幸運な僕と不運な私
さっそくだけど、私の名前は"菅原咲月"!
近所の高校に通う、ピッチピッチの女子高校生…いわゆるJKです!
ということで今日は、そんなJKである私の日常を、お送りしたいと思うんですが…
驚かないでくださいね笑
朝
登校中
通学路にある交差点の前
咲月: ハァハァ…ハァハァ…
この信号待ちの時間が、何気に神過ぎる…
すみません、皆さん。
いきなり、こんな変なところから始まって…
どういう状況か、全然掴めないですよね。
大丈夫です、ちゃんと説明しますから…
って、ヤバい、青になっちゃう。
咲月: ふぅ…ふぅ…
カッコー
ま、また走らなきゃ!
咲月: もう走るのヤダ〜
さぁ、本体の私が頑張って走っている間に、こういう物語で、都合良く出てくる実況者と言いましょうか…心の内で設定や状況をものすごい喋ってくれる、あのありがたい存在である私が、今の状況を説明しましょう!
この物語の主人公である菅原咲月は、高校1年生で、まだ入学したばっかりなんですが…
なんと、今日は遅刻しかけてるんです!
私は、別に高校デビューを不良キャラで飾りたい訳でもないし、一応、真面目な優等生キャラでいきたいから、遅刻は絶対にしたくないんですけど…
まさか、目覚まし時計がぶっ壊れてた上に、お母さんも用事で出かけてるなんて、思わないでしょ!
なんとな〜く、目を覚ましてみたら、8時10分で、もう目ん玉飛び出るんじゃないかってぐらい驚いた後、冷や汗ダラダラで、シャワーに入ろっかなとか思ったけど、冷静になったら、全くそんな余裕なくて笑
ほんと、笑うしかないですよね。
笑いながら、顔洗って、テーブルに置いてあった朝ご飯を食べて、着替えて、色々やって、家を出ましたよ。
そして今は、朝礼が始まる8時40分に遅刻しないように、全力疾走中って感じです。
咲月: あと5分!ギリギリ行ける!かな?!
だって笑
あと5分、その走るペースを崩さなければ、ギリギリ遅刻せずに済むんだって笑
冷静かつ客観的に考えられる私からすれば、体力が皆無に近い私が、そんなことできるわけないのに…
まぁ、意外と主人公補正で、どうにかなっちゃうんですけどね。
ほら、お得意の時間ワープ。
5分後…
咲月: 正門!見えた!ハァハァ…
良かったね〜本体の私。
なんとか、遅刻せずに済みそう……いや、そうはならないと予想します。
咲月: やった〜〜あっ…
ズサーーー
咲月: …
先生: き、君、大丈夫?!
やっぱり笑
どうやら、正門に立っていた先生が焦るほど、豪快に本体の私は転んでしまったみたいです。
偶然、正門の前に落ちていた紙の上に
偶然、足を乗せ
偶然、その紙が地面を滑り
偶然、私の足もそれに運ばれて…
咲月: いててて…
先生: なんでこんなところに紙が…
追加で、偶然、その紙に先生も気づいてなかったみたいです笑
先生: とにかく、保健室に行こうか。擦りむいてるみたいだし。
咲月: は、はい…
と、まぁ、こんな感じで遅刻はしないで済んだものの、転んで怪我をして、朝礼には間に合わず、クラスで変な目立ち方をしてしまった、本体の私でした。
あ、あと、言い忘れてたんですけど、もうみんなお気づきのように、私は…
ものすごい不運体質です!
教室
ガラガラ!!
咲月: すみません!遅れました!
担任: あ、うん。聞いてるよ。大変だったね。
咲月: は、はい!
担任: 笑、遅刻にはしないから安心して。
咲月: ありがとうございます!
○○: …
菅原さん…意外と元気な人なんだな〜
足、怪我したみたいだけど。
それと、遅刻にはしないって言われた時の、あの喜びよう笑
可愛い。
あ、申し遅れました、僕は"福富○○"と言います。
この物語の主人公?なのかな。
…え?もう主人公は紹介された?
う〜ん、でも…神様から僕が主人公だって啓示があったんだけどな…
まぁ良いや。
今日は、僕の日常の一部を紹介しないといけないらしいので、紹介したいと思います。
授業中
先生: じゃあ次、△△。次の棒線の意味は?
ちなみに、△△は、僕の前の席の男子で友達です。
△△: はい。えーっと…意志だと思います。
先生: なぜ?
△△: 主語が一人称だからです。
先生: うん…まぁ、良いだろう。正解だ。じゃあ、次は…
キンコンカンコーン
先生: あ、チャイムがなったので、今日はここまで。来週の分の予習をしっかりとしておくように。では、学級委員、号令。
学級委員: 起立、礼。
「ありがとうございました。」
先生: はい。
ガラガラ
○○: 笑、やった。
△△: ほんとズリぃな、○○笑
○○: ズルいって、別に僕は何もしてないし。たまたまだよ。
△△: 今日も、当てられずに済みやがって。
○○: なんでだろうね笑
昼休み
○○: これ、お願いします。
購買店員: はーい…って、おめでとう!
○○: え?
購買店員: 君が買ったそのパン。なんと、今年入って100個目に選ばれたパンなんだよ。
○○: えっと…つまり、この僕が持ってきたパンが、今年入って100個目に買われるパンってことですか?
購買店員: そういうこと!
○○: な、なるほど…
購買でパンが100個目って、そんなに盛り上がることなのか?
購買店員: ってことで、それタダで良いよ。
○○: マジすか?!
購買店員: もちろん。記念だからね〜
○○: じゃ、じゃあ、この他のパン達は…
購買店員: 笑、しょうがない。良いよ、持っていきな!
○○: ありがとうございます!!
購買店員: これからもたくさん、買っていきなよ〜
やった!!
ラッキー!!
教室に戻って、早速このラッキーなパン達を食べねば…
ズサーーー
ん?なんか、今、ものすごい音が…
咲月: あぁ、やっちゃった…
…後ろの方で菅原さんが地面に倒れて…いや、転けたのか。
それに…
咲月: はっ!!私のパンが!!
ついさっき買ったであろうパンが、下敷きになって潰れちゃってる。
なんと不運な…
咲月: せっかく、無事に買えたのに…
よし。
○○: あの、菅原さん。
咲月: ん?あ、福富君…だっけ?
○○: うん笑。これ、あげるよ。
咲月: え?
○○: このパン、すごいラッキーなパンだからさ笑
咲月: あ、ありがとう…
○○: じゃ、気をつけてね〜
…
笑、我ながら良い感じだったのでは。
何故か、
偶然、菅原さんが転けたところに遭遇して
偶然、周りに人がいなくて
偶然、ラッキーなパンを持ってて。
まぁ、何より、可愛い菅原さんの力になれたみたいで、良かった。
あ、言い忘れてたんですけど、僕は…
ものすごい幸運体質…みたいです。
放課後
○○: …喉乾いたし、なんか買ってくか。
ということで、通学路の途中にある自動販売機で、ジュースを買うことにします。
ガタンガタン
○○: ん?……2本ある…
幸運なことに、1本のジュースを買ったはずなのに、出てきたのは2本でした。
ほんと今日も、ラッキーだな笑
咲月: 家帰ったら、何しようかな〜
グチャ
咲月: あ、なんか嫌な予感……うわぁ…マジか。またお母さんに怒られる…
はい、いつも通り、靴の裏にガムが引っ付きました。
咲月: よいしょ…っと。うん、カスが残った。これは、お説教案件だ。覚悟しとこ…
バンッ!
咲月: イタッ!!
次は、またまたいつも通り…いや、いつもよりは優しかったけど、頭にボールが飛んできました。
男の子: す、すみません!
咲月: い、良いよ、良いよ。はい、どうぞ。
男の子: ありがとうございます!
小学…低学年かな。
元気いっぱいだ。
咲月: ふぅ…
早く帰ろ。
と、隣の公園から、正面に顔を向けると、なんと…
○○: 大丈夫?笑
咲月: ふ、福富君?!
私の救世主である福富君がいました。
○○: 頭に当たったみたいだけど…
咲月: ///だ、大丈夫!
み、見られてた!!
○○: そっか、それなら良かった。じゃ…
咲月: あ、ちょっと待って!
○○: ん?
咲月: お昼、パンをくれてありがとう!
○○: あぁ。いえいえ笑
咲月: マジで、あれがなかったら私、お腹が空き過ぎて、どうにかなってた!
○○: 笑、そんなに?
咲月: うん!
○○: じゃあ、菅原さんの助けになれたようで、良かったよ。
咲月: 助けどころじゃなくて、救世主だよ!
○○: そっか笑。嬉しいな。
咲月: うん。
○○: …あ、じゃあ僕は…もう行くね。
咲月: うん。また明日。
そうして、福富君は歩き始めました。
それに続いて、私も歩き始めて…
あ、福富君もこっちに曲がるんだ。
あれ?ここも右?
この横断歩道を渡るの?
まっすぐそのまま…
咲月: って、帰り道一緒じゃん!
○○: え?菅原さん?!
咲月: あ…
思わず叫んでしまったことで、少し先を歩いていた福富君が、こちらに気づきました。
咲月: えっと…帰り道が一緒みたいで笑
○○: そ、そうだったんだ…
咲月: あの…その……一緒に帰る?
○○: っ!!…よろしくお願いします。
咲月: 笑、かしこまり過ぎでしょ。行こう!
○○: うん笑
こうして私は、福富君の隣を歩き…
咲月: また、学校でね笑
○○: うん。また明日。
家に近いところの分かれ道で、福富君と別れました。
その瞬間…
バンッ!
咲月: Oh…
正面から飛んできたボールに反応できず、顔面にクリーンヒットしちゃいました。
咲月: 本日2度目のボール……えっと、これ、誰のボールだろう?
女の子: あ!お姉さん!それ、私のボール!
咲月: そうなんだ。はい、どうぞ笑
女の子: ありがとう!
咲月: うん笑
はぁ〜なんか、さっきまで福富君と一緒だったせいか、忘れてたけど、私ってこんな感じだったわ笑
…あれ?
なんで、今さっきまでは、何も起こらなかったんだろう…
いつもなら、もう1個ぐらいガム踏むし、下手したらアレも踏むことあるし……
福富君と一緒だったからかな?
もしかして、福富君は、私の不運体質を消してくれる運命の存在?!
…笑、妄想し過ぎかな。
10年後…
○○: 今思い返せば、僕達が初めて一緒に帰ったのって、こんな感じだったか笑
咲月: うん笑
○○: 当時は気づかなかったけど、確かにいつもならお金が落ちてたりしたのに、咲月が一緒の時は、そういうのなかったな。
咲月: へぇ〜ってか、○○は、私のこと可愛いって思ってたんだ笑
○○: 笑、まぁね。元気が良くて、美人で、可愛い子だって思ってたよ。
咲月: ふ〜ん笑……なんか、ごめんね。
○○: え?
咲月: いや、○○はさ、幸運体質だったのに、私と一緒にいることで、それが無くなったじゃん。だから…
○○: 何言ってんの笑。逆に、咲月の不運体質も無くなったんだから、僕的には良いの。
咲月: …
○○: それに…僕にとっては、咲月が一緒にいてくれることが、幸運なことなんだから。
咲月: /////ば、バカ!いきなりそんなこと言わないで!!
そんなイチャつく2人の薬指には、綺麗な指輪が光っていた。
ちなみに、この2人が引くおみくじは、毎回同じなようで…
○○ 咲月: また小吉じゃん!笑
End