見出し画像

【SIREN考察】『SIREN』が因果を成立させる話ならば『SIREN2』は因果を崩壊させる話かもしれない

※ネタバレを多く含みますのでご注意ください。

※この考察は、考察というよりは仮説に仮説を重ねた、もはや妄想です。そのつもりでお読みください。

SIRENとは?

プレイステーション2で販売されたホラーゲーム。2003年11月6日発売。

他人の視界を覗き見る「視界ジャック」という能力を駆使し、屍人と呼ばれる敵から逃れつつ戦うステルスアクション。

2006年2月には続編の『SIREN2』、2008年7月には第3作『SIREN:New Translation』が発売されたほか、2006年にはメディアミックスとして、映画化もされています。

『SIREN』は因果を成立させる話

『SIREN』の舞台である羽生蛇村の呪いが『因果を成立させるため』という説はこれまで何度も紹介してきました。簡単に説明すると、1300年続く羽生蛇村の呪いはすべて2003年8月5日23時に須田恭也が堕辰子の首を落とすためであり、これによりさまざまな因果が成立する、堕辰子の首を落とせないと因果が成立しないため、首を落とせない事態に陥った場合は時間が戻って何度でもやり直しさせられる、というものです。

詳しくは以前投稿した記事をお読みください。

これに対し、『SIREN2』は完全に逆、『因果を崩壊させる話』であるかもしれません。

『SIREN2』は因果を崩壊させる話

太古の昔、地上は闇に包まれており、そこは『闇の住人』とでも呼ぶべき存在が支配していました。しかし、光の洪水が起こったことで、この闇の住人は地下世界(虚無の世界、あるいは冥府とも呼ばれます)へと追いやられてしまいます。闇の住人は地下世界で永遠とも思える永い時を過ごし、やがてひとつの集合体となります。それが、SIREN2のボスである母胎です。

母胎は地下世界から地上への帰還を夢見続け、2003年8月3日、ついに、地上世界を奪還するべく侵攻しはじめます。

この母胎の行為は、彼女が眠っていた虚無の世界のルールに反する行為だったため、その反動でいくつもの並行世界が生まれることとなりました。『SIREN2』の終了条件1と2の違いで異なる世界が生まれるのはこのためです。

こうして『SIREN2』では無限に並行世界が生まれていくわけですが、公式解析本である『SIREN2 MANACS』には、「並行世界の氾濫を粛正するために”相反する力”が現れる世界もある」と書かれてあり、そこに、前作『SIREN』の主人公である須田恭也が焔薙を振りかざす画像が掲載されています。

このことから考察すると、『SIREN2』の隠しステージに登場して闇人を殲滅していく恭也は、無限に増殖する並行世界を粛正する使命を与えられていると考えられます。

参考記事です。

もちろん、全ての世界を粛正すると無の世界となってしまいますので、どこかの世界は残さないといけません。

では、恭也が世界を殲滅し続けた結果、残るのはいったいどの世界なのでしょうか?

夜見島という無限の箱を開ける『観測者』

羽生蛇村に呪いをかけた『神よりも上位の者』と、闇の住人を地上世界から追い払った『光の洪水を起こした者』は同一の存在であり、これこそが羽生蛇村と夜見島を観測し続ける『観測者』の正体ではないか、という説は以前披露しました。羽生蛇村の呪いのよって宇理炎と焔薙を使えるようになった恭也が夜見島に現れて屍人を殲滅していることや、唯一の生存者である四方田春海の現世への帰還がバタフライ・エフェクトとなって夜見島で母胎と堕慧児を倒すことへ繋がっている点から、そう推察することができます。

参考記事です。

『観測者』が堕辰子や母胎・堕慧児ら闇の住人と敵対する存在であり、恭也を使って無限に増殖する並行世界を粛正しているのであれば、優先して粛正するのは、闇の住人どもが生き残っている世界でしょう。そして、最終的に残る世界は闇の住人どもが存在しない世界のはずです。

そこで思い当たるのが、『SIREN2』の重要人物の1人である(最重要人物と言っても過言ではありません)阿部倉司が最後に飛ばされた『失われた世界』です。

阿部が飛ばされた世界は、母胎や堕慧児ら闇の住人どもが元々存在しない世界です。『観測者』が世界をひとつだけ残すとしたら、この世界以外にはないように思います。

そして、阿部が飛ばされた世界は、『因果が崩壊した世界』とも言えます。

阿部が夜見島を訪れたのは、恋人である多河柳子の死の原因を探るためです。しかし、闇の住人どもが存在しない世界では柳子が死ぬ理由も無くなり、それ以前に阿部と柳子が出会うこともなければ恋人となることもないので、阿部が夜見島を訪れる理由が無くなってしまいます。因果が崩壊しているのです。

また、そもそも並行世界が生まれたのは、母胎が虚無の世界のルールに反したからです。ですが、この世界ではもともと闇の住人は存在しないのですから、この世界が生まれる理由もなくなってしまいます。これも、因果が崩壊しています。

以上のことから、『SIREN2』は因果を崩壊させて闇の住人の存在しない世界を作る話だと推察できるのです。

羽生蛇村の呪いとはなんだったのか

『SIREN』が因果を成立させる話で『SIREN2』が因果を崩壊させる話だとしたら、ひとつ大きな疑問が湧いてきます。

なぜ羽生蛇村は1300年ものあいだ何度も何度もやり直しをしてまで因果を成立させなければならなかったのでしょうか?

『因果の成立』の記事では「因果が成立しないと世界が破綻してしまうのかもしれない」と推測しましたが、『SIREN2』では、逆に因果を崩壊させています。因果が成立しなくても問題ないのならば、1300年にも及ぶ羽生蛇村の呪いは意味がなかったのでは? という、恐ろしい疑惑が湧きあがるのです。

それではあまりにも救いがないので、羽生蛇村の呪いには因果を成立させる以外の目的があった、と考える必要が出てきます。

そうなると気になるのは、羽生蛇村の異界からの唯一の生還者である春海と、一連の呪いの果てに生み出されたいわゆる異界ジェノサイダーの恭也の存在です。

春海の生還は巡り巡って夜見島で母胎と堕慧児を倒すことへ繋がっていますし、恭也は闇の住人が生き残った世界を粛正し続けています。どちらも闇の住人どもを倒すために一役も二役も買っているのです。

つまり、羽生蛇村の呪いは世界から闇の住人どもを一掃させるため準備段階だった可能性が見えてくるのです。

春海の起こしたバタフライエフェクトが夜見島で母胎と堕慧児を倒し、無限に増殖する並行世界を恭也が粛正して行けば、結果的に残るのは、元から闇の住人が存在しない世界です。闇の住人と敵対する『観測者』としては、最も望ましい展開であるといえるでしょう。これこそが『観測者』目的だった可能性が考えられるワケです。

この考察の先にあるもの

とはいえ、いくら世界から闇の住人を一掃するためとはいえ、そのために呪いの犠牲になった羽生蛇村の人たちは気の毒なように思えます。

しかし、実はこれ、考察を進めていくと、結果的に羽生蛇村を救うことに繋がるかもしれないのです。

その考察はまた次回。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?