【青春ドキュメント】卒業生を送る会に向けて作った「こども部屋おじさんの映画」が上映されなかった話
どうも皆さんこんばんは、未来のこども部屋おじさんことバールのような者(@doranobic)です。
ぼかぁの高校には毎年2月に卒業生を送る会という行事がありまして、近くにあるホールを貸し切って卒業生自身が舞台で歌ったり踊ったり、先生の感動のビデオレターを流したり、そりゃあもう素晴らしい行事があるんですよね。
ぼかぁ自身もその行事で何かやりたいな~と思っていたらいつの間にか第三学年になってしまい、もはや僕が留年する場合を除けば最後の出場のチャンスだったので小さな応募用紙に「自主映画の上映」とだけ書いて応募しました。その時点ではまだ何を撮るかとか全然決まってませんでしたけどね。
1. 誰が役者やるん?
実は僕が高2の頃の文化祭でクラス発表の自主映画を作ったことがあります。だけどコミュ障すぎて誰かに「役者やってくれない?」とお願いすることが出来なかったので、自分が監督、主演、編集、脚本を勤めた”カメラの止めるな”のパロディ映画”単位を落とすな”を上映した黒歴史があります。
クラス発表のはずなのに本編の7割に僕だけしか登場していなかったのは本当に辛かった、その映画が全校生徒500人の前で上映されたのはマジで死にたかったです。
その時の二の舞にならないように今度だけは絶対に主演だけはやりたくないけどそんなに良い人材は果たして都合よく目の前に現れてくれるのだろうか?と思っていたら、クラスメートのあろま君という男の子がYoutuberだということを知りました。
ぼかぁ「映画撮らない?」
あろま「いいよ」
と反射神経で物事を考えているとしか思えない返答を頂いたのでキャストも即決定し、いよいよ脚本を書く段階になりました。
正直言って脚本を書くのは今回が初めてだったので右も左も何も分からずに、気づいたらその時点までは恋人だった女の子が待っている東北に向かっていました、まだ脚本書いてないのにね。
チーズ牛丼遺棄事件も無事に完遂しその帰り道のフェリーの中でやべーーー!!!撮影5日後じゃんアゼルバイジャンと焦りながら携帯のメモ帳で書いたのが今回作った”ころんば”の脚本です。
もはやこの書き方が正しいのかどうかさえ分からないけど撮影数日前にアロマ君にやっとこさこの台本を渡しました。(演技初心者にこのタイミングで台本を渡すって中々最低な監督だ)
通話で何度かリハーサルを重ね、撮影前日には一人でロケハンに赴きました。
今回、撮影のメインのロケ地にしたのは長年空き家になっている母の実家です。冒頭であろま君が首を吊ろうとしているシーンで使ったおもちゃは最初から部屋にあったやつでなんとなくサークル状にして真ん中に椅子を置いてみたらあのシーンを思いつきました。
帰りにホームセンターに寄ってクレモナロープを一つだけレジに持って行ったんですが、店員さんに大丈夫ですか?と言われました。どう見ても自殺志願者ですもんね。
「あ、映画の撮影です」と言ったら納得してくれました。
2. 撮影スタート
ロケハンを完璧にした状態で迎えた翌日。知り合いのスタッフ2名、そしてメインのあろま君を交えて撮影をスタートしました。
ハッキリ言って映画なんて撮ったことが無いので、絵コンテも何もなしでその場の思いつきでカメラワークも指示していたけど、やっぱり用意してこれば良かったです。どのアングルが正しいのか分からないのであろま君に同じ演技を10回させてカメラを色んなアングルで撮らせたりもしました(効率が悪すぎる)
ひとまず冒頭のあろま君が自殺するシーンを撮り終え、いよいよ悪徳カルトセールスマン扮する僕が登場するシーンの最中に起こった出来事なんですけど
近所のおばさんが撮影してる最中にやってきて
おばさん「嫌がってるじゃないですか?やめてあげてくださいよ?」
と言われました。どうやら”本物”だと思われたみたいです。
ぼかぁ「あ、映画の撮影なので大丈夫ですよ」
と言ったら納得してくれたのか
おばさん「そうなんや~」
とご満悦そうに帰りました。
まさか2日連続で「映画の撮影なので大丈夫ですよ」と言うとは思わなかった。このときばかりは気分はもう完全に映画監督、僕は東洋のタランティーノ
撮影の半分位を完了させ、お昼休憩中に皆でマックを食べたんですね。そこで気づいたんですが、スタッフは全員ぼかぁの知り合いだけどスタッフ同士はお互いに初対面。知らない人たちが一致団結して一つの映画を作るのがとても不思議で面白くて感慨深い思いに浸ってました。
そして後半の撮影スタート。ここで色々とトラブルがあってカメラにしていたあろま君のスマホのバッテリーが切れたり、どう考えても今日中に撮影が終わらなさそうだったのでシーンを削って巻いて撮ったり。後半は時間の関係で納得いかなかったけどOKテイクにしたシーンも多々あります。
ここの殴るシーンは3テイク撮ったんですけど、1回目も2回目も迫力が無かったのであろま君に「いいか、次は絶対本気で殴れよ?本気で殴らなかったら殴るからな?」と脅しをかけたのが功を奏したのか、翌日にも痛むくらい本気のパンチを貰いました。彼の動画を勝手にラジオのネタにした恨みがこもっていたと思います。ごめんよ、あろま君。
そうしてその日の撮影は無事終了しました。
3. 一晩で作った予告編
まだ撮影の進展も60%位しか完了していなかったのに気づいたら冬休みが終わりそうでした。冬休み明けの登校日といえば生徒会の有志オーディションがあります。
卒業生を送る会には参加枠が10個ほどあり、それに対して歌って踊りたい生徒たちが熾烈をかけて生徒会の票を取り合うというバトルロワイヤル、各々2分ほど時間を与えられ、デモンストレーションできるというシステムです。
ぼかぁここでプレゼンしようかなとも思っていたんだけど、やっぱり映像の面白さは映像でしか伝わらないだろうから、急遽前日に予告編を作りました。というか当日に作りました。夜の11時に作業開始して朝の7時に完成。相変わらずの計画性の無さに自分でも驚きます。
正直言ってこの予告編は100%ミスリードしてます。二人が初対面の用な印象を与えて、どちらかといえばホラー映画の様な感じに仕上げました。なんでそうしたのかはよく覚えていないけど、生徒会のティーンエイジャー達の心を鷲掴みにしようとした結果だと思います。
ここでもまたトラブルがあって、ぼかぁがこの予告編を上映する前にプロジェクター諸々の準備を生徒会がしてくれたんだけど、いざ発表の2分がスタートしたら誰かがプロジェクターの電源を抜いていたことが発覚。生徒会の子がプロジェクターの起動をしている間に、ぼかぁが生徒会のことを褒めまくってなんとか場を繋ぎ、残り時間が1分ほどになって予告編がスタート。
でも予告編の一番盛り上がるところでタイマーが鳴り無残にも「はい、終了です」という先生の声が体育館に響き渡りました。
は???もしかしたらこれは誰かの妨害工作だろ???誰が電源を抜いたんだ!?出てこい!!!ぼかぁの睡眠時間返せよ!!!!!7時間を現金に換算して持ってこいよ!!!おまえか???おまえか???おまえか~~~~~!!!???
と叫びながら一人ひとりにハートマン軍曹みたく怒鳴り散らしてやろうと思ったんだけど、どうやら生徒会のミスみたいでした。やらなくてよかった....。
生徒会の子の計らいによってその後、再上映してもらえることに。見ている人の反応も上々で。これは多分合格したんじゃないかなと思ったら案の定、有志として合格していました。やったね。
オーディションの帰り道で生徒会の女の子が「あの不気味な映像、とても面白かったです」と言ってくれてぼかぁのモチベーションも×2ブーストされました。もう絶対10年後も頭から離れない作品を作ってやる!!と自然に口に出していたかも、キモイ。
4. 残り40%の撮影
残りの撮影は回想シーンと教祖様のシーンだけ、これに着手したのが上映の10日ほど前ですね。冬休み明けにすぐテストがあったから、仕方がないです(最低監督)
とりあえずカルトIT企業という設定なのでどこかオフィスっぽいところを探した結果、近くの会館の会議室を借りることに。今見返せばどう見ても”バカが考えたIT企業っぽい部屋”なんですけど、IT企業らしさがあれば良いんです。無駄に長い時間借りれたので、短いシーンながら何回もリテイクを重ねて演劇部の知り合いにパワハラ上司の強度を深めていってもらいました。
リラックスを促す商品を売っている教団のトップが一番リラックスしていない矛盾がシュールですね。
所々ヤジを入れてくる和服を着た子は明るくてコミュニケーション能力もあって辻野とは対比的なキャラクターです。結局世の中はコミュニケーション能力が身を助けるんだよってメッセージを込めたくて、演劇部じゃない知り合いに無理言って出演してもらいました。
このシーンは僕の映画の中で一番好きなところですね。
回想シーンの撮影は順調でした。
でも最後に二人がメントスコーラをやるシーンがあって。実際に学校近くの公園で撮影してたんだけど通る人通る人が皆「うわぁ令和になってもメントスコーラを投稿している痛い高校生だ・・・」みたいな顔していたのが一番つらかったですね。
実際は映画の撮影なんだけど、外から見たらそんなこと分からないですもん
なんとか羞恥心に絶えつつ、そこでの撮影は10分ほどで終わらせました。
Youtuberをやってる感を出す為に、実際にこのシーンをYoutubeにアップしたら。こんなコメントが来ました。
きっと”本物”と思われたんでしょうね。これからも頑張ってくださいと言われてますけど、これからなんて無いです。これで終わりです。
せっかくだからアドレナリンMAXさんの動画を見ましたが、正に僕が映画で描きたかった”本物”がそこにはありました。皆さん良ければチャンネル登録してあげてください。
5. 地獄の編集作業
全ての撮影も終わりいよいよ編集の段階に入ってもトラブルがたくさん。
まず撮った映像の3割の音がこもっていて使えないことが判明、もし使ったとしても音が繋がらなくて違和感しか無かった。何故こもっていたのかはっきり分からないんだけど、もしかしたらモバイルバッテリーで充電しながら撮影していたのが原因なのかもしれない。
よって映像だけを組み合わせて後からNGカットから引っ張ってきた音を足したり、最悪の場合アテレコもしました。この作業で全体の3割位の時間を持っていかれて、ちゃんと現場で確認しておけばよかったと猛烈に後悔しました。
観れる自主映画と観れない自主映画の違いって何よりも”音”だと思うんですよね。音量調節がよくできていなくて何言ってるか分からないとか、アテレコ感丸出しとか。そういうのって作品を観る段階でちょっと苦痛になる。
今回の目標は苦痛なく観れる自主映画を作ることだったのでこの作業は丁寧にしました。
そして次のトラブルは映像が繋がっていないところが沢山あったとこ
↑ このシーンはあるば君が辻野につけられたサトリデバイスを外した直後なんだけど、一旦辻野の映像を間に挟み次のカットでは
いや、いつメガネかけたんだよ??????
この時ばかりはこの超超超超超初歩的なミスに現場で誰も気づかなかったのかと叫びそうになりました。(何よりもぼかぁが悪いけどね)
そんな凡ミスがこの映画には数え切れないほどあって、編集でカバーした要素もあれば、どうあがいても使わざるを得なかったシーンもありました。探してみれば沢山見つかると思います。(探さないでください)
でも映像編集の楽しいところって無限にある映像をパズルのピースを組み合わせるような作業をしつつ自分の頭の中の正解を見つけていくところにあるかもしれません。普段Youtubeの動画編集をすることはあれど、映画の編集は初めてだったので今回の作業を通して色んなことを学べました。例えば、現場で無意識に撮っていた保険的なカットが別のシーンで意外な活用法が出来たりとか、そういうところも映画の編集ならではですね。
上映前の三連休にはほぼ家に籠もりっきりで編集作業をしました。完成させた時には嬉しすぎて一人で恋のマカレナを踊っていましたね。
そして送る会の5日前にDVDを渡すためだけに学校に行き、帰り道は興奮が収まらなかったので生まれて初めて一人でカラオケに行きました。
6. 上映当日に一人カメラを止めるな
そして自分では驚くほど完璧な状態で迎えた当日、洗面台で顔を洗ってたらいきなり電話がかかってきました。Twitterで晒した電話番号からかけてくれたファンの人かな~朝から人気者だな~とか思っていたら
「もしもし、◯◯君?やっぱりあの映画の自殺シーンがちょっと公共の場で上映するのには相応しくないからさ、どうにかして差し替えて」
みたいな話をされました。
当日です。
もう一度言います
当日です。
幸い上映まで4時間ほどあったので編集する時間は一応ありそう。
でもどうすればええんや?首吊で始まって首吊で終わる話やぞ???
首吊用の紐にモザイクをかけてこれは首吊用の紐ではないので自殺するシーンではありません。とAVみたいな理論も考えたんですけど、そんなものを上映したら明日から周りの目がちょっと気まずい。
首吊のシーンを差し替えてしまうと話が繋がらなくってわけがわからなくなってしまいます。というか差し替え用のシーンなんて用意してない。
つまり状況は限りなく積みに近いブルー!
いいじゃん、カメラを止めるなみたいでいいじゃん。こういうトラブルを知恵と友情と愛で解決していくのまんまカメラを止めるなじゃんアゼルバイジャンと一人で思いながら動画編集ソフトに向かって試行錯誤してました。
そして導き出した答えがこちら。
超ズームして紐を映さない
もうこの作業をしていたら家に出るのがギリギリで最後は着替えたり歯磨きしながらエンコードしてました。そして完成したDVDを持ってダッシュで会場に向かいギリギリ担当の先生に渡しました。遅刻しそうになった経験は沢山あれど、動画編集をしていたから遅れそうになったのはこれからもこの先もないと思います。
そして舞台袖にあるPCでぼかぁの映画をチェックしてもらうことに。
厳しい目つきでぼかぁの映画を見つめる先生二人、そして何やら話し合った上でぼかぁに言いました。
「ごめん、〇〇君。これは死を連想させるからちょっと難しいな・・・」
どうやら先生が今朝要求していたのはこの作品から死を連想するシーンを全て取り除けということみたいでした。
多分それはDEATH NOTEから死の要素を取り除いて、NOTEにしろって言っているようなものです。
つまり脚本の段階から上映するのは不可能だったということ
それで詳しく理由を聞いてまとめてみると
①もしかしたら生徒の中には心のケアが必要な子がいて、そういう子が見てしまうとこの映画に引っ張られて自殺してしまうかも知れないから。
②公共機関で上映するには過激だから
と、まぁ確かに①は無くはないかも知れないけれど。仮にあの場で”自殺サークル"を流しても誰も死ななかったでしょうし、会場でずっと"暗い日曜日"を流したって、"3回見たら死ぬ絵"を壁中に貼り付けたって誰も死ななかったと思います。
これはジョーカーを見たらジョーカーになるから、ジョーカーを見せるな!と同じことを言っているかと思います。
②は確かに学校の行事の一環として公共機関で首吊のシーンを上映するのは確かに不適切かもしれません。でも、この作品は誰も死なないし流血表現も無いので過激かと言われると多分過激ではないです。
でも「学校行事の一環で首吊のシーンがある作品は流せない」と言われた以上もはや何も出来ることは無いので上映は辞退することになりました。
7. 上映したかったなぁ・・・
まずこの作品は誰よりも卒業していく同級生に見てもらいたかったです。うちの学校にはこども部屋おじさん、ヒッキー、そして社会に屈して自殺してしまいそうな人たちがたくさんいるので。この作品は「こうはなってしまうな!」という僕なりの同級生に向けたエールです。
あと、学年主任の先生がよく言っていた「人の話をちゃんと聞けるようにならないと騙されるぞ?」という言葉をストーリーのベースにしました。これは所謂身内ネタなので、その話をしつこいほどされていた同級生なら誰か気づいてくれた人がいたのかもしれません。
卒業生を送る会で今の自分と高校の頃の自分を対比した作品を上映することはかなり意義のあることだと思います。ただ作ってただ上映して笑いものになるようなレベルじゃなくて、意図や目的を持った作品として仕上げた自負はあるのでなおさら残念です。
結局、送る会では死んだような顔をしながら今を輝くJK達のダンスを見ていました。でもちょっと気がかりだったのは本当にパンツが見えそうな位のミニスカだったんですよね。もはやパンツは両手で数えられるくらい見えたんだけど全然嬉しくなかったです。はい
どうしてあの過激なミニスカが許されてぼかぁの映画の上映は駄目なんだ!と、ミニスカと自分の映画を天秤にかけるぼかぁがいました。決してダンスが下手とかだったわけじゃないけど、あのミニスカを許して自分の映画を許さない学校に腹が立ちました。
でもその後、「ころんば」はYoutubeにアップロードされて多くは無いけれど何人かの人に見ていただいたので制作した意義はあったと思います。
この記事は学校を一方的に悪者に仕立て上げて上映できなかった愚痴を言い続けるJKの裏垢みたいな記事じゃなくて。何も知らない高校生達が一つの映画を作ろうと思った理由、苦労したことやどんなトラブルが起こったか、上映できなかった時のぼかぁの気持ちを忘れないように書き連ねた記事です。つまりただの青春ドキュメントなんですね。上映を許してくれなかった学校に思うところはありますが、その理由にも納得していますしこれ以上文句を言うつもりもありません。
こんなところでお礼を言うのは少し場違いかもしれませんが、主演を勤めてくれたあろま君、制作を手伝ってくれた友人方、右も左も分からなかった高校生の自主映画を見てくれた視聴者の皆様、本当にありがとうございました。
8. 最後に一言
では、駄文ながらこんな記事を読んでくれてありがとうございます。
最後に学校に一言申し上げます。
ぼかあ死んでも映画監督になってやるからな!!!上映しなかったこと後悔させてやる!!!
痛いですね。
御清覧ありがとうございました