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ただ守りたい… 133話

乃木高文化祭の最終日は、アンチの襲撃により、同時多発的にトラブルが発生した。

しかし、風紀委員やその他生徒、そしてその場に居合わせた一般の参加者達によって、少しずつではあるが、収束に向かっていく。


図書室

下位1: もう、ダラダラと文句垂れてるだけじゃ、つまらねぇ。ここにある本全部、ビリビリに破いてやるよ。

下位2: だなw

図書委員1: ちょっと!それは禁句…

下位1: あ?

鈴木: ほう…今、本を全部ビリビリに破くとおっしゃいましたか?

下位1: wあぁ。言ったが?

鈴木: そうですか。私の聞き間違いではなかったんですね。

図委1: マズ…

図委2: だから、さっさと追い出すべきだったんだよ!

図委1: いや、でもさ…

鈴木: 本を粗末にする人は許せません。排除します。

下位1: は?w

鈴木: フッ!!

ロングスカートを綺麗に開かせながら、素早く体を回転させ…

ビュンッ!!

バチンッ!!

下位1: ガハッ!!

男の首に、右足を叩きつけた。

鈴木: 全く…

下位2: こ、この…こうなったら人質だ!!

そう言って、下位2は近くで机に突っ伏していた女子生徒を抱えようとする。

下位2: こんな小さいガキを人質にされたら、お前らも手は出せないはず…

??: …ん?小さいガキ?

下位2: あ?

鈴木: あら、お目覚めですか、祐希ちゃん。

祐希: なんか、今…小さいガキって聞こえたけど…それって祐希のこと?

下位2: だ、だからどうした!

祐希: …ガキじゃないし、小さくないし!!失礼なヤツだな!!!!

寝ぼけたままの祐希は、男の言葉に大激怒し、椅子から跳び上がる。

その結果…

ゴンッ!!

下位2: ヒグッ!!

ドサ

祐希: …ムニャムニャ……zzzz

祐希の頭が下位2の顎に直撃し、下位2は倒れ、祐希は椅子に座り直して、再び夢の世界へ旅立った。

鈴木: あらあら笑

図委2: す、鈴木、大丈夫か?

鈴木: はい、問題ありません。早く、この人達をここから追い出して、読書を再開しましょう。

図委1: りょ、了解です。

鈴木: あと、図書委員の中で、手が空いている人は、風紀委員の手助けをお願いします。私もこの本を読み終わったら、すぐに向かいますので。

「はい。」

読書カフェであるため、図書委員達は静かな返事をして、各自動き始めた。


第1体育館

田村: うわぁ!部長!こっちに来ましたよ!!

部長: いやいや、僕は喧嘩とかできないから、盾にしないで!!

下位3: おらよ!!w

山崎: まゆちゃん、目の前のそのロープを引っ張って!

田村: は、はい!!

グイッ

ピンッ!

下位3: あっ!

ドサーー

山崎の指示で、田村がロープを引っ張ったことにより、下位3の進行方向にあったロープがピンと張られ、それに足を引っ掛けて下位3は転んだ。

田村: や、やった!やりました!!部長!!

部長: お、おぉ…

山崎: 笑、風紀委員の誰か来て!

倒れた下位3の上に乗っかりながら、山崎が風紀委員を呼ぶ。

風紀委員1: はい!

部長: ふぅ…何とかなった…

山崎: せっかくの研究発表、途中になっちゃったね。

部長: 山崎か…でも、しょうがないよ。こうなったら続きはできない。

田村: どうしましょう、部長。

山崎: …よし、乃木高新聞部の文化祭特別号のコラムにでも、空想生物研究部の研究成果を載せようか。

部長: え、良いのか?

山崎: うん。思ってたよりも面白かったし。私から頼んどく。

部長: っ!マジでありがとう!!山崎!!

田村: やった!!私のツチノコ研究の成果が新聞に!!!

山崎: 笑、これで、第1体育館のトラブルは解決かな。風紀委員の子、外の状況はどんな感じ?

風委1: まだまだって感じです。

山崎: そっか…じゃあ、放送でお客さんと協力してくれる人の誘導をしよう。

風委1: よろしくお願いします!

山崎: うん。すぐに放送室に行くから、若に情報を共有するように言っといて。

風委1: 分かりました!!

山崎: あと、まゆちゃんは生徒会室に戻って。今、手が足りてないと思うから。

田村: はい!!部長!お元気で!

バタバタ

山崎: ってかさ、まゆちゃんは部長って呼んでるけど、アンタ元部長だよね?笑

元部長: まぁ、そんなツッコんでやるな笑。今の部長にはちょっと気の毒だが、今回の発表が終わるまでの辛抱だから。

山崎: 全く笑

元部長: さ、早く行け、放送委員長。

山崎: はーい笑


第3武道場

下位4: グアッ…

ドサ

「おぉー」

パチパチパチ

部長: と、こんな感じで護身術を身につけていれば、危険を回避できる可能性が高くなります。では、先程の私の動きについて説明を…

畳に倒れる下位構成員の横で、アクション部の部長は話を始める。

紗耶: 今の凄かったねボソッ

掛橋: うん。私も護身術、教えてもらおうかなボソッ

紗耶: でもさ、一応ここアクション部なんだよね?それなのに護身術を教えてくれるの?ボソッ

掛橋: 確かに変だボソッ

部員: 笑、どうしたの?何か質問?

掛橋: あ、いえ、アクション部なのに、護身術も教えてくれるなんて、ありがたいな〜って思って。

部員: あぁ笑、それはね。2年生のとある部員が、アクションをやるんなら、本格的な護身術も身につけちゃいましょう!って言ったことで、今は、アクション部兼護身術部みたいな感じになってるの。

紗耶: へぇ〜

掛橋: その部員の人、中々アレですね。

部員: 笑、まぁ確かに不思議な子ではあるけど、すごく良い子なんだよ。

掛橋: そうなんですね。

と、アクション部の女性部員と、紗耶と掛橋が話していると…

上位: なんだここ。武道場のくせして、人が群がってんじゃん。

入口から1人の男が入ってくる。

部員: あ、新規さんですか?

上位: 新規?今、ここでは何やってんの?

部員: アクション部によるアクション道場というのを、やっています。

上位: へぇwアクション道場ね。で、そこに転がってんのは?

部員: 転がってるというと?

上位: ほら、そこの畳の中央で寝てる奴。

部員: あぁ、あの人はですね。突然ここに怒鳴り込んで来たので、我々のお手伝いをしてもらったんです。

上位: お手伝い…なるほどなw

部員: …もしかして、お知り合いだったりします?

上位: ま、知り合いと言われれば、知り合いだな。

部員: それは申し訳ございませんでした!

上位: w別に構わねぇよ……ただな。

部員: …

上位: 俺もやらせろw

部員: え?

上位: 俺も、そのお前らの手伝いとやらをしてやる。あの様子から見て、あそこの男と戦ったんだろ?うちのは。

部員: は、はい。

上位: 俺は、そこの倒れてるヤツよりは強いから、もっと手伝いができると思うぜw

部員: それは、その…

上位: なんだ、断るのか?うちのをボコしたのに。

部員: …上に聞いてきます。

上位: おうw

数十秒後…

上位: 結果は?

部員: よろしくお願いします。

上位: wwよっしゃ。

部長: 突然ですが皆さん。これから、再び実践式で説明をしたいと思いますので、壁際に移動をお願いします。

その部長の一言で、武道場にいた人々が壁際に沿って座り、部長と上位構成員の2人だけが、畳の中央に立つ。

部長: お手合わせ、よろしくお願いします。

上位: おうw

部長: では、開始の合図を。

部員: は、はい!……始め!!

部長: そちらからどうぞ。

上位: お、じゃあお言葉に甘えてw

およそ10秒後…

部長: う、うぅぅ…

上位: こんなもんか…ざっこw

うつ伏せに倒れている部長の背中に、足を乗せ、笑みを浮かべながら見下す上位。

上位: はぁ、そこのを倒したって言うから、少し期待したが、ま、学生だし。

グリグリ

部長: グァァ…

部員: や、やめてください!!

あまりに衝撃的な光景に、唖然としている観衆の中、紗耶達と話し、上位構成員を道場内に招き込んだ女性部員が、制止の声をあげる。

上位: ww自業自得だよ。弱いくせしてイキって…

ドンッ!

部長: グハッ!

上位: 指導者のフリをして…

ドンッ!

部長: ガッ!!

上位: 全部、弱いコイツのせいだw

ドンッ!!

部長: ガァァッ!!!

部員: 部長!!

上位: wあ、良いこと思いついた。コイツを助けたければ、俺に勝ってみろ。どうだ?w

グリグリ

部長: …

部員: クッ…

武道場にいる全員が、先程の上位の強さを見ているため、その言葉に何も言えず動けない。

上位: はっw、弱い奴ばっかなんだな、乃木高の生徒は。こんな感じじゃ、どうせ警戒していた風紀委員も大したことないんだろうな。

と、上位が笑いながら話を続けると…

紗耶: そ、そんなことないです!

掛橋: ちょっ、やんちゃん?!

上位: あ?

紗耶: 乃木高の風紀委員は、弱い人ばっかりじゃないです!

掛橋: マジ?ボソッ……(この展開はマズい…誰かに連絡を…)

上位: ほうw……そうか。良いな、お前。大人でさえ、こうやってビビってんのに、俺に面と向かって意見を言えるとは。

紗耶: …ゴクン

上位: 気に入った。俺と戦え。

紗耶: え?

掛橋: は?

部員: ん?

予想外の言葉に、その場にいた全員が頭に疑問符を浮かべた。

上位: wどうした。思ってた言葉と違うか?例えば、俺の女になれ、とか俺と遊ぼうぜ、みたいな言葉を予想してたんだろ。

紗耶: ま、まぁ…

上位: 残念ながら、俺はあんまりそういうのに興味がなくてな。とにかく人を殴るのが好きでよ。その殴る感触も好きだし、こうやって人を痛めつけるのも、痛がってる奴を見るのも好きなんだよ。

グリグリ

部長: グッ…

上位: ってことで、こっちに来い。

紗耶: い、嫌です!紗耶は戦えないので!

上位: そんなのどうでも良いんだよ。今言っただろ、俺は人が痛がってるのを見るのが好きなんだって。そりゃあ、俺も男だから、より美人な女が痛がってる様子を見る方が好きだし。

部員: だ、だったらその子の代わりに私が!

上位: お前、ソイツより自分の方が美人だって思ってんのか、自意識過剰だなww

部員: ち、違う!そういう事じゃなくて…

上位: まず、お前はソイツと違って、俺にビビってたんだから、そもそも俺と戦う権利がもうねぇんだよ。お前には。

部員: そ、そんなの…

上位: ま、良いや。やるんならさっさとかかってこい。

部員: クッ…はぁぁ!!

上位: おっそw

バコッ!!

部員: グハァッ!

簡単に顔を殴り飛ばされ、女性部員は倒れた。

上位: あ、俺は女でも手加減しないタイプだから、どうなったかは知んねぇよw

紗耶: っ!!…

上位: それと、そこの女以外は邪魔だから、どっかに行け。

そう上位が言ったことで、武道場にいた大半の人々が、大慌てで武道場を出て行き、武道場には、上位と倒れている部長に女性部員、下位構成員、そして紗耶と掛橋も残った。

上位: で、なんでお前は残ってんの?

掛橋: 私はその子の友達だからです。

紗耶: さぁちゃん…

上位: wwお前も良いな。ソイツの後はお前に決めた。

掛橋: やんちゃん、どうするつもりボソッ

紗耶: そ、そんなの紗耶も分かんないよボソッ

上位: よし、コイツらを退かして…っと…

畳の上に倒れている3人を、蹴って壁際に寄せる。

上位: お前が、そこの畳から内側に入ってきたら、勝負開始で、これから1分間内側に入ってこなかったり、逃げようとしたら、問答無用で勝負開始だ。

紗耶: …

上位: 残り60秒w

掛橋: …

紗耶: …さぁちゃん。紗耶、行ってくる。だから、紗耶が戦ってる間に、さぁちゃんは逃げて。

掛橋: いや、戦うって言っても…それに…

紗耶: お願い。さぁちゃんだけでも。

掛橋: …嫌だよ…

紗耶: お願いだからね。じゃ、またね。

そう言って、紗耶は上位に向かって歩き始める。

上位: wwやっぱり良いな、お前。

掛橋: やんちゃん!!

紗耶: ゴクン……ふぅ…ふぅ…

緊張と恐怖で浅くなっている呼吸を繰り返し、鳴り止まない鼓動を何とか落ち着けようとする紗耶だが、それができないまま、上位が示したラインの一歩手前まで歩き…

紗耶: お願いします。

頭の中で、昔から見てきた金川道場での祖父や兄の様子を思い浮かべつつ、一礼をして戦場に足を踏み入れた。

紗耶: (じいじ、兄貴。紗耶に力を貸して!)

上位: もしかして、格闘技齧ってるタイプか?w

紗耶: ふぅ…

上位: 楽しめそうだな!!!

そう叫び、上位の拳が、紗耶の顔目掛けて放たれ…

紗耶: っ!!

その迫力に、紗耶は目を瞑ってしまう。

上位: チッ…死ね!!

掛橋: っ!!!

パシンッ!

武道場に、拳を手で受け止める音が響いた。

??: 俺の妹に、何してやがんだ。

紗耶: え…

上位: んだ、てめぇは。

紗耶: あ、兄貴…

掛橋: 良かった、間に合った…春時先輩…

春時: 俺は、お前が殴ろうとしてた、この子の兄貴だよ!!

そう言って、紗耶を抱き寄せつつ、掴んだ上位の拳を押し戻す。

春時: 後ろに下がっといて、紗耶。

紗耶: う、うん…

掛橋: やんちゃん、外に出よ!

紗耶: で、でも…

春時: 紗耶。さぁちゃんと一緒に、外に出とけ。危ないから。

紗耶: …分かった。

そうして、紗耶と掛橋は無事、武道場の外に出た。

上位: ったく。せっかくの獲物を逃がしやがって。

春時: 獲物だと?

上位: でも、さらに楽しめそうな奴が来てくれたから、良いかw

春時: 何者だ、お前は。

上位: 俺は…そうだな。どうせ捕まったヤツがいたら、バレるだろうし良いだろう。俺らはアンチっていう組織の構成員だ。

春時: アンチ…

上位: ま、そんなことどうでも良いがな。早速やり合おうぜ。

春時: ふぅ…(コイツが本当にアンチなら、ここで倒さないと。それに、紗耶を傷つけようとしたコイツは、絶対許さん!)

2人は向かい合って構える。

上位: 行くぞ!!

ブンッ!!

畳を踏みしめて上位が放った右拳を、春時は少し横に移動して回避する。

春時: …

上位: オラッ!!

その春時を追うように、上位は上半身を回転させて、裏拳を当てようとするが…

バチンッ!

春時: クッ…(重っ)

両腕を顔の前で閉じて、春時は裏拳を防御する。

上位: フンッ!!

防御した瞬間の硬直を見逃さず、上位は振りかぶった左拳を春時に叩きつけた。

ドンッ!!

春時: グッ…すげぇ威力…

それも何とか防御し切った春時だが、これまでに受けたことのないような上位のパワーに腕が痺れる。

上位: wwお前、俺よりは弱いが、ここ最近で戦った敵の中では、一番強いぜ。

春時: そりゃどうも……ふぅ…(何とかして勝ち筋を見つけなきゃだな……そのためには攻め手に回らないと)

ダンッ!!

畳を蹴り、春時は上位に接近しつつ、右手を顔に突き出す。

突き出した右手で、上位の死角を作り出し、右足の下段を入れにかかる。

上位: うぉっ…危ねぇw

当たる寸前で上位が足を上げて、それは避けられるが、片足を上げて体勢が不安定な状態を好機と捉え、すぐに連撃を仕掛けた。

春時: ハッ!!

上位: クッw

左拳、右拳、右膝、右肘、左肘と、防御される前提で、威力が高く、隙の少ない攻撃を打つ。

しかし、上位はそれを全て捌いた上で、春時の腹を前蹴りで押し込んだ。

春時: グハッ!……ふぅ…ふぅ…(コイツ、多分、あの京都で○○と戦ってたヤツより強いぞ。)

上位: ほらほら、こんなもんじゃないだろ?wもっと遊ぼうぜ!

ブンッ!!

ビュンッ!!

パシンッ!

ドンッ!!

腹の痛みを堪えつつ、痺れる腕を無理やり動かして、最小限の動きで、上位の攻撃を避け、弾く。

春時: (正直、今の状態じゃ、コイツは倒せない。)

上位: どうしたどうした?!もっと楽しませろ!!

春時: (だが、あれを使えば……)

上位: このままだと、負けちまうぞ!

春時: (いや、でも…)

上位: そうなれば、お前の妹はどうなるんだろうな!

春時: ふぅ…(やるしかないな。今の俺にできる最強の一撃をコイツにぶつけてやる!)

上位: 倒れてるお前の目の前でボコボコに…

春時: いつまで喋ってんだよ!!クッ…

ドンッ!!

受け続ける一方だった春時が、一旦距離を取るためにと、捨て身で上位の腹に左の縦拳を打ち込む。

上位: ww距離なんか開けさせるかっての!!

だが、その威力に後退することもなければ、怯むこともなく、上位はさらに春時との距離を詰めた。

春時の思惑通りに。

上位: 死ねや!!w

左の縦拳を打った体勢のままの春時を見て、上位は笑いながら右拳を十分に引き上げて、打ち出そうとする。

その瞬間…

「ざっと言えば、武炎というのは、自身の体が受けた力を、余すことなく攻撃や移動に費やす武術なんじゃ。」

春時: 武炎!!

ダンッ!!!

音を鳴らして畳を踏み、それによって畳から返ってきた力を、腰の回転と肘の回転で右の掌底まで運び、その力を上位の肩にぶつけた。

ゴキッ!!

上位: グガッ!!

春時: ハッ!!

そしてすぐに、春時は上位の腹に横蹴りを入れ、後退させる。

上位: グフッ…ふぅ…

春時: 舐め過ぎだぞ…

上位: クッ…肩がぶっ壊れたか…w

春時: まだやるか?

上位: …

少し距離が開いた状態で、構えを崩さないまま、睨み合う2人。

上位: チッ、やめだ。今は遊びじゃなくて仕事だからな。これ以上のダメージはマズい。

春時: …

上位: 追ってくんなよw

そう言って、上位は右肩を押さえながら、武道場を走り去り、その背中が見えなくなった後…

春時: はぁぁあああ〜

ダンッ

畳に背中をつけ、天井を眺めながら、長い息を吐いた。

春時: マジで助かった〜!!(あのまま戦ってたら、確実に死んでたわ。腕も限界だったし、あの武炎の一撃は初見じゃないと当たらないだろうからな。まだまだ習得途中で、地面を蹴る音が鳴る……もっと強くなんないと。)

と、少し体を休めながら、考えていると…

紗耶: 兄貴!大丈夫?!

掛橋: 春時先輩!!

春時: あ、紗耶、さぁちゃん。

武道場に戻ってきた2人が、倒れている春時に駆け寄る。

春時: すぐに、厚生委員と風紀委員を呼んでくれ。あの2人は早めに診てもらった方が良いだろうし、あの男は早めに捕まえないと目を覚ます。

掛橋: 既に呼んでます!

春時: 笑、さすが。

紗耶: それよりも、兄貴は?!

春時: 俺は…まぁ大丈夫だ。あと少し休めば動ける。

紗耶: ほんと?

春時: あぁ……よいしょ…ほら。

紗耶: ほらじゃないよ…もう!心配させないで!

春時: それはこっちのセリフだぞ笑。さぁちゃんから、紗耶がピンチって連絡が来た時には、肝が冷えたんだから。

紗耶: …ありがと。

春時: 当たり前だ。兄貴なんだから。それに、紗耶もよく頑張ったよ。

紗耶: うん。紗耶は頑張った。

春時: 笑、俺はもう行くから。2人はここ、よろしく。

紗耶: どこ行くの?

春時: …○○を探してくる。

紗耶: ○○先輩を?

掛橋: なんでですか?

春時: ま、ちょっとな。2人は○○がどこにいるとか知ってる?

紗耶: いや知らない。

掛橋: 私もです。

春時: 了解。じゃ、気をつけて。

紗耶: うん、兄貴こそ!

掛橋: 頑張ってください!

笑顔の2人に見送られて、春時は武道場を出て、○○を探しつつ、各所のトラブルの解決に協力するのであった。


to be continued



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