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ただ守りたい… 168話

生徒会室



久保: …


カタカタカタカタ


灰崎: …


ペラ…ペラ…


美月: …はぁぁ………



部屋の中では、キーボードを叩く音と、資料をめくる音、そして美月のため息しか聞こえないほど、今日はどうしても外せない用事があるということで、席を空けている田村以外の役員の面々は、集中して仕事を行っていた。

というのも、二学期の終わりの日…つまり終業式が行われる今週の金曜日……来たるクリスマス当日、12月25日に、クリスマス企画が開催されるからだ。

それに向けて、役員達は必死になって自分の仕事をこなしている。



美月: はぁぁぁぁ……



まぁ、1人だけは、手は動かしているものの、意識の5分の4ぐらいは別のところに向けているようだが。



久保: ……


美月: はぁぁ……


久保: …美月。そうやってため息つかれると、こっちも気が抜けるんだけど。



生徒会室に入ってきて、自分のデスクに座るなり、ため息を定期的につき始めた美月を見て、他の役員達は、自分の仕事もあって、何も触れずにいたのだが、とうとう生徒会長である久保が指摘をした。



美月: あ、ごめん……


久保: どうしたの?…ってか、大体予想はつくけど。


灰崎: だね笑


早川: …


田村: え……わ、私だって予想ついてるもん!!


璃果: 笑、絶対嘘じゃん。


ポチッ

ペチンッ!


祐希: いっ……ふぅ…ん?今、何の話?


宮瀬: …


カタカタカタカタ


大園: チラッ…


カタカタカタカタ


賀喜: ○○先輩…ですよね?美月先輩。



会計のデスクの、見栄を張った田村の隣にいた賀喜が、ニヤッとした笑顔でそう言う。



美月: かぁ〜バレバレだったか笑


久保: 当たり前でしょ。美月が仕事以外に考えていることは、八割方○○のことなんだから。


灰崎: 噂には聞いてたけど、こうやって一緒に仕事をするようになって、実感したよ。ね?



議長のデスクから、他の役員達…特に、これまでに美月と一緒に何かをすることがなかった人達を見ながら、そう聞く灰崎。



璃果: うん。ほんと、口を開けば○○君のことを話し出すんだから笑


田村: ○○君のことが大好きなんだね〜笑


美月: いや、大好きじゃない…


田村: え?


美月: もう○○の全てが大大大大だ〜い好き!!!



飛び切りの笑顔で、美月は愛を叫ぶ。



田村: うわ〜お。それは凄いね!


灰崎: 笑、どういう反応。


賀喜: いやもうほんと、ここまで美月先輩に愛される○○先輩が羨ましいです!


久保: ほら、美月のファンの子がこう言ってるよ笑


美月: あ、かっきーも大好きだからね!



慌てて、賀喜の方にもウインクを飛ばす。



賀喜: でも、私よりも○○先輩の方が好きなんですもんね〜



そう言って、賀喜は口をすぼませる。



美月: えっ、ちょっ…


久保: 笑、まぁまぁ、かっきー。美月を困らせないの。


賀喜: ですね笑。ごめんなさい、美月先輩。


美月: い、いや、良いのよ、別に……


久保: この反応からしても、美月はちゃんとかっきーのことも大好きだってことが分かったし、かっきーは満足でしょ笑


賀喜: はい!


灰崎: 笑、賀喜さんは謀略家だね。


田村: ぼう…りゃく……か?………あ!なるほど、確かにねぇ〜


璃果: 笑、知ったかしないよ。


ポチッ

ペチンッ!


祐希: っ!!……ふぅ…えっと今は……美月が○○のことが大好きって話か!うんうん、美月はほんと○○のことが大好きだからな〜


璃果: ちょっと遅れてるかな笑、祐希ちゃんは。


祐希: え…


灰崎: 今は、賀喜さんが凄く頭が良い、って話をしてたんだ。


祐希: あぁ〜うん、かっきーはめっちゃ賢い!


賀喜: ちょっと、やめてくださいよ笑



皆からの褒めの言葉を聞いた賀喜は、照れたようにそう言う。

そして、話を切り替えるように、灰崎の方を見て、こう言う。



賀喜: ってか、灰崎先輩!かっきーって呼んでください、って言ったじゃないですか!


灰崎: え、あ、いや、その……



と、以前の○○や春時と同じように、グイグイ系の後輩かっきーの餌食となった灰崎が、言葉に詰まってしまうと…



大園: プフッ笑



隣の宮瀬の様子を確認しながら、黙って仕事をしつつも、皆の会話を聞いていた大園が、吹き出した。



田村: え?桃ちゃんが笑った!!


久保: いや、笑うことはあるでしょ。でも、吹き出すなんてどうしたの?謙心君の反応が面白かった?


大園: …うん笑。そうやってキョドってる謙心君を見るのは、初めてだったので。


美月: 謙心君の新たな一面を見れたね。それと、それを引き出したかっきー、ナイス!



グッドサインを向けて、美月は賀喜に笑顔を見せる。



賀喜: ありがとうございます!では、灰崎先輩は、かっきーって呼んでください!


灰崎: もう、分かったから笑。かっきー。


賀喜: はい!


璃果: 笑、良い返事。


ポチッ

ペチンッ!


祐希: ……ふぅ…今は……謙心君がかっきーのことをかっきーって呼んだところか。


璃果: お、正解笑


祐希: よし!


久保: いや、よし!じゃないのよ。ちゃんと起きて仕事をして。


祐希: は〜い。


久保: もう明後日には、幼稚園でのクリスマス会と、保護者に向けたクリスマスバザーがあるんだから。今日明日で、これを仕上げないと。


祐希: うん…って、もうクリスマスか〜早いな〜


美月: クリスマス……デートしたかったぁぁ!!!



祐希の呟きを聞き、美月が天井を見上げて、再び嘆き始める。



美月: 今日だって、○○と一緒に見回りに行きたかったのに、まさかクリスマスデートまでできないなんて!!○○と一緒に聖なる夜を過ごしたかったよぉぉ!!!


久保: ちょっと、祐希!


祐希: いや、さすがにこれを予想しろは無理があるでしょ!


そんな久保と祐希を見て、灰崎が笑顔で美月をなだめ始める。



灰崎: まぁまぁ、美月さん。クリスマスバザーは後片付け含めても、20時には終わるだろうから。その後の夜は、深川君と一緒に過ごせるよ。


美月: ……デートには行けない…


灰崎: 美月さんはデートでしか、深川君に愛を伝えられないの?


美月: っ……伝えられる……伝えられるに決まってるじゃん!!!


灰崎: だったら、ほら、クリスマスの夜、雪が降っている夜空を窓から眺めながら、隣に座っている深川君に、大好きって伝えれば良いんじゃない?



優しい笑顔を作る灰崎の言葉を受け、美月は想像を膨らませる。



田村: 今年のクリスマスって、雪降るの?ボソッ


賀喜: えっと……あ、30分前に出た天気予報だと、降るみたいですボソッ


璃果: 今頃、美月ちゃんの頭の中は幸せに溢れてるんだろうねボソッ


祐希: だねボソッ


久保: 笑、どの口が、かっきーのことを謀略家って言ってんのよボソッ


宮瀬: こっわボソッ…


大園: ですよねボソッ笑


宮瀬: っ…はいボソッ


早川: …



と、生徒会室が、他の役員達が小声で話す静かな空間となってから、およそ10秒後、美月が妄想の旅から帰ってくる。



美月: よし!!○○とラブラブするぞ!!!


灰崎: 笑、そうしな。


久保: さ、美月も切り替えたところで、改めてみんな、気合いを入れて、明後日に向けて仕事するよ!


「はい!」



そうして、生徒会役員達はさらに気持ちを上げて、仕事に取り組んで行くのだった。


1人を除いて。 



早川: 深川○○……何がええんや…






一方その頃、生徒会室で自分の名前が挙げられているとも知らない、○○は…



○○: ……1人で見回りというのも、寂しいもんだな…



美月が生徒会の仕事で一緒に見回りができなくなり、生徒会室で美月が嘆いていたのと同じように、寂しさを感じながら、いつものルートを見回りしていた。



○○: まぁ、これからは1人でやることも多くなるだろうし、徐々に慣れていかないと。



そう自分に言い聞かせながら、商店街の近くを歩いていると、奥の方に見えるお店から、とても見覚えのある人物が出てくる。



○○: ん、あれは……



その人物に気づいた○○は、周りを確認しつつも、見回りルートに沿って走り、その人物の元へ。



○○: 春時!


春時: え?あ、○○じゃん。



そう、お店から出てきたのは、通学用のカバンとは別のバックに、そのお店で買ったであろう商品をパンパンに入れた春時であった。



○○: ほんと偶然。買い物?


春時: あぁ。お袋に頼まれてな。○○は…風紀委員の見回りか。


○○: そうだよ。美月がいないから、1人で見回り中。


春時: 笑、寂しいんだろ。


○○: 正解笑



幼なじみである2人は、息のあった短い言葉のやり取りで笑い合う。



春時: ちょっとだけ、付き合ってやるよ。


○○: いや…


春時: 遠慮すんなって。こっちから来たってことは、これから向こうに行くんだろ?



空いている手で、○○の進行ルートの方を指す。



○○: うん、そうだけど…


春時: なら、お前も知ってる通り、俺の帰り道もそっちだからさ。行こうぜ。


○○: ……笑、ありがと。


春時: おう笑



こうして、○○は春時と、楽しく話しながら、見回りをしながら歩く。


しかし、そんな時間は長くは続かなかった。



○○: うん、あれは面白かったよね〜


春時: あぁ……っ!!!!!……



商店街通りを抜け、少し進んだところで、突然春時が足を止める。

それを不思議に思い、○○が春時の方を見ると、春時の顔は驚きの表情のまま固まっていた。



○○: どうした?


春時: ……ふぅ……



自身の心を落ち着けた後、春時は静かにこう言った。



春時: アンチの構成員がいた。


○○: えっ…



驚きの声を上げないように、○○はすぐに自分の口を手で塞ぐ。



春時: 今さっき、あの右に見える路地に入って行った男2人組。その片方が、俺が文化祭の時に武道場で戦った奴だった。


○○: ……ほんと?


春時: 間違いない。俺は勉強の記憶力は悪いが、人の顔はちゃんと覚える方だからな。特に、アイツにはいつかリベンジしたいと思ってたし、よく覚えてる。


○○: そっか……


春時: どうする?



これから、自分達はどう動くのか、と春時は○○に聞く。



○○: とりあえず、護衛の森田さん達に連絡した後……追跡する。


春時: 了解。



見回りの為に色んなところに向けていた意識を、そのアンチの構成員が入っていったという路地だけに集中させ、防衛団用の携帯で森田にメッセージで連絡をとりながら、○○と春時は荷物をその路地の前で下ろし、警戒しつつ中に入って行く。

そして、森田へ送ったメッセージにはすぐに既読がつき、すぐに向かいますとの返信が来たのを確認した時に、○○は視界の中に、アンチの構成員を捉えた。



○○: あれかボソッ


春時: …あぁ、1人は確実にそうだボソッ



路地の奥の方には建物と建物の間にできた、真昼間にしか日が当たらないような、少し開けた空間があり、そこにアンチの構成員を見つけ、2人は路地に設置された室外機等の障害物の影に隠れて、様子を伺う。


が……



「にゃ〜」


春時: あっ……


??1: ん?誰だ?



運悪く、路地にやってきた猫に服を引っ張られ、春時が咄嗟に出してしまった声に、構成員の1人が気づく。



??2: 猫じゃないんですか?


??1: いや、今確実に、男の声が聞こえた。おい、さっさと出てこい。



自分達を見ている誰かがいるということを確信づいている構成員の言葉を聞き、○○と春時はどうするべきか迷った結果…



○○: チラッ…


春時: コクン


○○: …バレちゃったか。


春時: 久しぶりだな。



そう言いながら、2人は身を隠すのを止め、アンチの構成員の前に姿を現し、構成員がいる開けた空間に踏み入る。



上位1: あっ!お前は!!


??1: なんだ知り合いか?


上位1: い、いや、乃木高の文化祭を襲撃した時に…


??1: w、もしかして、お前の肩をぶっ壊した奴か。


上位1: はい…


??1: へぇ〜で、もう1人は……風紀委員か。



○○が右腕に着けている腕章を見ながら、??1はそう言う。



○○: お前達は、アンチの構成員なんだよね?


??1: あぁそうだ……お前らによって頭を潰された、惨めなアンチの構成員だよw


上位1: ちょっと阿墨さん…



笑いながら自虐をする、同じく上位構成員でありながら、東京の拠点を任された阿墨誠吾を、上位1は心配するような表情で止める。



○○: 頭……黒峰龍水のことか。


阿墨: あ?なんでその名前を………まさかお前、黒峰と戦った野郎か?


○○: ……


阿墨: 沈黙は是と捉えるぜw。そうか…報告では聞いてたんだ。乃木高文化祭襲撃時、黒峰は風紀委員に足止めを食らって作戦を失敗したって……お前がその、黒峰を足止めした風紀委員なんだな。



どこか面倒、つまらない、といった感情を感じ取れるような阿墨の目が、楽しさを感じるような獲物を見る目へと切り替わる。



上位1: やるんすね…


阿墨: その実力を見せてもらおうか!!!


春時: 来るぞ!○○!!


○○: うん!




カチ




○○: ここで捕らえる!!



勢いよく地面を蹴った阿墨の拳を○○が、少し遅れて続いた上位1の拳を春時が、それぞれ受け止め、戦闘を開始する。



阿墨: おりゃっ!!


ブンッ!!



受け止められた右拳を戻し、次は左腕を横から振るう阿墨に対し、○○はその攻撃を鼻の先ギリギリで避け、目の前を横切った左手首を左手で掴んで引っ張り、ガラ空きとなった脇腹に、素早く一発を入れる。



ドンッ!


阿墨: クフッ!……離せよ!



脇腹の痛みを我慢し、左腕を引っ張られた力を利用して回転、左腕の拘束を解きつつ、右後ろ回し蹴りを、○○の顔目掛けて放つ。



○○: っ!!


バシッ!!



その阿墨の反撃速度に驚きながらも、○○は避けるという行動を捨て、右腕で蹴りを弾き、隙のできた阿墨の体に、渾身の右前蹴りをに入れようとする。



○○: ふんっ!


阿墨: 甘い!



しかし、○○の右足が伸び切る前に、阿墨は蹴りを弾かれた反動に沿って回転し、左腕でその足を弾いた後、右拳を○○の顔…は避けられると思い、胸に撃ち込む。


ボコッ!!



○○: グッ……


阿墨: やっぱ、黒峰を足止めしてただけはあるな……



2人は体に受けたダメージを感じながら、お互いを睨み合う。



上位1: お前、あの時から強くなったんだろうな!


ブンッ!!


春時: そっちこそ、右肩は治ったかよ!


バチンッ!!



こちらの2人も、喋りながら…お互いを煽りながらではあるが、上位1の右の大振りを避け、春時は左腿を狙って蹴りを放ち、それを上位1は左の蹴りで受け止める、というような攻防を続ける。



春時: はっ!!



一歩退いた春時は、真っ直ぐ上位1の体軸に向けて、右の縦拳を放ち、防御は得策では無いと思った上位1は、それを左側…春時の背面側に避ける。



上位1: 背中がガラ空きだぞ!w



そう言って、右拳を振り上げたが…



春時: どこが!



一気に右脚を胸に引き付け、背面側に向かって蹴りを放つ。



上位1: へぇw…


ドンッ!


ズザザ



瞬時に蹴りを感知した上位1は両腕を交差させてそれを受け止めたが、少し後退してしまう。



上位1: お前、あの時から随分と戦闘経験を積んだようだな。


春時: …どうも。


上位1: だが、向こうも本気でやり始めるみたいだから、俺も本気で行かせてもらうぜw



隣の阿墨の方を確認した上位1はそう言う。



阿墨: 黒峰を弔うためにも、やっとくか。


○○: …



懐から短刀を取り出した阿墨は、動きを観察するように、○○を睨む。



春時: あっそう。なら、俺も…


上位1: あ?



先程の上位1の言葉を聞いた春時は、さらに集中力を高め、そして、こう叫んだ。



春時: 武炎・臨越!!



その瞬間、春時から放たれているプレッシャーがさらに強くなる。



上位1: っ!コイツw


春時: ここからは短期決戦だ。


阿墨: ww、向こうは楽しそうだな。こっちも楽しもうぜ。


○○: 笑、春時……すぐに終わらせよう。



アンチの構成員相手に、金川道場で一から教わったことを思い出しつつ、2人は構え、次の攻防に入ろうとするが…



森田: 坊ちゃん!!



このタイミングで、○○の護衛である森田が路地に到着する。



阿墨: チッ…増援か。逃げるぞ。


上位1: …はい!


阿墨: この戦いの決着は次に会った時だ。楽しみにしとけよw



そう言って、阿墨は上位1を連れて、森田が来た方向とは逆の方向に、全力で走り出した。



春時: っ!追わないと!


○○: …いや、春時。ダメだ。


春時: でも!


○○: たとえ追いついたとしても、今の俺達じゃ、あの二人には敵わない。春時だって、一戦交えて分かっただろ。


春時: ……あぁ。武炎使ってる状態なら、本気のアイツともやり合えただろうが、今の俺は1分程度しか、あの状態を保てないからな…


○○: ……ふぅ…




カチ




○○: これからもっと強くなろう笑


春時: 笑、おう。



戦闘態勢を解いた2人は、そう言って改めて決意を固め、笑い合う。


そのやり取りを微笑ましく見ながらも、話し出す機会を伺っていた森田は、2人の話が終わったタイミングで、口を開く。



森田: 遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。怪我はないですか?


○○: はい。僕はないです。春時は…


春時: 俺もないです。


森田: 良かったです。あの2人は今も路地の外に待機させていた東口と3級団員に追わせていますが…


○○: 拠点の場所は掴めないでしょうね。黒峰龍水のことを知っていたことや、あの強さからしても、十中八九、あの2人は上位構成員でしょうから。


森田: そうですか……すみません。ちゃんと包囲網を組めていれば。


○○: いえ。それでさらに森田さん達の到着が遅れていれば、僕と春時はこうやって五体満足ではいられなかったでしょうし。


森田: …ありがとうございます。


春時: ……あ、そう言えば、大阪での作戦終了後はどうなったんですか?



会話に一区切りがついたところで、思い出したように春時が尋ねる。



森田: えっとですね。作戦時に捕らえた構成員を尋問し、大阪の拠点に所属していた構成員をリスト化。捕らえられていない者を、構成員の個人携帯や、ビル内の固定電話で誘き出して捕らえたり、屯していた場所に乗り込んだりなどして、逃がしてしまった竹川とその側近2名以外の構成員は、全員捕まえました。


春時: おぉ…


○○: ……でも、その逃がしてしまった3人の行方が気になりますね…


森田: はい。我々も、竹川とその側近の顔を見ている団員の情報を元に、大阪近辺を中心に捜索しているのですが、捜索範囲が広すぎて、中々尻尾を掴めていません。


○○: ………逃げるとしたら、やっぱり他のアンチの拠点じゃないですか?体勢を整えるためにも。


森田: ですね。なので、今、我々が竹川の居場所として最も可能性が高いのは、他の幹部がいると思われる愛知の拠点です。


春時: 愛知…


森田: 愛知の拠点は、我々も未だに捜索に難航していますが、必ず見つけます。


○○: お願いします。


森田: はい笑


春時: ………って、○○。お前今、見回りの途中じゃん。


○○: あっ、やば……若月さんに怒られる!


春時: 早く終わらせてこい笑


○○: う、うん!じゃあ、春時と森田さん、また!


森田: 笑、お気をつけて。


春時: また明日な〜



こうして、重大なことに気づき、慌てて去って行く○○の背中を眺める2人。



森田: 金川君、改めて、これからも坊ちゃんのことをよろしくお願いしますね。


春時: もちろんです。あと、春時って呼んでくださいよ笑


森田: 分かりました、春時君。では、私も坊ちゃんの護衛をしないといけないので。


春時: ○○をよろしくお願いします笑


森田: 笑、春時君もお気をつけて帰ってください。


春時: はい笑



笑顔で軽く言葉を交わし、森田は走って行った○○の護衛に向かい、春時は外の荷物を拾って、自分の家へと帰るのであった。




to be continued

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