいという印象。
そもそもがミスプロを持つ馬なんて日本ではありふれているのでそこで差が生まれるわけでもありません。
万能型ではあるものの、勝ちきるイメージが上位クラスの相手とやるとなると出来なくなる そんな感じ…かなあ。

まあ兄とは配合自体は同じでも走る場所も条件も相手も時代も違いますからねぇ…それで日本でどこまで通じるかですが、ワンチャン香港の冬のG1あたり狙ってみたら面白いのかもしれませんね。最近の香港ってこういう欧州×米国みたいな感じですし。

日本の道悪でもそこそこ頑張った
クロノジェネシスも凱旋門だと上位の馬達に比べて軽い米国感のある走りが
母方から感じられましたしね。ラスティックベルの牝系。

そう、道悪血統ってひとくちで言いますが、
結局は血統のバランスやどの道悪のタイプかが道悪適性には大きく左右してくるわけですね。

コパノリチャード不良馬場の14年高松宮記念を勝利しましたが、
そのあとの道悪馬場はあまり走れていないのだって、
まあコースの違いもありますが道悪のタイプが違ったということです。

道悪馬場の方向性を左右する5つの要素をここでは並べます。

道悪5つの要素


含水率
馬場から採取した試料(芝コースは路盤砂、ダートコースはクッション砂)に含まれている水分の割合を重量を基準として百分率(%)で示されます。
例えば、含水率が15パーセントのときは、100グラムの試料に15グラムの水分が含まれていることとなります。数値が大きいほど湿っていることになります。(JRA公式引用)
含水率だけだとどういう方向性になるかは定まりにくいところもあり、
とりあえず湿っていることは確かという情報と、以降の要素と組み合わせて
どういう道悪かなのかを割っていく必要
が出てきます。

・草丈
読んで字の通り芝の長さのことなんですが、
こちらもJRAで発表はちゃんとしています。

この草丈が長いほど欧州血統
短いほど米国血統または在来の血が走りやすくなるイメージでいいです。

・芝の密度
開催前半だとフサフサに元気に生え揃っていて、
開催後半だと蹄鉄で狩られたり踏み固められたりと
芝が剥げていきます。
フサフサな状態を密度が高いとして、これが欧州血統寄り、
狩られて剥げた状態を米国血統寄りの馬場とします。

・芝の種類
基本的に洋芝野芝の2種類で、
日本の馬場は播種されていまして、この2つの密度が
どちらに寄っているかで走れる馬のタイプが変わります。
日本の気候だと生育が悪くなる時期が存在していて、
特に洋芝は猛暑だと枯れが進みやすいんですよね。
標高が高めの阪神競馬場や夏開催とはいえ、冷帯にもなる
北海道開催以外だと割に枯れが見えやすいとはおもいます。
もちろん洋芝だと欧州血統、野芝だと米国在来の血がよく走る感じです。

・エアレーション効果
これはほぼおまけ程度の話ですが、
小さな穴を一定間隔で開けて路盤の通気性を向上させるとともにクッション性を向上させる作業です。(引用:クッション性の管理の項)
また、シャタリング作業も草丈の話にも繋がる部分ではありますね。
(ナタ状の回転刃で芝馬場に一定間隔で切り込みを入れていく作業で、さらに路盤を横方向に大きく揺さぶりほぐす効果もあり)

以上の要素にプラスしてコースの特徴だったりが乗ってきます。

まとめ

・どういう馬場状態なのかを細かく切り分けよう
降り切ってビショビショの濡れた状態なのか、中途半端で折衷しているのか…
・道悪血統は欧米日と種類分けをしておくべき
・中途半端な適性はとりあえずアタマ程の信頼性を置くべきではない

辺り…ですかねえ。

おまけ(朝露、強風の要素)

ここでは湿った馬場というよりは、
単体の記事にするには弱いけれど、レースを左右する要素ではある
ものをざっくり並べておきます。

・朝露
レース開始時間が朝の10時前後の中央競馬ですが、
この時間帯は特に寒い時期や寒くなりやすい場所では
昼に日照が強くなって乾ききるまでに
芝の葉の表面に水分が残留していることがあります。
なので、これが影響するレースが午前中までならあり得るという
注意点が必要ですね(さすがに雨も降っていない状態ならメイン時間までには乾いているだろうの辺り)。

・強風
基本的には競走馬は人間よりも身体が大きく、さらにスピードに乗せて
その巨体を運ぶわけで、多少の風ならそのまま突っ切ることはできます。
…が、これが5メートル以上の強風となるとさすがに脚運びに影響が出てきます。
こうなると得意条件なはずの馬が凡走したり強風でも走れちゃった馬
能力が高いと誤認されて次走で凡走を起こしたりと様々なことが予想への影響に出てきます。

こういう風の影響を出来るだけ少なくしながら、
かつ脚を溜めるためのレースの運び方が「スリップストリーム」と言われます。まあF1マシンのレースで使われる単語ですが、走行中のマシンの真後ろで空気抵抗の少ないエリアが発生し、その真後ろを取って風除けにする行為をスリップストリームを使う、と使います。これを使うことでモータースポーツは最後の追い上げの武器とするわけですが、これは競走馬のレースでも存分に適用されています。

特に、風除けの要素が顕著に出て来る日本の競馬の条件があります。
それは、「直線1000メートル」戦です。
よく外枠のほうが有利で、馬場の荒れが少ない外ラチのほうが走れると
外枠が人気してまあ実際にそういう決着が多いのも事実なんです。
ですが、よく考えてみてください。
騎手たちも馬場が良い外側を走る!という心理が働いてたまたま
外側に馬が密集している事が多い千直のレースですが、
この馬が密集している状態がカギなわけです。
新潟の千直コースの形状を上空から見れば分かりやすいんですが、

新潟競馬場平面図(JRA)

1000メートル直線のコース、合流地点が2回も出て来る形状なんですが、
ここで風が強弱あれど、吹き込んでくるんですよね、それにゴール向こうの
コーナー
のところからも向かい風の影響はありそうですね。

そう、簡単に1000m直線を突っ切れとなってるコースですが、
ここに風の抵抗の要素が多く絡んでると仮定します。
そうなると、欲しくなってくるのが前述した風除け…スリップストリームの出番ですね。
それでいて、皆馬場が良いと判断した外側に馬を持ってくるわけなので、
単純に、外枠を引いたからといって信頼をし過ぎるのも良くないわけなんですよ…その風除けを利用してくれるかが分からないわけで。

他にも強風が吹きやすいのが冬の阪神競馬(阪神JFや朝日杯FSへの影響)等もあるんですが、こういうところで5メートル以上の強風が吹いた場合の対策なんですが…

実はあんまりなくてですね…

もちろん欧州等ではスリップストリームを使う競馬が多く馬群がタイトに刻まれていたところで強かった欧州血統
ダンチヒやトニービンの要素といった馬を取るという手もなくはないんですが…結局「騎手が前に馬を置いて脚を溜めてくれるかどうか」になってくるんですよ。

つまり、強風が吹いた場合の馬券対策として、
・欧州血統を中心に考える
潔く諦めて見…(もしくは限りなく少額・小点数で買う)
の択かなあ…と考えてます…
そう、例え重賞、G1であったとしても、狙いが立てづらいなら手を出さない!これも立派な予想のひとつであると考えていいと思います。

わたしは短距離戦、千直コースの条件が予想するのが苦手です(愚痴)

いいなと思ったら応援しよう!