富士ステークスの結果 〜マイル界の新風はそよ風か、強風か〜
強い風が吹いて世代交代が起きたのか、それとも未だ旧勢力は強く、昨日府中に吹いた風はそよ風だったのか、とても悩ましい結果でした。
結局は、他の有力馬も加わるマイルCSがとても楽しみになったと、前向きに考えることにしました。
◆ レース結果
勝ったのは夏に成長した5歳同級生トリオの一角ジュンブロッサム(5歳牡)です。嬉しい重賞初制覇で、希望を胸に本番のマイルCSへ向かいます。
また、3着には3歳マイラーのロジリオン(3歳牡)が入りました。彼は前走から14㎏増と、春先の馬体に戻してこられており、今後の古馬との戦いが楽しみです。
一方、2強のソウルラッシュ(6歳牡)とセリフォス(5歳牡)は2着と4着、レース展開のちょっとした不運、安田記念以来となる本番を前にした叩きの一戦だったこと等を考えると、未だマイル界のトップクラスに位置しており、本番での巻き返しは十分にあり得ると感じました。
昨日活躍したジュンブロッサムやロジリオンの実力を高く評価すべきか、仕上がり途上でも上位入着した実績馬ソウルラッシュやセリフォスの底力を信頼すべきか、皆さんはどうお考えでしょうか。
◆ レース展開
前半600mを34.2秒とそこそこ速いラップでしたが、1000mの時点では58.1秒とペースは落ち着きます。
その先行争いより、観ていて面白かったのは中団でのせめぎ合いでした。
11番枠のソウルラッシュ(団野騎手)は、相手を7番枠のセリフォス(藤岡佑騎手)に絞ったのか、好スタートを切るとセリフォスの外側のポジションをとって蓋をします。
それを嫌ったセリフォスは藤岡佑騎手が手綱を引いて、ソウルラッシュの後ろに下がり、そこから外に進路を取り直そうとします。ところが、そこに今度はジュンブロッサム(戸崎騎手)が外から蓋をするような形で上がってきました。
こうなると、セリフォスは再び自由に馬場の外を走ることができません。ジュンブロッサムはそのまま前進し、ソウルラッシュのことも外から蓋をすることに成功します。
4コーナーを回ると、とても円滑にコーナーを回り、外に進路を確保できたジュンブロッサムに対し、ソウルラッシュとセリフォスは進路を見つけるのに少しだけ苦労し、スムーズさを欠いたように見えます。
その差が、ゴール板を通過するときの差になったのかもしれません。
ただし、ソウルラッシュとセリフォスは、全盛期に見せたキレキレの末脚ではなかったという印象もあります。どう評価すればよいのでしょう。
◆ ロジリオン
ロジリオンは道中4番手争いの1番外を走り、直線も不利なく前が開いた進路を確保できています。追い出すタイミングもギリギリまで溜めてからスパートしているも、3着でした。
昨日の時点では実力的に、先輩馬たちにもう一歩足りない感じを受けました。ただし、NHKマイル3着、関屋記念4着と常に好走を続けており、ここからの成長力に期待です。
残念なことは、昨日も3着で収得賞金の上積みができておらず、今後使えるレースが限定されそうなことです。
◆ ジュンブロッサム
彼の戦績を見て驚くことは、昨日までの直近10戦連続(約2年間)して1番人気だったことです。昨日は4番人気でした。
裏を返せば、2勝クラスを抜け出すのに7戦かかったという、勝ち味の遅さが特徴です。
3勝クラスを2戦目で勝ちあがると、オープン入り初戦の関屋記念は1番人気に推されるも3着でした。
しかし、改めて関屋記念を見直すと、スタートでの出遅れが響いて、後方からのレース運びとなりました。最後の600mを最速で駆け抜ける破壊力がありました。
昨日はスタートに出遅れなかったのが勝因です。戸崎騎手も「狙ったところよりも良いところで競馬ができた」とレース後に話しています。今後もスタートが勝敗を分けそうです。
◆ マイル界
本番のマイルCSは1ヶ月後です。昨日の上位メンバーに史上7頭目の連覇を目指すマイル女王ナミュール(5歳牝)が加わります。
また、ジュンブロッサムとロジリオンは前走の関屋記念で3着と4着でした。彼らに先着した、今年のサマーマイルチャンピオンのトゥードジボン(5歳牡)、ソウルラッシュの弟のディオ(5歳牡)も虎視眈々とチャンピオンシップを狙います。
さらに、ロジリオンをNHKマイルで彼を0.5秒突き放しているジャンタルマンタル(3歳牡)が間に合えば、楽しみが倍増します。重ね重ね、昨日熱発で出走が適わなかったのが残念でありません。