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ただ守りたい… 145話

○○: じゃ、始めようか。



この○○の言葉で、全員が準備を始め、すぐに舞台が整う。



さくら: そ、それでは…えっと……


○○: 笑、端折って良いよ。


美月: ダメ!せっかく考えたんだから!


さくら: …ならお姉ちゃんが代わりに言って。


美月: しょうがないな〜笑


飛鳥: とか言いながらニヤけてんじゃん。自分で考えた大会名を、ドヤ顔で言いたいだけでしょ笑


美月: そ、そんなことない!こんな歴史的な大会だから、ちゃんとその名前ぐらいは言わないとさ!


○○: もう分かったってば笑。美月、早く言いな。


美月: うん!それでは、第1回"○○の胃袋をガッシリと掴む最高の料理上手決定戦"を開催します!


珠美: おぉー!!


理々杏: え、そんな名前だったの?


紗耶: はい、そうですよ…


理々杏: なんか…ダサくない?


美月: ん?理々杏、今なんか言った?


理々杏: ……笑、別に何も。


美月: それなら良かった!ってことで、あとは進行役さん、お願いね。


さくら: うん。では改めて、この大会のルールを説明します。



昨日の夜、美月に仕込まれた通りに、今大会の進行役に任命されたさくらが話し始めた。


今回の料理対決のテーマは、白米に合うおかず。

参加者全員がそのテーマに沿った料理を作り、その料理を審査員が食べる。

審査員は○○、日奈子、春時、麻衣、蓮加の5人で、全ての料理を食べ終わった後、最もテーマに沿っていると思った料理を選択し、1番多く選ばれた料理を作った人が勝利となる。


また、キッチンは黒い布で覆われており、審査員は料理をしている様子を見られないようになっていて、これは、審査員が潜在的にも、作った人で料理を贔屓しないための対策である。

ちなみに、キッチンを覆う黒い布は、この対決の話を聞いて、すごく楽しみにしていた麻衣が、乃木大の学祭の準備で余っていたものを持ってきたものだ。



さくら: よし、まずは料理をする順番を決めますので、皆さんはこちらに来てください。



そう言って、さくらが参加者5人を別の部屋に連れて行く。



麻衣: みんな、頑張ってね〜


○○: 料理、楽しみにしてるよ。


美月: ○○〜私を応援しててね!!


珠美: 珠美を応援しててください!!


紗耶: さ、紗耶を…


○○: 笑、みんなを応援してるから。


さくら: はぁ………皆さん、行きますよ。


理々杏: すごい溜息笑


飛鳥: まぁ、この役も、美月にお願いされて渋々って感じだろうから笑


さくら: お兄ちゃんに自分の料理を早く食べさせたいんでしょ?なら、さっさとしないと。


美月: それもそうだ。


珠美: はい!



5人とさくらがキッチンに繋がる別の部屋に行き、リビングからはその6人の姿が見えなくなった。



麻衣: 私達はしばらくの間、待ち時間だね。


蓮加: なら、みんなでゲームしません?!


日奈子: お!蓮加ちゃん、ナイスアイデア!


春時: 暇だし、俺もやる。○○と麻衣さんはどうしますか?


麻衣: もちろん、私もやるよ。


○○: 笑、僕も。


蓮加: やった!じゃあ、コントローラーを選んでください!



こうして、料理の完成を待つ○○達は、みんなで楽しくゲームをして、時間を潰すのであった。




その一方で、料理を作る側の人達は…


待機部屋



さくら: キッチンには、2人分しか同時に料理ができるスペースがないので、じゃんけんで順番を決めてもらいます。1番と2番の人が最初に料理をして、片方が終わったら、すぐに3番の人が入ってって感じです。


美月: よっしゃ、勝つぞ〜


飛鳥: これは勝った順?


さくら: いえ、勝った人から好きな順番を決めていってもらいます。


飛鳥: そっか。なら勝たないと。


理々杏: これは、料理をする順番もかなり重要だからね。


紗耶: え、なんでですか?


理々杏: だって、最初の料理が、審査員達にとって、それより後に出てきた料理の基準になるわけじゃん。この料理は前のよりも美味しいな、ならこっちにしよう、とかさ。


紗耶: あ、なるほど……


飛鳥: あとは、後半になれば、審査員達もお腹に溜まってくるわけだから、少し不利にもなるよ。


珠美: おぉ……何番にするのかの見極めが、めちゃくちゃ重要ってことですね。


美月: さっ、順番決めるよ!最初はグー、じゃんけん…


「ポン!」



盛り上がったじゃんけんの結果、勝った順番は、

珠美→美月→理々杏→紗耶→飛鳥

となった。



さくら: たまちゃんは、何番目がいい?


珠美: う〜ん…1番で!


紗耶: え、1番?


珠美: うん!もうここは、真っ向勝負だ!


飛鳥: 笑、珠美らしいじゃん。真っ向勝負の意味は、ちょっと分かんないけど。


さくら: OK。なら次は、お姉ちゃん。


美月: 私は……笑、5番で。最後に選ぶ時に、1番記憶に残ってる方が有利に決まってるからね。


理々杏: へぇ〜美月は、そういう考え方か笑


さくら: 理々杏先輩は?


理々杏: 私はとりあえず真ん中。


さくら: 3番ですね?


理々杏: うん。


さくら: やんちゃんは?


紗耶: え〜っと……あの、飛鳥先輩はどっちが良いとかあります?


飛鳥: 笑、私に選ばせてくれるの?


紗耶: いや、参考にしようかと思いまして。


飛鳥: 参考ね〜笑。私は2番かな。


紗耶: 分かりました。


飛鳥: まさかの、やんちゃんが2番を奪っちゃうの?いや〜そんな悪い子じゃないよね?やんちゃんは笑


美月: その言い方は、もはや脅しじゃん笑


理々杏: それな笑。やんちゃんは、強制的に4番を選ばされちゃうよ。


珠美: 飛鳥先輩、怖いです!


飛鳥: 笑、さて、どうする?やんちゃん。


紗耶: え〜なんか、飛鳥先輩が悪者になっちゃいますけど、紗耶は4番にします笑


美月: あ〜〜飛鳥、ひど〜い!やんちゃん、可哀想〜笑


紗耶: 笑、別に紗耶が4番になりたくて、そう選んだだけですから。飛鳥先輩のせいじゃないですよ。


美月: 分かってるって笑。ちょっとイジりたかっただけだよ、飛鳥を。面白いし。


紗耶: そうですか笑。それなら良かったです。


飛鳥: いや良くないわ。全然。


さくら: じゃ、飛鳥先輩は2番ってことで、決定した順番は、1番がたまちゃん、2番が飛鳥先輩、3番が理々杏先輩、4番がやんちゃん、5番がお姉ちゃん、です。


理々杏: 飛鳥の後か〜〜ちょっと嫌かも笑


飛鳥: 笑、なんで?


理々杏: だって、確実に美味しい料理を作るって分かってる人の後は、ハードルが高いじゃん。まぁ、あくまで料理を始める順番であって、審査員達に食べてもらう料理の順番ではないけど。


飛鳥: ふ〜ん笑。ここでは一応、残念でした、って煽っとこうかな。


理々杏: 笑


さくら: それでは、たまちゃんと飛鳥先輩はキッチンに行きますよ。他の皆さんはここで待機ってことで。


紗耶: あの、キッチンに様子を見に行ったりはして良いの?


さくら: お姉ちゃん?


美月: まぁ、邪魔にならない程度なら大丈夫。


紗耶: 分かりました!


飛鳥: 早速見に来るの?笑


紗耶: 行きます!


さくら: 移動しますよ〜


理々杏: 笑、敵だけど、頑張って。


珠美: 頑張ります!


飛鳥: どうも笑



再び、さくらに連れられて、珠美、飛鳥、紗耶の3人が部屋を出てキッチンに向かい、理々杏と美月が残った部屋では…



美月: 待ち時間、何する?


理々杏: う〜ん、どうしよっか笑


美月: あ、ならさ、理々杏の家族旅行の話を聞かせてよ。


理々杏: え?(やば…)


美月: 1週間ぐらい旅行に行ってたんなら、色々とあったでしょ。面白そうだから、その話を聞かせて笑


理々杏: あーうん、分かった。(一応、旅行の話は考えてきたけど、美月相手に誤魔化せるだろうか…)



思いもよらない、理々杏の挑戦が始まったのだった。




キッチン



さくら: 後は、各自で最高の料理を作ってください。どぞ!


珠美: おっしゃ〜やるぞ〜


さくら: ふぅ〜


飛鳥: 笑、一旦、さくらの仕事は終わりだね。


さくら: もう疲れました。


飛鳥: なら、さくらはリビングでゆっくりしときな。少なくとも、20分ぐらいはかかるでしょ?珠美も。


珠美: はい!


さくら: ありがとうございます。そうします。


珠美: さくちゃんも、珠美達の料理を楽しみにしといてね!


さくら: 笑、うん。では、また。



慣れない仕事をしたせいか、疲れた顔をしているさくらが、キッチンを出ていく。



飛鳥: さぁ、始めますか。


珠美: まずは冷蔵庫から、色々と取り出さないと!


紗耶: どんなの作るんだろうな〜


飛鳥: 笑、ま、見てて。



バタン


冷蔵庫から必要なものを取り出した飛鳥と珠美は、早速料理を始める。



紗耶: おぉ、たまちゃんはお魚か。


飛鳥: やんちゃん的に、見た目からして、この切り身は何だと思う?


紗耶: え、えーっと……サーモン?


飛鳥: 笑、にしては赤くないでしょ。


紗耶: た、確かに。たまちゃん、その魚は何?


珠美: ん?鯖だよ!鯖。


飛鳥: ふ〜ん……白米に合うもので、鯖を使う料理となると…アレしかないね笑


珠美: 分かっちゃいましたか?笑。飛鳥先輩。


飛鳥: まぁね笑


紗耶: で、たまちゃんはお湯を沸かしながら、鯖に切込みを入れてるの?


珠美: うん。飾り包丁っていうらしい。


紗耶: あ、聞いたことある!


飛鳥: その感じだと、珠美はバイト先の店長さんに教えてもらったのかな。


珠美: はい!この料理も、店長にたくさん教えてもらいました!


飛鳥: そっか笑


紗耶: 飛鳥先輩は、玉ねぎをみじん切りにした後、バターで炒めて…


飛鳥: 私の料理は何なのか予想できる?


紗耶: う〜ん、玉ねぎを使う料理……たくさんあり過ぎて、絞りきれないです。


飛鳥: 笑、だろうね。でも、これが終わったら、何を作ってるかはすぐ分かると思うよ。


紗耶: 何かを、そのフライパンに加えるんですか?


飛鳥: いや、どっちかって言うと、この玉ねぎを、これから冷蔵庫から取り出したものに、混ぜ込むって感じ。


紗耶: 混ぜ混む?


飛鳥: まぁ、その前にこれを冷ますっていう工程があるんだけど。


紗耶: バターで炒めた玉ねぎを、一旦冷ましてから、何かに混ぜ込む………う〜ん…




20分後



さくら: 今、どれぐらいですか?


紗耶: あ、さくちゃん。2人とも、もうそろそろだって。


ジュー


さくら: この香りは…


紗耶: リビングにも届いてるかな?


さくら: いや、布のおかげで何とか漏れてないみたい。


紗耶: 良かった。実の所を言うと、両方にこれが使われてるんだよ。


さくら: え、そうなの?たまちゃんの方はそりゃそうだけど、飛鳥先輩の方にも……美味しそう。


紗耶: だよね。紗耶も食べたい!


飛鳥: 笑、さすがに1個丸々とはいかないけど、みんなで分けれる分ぐらいは作ってるから。


珠美: 珠美のもあるよ!


紗耶: やった!


さくら: ありがとうございます笑


珠美: でも、やんちゃんのも食べさせてね!


紗耶: そこは大丈夫。たくさん作るから。


飛鳥: ……よし、できた。


さくら: なら、向こうに言ってきます。


飛鳥: うん。すぐに盛り付けて……さくに渡せばいい?


さくら: はい。私が配膳します。


飛鳥: 任せたよ笑


紗耶: これに白米をよそっとけばいい?


さくら: ありがと、やんちゃん。助かる。


紗耶: 笑、いえいえ。



そうして、さくらは再びリビングに行き、ゲームをしていた審査員達を席に座らせた後、飛鳥が完成させた料理と、お椀に盛った白米を運ぶ。



蓮加: わぁ〜〜良い匂い!


麻衣: これは……


日奈子: ハンバーーーグ!!!!


○○: やった、ハンバーグだ!


麻衣: 笑、○○もテンション上がってるじゃん。


春時: ハンバーグは、○○の大好物ですから。


麻衣: うん笑。でも、○○の大好物を的確についてくるとは…


春時: 策士ですね笑。これを作った人は。


さくら: では、どうぞ。


○○: いただきます。


日奈子: いただきます!!



目の前のハンバーグを、お腹を空かせた日奈子が口に入れるよりも早く、○○が一口目を食べる。



○○: パクッ……モグモグ……


春時: 笑、どうなんだ?


○○: …うま…


日奈子: うまぁぁあああいいい!!!


○○: うますぎる……ジューシーさも半端ない…


蓮加: れ、蓮加も食べる!パクッ……おいしっ!


麻衣: うっわ……これは半端ないわ。美味しいし、何よりご飯が進む。中に味噌を入れてるのかな。


日奈子: バクバクバク


春時: モグモグ…こりゃすげぇな。日奈子の米のかきこみ具合からしても笑


○○: 日奈子、喉に詰まらせないようにな。バクバク


日奈子: もちろん!バクバクバク


春時: 笑、○○も言えた口じゃないけどな。



この○○達の感想は、キッチンの方にも届き…



飛鳥: 笑、良かった。



料理を完成させ、一息ついていた飛鳥も安心したような笑顔を浮かべた。



理々杏: 飛鳥はハンバーグだったか笑


飛鳥: まぁね。じゃ、交代ってことで。


理々杏: うん。たまちゃんはどんな感じ?


珠美: 残り1分ってとこだと思います!


飛鳥: なら、やんちゃんはそのままか。頑張って。


紗耶: はい!頑張ります!


理々杏: 飛鳥。美月は面白いお話をご所望だから、なんか考えといた方が良いよ笑


飛鳥: だるっ笑


理々杏: 私は、旅行の話をずっとさせられた笑


飛鳥: いや、理々杏はそれがあるから良いけどさ。


理々杏: ま、いってらっしゃい。


飛鳥: このまま、ここにいようかな。


理々杏: そんなことしたら、美月がこっちに乗り込んで来るから、結局一緒だって。


飛鳥: はぁ……みんなのために、犠牲になりますかね笑


紗耶: 飛鳥先輩!よろしくお願いします!


理々杏: よろしく〜


飛鳥: くっ、調子の良いヤツらめ笑


珠美: 飛鳥先輩、頑張ってくださ〜い!


飛鳥: 珠美はすぐに来るでしょ!こっちに!


珠美: はい!もう完成しましたので!


さくら: 盛り付けも終わったね。なら、向こうに運ぶよ。


珠美: お願いします!


さくら: 笑、はーい。


飛鳥: 隣で見てたけど、珠美のも美味しそう。


珠美: いや〜何とか、店長に教わった通りにできたと思います。


飛鳥: 反応が楽しみだね。


珠美: はい!




リビング



さくら: 皆さん、ハンバーグを一旦横に避けてくださいね。


日奈子: 待って待って!もうちょっとだから!


○○: 後からでも食べれるって笑。それに、今食べ尽くすと、最終的な食べ比べができないよ。


日奈子: はっ!確かに!ほんのちょっとだけ残しとこっと!


麻衣: さてさて、次は何かな〜


さくら: はい、次の料理です。



珠美から受け取った、サバの味噌煮を5人それぞれの目の前に置く。



春時: おぉ、こりゃまた美味そうだ。


日奈子: お魚だ!!


蓮加: お魚ですね笑


日奈子: うん!お魚!!


○○: 笑、どういうやり取り。


麻衣: じゃあ、食べよう!パクッ……ん〜臭みも全くないし、味噌の味も染みてるし、何より、身がパサついてなくてしっとりしてる。


蓮加: おいし…モグモグ


○○: モグモグ…これまたお米が進む…バクバク


日奈子: バクバクバグバク


麻衣: 笑、このペースだと白米がすぐに無くなっちゃうね。


春時: ですね。


さくら: あ、白米のおかわりなら、すぐに言ってください。これがないと審査自体ができないので。


日奈子: おかわり!!!


○○: 僕もお願いしていいかな?


春時: 俺もよろしく。


さくら: はーい。


日奈子: いや〜すぐになくなっていく。


○○: 笑、残り10分の1ぐらいしか残ってないじゃん。


日奈子: だって、美味しすぎるんだもん!


○○: ま、それは同感笑




キッチン



理々杏: さ、私はしばらくの間、待ちの時間だ。


紗耶: 紗耶も一緒です!


理々杏: どのぐらい?


紗耶: 本当は1時間ぐらいが良いんですけど、さすがに時間がかかり過ぎますから、今日は30分ぐらいにするつもりです。


理々杏: そっか。なら、私と同じぐらいだ。


紗耶: でも、出来上がりは紗耶の方が遅くなりそうです笑


理々杏: みたいだね。やんちゃんが作ってる料理だと、寝かせた後にあの重要な工程があるから。


紗耶: はい笑


理々杏: 難しいけど、できる?笑


紗耶: 大丈夫です!昨日もママと一緒に、たくさん練習しましたので!


理々杏: おぉ、それは、お手並みを拝見させてもらおうかな笑


紗耶: が、頑張ります!


さくら: あら、2人とも今は待ちの時間ですか?


理々杏: うん。私もやんちゃんも、冷蔵庫で寝かしてる途中だよ。


さくら: そうなんですね。


理々杏: 笑、さくちゃんはお米のおかわりをつぎにきたんでしょ?


さくら: はい。みんな、すごいペースで白米を食べてます。


理々杏: ってことは、たまちゃんのサバの味噌煮もかなり好評みたいだね。


さくら: すごく。


理々杏: じゃあ、それを待機部屋のたまちゃんに伝えてあげて。明るく振舞ってたけど、ここ出ていく時、かなり不安そうな顔してたから。


さくら: 分かりました。これ持っていったら、たまちゃんに言ってきます笑


理々杏: うん笑




待機部屋



美月: それでそれで、次の年の中学2年の時の体育祭での○○は、どうだったの?


飛鳥: う〜ん、やっぱり印象的だったのは、めちゃくちゃ足が速くなってたことかな。中2の体育祭は。


美月: へぇ〜


飛鳥: 小学生の時も、中1の時も、クラスの男子の中で、真ん中ぐらいだったのに、中2になったらクラスで1番速いどころか、学校で1番速いんじゃないかってレベルになったんだよね。


美月: それって、上級生も合わせてでしょ?


飛鳥: うん。今の○○と同じ感じ。


美月: 何が起こったんだろうね笑


飛鳥: 分かんない。でも……


美月: カッコよかった?笑


飛鳥: ……///


美月: あれ、もしかして、その体育祭を見て、飛鳥は惚れちゃった感じ?笑


飛鳥: んなわけないだろ。まぁでも、カッコよくはあった。


美月: そっか笑。見たかったな〜その時の○○。珠美は見てるんでしょ?


珠美: …


美月: 珠美?


珠美: っ!!な、なんでしょうか?!


飛鳥: 笑、そんな不安がらなくても大丈夫だって。珠美は丁寧に下処理も調理もやってたし。鍋から良い香りもしてたし。自信持ちな。


珠美: …はい……


美月: 笑、それでも不安か。分かるよ、その気持ち。


珠美: え?


美月: だって、まだ作る前だけど、私、今、心臓バクバクし過ぎて、体から飛び出るんじゃないかってレベルだし、身体中の震えを全力で止めてるんだもん笑


飛鳥: 笑、私と話してる間に、そんなことしてたんだ。


美月: ほら見てよここ、汗かいてるでしょ。こんな快適な温度の部屋で。これ、その緊張と不安の汗、おそらく笑


飛鳥: そうみたいだね笑。ま、それだけ準備をして、練習をして、○○のために美味しい料理を作るっていう気持ちが強いってことだよ。


珠美: そう…ですよね……珠美は、○○先輩に褒めて欲しいんです。頑張ったねって…


飛鳥: 笑、終わったら、絶対に褒めてくれるよ。ま、優勝は私が貰うけど。


美月: それはない。私が優勝。


珠美: っ!た、珠美が勝ちます!


さくら: えっと、今大丈夫ですか?


美月: あ、さくらじゃん。どうしたの?まさかのもう、私の出番?!


さくら: いや、違う。


美月: そ、そうですか…


飛鳥: 笑。じゃあ、なんでこっちに来たの?


さくら: それですね……



美月と飛鳥の間に座っている珠美を見る。



珠美: 珠美?


さくら: うん。


珠美: なに?


さくら: みんな、美味しい美味しいって言って、たまちゃんの料理食べてたよ笑


珠美: っ!!!


さくら: ご飯もおかわりしてたし、ものすごく美味しかったんだろうね笑


珠美: ……


美月: 珠美、良かったじゃん。


飛鳥: みんな、美味しいって思ったみたいよ。


珠美: …嬉しいです……嬉しみ極みです!!


さくら: 笑、良かった。



to be continued





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