ケンタッキーダービーの結果 〜悔しさと誇らしさ〜
今年から賞金総額500万ドル(前年300万ドル)、優勝賞金310万ドル(同186万ドル)と大幅に増額された第150回ケンタッキーダービー。フォーエバーヤングは悔しい、でも誇らしい3着でした。テーオーパスワードも5着に入り、日本馬2頭が歴史上初めて掲示板に載る素晴らしい結果でした。
◆ レース展開 ~最終的に勝敗を分けたのはスタート~
日本馬は2頭共にスタートで出遅れたために、最初のコーナーの入りが後方になってしまいました。特にテーオーパスワードはコーナーで外に大きく振られ、多大なロスを被っています。振り返ると、1コーナーまでがもっとスムーズだったらと思ってしまいます。「タラレバ」ですね。
道中は自分たちのペースを尊重し、後方にポジションをとって脚を貯めます。フォーエバーヤングは4コーナー手前から上位に進出します。直線では外からシエラレオーネに何度も体をぶつけられる厳しい展開となりました。
しかし、それでも怯まず伸びていき、シエラレオーネと先に抜け出したミスティックダンを追撃し、激しい3頭の競り合いに持ち込みました。勝ったのは終始内ラチ沿いの好位置を進んだミスティックダンです。
◆ フォーエバーヤング ~記憶に残り続けるだろう惜敗~
スタート直後に外の馬が内側に切れ込み進路を潰されたこと、直線でシエラレオーネと何度も接触した不利、最後の競り合いも進路が狭い3頭の真ん中となったことなどの一つひとつの積み重ねが、常にユッタリと好位置で進められた勝ち馬との差に繋がりました。
矢作調教師と坂井騎手の両名が涙をこぼしながら、フォーエバーヤングを褒め称えつつ、真剣に悔しがっている姿に心が打たれました。また、両名共にファンへの謝罪の言葉を述べていましたが、そんなことありません。感謝の気持ちしかありません。
◆ テーオーパスワード ~高い潜在能力を示す大健闘の走り~
僅か3戦目でのケンタッキーダービー。経験の浅さが響いたのか、スタートで出遅れました。それでも直線では確り伸びて、潜在能力の高さを見せた、大健闘の走りでした。3年連続カナダのリーディングジョッキーの木村騎手も、レース後のインタビューで、経験の浅さによるマイナス面を語る一方、成長して明るい未来が待っていることを示唆していました。
彼は両祖父母までがすべてJRAで走った馬です。彼がケンタッキーダービーの掲示板に載ったことは、彼の父母や祖父母のことを思い出して「君たちの子孫が頑張ったよ」と伝えたくなる、誇らしい気持ちになりました。
◆ 思ったこと 〜悔しさと誇らしさが入り混じった複雑な感情〜
日本馬が勝てなかったことの悔しさと、日本馬の実力を世界に見せられた誇らしさの二つの感情が入り混じった、複雑な気持ちです。
坂井騎手も木村騎手もスタートで後手を踏んだことで、思い描いていたレース展開にはならなかったのだと思います。それでも、スタート直後に直ちにプランBに移行し、素晴らしいレースをした騎乗技術に感服しています。
最後は米国勢の意地の前に敗れた感じでしたが、素晴らしい戦いを観させて下さった関係者の皆様には、感謝しかありません。
◆ アリシーバS(G2) ~テーオーサンドニが大健闘の2着~
最後に、テーオーパスワードの帯同馬として渡米していたテーオーサンドニ(5歳牡)が、ケンタッキーダービーの1日前にアリシーバS(G2)に出走しました。最低の8番人気でしたが、結果は番狂わせの2着です。
彼は国内では21戦2勝、直近2戦は二桁着順、直近の勝利は2年前という戦績でした。どうやら米国の水があったようです。