ドバイミーティング振り返り ~ファンの期待値は上がり、贅沢になる~
ドバイミーティングの最終レース、ドバイワールドカップが終わってから約30時間を経て、今の個人的な感想を少し述べてみます。
1.物足りなさ(贅沢な気分)
一昨年のドバイでは日本馬が5勝、さらに昨年はドバイシーマクラシックをイクイノックスが、ドバイワールドカップをウシュバテソーロが制した時の熱狂に比べると、今年は7戦1勝かつG1は未勝利だったことで、一瞬、物足りなさを感じました。
しかし、世界の大舞台で5レースの連勝に絡んだことは大健闘だと考えを改めました。実際2017~2021年の5年(ただし2020年はコロナ禍で不参加)23レースで僅か2勝だったことを考えると、大躍進です。どうやら、観る側の期待値は上がり、贅沢になっています。
2.ダート馬の大躍進
JRAの運営は芝が中心であり、生産もダート馬はやや劣後していた感があります。そのためか、過去に海外ダートレースでの金星は数多くありませんでした。しかし、マルシュロレーヌが2021年のBCディスタフを、ウシュバテソーロが昨年のドバイワールドカップを優勝するなど、世界最高峰の舞台での活躍が散見されるようになってきました。
今年のドバイでも、ダートは1勝、2着2回と好成績です。日本のダート馬の実力は、明らかに上がっています。国内のダートレース体系の整備と、海外レースへの参戦の増加によって、ダート馬も実と名誉の両方を得られる体制が整いました。それに伴い、優秀種牡馬の輸入などを通じて、日本のダート馬の実力底上げが行われてきたと感じます。
ウシュバテソーロがイクイノックスを抜いて、歴代獲得賞金の1位になったのは、その状況を表していると思います。
3.1つのレースを選ぶと
フォーエバーヤングが日本馬3連覇を果たしたUAEダービーでの激走も、とても印象深いのですが、ナミュールが惜敗したドバイターフが悔しさも相俟って最も印象に残っています。日本馬が2着だった他の3レースは、勝ち馬が最高の体調で参戦し、これ以上ないというレース展開を演じて快勝しており、今年はちょっと勝ち目がなかったかなと思っています。
しかし、ドバイターフだけは勝つチャンスがあったと思っています。大外を強襲したナミュールの姿は昨秋のマイルCSを彷彿させ、直線残り200mでは「勝った」と思いましたが、最後は首の上げ下げで負けました。
敗因はナミュールが小顔美人のため、その差が最後にこたえたという説があります。今回は「かわいいは、正義!」ではなかったようです。残念。
なお、ナミュールは、小柄な馬体で頑張る姿、強烈で魅力的な末脚の切れ味、そして曾祖母にキョウエイマーチを持つオールドファン好みの血統から、デビュー当時からの推し馬です。詳細紹介はまた別途。
4.最後に
短期免許で頻繁に訪日し、日本で活躍するミルコ・デムーロ騎手の弟クリスチャン・デムーロ騎手は、今回日本馬に積極的に騎乗してくれて、ドンフランキー、シャフリヤール、ナミュールと3頭を2着にエスコートしました。これを「ナイス!」と呼ぶべきか、「残念!」と悔しがるべきか微妙です。でも、わたしは、彼が日本馬の強さと層の厚さを世界に知らしめてくれたと感謝しています。ありがとうございました。