舞台『はら、はらり』江戸衣装のお話。〜八兵衛編〜
前回が佳の江でしたので、そうなりましたら今回はやはり八兵衛でしょう♪
八兵衛の衣装はですね、決めていく過程の色々なコマコマが楽しかったです✨
ではでは行きましょう♪
まずは❣️小泉美都さんの衣装プランスケッチ❣️
遊郭の使用人、八兵衛。
スケッチでは白襟白足袋となっていますが、このすぐ後に黒襟裸足へプラン変更となり、ヴィジュアル撮影を迎えています。
意気込み動画は、そのヴィジュアル撮影の日に撮影したもの。
オンライン読み合せで顔と声は知っていたものの、実際に会うのはその日が初めてだった人が殆どなので、こうして奮闘記を綴りながら意気込み動画を見返してみると、とても懐かしく感慨深いです。
奇跡の“桐箪笥さんシリーズ”
八兵衛の衣装を語る前に、ちょっとお喋りしたいお話。
着物を普段から着ていると「貰ってくれないか」と言う相談をよく受けるんですね。
で。このヴィジュアル撮影の直前にも、昔の友人から彼氏さんのお祖母さんの着物を貰ってくれないかと相談を受けていて、2日前にウキウキと見せてもらいにいっていたのです。あわよくば、衣装に使えるお着物もあったらいいな♪なんて思いながら。。。
すると。
話の感じでダンボール箱2、3個分くらいかと思っていた予想を遥かに上回って、ドドーンと桐箪笥2竿分のお着物が待ち受けていました👀
私が要らないものは捨てちゃうから自由に持っていって、全部でもいいよ、と言われたものの、、、何せ量が。。。私の家に収まりきる量じゃありません。
でも、見るからにすごく上質なお着物たち。
触れた指先が悦んでいる気がする程に上質な糸をふんだんに使っていることがわかる着物地。今じゃもう作れないんじゃないかとすら思える凝った地紋や八掛。。。
数時間かけてすべてのお着物を見せてもらいながら、飽きもせず延々と感嘆と歓声を上げ続けていました🤣
で。本当は全部全部連れて帰りたいところを泣く泣く30枚ほど選んで連れて帰ってきた子たちが、この『はら、はらり』の衣装でも大活躍してくれています(そうそう。先に紹介したセーラたんの清花の帯締めもこの桐箪笥さんシリーズの一員)。
※その後、私の大騒ぎが功を奏してくれたのか、私が連れ帰れなかった子たちも捨てない方向で手配を進めてくれることになったと聞き、とても嬉しかったです。
そして。
八兵衛の衣装は、撫子の椎名くん、牡丹の米澤くんともに、この桐箪笥さんシリーズのお着物。
ん❓って思った方は鋭いですよ♪
そう❣️2人の八兵衛のお着物、元々は女物のお着物なのです👀
女着物を男着物に流用しちゃう
女着物は身八つ口が開いているので、それを縫い止めて男着物として使用しました。
女性はお端折りと言って裾を腰のところでたくし上げる着付けをするのに対して、男性は対丈と言ってそのままの丈で着る着付け。
昔の女性は今よりも背が低い方が多いので、今の男性が対丈で着れちゃえなくない、ということはまま起こり得るのですが、
それにしても、椎名くんも米澤くんも丈がぴったり。
もともと八兵衛の着物は、女物を流用しようとは思っていたのです。
なぜなら、今市場にある男性着物は、ほぼほぼ無地(に見えるもの)ばかりだから。
無地のお着物って、結構フォーマルな印象になりやすいのです。まぁ今売られている男性着物の殆どはある程度そんなシーンを想定しているからだろうと思うので、当然と言えば当然です。
八兵衛は遊郭の油差し、使用人なので、もっと気軽な感じにしたかったのですが、そうするとほんとの浴衣になっちゃう。それだと流石にちょっと軽装になりすぎちゃうし。
で。また衣装プランスケッチを描いてくださった美都さんからは、「スケッチの色合いをできるだけ遵守してほしい」と指示をうけていました。
桐箪笥さんシリーズの元の持ち主であるお祖母様はどうやら緑と紫がお好きだったようで、お着物を見せていただきながらめちゃくちゃ八兵衛アンテナが立ってました🤣
で。ぴったりな柄があるんですもん。しかもそのタイミングといい、サイズ合っちゃう感じといい、、、なんか奇跡めいてるって思っちゃうんですよねσ)>ω<*)
ヴィジュアル撮影の日のヨネちゃん裏話
ちょっとした裏話。
米澤くんがヴィジュアル撮影の会場に現れた時、「?」マークが浮かびました。
だってね。
顔の輪郭が❗️写真でイメージしてたのと違うんだもん❗️
そしたらね、
米澤くんが以前観た時代物作品で使用人の役をやっていた俳優さんが恰幅のいい方だったらしく、だから体重増やしたって言うんです❗️
すごいなぁって思いました。
で。衣装サイドではなにが起こったかと言うと、
用意してた着物が、ちっちゃくて入らない❗️
🤣🤣🤣
一瞬ざわつきつつ、桐箪笥さんシリーズから持ってきた着物がサイズが大丈夫だったので、ことなきを得ました🤣
ふたりの八兵衛
八兵衛の衣装にと用意した2枚の着物の割振りは、どっちの着物もどっちにも似合う感じがしていたので結構迷いました。
でも結果的にこの割振りがやっぱりベストだったと思っています♪
撫子の“かのはち”のリード側は、八兵衛。佳の江の、優しくて優しいが故に揺らいでしまう部分をそっと支えてあげている。
とはいえ身分的立場としては八兵衛の方がだいぶ下。
この写真は稽古場で位の順に並んでみたときのもの。
としたら、
リードを取ってくれる八兵衛がより純朴な人に見えた方が、
相愛カップルとして応援したくなるなと思いまして、素朴な縞柄の着物に。
そしてこのはっきりした縞柄が、身分は低くても芯の強い椎名くんの八兵衛と、よりリンクしてくれたように思います。
かたや牡丹はと言うと、、、
この“かのはち”は、まなみんの佳の江の方がリード側なんですよね♪
佳の江が二番手としての矜持を持った上で、八兵衛と同じ場所に立っている。八兵衛はもう何にもしなくてもそのまま素朴でちょっとおドジで。
(これもまたちょこっとウラ話。集中稽古場の空き時間にヨネちゃんがあのツライ台詞を練習してましてね、もう全然心からの言葉に聞こえないんですよ、それがそのまんま切なくて、そのまんま八兵衛だなぁって思いながら聴いてました)
としたら、二番手花魁の想い人として
ちょっとくらいは背伸びしてもいいじゃないかと思いまして、
少しデザイン性のある柄の着物を割振りました。
八兵衛の小道具たち
衣装サイドからは、使用人のモチーフとしてたすきを用意していました。ヴィジュアル撮影のときには白たすきだったのを、衣装プランの美都さんから要望を貰って柄ものに。
ちなみに本番前のスピンオフ作品上演イベント【逢瀬の巻】の楽屋では、まなみんのたぬきが八兵衛のたすきで吊るされる(いちおブランコ方式なんですけどね)という事件が起きてました。
犯人はパラレル高尾です(つまり私)🤣
要らぬ話を失礼しましたm(。>__<。)m
たすき以外にも、椎名くんがいっぱい提案してくれて、八兵衛の衣装はいっぱいブラッシュアップされました。
ヴィジュアル撮影では黒襟の襦袢を着ていたものの、シーンによっては尻端折りをしたいと提案してもらったので、
襦袢を無しにして、浴衣着の下に股引きを履くことに。それによってより身分の差が顕著になりました。
衣装プランの美都さんからは「股引きが新品感のある真っ白にならないように」と汚しの指示をもらい、椎名くん、それもかなり拘ってくれました✨(その話をされたときの状況がすごく面白かったんだけど、文字だとうまく伝えられないから諦める🤣)
小道具として手ぬぐいを使いたいというのも椎名くんの提案。
こちらは場当たりの写真。
白黒で3面に分かれたエリアを土間と板間として使用したシーンでは、その空間ルールを手ぬぐいのお芝居でしっかりと提示してくれていて、根来さんの舞台美術ファンの私はもう、めちゃくちゃ痺れてました。
こういう細かいお芝居、ホント好き((o(*>ω<*)o))
観に来てくれた私のお着物友達は、椎名くんのたすきと尻端折り芝居を絶賛してました✨「あの所作でパッと仕事シーンに切り替わってく感じが着物好きとしてすごく気持ちよかった❣️」って。
ね〜💖この視点にめっちゃいいねボタン押したい💖着物好き万歳💖
私自身はそのお芝居、見えないとこにいるから見てないんですよ、だから配信で観るのが楽しみ((o(*>ω<*)o))
ここまで読んでくださった皆さま、ありがとう❣️
演劇の神様っているんだねって言いたくなっちゃうエピソードが、この作品にはいっぱい起こりました。
もはや演劇というジャンルも飛び越えてるよねってくらい。
神様、サプライズをいっぱいありがとう❣️
桐箪笥さんシリーズのアイテムはこの先、別キャストのお話にもちょこちょこ出てきます。本当に大活躍してくれました。
2021年1月31日までは配信のアーカイブが視聴できますし、DVDも販売しています。もしよかったらぜひご覧ください✨
撫子牡丹の見比べも(全然違うので)オススメです。
お申込みはこちらのオンラインショップからどうぞ❣️
あ。公演オリジナルグッズの販売も始まるそうですよ。
覗いてみてね✨
さてさて。お次は誰を語ろうかな〜♪
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