毎日王冠の結果 ~開幕週、先行各馬が上位を独占~
1番人気に推されたシックスペンス(3歳牡)が、計ったようにゴール前で逃げたホウオウビスケッツ(4歳牡)をクビ差かわして、3月のスプリングS以来2個目の重賞制覇です。3着は昨年の優勝馬エルトンバローズ(4歳牡)でした。
今年の毎日王冠も昨年同様、ゴール前が大混戦となった、観客を興奮させる素晴らしいレースでした。
昨日もまた、シックスペンス鞍上のルメール騎手の好騎乗が光りました。ただし、ホウオウビスケッツを絶妙のペースで逃がして、しぶとく粘らせた岩田康騎手や、スローペースと見越して大外枠から積極的に先行し、3着に入ったエルトンバローズ(4歳牡)の西村淳騎手の騎乗にも、素直に「すごいなぁ」と思えたレースです。
関係者の皆様、昨日も素晴らしいレース運びを見せて下さり、ありがとうございました。
◆ レース展開
2番枠のホウオウビスケッツが全馬の中で最高/最速のスタートを切ります。逃げ宣言をしていたものの、スタートで出遅れたシルトホルン(4歳牡)を抑えて、ハナを主張しました。
そこに、大外枠から確り目視しながら内側に切れ込んでいった西村淳騎手にエスコートされ、エルトンバローズが2番手のポジションをとります。
前進気性が強く引っ掛かりやすいといわれていたシックスペンスは、その後ろ4番手で落ち着きます。
見せ場は直線残り200mあたりからでした。この時点では誰が勝つのか分かりません。残り100mの時点ではホウオウビスケッツが粘りそうな感じでしたが、そこまで脚を溜めていたシックスペンスが馬群を突き抜け快勝しました。
◆ シックスペンス
彼は今春のスプリングSを3戦負けなしで制しました。その時も前半1000mが63.1秒と遅いペースの展開のなか、好位で落ち着いて脚を貯め直線早め先頭に立って勝ち切っています。なので、私自身は、彼が気性に難を持つという実感がありません。これもまた、ルメール騎手の騎乗力なのでしょうか。
日本ダービーこそ9着に敗れていますが、これは彼にとって距離が長かったのかもしれません。次走は秋天とマイルCSのどちらを選ぶのか分かりませんが、BCマイルも候補になると面白いです。
◆ ホウオウビスケッツ(2着)とエルトンバローズ(3着)
今年に入って岩田康騎手とコンビを組んでから、昨日で5戦2勝2着1回3着2回と、一気に覚醒した感があります。開幕週の馬場状態の良い府中で、前半1000m59.4秒は速すぎず、遅すぎずといった絶妙なペースだったと思います。
昨日の混戦を生み出し、自ら2着に粘った人馬のレース運びは完璧だったと思います。「ベテランの匠の技、ここにあり」です。
エルトンバローズは斤量が前走から1㎏減の58㎏となったことが好影響したのか、実力を見せてくれました。シックスペンスが56㎏、ホウオウビスケッツが57㎏だったことを考えれば、納得の結果でした。
レース運びは前述と重複しますが、スタート自体は遅かったのですが、そこから積極的に先行していったことです。
結果的に先行した馬が上位を独占しており、西村淳騎手のレースシミュレーションがバッチリとはまった感じです。
◆ そのほか
4着に終わったヤマニンサルバム(5歳牡)は本当に惜しいレースでした。1番枠から外を回すと今日の馬場では勝てないと判断して内ラチ沿いを進んだのですが、直線では最初から最後まで前が壁になってしまい、加速できたのはゴール前の数mだけでした。直線で円滑に進路を確保できていれば、勝ち負けまであったと思います。運がなかったです。
今春のG1で大活躍した実力馬ローシャムパーク(5歳牡)は、直線大外で抜け出しそうな雰囲気でしたが、そのまま馬群から抜け出せず10着でした。道中で抑えようとした戸崎騎手と喧嘩をしていた様子で、その分直線で伸びなかったようです。彼はパドックでも少し難しそうな雰囲気を醸し出していましたが、本当にコントロールするのが難しい性格のようです。