ただ守りたい… 146話
○○の家で行われる熱き戦い。
第1回○○の胃袋を………いや、料理対決。
現在、飛鳥と珠美の料理は、既に審査員達が実食済みであり、キッチンで理々杏と紗耶が料理中。
そして、待機部屋には、まだ料理をしていない美月と、その話し相手になっている、司会進行のさくらと、飛鳥と珠美がいた。
また、リビングには、審査員である○○、日奈子、春時、麻衣、蓮加の5人がおり、次の料理を楽しみにしながら、最終的な判断の為にと残している料理を、少しづつつまみ食いしつつ、お喋りしていた。
リビング
日奈子: …も、もう一口……
○○: 別に食べてもいいけど、のちのち困るのは日奈子だよ。
日奈子: う、う〜ん……
蓮加: でも、びっくりするぐらい美味しいですから、蓮加も全部食べちゃいたいぐらいです。
日奈子: ほんとそうだよね!むしろ、そこまで美味しい、この料理達が悪い!!
春時: 笑、めちゃくちゃ理論過ぎるだろ。この絶品の料理が気の毒だわ。
麻衣: ちなみにさ、みんなは、この2品を誰が作ったかとか、予想ある?
○○: いや、今のところ全然分かんない。
蓮加: 蓮加も!
春時: 紗耶はうちの母に教えてもらってたんで、多分、紗耶が作るやつは、俺が普段食べてるものと似たような感じになると思うんですけど…
麻衣: この2品は、普段食べてる料理の感じとは違った?
春時: はい。なので、少なくともこの2品は、紗耶が作ったものではないって予想です笑
麻衣: ふ〜ん笑。日奈子ちゃんは?
日奈子: え〜っとですね、このハンバーグはあっしゅんな気がします!
麻衣: それはまたなんで?笑
日奈子: 勘です!
麻衣: 笑、そっか。まぁでも、この予想をしても意味ないか。作った人によらない、料理の味だけで審査しないといけないんだし。
蓮加: けど、こういう予想は楽しくない?笑
麻衣: 笑、だから聞いてみたんだよ。
日奈子: はぁ〜〜次の料理も楽しみだな〜!!
○○: だね笑
キッチン
紗耶: よし、そろそろですかね。
理々杏: うん。私も。
2人は、それぞれ冷蔵庫内で寝かしていた物を取り出す。
理々杏: さ、パパッと衣をつけて、揚げましょうか。
紗耶: うんうん、良い感じかな。じゃあ、皮を用意してっと…
理々杏: …いや、やんちゃんのを見てからにしよう笑
紗耶: え、やめてくださいよ笑。緊張しちゃうじゃないですか。
理々杏: 笑、試練を与えよう。
紗耶: もう〜笑
さくら: どんな感じですか?
理々杏: あ、さくちゃん。やっと美月から解放されたんだ笑
さくら: はい。飛鳥先輩に任せてきました。
理々杏: へぇ〜笑。ちなみに、これからやんちゃんの最大の見せ場が始まるよ。
さくら: そうなんですか?笑。じゃあ見ます。
紗耶: ちょっと、さくちゃんまで〜
理々杏: さぁ、どうぞ?やんちゃん笑
紗耶: …頑張ります!
手早く作業をする手元と、なぜか顔にも来る視線に耐えながら、冷蔵庫で寝かせていた餡を皮に包んでいく。
さくら: すごい…
理々杏: 元々の器用さもあるんだろうけど、やんちゃん、相当練習したんだね。上手!
紗耶: もう、そんなに褒めないでくださいよ〜
さくら: この感じだと、美味しいのができそう。
理々杏: そうだね笑。じゃ、私も始めようかな。
さくら: 理々杏先輩のは……あぁ、何作るか分かった気がします笑
理々杏: まぁ、この油とこの袋の中身を見たらね笑
紗耶: あとは、そこの衣をつけて揚げるだけですか?
理々杏: うん。
さくら: ってことは……あと10分ぐらいで、理々杏先輩のは完成します?
理々杏: 多分、そのぐらいかな。
さくら: 分かりました。審査員達とお姉ちゃんに言ってきます。
理々杏: はーい笑
10分後
さくら: 次の料理です。
日奈子: わっ!唐揚げだ!!
春時: しかも一つ一つが大きい……男の好みが分かってやがる…
麻衣: 笑、確かに、男の人が好きなご飯のおかずの最上位に唐揚げは位置してるけど、女の人も大好きよ笑
蓮加: 蓮加は唐揚げ大好き!
日奈子: 私も大好き!
麻衣: ほら笑
春時: すみませんって笑
麻衣: 笑、食べましょうか。
日奈子: よっしゃぁああ!パクッ!……うぉぉぉおおお!!美味いいいい!!!
春時: もはや咆哮じゃん笑。パクッ…モグモグ…んん〜俺、好きだわ、これ。
○○: ご飯も進むバクバク
春時: それなバクバク
蓮加: これなら何個でも食べれちゃうよ!
麻衣: うん笑。多分、衣に小麦粉も片栗粉も使ってるっぽいね。
○○: 確かに。中がジューシーで衣がカリカリになってるから。
麻衣: そうそう…パクッ…モグモグ
日奈子: モグモグ…はっ!……の、残り…1つ……
○○: 食べるのが早過ぎるんだよ笑
日奈子: くっ、くそ〜!
キッチン
理々杏: よし、美月と交代だ。
美月: やっほ〜みんな、やってる?笑
理々杏: お、ナイスタイミング。交代ね、美月。
美月: うん!上手くできたの?理々杏は。
理々杏: それは、○○達に後から聞いてよ笑。じゃ。
美月: バイバイ。
理々杏: やんちゃんも、最後の焼き、頑張ってね。
紗耶: はい!焦がさないように気をつけます!
理々杏: 笑、うん。
3番目の理々杏がキッチンを出て、待機場所へ。
そして、最後の美月が入り、料理対決は最終局面に入る。
美月: おぉ、やんちゃんはそれか。上手にできてるね。
紗耶: ありがとうございます笑。美月先輩は、どんなのを作るんですか?
美月: 笑、フライパンを取り出した時点で分かっちゃうから、今秘密にしてもアレだけど、一応秘密笑
紗耶: ですよね笑
美月: 練習の時に色々と試してみて、美波と相談した結果、一周回ったって感じ。
紗耶: へぇ〜いつか、梅澤先輩の料理も食べてみたいものです。
美月: 多分、頼んだら食べさせてくれるよ笑
紗耶: そうなんですか?笑。なんか最近は、最初の印象とのギャップを感じて、すごく好きなんですよね、梅澤先輩が。
美月: 笑、直接それを伝えてみてよ。顔真っ赤になるから。
紗耶: 照れ屋さんというか、褒められ慣れてないって感じがします。
美月: うん。でも、そろそろ慣れてきそうでさ。少しの間、褒めないように頑張ろうかなって思ってるんだ。
紗耶: 褒めないように頑張るって、すごい変な言葉です笑
美月: だね笑。でも、それが必要なことなんだ。美波の真っ赤になる様子を見続けるためには。だから私は頑張る!
紗耶: 笑、気合い入ってますね。
美月: さ、私も作りますか。優勝する料理を笑
紗耶: おっと笑、負けませんよ。
美月: 笑
リビング
○○: 残り2品か。どんなのが来るんだろう。
春時: 楽しみだよな。
○○: うん。やっぱ、肉系?
日奈子: お肉!!
蓮加: 今のところ出てきたのは、鶏肉と牛肉?
麻衣: このハンバーグは……う〜ん、牛と豚の合い挽きっぽいけど。
○○: じゃあ、牛、豚、鶏、の定番の3つは出てきてるわけだ。
麻衣: うん。もしかしたら、次は別の肉が出てくるかもね笑
蓮加: え?別のお肉って言ったら…
春時: 羊とか鹿とか…まさかの熊?笑
日奈子: くまさん食べるの?!
春時: 臭みが強くなりやすくて、少し硬いみたいだけど、旨みはものすごいあるらしいよ。
日奈子: へぇ〜〜
○○: 笑、そんなのどこで知ったの?
春時: なんか、じいちゃんが言ってた。昔食べたことがあるらしい。
○○: あぁ師範が…笑、納得。
春時: だろ?笑
蓮加: 春時さんのおじいさんって、どんな人なんですか?お兄ちゃんは師範って呼んでるけど。
麻衣: あ、それ私も気になってた。○○は、その春時君のおじいさんに、よくお世話になってるみたいだからさ。
日奈子: え、そうなの?
○○: うん。毎週ではないけど、週末に行ける時には、春時のとこの道場に行って、師範に稽古をつけてもらってるんだ。
日奈子: またやってもらってるんだ。小学校ぶり?
○○: そうなるね。
麻衣: その春時君のおじいさんは、道場で格闘技かなんかを教えてるの?
春時: はい。うちには道場がありまして、そこで護身術を教えているんです。
麻衣: なるほど、そこの師範が春時君のおじいさんってわけね。
春時: そうです。
蓮加: 護身術か〜蓮加もやってみたいな〜
○○: 蓮加もか……どう思う?春時。
春時: やる気があるんなら良いんじゃない?平日の方には、小さい子も来てるし。
○○: なら大丈夫そうだね笑。蓮加、ほんとにやる気があるんなら、僕から師範に頼んでみるけど。
春時: あ、でもお金もかかるから、その辺は慎重にね。
蓮加: はい!
春時: すみません。道場の維持費とかその他諸々もありまして。
麻衣: 笑、当たり前でしょ。蓮加がやる気なら、私は構わないわ。
春時: そうですか笑
○○: で、本題の、師範がどういう人かってことだけど、師範は、強さと優しさを兼ね備えた人だよ。
日奈子: 春時のおじいちゃん、ものすごく優しいよね!
春時: 笑、男には比較的厳しいけど。
○○: でも、それも優しさから来る厳しさでしょ?
春時: まぁな笑。あとは……孫娘が好き過ぎる。
麻衣: 笑、つまり紗耶ちゃんのことが大好きなのね?
春時: はい。重度の孫好きです。
蓮加: へぇ〜笑
と、話が逸れた結果、春時の祖父、金川一についての話を○○達がしていると、キッチンからお盆を持ったさくらがやって来る。
さくら: 次の料理ですよ〜
日奈子: あ!やった!!
○○: じゃあスペースを開けないと…っと。
蓮加: なんだろうな〜
さくら: どうぞ。
テーブルに料理が置かれる。
蓮加: あ、餃子だ!しかも羽付きパリパリ!
日奈子: この羽が美味しいんだよね!!
蓮加: はい!
○○: では早速……パクッ…モグモグ…
日奈子: モグモグ…うまい!うまい!!うまい!!!
○○: 肉汁が溢れてくるよ、これ。
蓮加: おいし〜
麻衣: ほんとね。タレなしでも美味しいわ。
日奈子: ご飯にも合う!!バクバク
春時: だな笑(これは……紗耶が作ったやつか。)
○○: 正直、これまで食べた餃子の中で、1番美味いかも…モグモグ
春時: そう?(良かったな笑、紗耶。)
キッチン
紗耶: やっぱ、嬉しいですね。自分が作った料理の感想を言われると。
美月: 笑、私も早く褒められたいな〜
リビングの方から聞こえてきた、美味しいという声に、満面の笑みとなる紗耶を見ながら、美月は溶いた卵に、手元の調味料を入れる。
紗耶: 美月先輩なら、絶対大丈夫ですよ!
美月: そうだと良いけど笑
紗耶: だって、今回のテーマに合うようにって、ツナマヨを入れてるんですよね?
美月: まぁ、うん。
紗耶: ツナマヨは最強ですから。
美月: え、そこ?笑
紗耶: あとなにより、○○先輩への想いが込められてますし笑
美月: 笑、う〜ん、それもそっか。私のこの料理には、やんちゃんよりも、みんなよりも深く強い○○への愛が込められてるからね!
紗耶: っ!せっかく励ましたのに、そうやって言うんですか?!全く、ヒドいな〜笑
美月: 笑、冗談だって……ん?冗談?いや、私としては、みんなよりも○○を愛してる自信があるわけだから、冗談ってわけでも…
紗耶: 真剣に悩まないでくださいよ!紗耶だって、○○先輩への愛は、あの餃子に込めましたし、美月先輩よりも強い自信はあります!
美月: いやいやいや、私の方がある!
紗耶: 紗耶の方が!
美月: 私!
紗耶: 紗耶!!
飛鳥: 何を言い合ってんのよ。
美月: あ、飛鳥。
紗耶: 飛鳥先輩。
飛鳥: 向こうまで響いてんだけど。美月は料理中でしょ?料理に集中しないとミスるよ。
美月: …それもそうだね。今からは料理に全集中します!
飛鳥: うん。紗耶はどうする?こっち来る?
紗耶: どうしましょうかね……美月先輩のはすぐ完成しそうだし、こっちにいようと思います。
飛鳥: ん?美月の料理は……
コンロの上に置いてあるフライパンを見る飛鳥。
飛鳥: あぁ、確かに早めに出来上がるか。
紗耶: あと10分かかんないぐらいですかね。
飛鳥: じゃ、向こうにいる子達にも、もうすぐで審査が終わるって伝えとくわ。
紗耶: はい。
美月: よし、焼くぞ〜ここからが大変だぞ、美月。美波に教わった通り、丁寧にやっていくんだ。
飛鳥: 笑、頑張れ、美月。
フライパンの前で意気込む美月に、エールを送ってから、飛鳥は待機部屋の方に向かった。
待機部屋
珠美: なるほど、それで5日目の夜は函館山からの景色を見たんですね。
理々杏: うん笑、ものすごく綺麗だったよ。
珠美: 写真とかはないんですか?
理々杏: 残念ながら、景色に圧倒されて、写真を撮るのを忘れちゃって笑
珠美: うわぁ〜そりゃ残念です!
理々杏: ごめんね〜笑
飛鳥: 笑、また旅行の話をさせられてるの?
理々杏: あ、飛鳥。
珠美: すみません!気になったもので。
理々杏: 全然良いんだよ笑
飛鳥: 珠美はもう満足?
珠美: はい!たくさんお話を聞けましたから!
飛鳥: なら良かった。そろそろ美月の料理も終わるからね。
理々杏: そっか。
珠美: え、ってことは、投票も始まるってことですよね?
飛鳥: うん。
珠美: …ふぅ…緊張してきました。
理々杏: 笑、料理はもう審査済みなんだから、あとは祈っとくだけだよ。
飛鳥: それでも緊張はするもんだって。実際、私も少し緊張してるし。
理々杏: へぇ〜笑
飛鳥: どうする?さくが呼びに来るまで、ここで待ってるか、キッチンで様子を見るか。
珠美: 珠美は…キッチンに行きます。ここにいると、余計緊張して、心臓が飛び出ちゃいそうなので!
理々杏: そんなに?笑。でも私もキッチンに行こうかな。美月の料理の完成品も見ときたいし。
飛鳥: じゃあ、みんなでキッチンに行くか。
理々杏: うん。
珠美: はい!
10分後
さくら: 最後の料理です。
日奈子: もう最後か〜〜あっという間だった!
蓮加: ほんとそうですよね!
○○: さて、最後の料理は…
さくら: どうぞ。
○○: お、卵焼きか。
春時: サバの味噌煮に続く和食。なんか落ち着く笑
○○: うん笑
麻衣: 見た目的には、ツナ…かな?中に入ってるね。
○○: ツナか。絶対、ご飯に合う笑
日奈子: よっしゃ!最後の料理、気合い入れて食べるぞ!
その日奈子の言葉をきっかけに、5人は美月が作った、ツナマヨ入り卵焼きを食べる。
日奈子: パクッ……モグモグ……ん?うん…うまい!
蓮加: モグモグ…甘めの卵焼きか。うん、美味しい。
春時: なるほど、こんな味か笑…モグモグ
日奈子: ご飯も行くぜ!バクバク
○○: あぁ、ツナマヨだったか。うん、美味しいね笑
春時: やっぱ、ツナマヨは白米に合うな笑
○○: うん笑
麻衣: モグモグ……(これ……塩と砂糖間違えたのかな?…ツナマヨを卵で巻くにしては、ちょっと卵が甘すぎるような気がする…)
蓮加: にしても、すっごく綺麗だよね。蓮加も、この前やってみたけど、こんなに上手にはできなかったよ。
麻衣: ね笑。(直感だけど、美月っぽいな、これ作ったの。こんな初歩的なミスをしそうなのは、美月だけだし。でも、そうだとしたら、ここまで卵焼きを上手に焼けるようになるとは……成長ぶりに泣けてくる!)
○○: う〜ん、この中から選ばないといけないのか。
蓮加: めちゃくちゃ迷う!
日奈子: バクバク
春時: 笑、日奈子は米をかきこんでるだけじゃん。
日奈子: 大丈夫…バクバク…ちゃんと…バクバク…選んでるから!バクバク
さくら: それでは、皆さん。どの料理を選ぶか決めてください。
○○: よし、残してたやつを食べてみて…っと…
麻衣: モグモグ…
審査員の5人は、この料理対決のテーマである、白米に合うおかず、に1番ふさわしいと思う料理を決めるために、少しづつ残しておいた5品をもう一度食べる。
そして…
さくら: それでは、この5品の中で、最も白米に合うおかずだと思った料理の皿を、自分のところに引き寄せてください。
理々杏: …(さてさて、どうなるかな。)
飛鳥: (どうだ…)
紗耶: ふぅ……(○○先輩!)
珠美: …(やばい、心臓が飛び出る!)
美月: (お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いします……)
自身の料理が選ばれることを願いながら、5人が目を瞑って、さくらの結果発表を待つ中、審査員達は、各々で選んだ料理の皿を手で引き寄せる。
さくら: 結果は……
あまりの緊張に、結果を待つ5人の固唾を呑む音が揃って聞こえたような気がした後、さくらが結果を言う。
さくら: 引き分けです!
美月: え?
飛鳥: ん?
理々杏: そうなったか…
紗耶: う、うそ!
珠美: はぇ?!
思いもよらなかった結果に、5人は目を開け、審査員達の手元を確認する。
さくら: 審査員の方々が、全員異なる料理を選んだので、今回の料理対決の結果は、引き分け。勝負つかずとなりました。
麻衣: びっくりではあるけど……ま、どれも美味しかったからね笑
○○: うん。全部美味しいって思った僕からすれば、むしろ引き分けで良かったかも笑
春時: 俺も同じくだ。
蓮加: 蓮加も!
日奈子: もう、どれも美味し過ぎて、ご飯4杯もおかわりしちゃったよ笑
○○: それは食べ過ぎ笑
春時: いや、○○もほぼ変わらんだろ笑
さくら: じゃ、これで料理対決を終わります。ありがとうございました。
美月: え、えぇ…
飛鳥: …
紗耶: ……はっ!
珠美: ん?今終わったの?
5人の料理人が騒ぎ出すと、締めるのが難しいと感じたのか、さくらが素早く対決をお開きにしてしまったため、美月達は展開の速さについて行けず、唖然とした。
さくら: ふぅ〜やっと終わった。
○○: 笑、お疲れ様、さくら。
麻衣: ありがとうね。
さくら: ううん。さくも楽しかったから。
○○: そっか笑。それなら良かった。
蓮加: あの、誰がどの料理を作ったのか聞きたいです!
理々杏: うん笑。私はね、その蓮加ちゃんが選んでくれた、唐揚げを作ったんだよ。
蓮加: あ、そうなんですか?!めっちゃ美味しかったです!!
理々杏: ありがとう笑。選んでくれて、嬉しい。
春時: このサバの味噌煮は?
珠美: …
理々杏: 笑、たまちゃんでしょ?
珠美: っ!!は、はい!あ、春時先輩!
春時: へぇ〜これ、珠美が作ったんだ。最高に美味かったぞ笑
珠美: ありがとうございます!!笑
日奈子: ハンバーーグ!!は?!
飛鳥: 伸ばすなよ。別のに聞こえるだろ。
日奈子: やっぱり、あっしゅん?
飛鳥: やっぱり?…まぁそうだけど…
日奈子: いぇーい!!私の勘が当たった!!
飛鳥: どういうこと?
○○: さっき、日奈子がこのハンバーグを作ったのは、飛鳥な気がするって言ってたんだよ。
日奈子: エッヘン!
飛鳥: …笑、もはや怖いわ。
日奈子: え〜〜!なんでそんなこと言うの〜仲良い証拠じゃん!!
飛鳥: はいはい笑
美月: ポケー
麻衣: 笑、美月はいつまでそうやってるの。
美月: …はっ!今どういう状況?!
麻衣: 料理対決の結果は引き分けに終わって、みんなで感想を言い合ってるって状況。
美月: そ、そう…
麻衣: ちなみに、美月の卵焼きは…
美月: あ!誰が選んだの!○○?!
○○: え、あ、いや、その…
麻衣: 私で悪かった?笑
美月: っ!!ち、違うよ!お姉ちゃんが選んでくれて、めちゃくちゃ嬉しいよ!
麻衣: 笑、そんなに焦らなくても良いわ。美月の気持ちは分かるし。でも、よく頑張ったね。
ポン
悔しそうな表情を浮かべている美月の頭の上に、麻衣は手を乗せる。
美月: あ、ありがと……
麻衣: 笑、練習して、リベンジしよう。
美月: うん!
そんな、みんなの様子を見ることもなく、○○の手元をただじっと見ている人がいた。
紗耶: …
○○: ってことは、この餃子を作ったのは、紗耶ちゃん?
紗耶: ……はい!
自分の料理を○○が選んでくれたという、嬉し過ぎる現実を時間をかけて受け止め、紗耶は目を潤ませながら大きく返事をする。
○○: いや〜紗耶ちゃんが料理上手だってことは知ってたけど…本当に美味しかったよ。
紗耶: あ、ありがとうございます!紗耶、めっちゃ嬉しいです!!
○○: 笑、こちらこそ、ありがとうね。
紗耶: はい!笑
満面の笑みで紗耶がそう答えて、この日の料理対決は真に終わった。
しかし、他4人の料理人達は、嬉しさの裏で悔しさを噛み締め、リベンジを心に決めるのであった。
その日の夜
美月: う〜ん、どこが悪かったんだろうな〜
キッチンで麻衣が夕食の洗い物をしている中、1人ソファに座る美月がそう呟く。
麻衣: 笑、美月。自分で作ったのを食べなかったのね。
美月: うん。そんなに量を作れなくて。
麻衣: じゃあ………次からは、塩と砂糖を見間違えないように笑
美月: え………間違えてた?
麻衣: 多分。
美月: ………オーーーノーーーー!!!!!
こうして、○○の家に美月の叫びが響き、日曜日の夜は更けていった。
to be continued