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最高の障害レース 〜必見の大激戦、2017年の中山大障害〜

障害競走にも数多くの名レースがあります。その中で個人的に、最も強く記憶に刻まれているレースは2017年の中山大障害です。

◆ 戦前の盛り上がり
戦前から、ディフェンディングチャンピオンのオジュウチョウサン(6歳、当時)と、彼より一つ年上で一昨年の大障害覇者アップトゥデイト(7歳、当時)による、現王者と前王者の対決として周囲は煽っていました。

しかし、アップトゥデイトは初顔合わせでオジュウチョウサンに先着するも、その後3回続けて後塵を排していました。
そのため、ファンの多くは2頭の勝負付けは終わっていると判断していました。実際オジュウチョウサンの単勝は1.1倍、アップトゥデイトは6.8倍と、差がありました。

ただし、アップトゥデイトは前哨戦を快勝しており、調子は上向いていました。

◆ レース展開
この日、アップトゥデイトは覚悟の大逃げを選択しました。
道中、カメラが相当引かないと後続馬が映らないほどです。一時期は20馬身以上、リードをとっていたと思います。

この時のスピードに乗って、障害を飛越する彼と鞍上の林騎手には、1㎜のブレもない強く、凛々しい覚悟を感じました。
そして、そのジャンプの姿勢は、白い彼の馬体もあって、とても美しかったです。

一方、オジュウチョウサンは、道中では大きく離れた2番手で淡々と追走します。3コーナーに差し掛かると「そろそろ行くか」という感じで加速。
そこから徐々に差を詰めていきます。
そして、最後の最後、遂にゴール直前でかわして半馬身差で勝利しました。死力を尽くした2頭の激しい戦いの美しい結末でした。

お時間が許せば添付を見て頂きたいのですが、最後の直線は手に汗握る、そして、極めて感動的な展開でした。

◆ レース結果
2頭は3着馬を3秒以上引き離しており、当時この2頭の実力が抜けていたことが分かります。
また、4分36.1秒の走破タイムは、当時のレコードタイムを26年ぶりに更新(しかも 1秒以上)した大記録です。

レース後、アップトゥデイトに騎乗した林騎手が「時代を間違えた」とコメントしていたのが、オジュウチョウサンの強さを言い表していると思います。

◆ レース振り返り
勝因は離されてもオジュウチョウサンの実力を信じ切って、自分のペースで追いかけた石神騎手の腹の括り方にあったと思います。

私の文章力が足りずうまく伝わりませんが、林騎手の覚悟の大逃げに対し、石神騎手も腹を括って追走した、ギリギリの戦いでした。

イメージはお互いに刀をお互いの喉元に突き付けており、少しでも油断した方が負けるという緊迫した雰囲気のレースでした。

このレース展開は両人馬の覚悟の賜物であり、観るものに大いなる感動を与える迫力がありました。


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