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『最悪の予感』パンデミックとの戦いを読んで

なかなか収束しない新型コロナウィルスに、先の見えない不安を感じ、専門家と名乗る医師やSNSなどの不明瞭な情報に振り回され、今まで味わったことのない恐怖を感じている人は多いと思う。私も間違えなくその一人である。

コロナ対策に失敗した印象のアメリカだが、コロナ渦になる随分と前から感染症のパンデミックへの備えを熱意をもって研究している人がいたことをこの本で知った。それも無名の保健衛生官や医師、研究者たちが独自にグループを作り、完全に不能になってしまっていたCDCやホワイトハウスのトップの人たちと闘いながら、使命感をもって奮闘してきた様子が、まるで推理小説を読んでるような構成で時間を忘れて引き込まれた。特に、この物語が13歳の少女の娘とその父親の発見から始まる展開に、すぐに心を鷲掴みにされた。

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この本の中で、私が一番心に残ったのは、医師であるカーターのことば。

プランとは、自分の行動計画を示す地図のようなもの。
目の前で患者が死にかけているとき、選択肢を切らしてはいけません。  選択肢が無くなるとパニックになります。
目の前になにか地図なり計画なり治療法のリストなりがあれば、たとえ完璧に正しいものではなくても、何もないよりはましです。

未来は誰にも分らない。でも想像力と直観を働かせて、どのように行動したらいいかの選択肢をいつも用意しておこう。
選択肢を用意するためには、いつも学ぶ姿勢が大切だと思う。カーターのいうところの「子供の目と畏敬の念」を持ち、過去から学び、未来のために今、何を学ぶべきか、どう行動すべきか。                   

地道な研究と人の命を救うために奮闘している彼らを感じることで、
何か心の深いところに力が沸いてくるような1冊だった。

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