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強すぎるよ!蘭世先輩!



とある学校のとある旧校舎。


その中のとある教室に向かって、僕は窓から差し込む夕陽の光を浴びながら、歩く。





ピロン





○○: おっ……





携帯が鳴らす通知音。


それを聞いて、届いたメッセージを確認すると、僕の表情は綻んだ。




歩く足を早める。




綺麗に掃除はされているが、老朽化が着実に進み、ギシギシと軋む板張りの床を踏んで、来賓が通るわけでもなければ、学生が頻繁に通ることもないのに、無駄に花瓶や絵などの装飾品が置かれた廊下。



初めてここを通った2ヶ月前は、この装飾品を倒さないようにと、ヒヤヒヤしながら歩いたものだが、今となっては、間をすすすすっと、通り抜けて行ける。




そして、廊下の最奥にある教室が見えてくる。



学校内の敷地にはあるものの、僕達が普段、授業を受けたり昼食を食べたりする校舎とは、少し離れた場所にある旧校舎。


さらに、旧校舎の入口から最も離れた教室。




その目の前に僕は立ち、扉に手をかける。





ガラガラ





別に建付けが悪いわけでもないし、ものすごく古ぼけているわけでもないのだが、大きな音が鳴る扉を開き、部屋の中に入ると、いつも通りの景色が目に入ってくる。



元は教室として使われていたため広くはあるが、長らく倉庫としての役割を果たしており、その半分を大量の机と椅子、さらに不要になったか、壊れた本棚やホワイトボード等に埋め尽くされた部屋。


東向きに設置された窓から、優しいオレンジ色の光に背面を照らされ、縫われた跡のあるソファ。


ずっと消されていない、可愛らしいカエルの絵が描かれた黒板。


その向かい側にある、ごちゃごちゃとした後方と、すっきりとした前方を、区切るように並べられた本棚と、そこに隙間を残しながら入れられた本。



そして、教室の前方、黒板の前、本棚の前、ソファの前、扉を開けた僕の前。


その中央にある机に並ぶ、4つの椅子のうちの1つに座り、机に肘をついて、両手で持った携帯の画面を、人差し指でタップしている女子生徒。





○○: お疲れ様です。



??: ん、おつかれ。





画面から目を離すことなく、少し口角の上がっている女子生徒の軽い返しを受けつつ、僕は荷物を本棚の前に置いて、自分の椅子に座る。





○○: 今日は蘭世先輩だけですか?





斜め前に座る女子生徒…この部室の主で、僕が所属する部活の長である"寺田蘭世"先輩にそう尋ねると、蘭世先輩は、片方の手に顎を置き、こちらに顔を向けて答えた。





蘭世: うん。みんな用事だって。



○○: なるほど。ということは、先輩は暇を持て余してたんですね。



蘭世: まぁね笑





と、笑いつつ、視線を携帯の画面に戻し、今度は人差し指で画面をなぞり始めた。



それを見て、僕は何気に気になっていることを、蘭世先輩に聞いてみる。





○○: ちなみに、前から気になってたんですけど。



蘭世: うん。



○○: 先輩って、いつも何のゲームをしてるんですか?





暇になると、携帯を触り出す蘭世先輩。


指の動きからして、おそらくSNSや動画の類ではないと思うから、何かしらのゲームをやってるんだろう。



現代の若者だと、特段珍しいことでもなく、当然のことなのだが、"あの"蘭世先輩がやっているゲーム。



めちゃくちゃ気になる。





蘭世: 今やってるやつ?



○○: はい。





お、意外とすんなり答えてくれるんだ。


そういうのって、答えるのを渋る人が多いような気がするけど。



じゃあ、もっと早く聞いとけばよかった。





蘭世: う〜ん、説明が難しいなぁ。まぁ、たくさん出てくるモンスターを、とにかく倒しまくるゲームだよ。



○○: へ、へぇ〜……物騒なゲームですね。



蘭世: そう?笑。楽しいよ。





また、画面から目を離すことはないが、口角を上げて笑った蘭世先輩。



やっぱ、そういう系のゲームだよな。


たくさんの敵を、どんどん倒しまくる系の。





○○: そうなんですね。





と、そんなゲームを楽しんでいる蘭世先輩には悪いけど、僕達には、やらなければならない仕事が入ってるからな。



携帯の横から見える、蘭世先輩の綺麗な顔……うん、まるでハーフのような整っている顔が、楽しそうな表情を浮かべているのを見つつ、僕は携帯の画面を開く。





○○: でも、先輩。仕事が来てます。



蘭世: おっと、マジか。



○○: しかも、あと10分後に1-Cの教室で待ってます、とのことなので、時間もないです。





先程も読んだ、メッセージの内容を見て言う。





蘭世: OK〜ちょいとお待ちを〜〜中断っと。で、どんな内容かね、"榊○○"君や。



○○: 笑、どういう口調ですか。



蘭世: 気分だよ〜





携帯を机の上に伏せて置き、身を乗り出してきた蘭世先輩に、僕は携帯の画面を見せる。





蘭世: ふ〜ん。なるほど、なるほど。



○○: 早速、行きます?



蘭世: うん。ただの気の所為だとは思うけど、仕事が来たからには、ちゃんと解決してあげないと。





そう言って、蘭世先輩は椅子から立ち上がり、携帯をポケットに入れた。





○○: ですね。早く1-Cに向かいましょう。





目的地までに少し距離があるのと、時間まで残り10分を切っているということで、部室を後にした僕と蘭世先輩は、早歩きで1-C教室に向かった。







新校舎


1-C教室





ガラガラ





蘭世: 君達が、私達に連絡をくれた子達かな?



○○: こんにちは。



女子生徒1: こ、こんにちは…



女子生徒2: こんにちは!





メッセージに書かれていた教室に入ると、そこには2人組の女子生徒がいて、僕と蘭世先輩が挨拶をすると、女子生徒1は、視線を下に逸らしながら、震えた声で答え、その隣に立つ女子生徒2は、前を向いて答えた。



俯いている子が、連絡をくれた本人で、その隣で背中をさすってあげている子は、その付き添いの子だろうと考えつつ、僕と蘭世先輩は、椅子に座り、2人と向き合う。





蘭世: えっと、改めて話を聞いて良いかな?





暖かい朱色の光が差し込む教室。



未だに俯いている女子生徒1の方を見て、蘭世先輩は聞いた。





女子生徒1: ………


女子生徒2: …あの、私から良いですか?





蘭世先輩の頷きを確認して、ずっと何かに怯えているようで、膝の上の手を握り、口をぎゅっと結んでいる女子生徒1に代わり、女子生徒2が話し始める。





女子生徒2: つい1週間ほど前からなんですけど、この子が常に私のそばについてくるようになって。あ、別に、仲良いので、それ自体はおかしいとは思いませんでした。



蘭世: 常にっていうのは、ほんとに常に?



女子生徒2: はい。朝の登校も、この子から連絡があり、私が家まで迎えに行って、一緒に学校に行き、学校だと休み時間も御手洗も一緒。帰りもこの子の家まで送って、って感じで、とにかくこの子は、1人になろうとしないんです。



蘭世: ほぉ……





顎に手を当てて、蘭世先輩は女子生徒1を眺める。




にしても、常に一緒とは。


朝に家まで迎えに来て、っていう頼みも受け入れて、帰りも送るなんて、この2人は相当に仲が良いみたいだな。





女子生徒2: でも、ずっと不安そうに周りを見てたり、手が震えてたりもしてて。さすがに変だと思ったので、事情を聞いたんです。そしたら「1人になった途端に、悪寒がし始め、近づいてくる足音がする」らしくて。



蘭世: 足音ねぇ……





次は、腕を組み、背もたれに体を預けつつ、訝しげに女子生徒1を見る蘭世先輩。





○○: …その、足音っていうのは、君だけにしか、聞こえてない感じ?





隣の蘭世先輩をチラッと見つつ、僕は女子生徒1の方に体を向けて、聞いてみる。



すると、女子生徒2が不安そうに見守る中、女子生徒1が震えた声で答えた。





女子生徒1: そう…です。家にいる時も…1人でいると…ゾワゾワし始めて。遠くから…足音が…近づいてくるんです。



蘭世: ふ〜む……



女子生徒2: だから、この子はお母さんに頼んで、同じ部屋で寝ているみたいで。



○○: ということは、親御さんは君の事情を知っている、と?



女子生徒1: …伝えはしたんですけど……気の所為だって…でも…本当なんです…





ようやく顔を上げた女子生徒1は、怯えた瞳で僕達に、そう訴えかけてきた。




まぁ、この様子からして、嘘ってことはないだろう。



蘭世先輩は、未だに疑ってるみたいだけど。





蘭世: う〜ん……





いつも通りね。




じゃあ……



怖いけど、やってもらいますか。




蘭世先輩に。





○○: 事情は分かりました。では、申し訳ないですけど、足音の主を呼び出しましょう。



女子生徒2: え、どうやってですか?





驚いたように、女子生徒2が目を向ける。





○○: それはもちろん……君に我慢してもらいます。



女子生徒1: っ!



女子生徒2: …っまさか、わざと1人にならせて…



○○: そうです。君が1人になり、足音の主をおびき寄せます。



女子生徒1: そ、それは………ブルブル





恐怖の色に瞳が染まった女子生徒1は、体を震わせ始める。





女子生徒2: 大丈夫?!ちょっと、それはあまりにも…



○○: 本当に申し訳ないです。でも、僕達……いや、この蘭世先輩の前に、ソイツを出せさえすれば、どうにかなるので。





女子生徒1を落ち着かせようと、肩に手を回す女子生徒2と、僕の視線が交差する。





女子生徒2: ………どうしたい?





怯えと共に、悩みが表情に出ていた女子生徒1に、女子生徒2は、判断を委ね…





○○: 確実に解決してみます。僕…というよりも、蘭世先輩が。



蘭世: …ま、信じてはないけど、任せてといて。





椅子に座ったまま、そう言った蘭世先輩を見て、女子生徒1は…





女子生徒1: …お願いします。





僕と蘭世先輩の案に乗ってくれたのだった。









5分後





女子生徒1: ………





窓から段々と弱まっている、茜色の光に照らされる机が並ぶ教室で、廊下に出た○○達に言われた通り、女子生徒1は目をぎゅっと瞑ったまま、立っていた。





女子生徒1: …(怖いだろうから、目を瞑って良いって言ってたけど………1人なんだもんね、今…………怖い……)





少し湿ってきた手をさらに強く握る。



すると…






ペタ……






女子生徒1: っ!!!






ペタ……






女子生徒1: …(き、来た………足音が……)





教室の窓側に立つ、女子生徒1は、何かが自分に近づいてくるような足音が聞こえ始める。




強くなる悪寒と共に、その聞こえる足音は段々と近くなっていく。






ペタ……ペタ……






ペタ……ペタ……ペタ…ペタ…






女子生徒1: …(近い……)






………






女子生徒1: えっ…(と、止まった?……)





近くまで来ていた足音が、全くしなくなる。



そして…





女子生徒1: きゃっ……(肩に……)





突然、右肩に手を置かれるような感覚と、強烈な不快感が女子生徒1を襲う。





女子生徒1: だ、誰かいるの?……





震える声で、そう尋ねた。




何も返ってこないことを信じて。











しかし、言葉は返ってきた。











蘭世: この辺?





そんな怪訝そうな声が耳に届き、真正面で手を振られたことによる風が鼻を撫でた瞬間…






女子生徒1: わっ……





自身の体を襲っていた悪寒や、不快感、右肩の重みが、全て消え去った。







1-C教室前





女子生徒2: ほんとにこれで大丈夫なの?





開いている扉から、教室の中に1人、目を瞑って立っている女子生徒1を見た後、女子生徒2は、僕の方を見てそう聞いてきた。





○○: はい。確証はないですが、あの子だけに足音が聞こえ、悪寒が襲うということは、その足音の主は恐らく、あの子にのみ、認識できる存在です。



女子生徒2: ……うん、まぁ、それは理解できるんだけど……私達、これから中に入るんだよね?それだと、その足音の主もやって来ないんじゃ…



○○: いえ。そういう特定の個人にのみ影響を及ぼし、認識される存在…いわゆる枷型の怪異というのは、逆も然りで、その特定の個人の意識にだけ、影響を受けることが多いです。





本で読んだ知識や、これまでに得た経験から引っ張り出したことを、じっと教室の中を見ている蘭世を背後に、こちらに視線を向けている女子生徒2に、小声で伝える。





女子生徒2: …え…っと?



○○: つまり、あの子が、自分は今、教室に1人だ、という意識さえ持っておけば、足音の主である怪異は、寄ってくる、ということです。



女子生徒2: ……なるほど……





と、3人で並んで、その時を待っていると、教室の中にいる女子生徒1が、さらに怯え始めた。





○○: …行きましょう。





それを確認すると同時に、僕は蘭世先輩に合図を出し、3人で慎重に、音を立てないように、教室の中に入って行く。





○○: ………





うん……



姿は見えはしないけど……





いるな。





不気味な気配が、後ろの扉から、段々とあの子に近づいて行ってる。




…そりゃ怖いよね……



だって、その怪異の気配だけでも、僕は足がちょっと震えるぐらいに怖いんだもん。



足も肩も手も震えるよね。




本当にごめんね。


でも、僕が言った通り、ちゃんと目を瞑ってくれてるからこそ、この方法が上手くいくんだ。




どうか、このままで…





○○: っ…





見えた。



やっぱり、枷型の怪異は、本人の体に触れることで、よりこっちの世界での存在感が高まるのか、僕にも姿が見えるようになる。




って、それよりも…



あの子の真横に立つ、異形の存在。


いや、異形と言っても、ギリギリ人だったものだと分かる。



膝と足先が真逆を向く右足と、引き伸ばされた左足。


腹部の大きな傷から、ズタズタの状態で垂れ下がる、内蔵らしきもの。


存在していない右腕と、女子生徒1の右肩に置かれた、捻り曲がった左手。


そして、女子生徒1の顔を覗き込んでいる、形が歪で、顔の半分は頬骨が見え、筋繊維が剥き出しと、ズタボロ状態の頭。




こっわぁ………



見るだけなら慣れてきたと言っても、やっぱり怖い…





よし。



早く、アイツを倒してもらおう。





蘭世: ……



○○: コクン





自分が、もう怖いアイツの姿を見なくて良いように、あの子の相談事を解決するために、僕は蘭世先輩の方を見て、頷いた。



すると、蘭世先輩は、女子生徒1の近くをじっと見ながら、近づいて行き…





蘭世: この辺?





体を震わせて怯えている女子生徒1の真横で立ち止まり、そう言いながら、蘭世先輩は右手を振った。




その右手は、女子生徒1の顔の前を通ると共に、怪異の頭に当たる。





別に、蘭世先輩も手を強く振ったわけではない。




それでも、蘭世先輩の右手が触れた瞬間に、怪異は勢いよく地面に頭を叩きつけ、そのすぐ後、怪異の体は跡形もなく消え去ったのだった。





女子生徒1: わっ…



蘭世: これでOK?



○○: はい。今日もお見事でした笑



蘭世: いや、適当に言ってるだけでしょ、また。





怪しむ目で、蘭世先輩は僕の方を見てくる。





○○: そんなことないです。蘭世先輩の平手により、ギリ人の形を保っていた怪異は、勢いよく頭を床に突撃させて、消滅しましたよ。



蘭世: なにそれ。嘘くさ笑



○○: 嘘じゃないんだけどなぁ…笑



女子生徒2: あ、あの、終わったんですか?





笑顔になった僕と蘭世先輩を見て、女子生徒2がそう聞いてくる。



それに対して、僕は笑顔を向けて答えた。





○○: はい笑。お仕事完了です。








部室




笑顔を取り戻した女子生徒1と女子生徒2にお礼を言われながら、僕と蘭世先輩は教室を出て、また少し長い道のりを歩き、部室に戻ってきた。



そして、定位置に座り、両手で持った携帯の画面を、人差し指でタップし始めた蘭世先輩に、僕も自分の椅子に座って、話し始める。





○○: 改めて詳しく話を聞いたところ、どうやら、あの連絡をくれた子は、1週間前に、急ぎの登校中、通学路のガードレールに立て掛けられていた、大型トラックに跳ねられ引き摺られ、即死した男性に向けられた献花を蹴ってしまったようで、それであの怪異に付きまとわれていたようです。



蘭世: ふ〜ん…



○○: でも、あの子が早めに、1人が危ないと判断して、行動してくれていて、良かったですね。力は弱めなんでしょうけど、怪異に完全に憑かれたら、心を病むどころじゃ済みませんから。



蘭世: へぇ〜…



○○: ……相変わらず、報告には興味がなさそうで。





またゲームをしているんだろうなぁ。



さっきも、ギャグ漫画のような感じで、怪異を倒したっていうのに、それでも飽き足りず、ゲームでさらに多くのモンスターを倒すとは…



どっかのガムとゴムを合わせたような特殊能力を使う奇術師かよ…


いや…というよりも、強い癖してウイルス性の心臓病には勝てない最強お父さんか……



まぁ、要するに、バトルジャンキーってことなんだけど。





蘭世: 別に、興味がないってわけじゃないよ。ただ、よくもまぁ、毎度毎度、そんなに流れるように物語を作れるな〜って。作家の才能でもあるんじゃない?○○は笑



○○: いやいや。作り話じゃないんですけどね。



蘭世: ま、そういうことにしといてあげるよ笑





という感じに、蘭世先輩は怪異の存在を信じないんだよな。



今日と同じように、これまでも何度も、僕がチビりかけるぐらいに怖い怪異に会う…


いや、霊感が強めの僕と違って、蘭世先輩には霊感がないから、怪異は見えないんだけど…


何故か、蘭世先輩は怪異を倒せる力を持っているみたいで、見えないながらも怪異を倒しているんだ。



ほんと、不思議な存在だよ、蘭世先輩は。





蘭世: にしても、ちょっとお腹空いたかも。



○○: お菓子はまだ残ってた気がしますよ。



蘭世: 笑、先輩に取りに行かせるとは、悪い後輩だ。





そう笑って言いながら、蘭世先輩はゲーム画面を開いたままの携帯を机の上に置いて、席を立ち、ソファの真横にある本棚に向かった。





○○: すみません笑……





って、今なら携帯を覗き見できるぞ。



悪い事だとは分かっていますけど…


すみません、蘭世先輩…




少し体を前に倒して、対角側に置かれた蘭世先輩の携帯の画面を見る。





○○: っ!!



蘭世: チップスで良い?



○○: あっ、はい!





後ろめたい行動をしている時に、声をかけられ、思わず大きな返事をしつつ、勢いよく姿勢を戻した。





蘭世: 笑、そんなチップスが良かったの?



○○: い、いえ………笑、ポトポトポットスじゃないんですか?



蘭世: ちょっと笑。もうそれは忘れてって言ったでしょ。分けてあげないよ。





椅子に座った蘭世先輩は、笑みを浮かべつつ、目を細め、頬を少し膨らませる。





○○: ごめんなさい笑。僕も食べたいです。



蘭世: 全く笑……はい、どうぞ。



○○: ありがとうございます笑





感謝を伝えて、机の上に開かれた袋に手を伸ばし、その後も、お菓子をつまみながら、僕は蘭世先輩と楽しく話をした。









というか、蘭世先輩……




なんか、めちゃくちゃ可愛いゲームやってるんですけど!!



育成ゲームなのかな?


ビジュアルの可愛いモンスターを育てていくタイプのゲームが、携帯の画面に映し出されていたのだが?!




ここで、この先輩はギャップを見せてくるのか……



凄いな…







うん、ほんとに凄いよ…




僕の所属する…







「オカルト研究ど…」





蘭世: オカルト研究部だから!!



○○: あ、はい。







「オカルト研究部」




の部長は。







そして…




確かに、最後の最後にギャップが垣間見えたけど…




このオカルト研究部に舞い込んでくる仕事……事件や相談事の解決で、どんなに怖い見た目の怪異でも、瞬殺してしまう。





ほんと…







強すぎるよ!蘭世先輩!







End

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