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名馬紹介 イクイノックス

【名馬紹介 イクイノックス】

現時点での日本歴代最強馬は、イクイノックス(2019年生 牡馬)だと思っています。今日は彼のことを紹介します。

◆ 総括
生涯戦績は10戦8勝2着2回です。完璧と言って良いと思う、素晴らしい戦績です。
彼はそこまで身体が強くないため、シーズン毎に選び抜いた2戦だけを戦い、2023年末にG1を6連勝のまま引退しました。
シーズン毎に、彼の戦績を見てみます。

◆ 第一章 鮮烈 2歳
8月末にデビューした後、2戦目に東スポ杯2歳Sを選びました。そこで見せた上がり600mを32.9秒で駆け抜けた末脚の切れ味は鮮烈で、競馬ファンにニュースターの誕生を確信させました。

◆ 第二章 惜敗 春のクラシック
この頃の彼は未だ身体も弱く、東スポ杯から皐月賞に直行するという、前例のないローテーションが組まれました。

完成に程遠い彼は皐月賞と日本ダービーで、2着に終わりました。また、このクラシック二冠では、共に大外の18番枠になるという不運もありました。
ただし、彼の前でゴールする馬を見るのは、日本ダービーが最後となりました。

◆ 第三章 覚醒 3歳秋
ひと夏を超えてファンの前に現れた彼の馬体重は490kg前後と増量しただけでなく、明らかに筋力量も増えた、力強い身体になっていました。

秋天ではパンサラッサの超ハイラップの大逃げを、ゴール前でかわした劇的な勝利を収めました。

続く有馬記念では一転したスローペースのレースに折り合い、4コーナーで早目に先頭に立つとそのまま押し切る、横綱相撲を見せました。

◆ 第四章 本格化 4歳春
年明け初戦はドバイシーマCを選びました。これまで後方からの末脚勝負を得意としていた彼は、異国の地でいきなりハナを切ります。そのまま危なげなく逃げ切り勝ちを収めました。

凱旋レースとなった宝塚記念は、一転して最後方からレースを運び、直線で豪脚一戦、快勝しました。どんなレース展開にも対応できる、柔軟性を証明しました。

◆ 第五章 鎧袖一触 4歳秋
当初ジャパンカップ直行と言われていましたが、秋天に出走することになりました。
好位から抜け出して、驚異的な日本レコードで駆け抜けた2000メールは、現在までの日本競馬界最強のレースだったと思います。

そして、ジャパンカップ。スタート直後に3番手のポジションを取れた時点で、勝利確定です。「鎧袖一触」という言葉が似合う勝ち方を、ラストランまで見せつけました。

◆ 競走馬としての完成形
イクイノックスは現時点で、競走馬としての完成形だったと思います。スタートよく、好位につけて、早目に抜け出して、誰にも影を踏ませない。負ける要素がありません。

また、超ハイラップも追走できるスピード、極端なスローペースでも引っ掛からない賢さ、我慢強さも持ち合わせています。

いつか彼に匹敵する馬が現れ、「一緒に走ったらどっちが強かったんだろう」なんて妄想をしたいものです。

◆ ベストレース
敢えてベストレースを挙げるとすれば、驚愕の日本レコードで2000mを駆け抜けた4歳の秋天だと思います。
これは、各者各様の意見があると思いますので、あくまでも個人的な意見です。

府中2000mはスタートから最初の2コーナーのカープまでが直ぐなので、スタート直後のポジション取りが難しいコースです。
イクイノックスの鞍上ルメール騎手は、2コーナーまでに前目のポジションを取ると公言した作戦を完遂、2コーナーを3番手で回りました。

逃げたジャックドールガイアフォースに後ろから突かれたために、前半1000mは57.7秒とハイペースになりました。脅威のレコードタイムを作り出したのは、この2頭の先行争いのおかげです。

最初の200mを除き、そこから全ての200mを11秒台前半から半ばと、淀みない速いペースで進みました。そのため、先行馬は失速し、追い込み馬有利の展開になりました。それでもイクイノックスだけは全くバテることなく、ゴールまで走り切っています。


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