サウジカップデー　短評　～4歳世代の台頭、大活躍～

興奮と感動をくれた各レースの短評です。

◆　サウジダービー（ダート1600m G3）　
好スタートからシンフォーエバーがハナを切ります。その内側をミリアッドラヴ、外側をミストレスが進み、日本馬が扇の形のようになって、レースを引っ張ります。
4コーナー手前で、扇の真ん中にUAE馬のゴールデンヴェコマが進出します。直線を向くとシンフォーエバーは粘りを見せますが、牝馬2頭は遅れだします。
残り200mまでは互角の叩き合いとなりましたが、100mの時点でゴールデンヴェコマがかわしました。シンフォーエバーも他の馬の追撃を凌ぎ、2着で入着しました。

◆　リヤドダートスプリント（ダート1200m G2）
ジャスパークローネがハナを切ろうとします。しかし、米国馬で昨秋のBCスプリントチャンピオンのストレートノーチェーサー（6歳牡）がハナを譲らず、激しく競い合います。
元来積んでいるエンジンの大きさが違うのでしょうか。4コーナーを回ったあたりから、ジャスパークローネが失速していくのに対し、ストレートノーチェーサーは益々加速していきます。
2着になったムクタヘムも一瞬差を詰めますが、結局そこから突き放されます。
最後の最後に後方集団からガビーズシスターが抜け出して先頭を追いますが、3着まででした。
現在のダートスプリント界では、ストレートノーチェーサーが世界王者に君臨していると感じました。

◆　ネオムターフカップ（芝2100m G2）
シンエンペラーが内枠を活かしてハナを主張します。坂井騎手は行く馬がいなければ、ハナを奪うこともシミュレーションしていたとのことで、何の迷いもなくレースを組み立てます。
常に外側からトラストユアインスティンクトが並びかけて、プレッシャーをかけ続けます。観ている方としては、このストレスにシンエンペラーは潰されてしまうのではないかと懸念していました。
しかし、彼は心身共に強かったです。4コーナーを回り、トラストユアインスティンクトの方が失速していく一方、シンエンペラーの勢いは止まりません。残り200mの時点では後続を突き放し、優勝が見えてきました。
3度目の海外遠征、日本ダービー3着、ジャパンカップ2着の成績は伊達ではありませんでした。2023年11月の京都2歳Ｓ以来の勝利を上げました。

◆　1351ターフスプリント（芝1351m G2）
夫々立ち回りは異なりましたが、日本馬2頭のスタート直後のレース運びは超絶でした。
外から2番目のゲートから飛び出したウインマーベルは暫く押しながら真っ直ぐ進みます。内側の各馬と段差ができたと判断した段階で急激に内側に切れ込み、気付いたら内ラチ沿いでハナを切れました。ウインマーベルの気持ちを抑えつつ、先頭を取り切った松山騎手の誘導は本当に上手かったです。
アスコリピチェーノは内側に各馬が殺到した時に窮屈になりかけましたが、自分の居場所を絶対に譲りませんでした。何気ないことですが、あの大波のような激しい流れの中で、彼女を興奮させずに、3～4番手の内ラチ沿いという好位のポジションを取り続けたルメール騎手の騎乗技術は圧巻でした。
直線を向くと、ウインマーベルが逃げ込みを図ります。一方、アスコリピチェーノは残り250mから追い始め、アスコリピチェーノが少しだけ前に出たところがゴールでした。

◆　レッドシーターフハンデ（芝 3000ｍ G2）　
ビザンチンドリームの鞍上のマーフィー騎手は、大外枠から好スタートを切ると、無理に前に出しません。
距離ロスを最小限に抑えるためなのか、内側に切れ込むことを最優先にした騎乗でした。そのため、ポジションは最後方になりました。長距離レースだけあって、隊列に大きな変化はなく、淡々とレースは進みます。
ビザンチンドリームも最後方でじっくりと腰を据えます。4コーナー手前から上位に進出し始め、残り400mでは先頭集団に取り付きます。直線に入ってからの脚色は断トツでした。
残り200mでは楽勝ムードを漂わせ、そのまま押し切りました。圧勝です。昨年2月のきさらぎ賞以来の勝利でした。思い起こせば、きさらぎ賞ではスタートで出遅れるも、直線で豪快にかわしていきました。だが、その後は好成績を残せず、前走のAJCCも6着でした。
リヤドの地で、きさらぎ賞で魅せた鋭い末脚が復活、1年ぶりの勝利をあげました。

◆　サウジカップ（ダート1800m G1）　14頭立て
既に各方面で報道されている、歴史的なフォーエバーヤングとロマンチックウォリアーのマッチレースからの、フォーエバーヤングの勝利については、気持ちを落ち着けて後日報告したいと思います。

◆　最後に
昨日勝利した4頭と、リヤドダートスプリントで日本馬最先着した馬は、すべて4歳世代です。
イクイノックスの引退から1年、次の世代がドンドン育っています。