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コラム42 インブリード・アウトブリード
特定の馬の血が広く行き渡ると、近親交配のリスクが気になります。近年でいえばサンデーサイレンスが代表例です。
実際、過度な近親交配は避けられています。
◆ 「インブリード」と「アウトブリード」
どの程度の近親交配がなされているかを示す言葉として、「インブリード」、「アウトブリード」という概念があります。
一般的に、五世代前まで(延べ頭数で62頭)の先祖の中に、同じ馬がいる場合を「インブリード」、そうでない血統(62頭全てが違う馬)を「アウトブリード」と呼んでいます。
◆ 記号表記
同じ祖先(現実的には種牡馬が多いのですが、それだけとは限りません)がいる場合、記号表記します。
例えば、昨年末の有馬記念で2着だった、2021年のダービー馬のシャフリヤールはアウトブリードです。彼のライバルで、同年の年度代表馬のエフフォーリアは父方の四世代前(高祖父)と、母方の三世代前(曾祖父)にサンデーサイレンスがいます。これをサンデーサイレンスの4X3(父方を先に記載)と表記します。
◆ インブリードとアウトブリードの比較
インブリードとアウトブリードのどちらの方が強いかは分かりません。インブリードは心身に異常をきたす可能性があるので、避けるのが一般的です。
それでも、生産者がインブリードを求めるのは、時にインブリードから歴史的な名馬が生まれるからです。
◆ インブリードの問題
では、どこまでのインブリードなら問題ないのか?私には専門的な知識はありません。
ただし、実例を見ていると、4X3(3X4)や4X4は多く見られます。今後暫くはサンデーサイレンスの4X3(3X4)が増えると思います。
一説によると、一頭の馬の血の量が18.75%となる4X3(3X4)がインブリードのリスクの限界と言われています。
また、その18.75%は「奇跡の血量」とも言われています。
しかし、もっと濃い血を持った活躍馬もいるので、結局は個体の話になってしまいます。
1999年の年度代表馬、エルコンドルパサーは有名です。
彼はSpecialとLisadel(この2頭は父母が同一)の4×4×3(25.0%)という濃い血脈に加えて、Northern Dancerの4×3(18.75%)、Native Dancerの4×5(9.38%)と、特定の血が非常に濃い血統です。