キーンランドカップの戦評 ~トップジョッキーの圧巻の技に心底感動~
馬が主役であり、馬が頑張ったことが好走の最大の要因であることを分った上で、1~3着馬に騎乗したトップジョッキーの圧巻の技に驚き、そして心底感動したレースでした。
3頭のレース展開を順にみていきます。
1着 サトノレーヴ(5歳牡) レーン騎手
昨日の投稿の再掲が多くなりますことご容赦ください。
やや外目の10番枠から好スタートを切った直後、レーン騎手は内側と外側にそれぞれ数度首を振って状況を確認し、とてもスムーズに4番手あたり内側の好位置を確保します。
さらに、ライバルと目されたナムラクレア(5歳牝)を内側に押し込む形をつくる一方、本人はストレスないポジションで一息入れます。
と簡単に書きますが、自然に内側に切れ込んで、無理なく好位置を確保する一連の動きは、何気ないけど素晴らしい技術だと思います。
直線を向くと、かなり手応えが良かったのか、残り200mで早くも先頭に立ちそのまま押し切る横綱相撲でした。非の打ち所がない強い勝ち方でしたし、それをエスコートしたレーン騎手の騎乗技術に唸りました。
好スタート、ポジション取り、一息、直線でのスパート、完璧を超える超完璧な騎乗でした。
2着 エイシンスポッター(5歳牡) モレイラ騎手
エイシンスポッターは前走の北九州記念も9着と大敗しており、昨日も8番人気と低評価でした。6番枠だった彼は、激しいポジション争いに参加せず、スタート直後に後方2番手まで一旦下げます。
そして、ロスのない内ラチ沿いのポジションを取り直します。この動きが作戦通りだったのか、思い付きだったのか、本当に聞いてみたいです。
その後はスルスルと内ラチ沿いを中団まで上がり、そこで一息入れます。直線を向くと、前が開くまでユックリとさせ、残り200mを切ってから再びスルスルと上位に進出し、最後は2着にもってきました。
気のせいなのか、モレイラ騎手に押されると馬も気持ちが良いのか、いつも以上に頸が長く伸びて、速く走れているように見えます。
3着 オオバンブルマイ(4歳牡) 武豊騎手
推し馬として紹介したオオバンブルマイはこれまでマイルを主戦場としており、一昨日が初めての1200m戦でした。且つ1番枠だったということもあり、不安が大きかったです。
実際、各馬の速いスタートについていけず、最後方にどっしり構えます。武豊騎手のこの吹っ切りというか覚悟は、若いジョッキーではなかなか出来ないかもしれません。
道中もそのまま最後方でユッタリと走り、4コーナーでも依然としてシンガリでした。「あ~ぁ、1200mは厳しいのかな」と思っていたのですが、そこから距離のロスお構いなしに大外にぶん回すと、鋭い末脚で先行馬をごぼう抜きし、最後は2着馬にハナ差の3着に入りました。
思った以上に強く、スプリント適性も高そうですし、直線の距離がもう少し長ければ、よりチャンスは増えそうです。
選択肢が増えたことで、次走をどこにするか関係者は悩むと思います。
選択肢が多いということは時に罪ですね。
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