推し馬 ジャックドール 〜復帰が待たれる金髪の貴公子〜
今日は、栗毛の馬体が美しいが、ライバルの体力を削っていく逃げ脚がエゲツない、金髪の貴公子とも呼ばれるジャックドール(2018年生 牡)を紹介します。
◆ 逃げのスタイル
彼は2000mを得意とする逃げ馬です。そのレース運びは、前半1000mよりも後半1000mの方が速いものの、途中もペースを緩めずにライバルの体力を削いでいくスタイルです。
一つ年上のパンサラッサとは、同じ逃げ馬でもレース運びが大きく異なります。彼は最初からハイラップで突っ込んで後続を引き放し、粘りこむスタイルでした。
◆ スタイルをラップタイムで検証
ジャックドールとパンサラッサの代表的な2000mのレースをそれぞれ2つずつ選び、前後半の1000mの走破タイムを比較してみます。
⭐︎ ジャックドール
22年金鯱賞:前半59.3秒、後半57.9秒、合計117.2秒
23年大阪杯:前半58.9秒、後半58.5秒、合計117.4秒
⭐︎ パンサラッサ
21年福島記念:前半57.3秒、後半61.9秒、合計119.2秒
22年秋天:前半57.4秒、後半60.1秒、合計117.5秒
走破タイムの速い遅いは、競馬場や馬場状態で異なるので、参考数値程度かと思います。
それでも、ジャックドールは前半も遅くないのですが、後半さらに加速するスタイルが分かります。一方のパンサラッサは、とてつもなく速いラップで前半突っ込み、粘り勝つスタイルです。
ジャックドールとパンサラッサの違いが、よく表れています。
◆ キャリア 4歳まで
2歳12月のデビュー直後の2戦は連続2着と、彼は本格化まで時間を要したため、クラシックには無縁でした。
しかし、3歳の9月に2勝目を挙げると、そこから破竹の5連勝。しかも、翌年3月の金鯱賞では、従来のレコードタイムを1.1秒更新する走りで快勝しました。
この時点で既に、2000mの強豪馬の一頭に数えられましたが、G1では苦戦を続けていました。当時は無冠の帝王の扱いでした。
◆ 大阪杯
満を持して出走した5歳春の大阪杯で、遂に無冠の帝王を返上します。
前後半のタイム差が僅か0.4秒という正確なラップを刻み、スターズオンアースの猛追をハナ差で凌ぎきり、G1タイトルを獲得しました。
前半58.9秒のラップは本当に絶妙でした。これより少しでも速ければ後半バテて馬群に沈んだことでしょう。一方、少しでも遅ければ4コーナーでスターズオンアースとの差が縮まり、ゴール前で差されていたと思います。
当時、鞍上の武豊騎手の技術と、体内時計の正確さが、とても賞賛されました。
◆ 長期療養
順調にキャリアを重ねていきましたが、5歳秋の天皇賞の後に浅屈腱炎を発症しました。既に療養期間は1年を超えていますが、復帰の目処がたっていません。
そんな彼を推し馬に上げたのは、華やかで美しいジャックドールが、颯爽と走る姿を再び観られることを、心待ちにしているからです。