マイルCSの戦評 ~悔しい思いを最も多く経験した馬が勝つシーズン~
最初に、昨日の1~3着馬に騎乗していた、団野騎手(24歳)、西村淳騎手(25歳)、松山騎手(34歳)の若手/中堅騎手は、戦前のシミュレーション通りにエスコートできた会心のレースだったと思いました。
事前の想定通りにレース運びをできた3名の技量をみて、新たな風が吹いたと感じました。それだけに僅差で敗れた悔しさは大きかったと思います。次に向けた戦いが始まりました。
◆ レース展開 =スタートから道中=
典型的な逃げ馬がいないので、誰がハナを切るのかなぁと観ていたら、バルサムノート(4歳牡)が飛び出し、想像よりも速い流れを作りました。
スタートは英国馬チャリン(4歳牡)が立ち遅れた以外は、五分以上のスタートを切っています。
2着になったエルトンバローズ(4歳牡)と、3着のウインマーベル(5歳牡)は抜群の好スタートを切り、他の馬を先にいかせて余裕で中団の外目にポジションを取ります。
1番人気に推されたブレイディヴェーグ(3歳牝)は最初前目に位置するも、そこから徐々に後方になってしまいます。マイル戦特有の速いペースに戸惑ったのかもしれません。
ナミュール(5歳牝)は珍しく好スタートを切れたおかげで、前目のポジションをとりました。
ソウルラッシュ(6歳牡)はスタート後、慌てずに後方に下げます。常に外側に馬がいましたが、内ラチ沿いに追い込まれないように内側に2頭分くらいのスペースをつくって進みます。
3コーナー過ぎから徐々に上位に進出していき、4コーナー手前でブレイディヴェーグとオオバンブルマイ(4歳牡)の間に強気に割って入り、直線に入る前に好位置を確保したのが勝因だと思います。
◆ レース展開 =直線=
これまで芝では1200~1400mしか経験のないウインマーベルは早めに先頭に立って、そのままゴールに流れ込もうと考えて、残り200m時点では早々と先頭に立ちます。松山騎手の完璧なエスコートのおかげで、彼の脚色は衰えません。このまま粘り切るとも思わせました。
後続馬は彼をターゲットとしてスパートをかけていきます。彼を最初にかわしたのは、直線中ほどに進路を確保して、鋭い末脚で突っ込んできたソウルラッシュです。そのまま、彼は誰の追撃も許さずに最初にゴール板前を通過した完勝劇です。
大外枠だったエルトンバローズは道中マイペースで走ることを優先し、直線勝負に賭けます。大外から一気に突っ込んできましたが2着まででした。西村淳騎手は完璧なエスコートをしましたが、彼よりも速い馬が一頭前にいました。レース後の西村淳騎手の悔しそうなコメントが心に残ります。
ブレイディヴェーグは直線入口でほぼソウルラッシュと並んでいましたが、加速を開始するまでの反応が鈍く、且つ末脚にもいつもの鋭さがなく4着でした。昨日の投稿と重なりますが、初めてのマイル戦のペースに戸惑ったのだと思います。
最後に英国馬チャリンですが、スタートの出遅れが響きました。それでも、直線では外側を力強く上がってきて5着になりました。初めての日本の固い馬場でも好走したと思いますし、何より来日してくれたことに大感謝です。本当にありがとうございました。
◆ 感想
全馬が勝利を目指して戦いました。その中でも悔しい想いを最も多く経験したソウルラッシュが勝利したという印象です。
1番人気のブレイディヴェーグや2着のエルトンバローズは、悔しさの量が未だ足りないのかもしれません。
秋シーズンになってから思っているのですが、苦労のストーリーが多い馬が想いを成就させている、感動的なシーズンを迎えている気がします。