非常口のマークってめっちゃ見やすい。マジで。


「次の更新は裸眼じゃ無理ねー」

と、快活で恰幅の良いおばちゃんに言われてから数年

運転免許の更新日をさらに数年後に控えた僕の目は
ソーシャルディスタンスの確保のために2メートル離れれば
もう色しか判別できないくらい、悪くなっていた。


声優業の傍ら、未だにバイトを続ける僕の職場は高層ビルの15階
窓から外を眺めれば、同じ目線にたくさんの鉄筋ビルが見える。

…うっすらと。

まるで地平線に浮かぶ蜃気楼の様だ
言葉にすると幻想的だが、なんのこっちゃない。目が悪いだけだ。

なんか高いのあるなー、と思いつつ、
そのビルが一体何なのか、正直ビルなのかすらも分からない。

これは地理に心得があるか否かの問題だけでは決してないと思っている。

事実、角度の問題で高い塔が2つと低めの塔が1つ横並びだと、全部都庁に見える。
六本木に都庁があってたまるか。しらんけど。

同じ現象は窓から見えるビルだけに限らない。
街を歩く僕の目に飛び込んでくるカラフルな謎の物体の正体を
僕はその「色」をもとに判別する。

そのおかげで、水色多めで白と赤がワンポイントで入っているものを見ると
全部ドラえもんに見えるようになってしまった。
ドラえもんがとっても大好きな僕にとっては嬉しい悲鳴だが
目を細くして近づいてみれば、ちょっとお値段がする女性物の下着だった時は
さすがに悲しい悲鳴を小さく上げた。僕以上に周りの女性の方がキャーだったと思うが。

そんな中、間違えないものを見つけた。
「非常口のマーク」だ

光の加減によってはグラデーションに輝く、白を背にした鮮やかな緑。
それが、天井付近の高い位置から吊るされている。うん、すごくわかりやすい。
これで、いつ何時、何があろうとも「あそこが非常口だ!」と逃げられるのだ。

ただ一つ言えるのは、そんな状況あまり体験したくない、という事だ。

いつ何時、何があろうとも「あそこが非常口だ!」とわかるからこその
非常口のマークなのだ。

遠目で見てドラえもんなのかランジェリーなのかわからない色では
多分緊急時に、死ぬ。

だから、非常口のマークは、唯一無二なのだ。

緑色の棒人間に、今日も思いを馳せる。


とボーっとしていたら、
新宿アルタのすぐ横の通りのど真ん中に生えている木にぶつかった。

さすがに恥ずかしかった。目が悪いから見えなかった←


自分の注意力を目のせいにしつつも、
やはり目が良いに越したことはない、と諦め、
素直にコンタクトレンズを買い、例に漏れず装着に苦戦をした僕は、

そのあまりの「見えやすさ」に感涙した。

ちなみに泣いたのは、決してコンタクトレンズを入れるのに失敗したからではない。
こんなにも世界はクッキリ見えたのか、と感動したからに他ならないのだ。


文章書くって難しいね。

という、初投稿。

今後ともごひいきに。


望月 駿祐

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