天皇賞の戦評 ~長距離界の絶対王者の誕生~
天皇賞(春)で長距離界の絶対王者が誕生しました。テーオーロイヤルのジョッキーカメラを見ると、菱田騎手の落ち着いた騎乗っぷりと、テーオーロイヤルの持久力の高さを感じ取れます。
1着 テーオーロイヤル(6歳牡)
◆ レース前半
スタートには全身全霊の注意を傾けたように見えます。ゲートを上手く出ると、レース前半では1番人気のタスティエーラの真後ろに位置します。彼を壁に使って、引っ掛からないようにしています。3200mの長距離戦、前半は体力を温存し、馬のペースでストレス少なく走らせることに集中し、成功しています。
◆ レース後半
3コーナーあたり、残り600mの地点で、菱田騎手はタスティエーラの脚色が鈍ったのを感じ取って、彼の外側に進出し交わしていきました。そのままの勢いでロングスパートをかけ、4コーナーでディープボンドに並びかけると、残り300mの地点で早々に先頭に立ちました。関係者は早く先頭に立ったので、直線が長く感じられたことでしょう。
しかし、最後までジョッキーカメラの画面に他馬の影すら映り込むことはなく、後続に2馬身の差をつけての完勝でした。結果的には、好位から早めに抜け出して、後続を寄せ付けない横綱相撲でした。
◆ ゴール後
ゴールした後、菱田騎手は何度も何度もテーオーロイヤルに向かって「ロイ君ありがとう」と話しかけていた姿が微笑ましかったです。また、「次やな、またやな、ここからやな」とも語りかけており、テーオーロイヤルも「任せなさい」と答えているかのように威風堂々としていました。このコンビのこれからの活躍を期待してしまいます。
秋は豪州のメルボルンカップ(11月5日 3200m G1)を視野に入れるとのことですが、このコンビを引続き注視していきたいと思います。
2着 ブローザホーン(5歳牡)
彼は一昨日の出走馬で牝馬のサリエラと並んで最軽量の424㎏と、400㎏台後半の他馬に比べると一回り小さい体格です。
画面に映っていないのですが、スタート直後の場所取りの競り合いの結果、後方に位置しました。体格差が影響し、ポジション取りがうまくいかなかったのかもしれません。後方待機となった分だけ脚が貯まりましたが、4コーナーで上位進出する際に一番外側を大回りすることとなり、テーオーロイヤルとの差が大きくついたところで勝負ありました。
それでも低いフォームで、最後の600mをメンバー最速で追撃していく姿は格好良かったです。今後応援をしたい馬です。
3着 ディープボンド(7歳牡)
テーオーロイヤルのジョッキーカメラで、斜め右前方にディープボンドの姿が映っています。陽に光る彼の毛艶の良さ、つまり体調の良さが分ります。幸騎手は内ラチ沿いの最短コースを選択し、実力上位のテーオーロイヤルとタスティエーラの前でレースを進めます。馬場状態の良い最内を通って粘りこもうという作戦だったようです。
その作戦の通りにレースを進めるも、4コーナーで早々にテーオーロイヤルに並びかけられてしまいました。それでもしぶとく3着に粘ったのは、実力とレース前に練った作戦を完遂した人馬の高水準のコンビネーションを感じます。
最後に
15着に敗れた昨年の菊花賞馬で、一昨日の1番人気に推されたドゥレッツァ(4歳牡)は、軽度の熱中症の疑いがあったとのコメントがありました。
無関係ですが、私も熱中症になったことがありますが、本当に怖いです。
今年も酷暑のようです。皆さんも気を付けて下さい。
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