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ただ守りたい… 173話

ガチャ



○○: よいしょっと……



リビングに戻ってきた○○は、ダイニングテーブルに向かう椅子の上に、運んで来た木箱を置く。



○○: ふぅ。


麻衣: え、なにそれ。


さくら: 木箱……



何が届いたのかと、○○の所に近寄った麻衣とさくらは、椅子の上の木箱と○○に視線を動かしながら、不思議そうに首を傾げる。



○○: 笑、これはなんとね……



ニヤニヤとしながら、○○は先の言葉を止め…



さくら: なんと?


麻衣: まさかの?


○○: 父さんとお義母さんからのお届け物です!!


麻衣: えぇぇ!!!………って、うそ?マジ?!



その先の言葉に、二重に驚く麻衣。



○○: 笑、どういう反応。


さくら: 多分、お兄ちゃんが何を言っても驚くリアクションをしようと準備してて、実際にお兄ちゃんの言葉にそのリアクションをした後、本当にその言葉に驚いたって感じでしょ。


麻衣: …冷静な分析をどうも………で、マジでお母さんとお義父さんからのなの?


○○: そうだよ。


さくら: 珍しい…というか、これまでに、こういうのはなかったよね?


○○: う〜ん、まぁ正確には、麻衣姉さん達が来る前日に、一度だけ父さんから送り物があったけど、それ以外ではないね。


さくら: そうなんだ。にしても、中身はなんだろう……木箱に入ってるんだから、良い物な気がしなくも…


麻衣: 開けてみよ!



子供のような笑顔で、麻衣が言う。



○○: だね笑。じゃあ、一旦、下の部分を拭いて…


麻衣: はい。



濡れ布巾を○○に渡す。



○○: お、ありがと……よし。



汚れている可能性のある箱の下を拭いて、テーブルの上に乗せる。



麻衣: これ、パカッていけるかな?


○○: おそらく。


さくら: いけるでしょ。蓋みたいになってるもん。


○○: だよね。なら早速……



木箱の蓋らしき部分に手を添える○○。

そこが蓋だと信じて、上に開けようとした時…


ガチャ



美月: 戻ってきたよ〜


蓮加: 蓮加も!



自分の部屋にある私物に御守りを付けてきた2人が、リビングに戻ってくる。


そしてすぐに、テーブルの上、○○の手元にある面白いものを発見し、近づく。



美月: ねぇねぇ、何それ!


蓮加: おっきな木箱!


さくら: お母さんとお義父さんからの送り物だって。


美月: え、ほんと?!


蓮加: 中身は?!


○○: 今から確認するところ……って…



手元に集まる強い視線を感じ、パッと両隣を見る。



美月: キラキラキラ


蓮加: キラキラキラ



姉とは思いたくない姉と、可愛い妹からのキラキラ光線が、自分の両手とその先にある木箱に注がれていると気づき、○○は笑いながら、木箱から手を離した。



○○: 笑、そんなに開けたい?


美月: 開けたい!


蓮加: 蓮加が開ける!


麻衣: はいはい笑、2人で一緒にね。


美月 蓮加: はーい。



長女の仲裁で、2人は大人しく、両側から木箱に手を置く。



蓮加: お姉ちゃん、いくよ。


美月: うん。せーのっ!



その合図で、美月と蓮加は同時に、木箱の蓋らしき部分を上に上げる。


すると…



美月: おぉ!これは!……ん?


蓮加: またまた黒い箱だ…


麻衣: 黒い……あぁ笑、やっぱり。


○○: っぽいよね笑


さくら: ちゃんと蓋だった……



その木箱の中から、さらに黒い箱が現れ、皆はそれに注目する。

まぁ、約1名、別の感想を抱いた者もいたが。



蓮加: え、お姉ちゃんとお兄ちゃんは、この箱が何なのか分かったの?


○○: うん笑。だって、この元旦に、縁起の良さそうな黒い箱となれば……ねぇ笑


美月: 縁起が良さそう?…………はっ!


麻衣: 笑、美月も分かったか。さくらと蓮加は…


さくら: ふ〜む………


蓮加: う〜ん……



2人は揃って頭を悩ませる。



麻衣: 今日は元旦、というかお正月。お正月といえば、アレ!っていうものがあるでしょ?笑


蓮加: お正月といえば……


さくら: ………あぁ、アレか。


蓮加: え、お姉ちゃん分かったの?!


さくら: ふふ笑、まぁね。



静かにではあるが、勝ち誇ったような笑みを浮かべるさくら。



美月: ドヤ顔笑


麻衣: じゃあ、最終ヒントね。


蓮加: うん!


麻衣: お正月に食べる物と言ったら?



と、麻衣が優しい笑顔で、ヒントを言うと…



蓮加: あっ!!!分かった!!!



目と口を大きく開けて、蓮加が手を挙げた。



麻衣: 笑、答えは?


蓮加: 答えは〜



テーブルの中央にある黒い箱の上端を持ち…



蓮加: 御節!!!



蓋を開けながら、その答えを言った。



美月: あ!蓮加ズルい!って、すごっ!!


麻衣: うわぁ〜お笑


さくら: 美味しそう…


○○: 父さん達、奮発したなぁ笑


蓮加: 早く食べたい!!!



そして、現れた御節料理に、全員が目を輝かせながら、口々に感想を言うのだった。




10分後



麻衣: では、手を合わせて。


「いただきます!」



4つに分けられた重箱それぞれに入った御節料理を前に、○○達は手を合わせて、挨拶をした後…



美月: まずは焼き魚!


蓮加: 黒豆!


麻衣: 筑前煮食べよ!


さくら: 栗きんとん…


○○: 伊達巻は〜っと…



各々の好きなものから食べ始める。



麻衣: モグモグ…ん〜美味しい。


○○: ね。パクッ


美月: 海老も食〜べよ!


蓮加: 蓮加も伊達巻食べる!


さくら: 栗きんとん…


麻衣: モグモグ…さくら。みんなのことを…


さくら: 栗きんとん食べる人は、先にとって。



箸を空中に止めたまま、皆の顔を見る。



○○: はいはい笑


麻衣: 全く…


美月: ほんと、さくらは食べ物への執着が強いな〜


蓮加: というより、好きな食べ物への好き度が強過ぎるんじゃない?笑


美月: 言えてる笑。みたらし団子しかり、栗きんとんしかり。


さくら: 早くっ!


美月: 笑、分かったって。


蓮加: ちょっとだけね〜



餌を前に待てを命じられた、子犬のような目でさくらが見る中、4人は自分が食べたい分だけの栗きんとんを、皿に取り…



さくら: もう、いいね?


麻衣: GO!


さくら: ありがとうございまパクッ…モグモグ


○○: 笑、最後まで言えてないじゃん。



重箱の中に入っていた栗きんとんを全部、自分の皿に乗っけた上で、食べ始めた。



さくら: モグモグ…モグモグ


○○: ほんと、さくらは和菓子が好きだね〜


さくら: 大好きモグモグ


○○: 笑、そっか。



と、楽しく食事の時間を過ごしていると……



プルルル



麻衣: ん、私の携帯だ……って、お母さんじゃん!



携帯が鳴り、その持ち主である麻衣が、画面を確認すると、その電話をかけてきている相手は、なんと、こちら側から電話をしても、中々かかることのない、かおりであった。



蓮加: え、お母さん?!


さくら: っ!


美月: 早く出てよ!


麻衣: 分かったってば笑



妹達に急かされながら、麻衣は電話に出て、すぐにスピーカーにする。


ピ



麻衣: もしもし?


かおり T: もしもし、やっほ〜みんな!


蓮加: お母さん!


美月: やっほ〜


かおり T: お、これはもう既に、スピーカーだな笑


麻衣: 笑、そうだよ。


かおり T: なら、こちら側も……ほら、統さん。


統 T: あぁ、はいはい笑。みんな、あけましておめでとう〜今年もよろしく〜



向こう側もスピーカーにしたようで、統の声で新年の挨拶が聞こえる。



○○: 笑、こっちも合わせて言おう。


麻衣: だね。みんな、せーのっ!


「あけましておめでとうございます。これからもよろしくお願いします!」



5人も、声を合わせて、新年の挨拶を返した。



かおり T: こちらこそ、よろしくね〜って、よく揃ったわね笑


統 T: それだけ、みんなが仲良くなったって証拠だろ笑。な?


蓮加: はい!


美月: 超仲良しです!


統 T: そうかそうか笑


かおり T: みんな、元気?


麻衣: 元気だよ笑。今朝もみんなで初詣に行ってきたし。


かおり T: へぇ〜お参りしてきたんだ。


麻衣: うん。


かおり T: 御守りは?


蓮加: ちゃんと去年の分は、お焚き上げに持って行って、新しいのを買ったよ!


かおり T: 笑、上出来。それで、蓮加はもちろん、学業御守を買ったんでしょうね?


蓮加: 当たり前よ!これで受験も大丈夫!


かおり T: 笑、詰め込みをきちんとやったらね。


蓮加: や、やるに決まってんじゃん…



という、弱々しい娘の言葉を電話越しに聞いた母は…



かおり T: 麻衣、頼んだよ。


麻衣: は〜い笑



頼りになる長女に任せた。



麻衣: ちゃんと、ゲームの時間も決めて、もしそれを破ったら……ねニコッ



隣にいる蓮加を見ながら、笑顔を作る麻衣。



蓮加: は、はい!


統 T: 笑、良い返事だな。蓮加ちゃん、乃木高に行けるよう、頑張るんだぞ。


蓮加: 頑張る!!……はっ!そのためにも、お兄ちゃん、マンツーマンでよろしく!



突然、何かを閃いた蓮加は、向かい側にいる○○へ、グッドポーズを向ける。



統 T: お、良いじゃないか。お兄ちゃん、可愛い妹に教えてやれ笑


○○: 頼まれなくても、教えるよ笑


蓮加: じゃあ、今日から当日まで、夜は蓮加の部屋で、家庭教師をお願いします!


美月: なっ!


麻衣: 笑、そういうことね。


さくら: 蓮加め…



末っ子の策略に気づいた姉達は、それぞれの反応を見せた。



麻衣: 考えたわね〜笑



感心する長女に…



美月: ダメに決まってるでしょ!



反対する次女。



さくら: ムゥ…



そして、何も言わずに、少し頬を膨らませる三女。



蓮加: いひひ笑、ねぇお母さん!お義父さん!これ、良いアイデアだよね!


統 T: そうだな〜かおりはどう思う?


かおり T: ふふ笑、みんなの今の表情が想像できるわね〜ちなみに、○○君は乗り気?



答えを出さずに、○○に聞く。



○○: えっと、まぁ、僕的には問題ないけど……


美月 さくら: ジィーーーー


○○: さすがに毎日はアレだから、週3とかでどう?もちろん、分からないところがあったら、すぐに聞きに来てもらって良いからさ。


かおり T: なるほどね〜蓮加、○○君の提案でどう?


蓮加: う〜ん、ほんとは毎日が良かったけど……


美月 さくら: ジィーーーー


蓮加: 笑、しょうがない。週3で良いよ。



やれやれといった表情で、蓮加は言う。


するともちろんのこと…



美月: このっ!


さくら: ……



美月は大きく目を開き、逆にさくらは瞳が冷たくなっていく。



蓮加: きゃ〜お姉ちゃん達、こわ〜い!



そう言って、蓮加は笑顔で○○の方に回り込み、後ろから抱き着いた。



ギュッ


○○: おっと……笑、まぁまぁ、美月もさくらも落ち着いて。


美月: …全く。


さくら: テストまでだからね。


蓮加: は〜い笑


麻衣: といった感じで、毎日を楽しく過ごしてるよ笑



電話の向こうにいる母と義父に、妹達の普段の様子を紹介するような形で、麻衣は締め括った。



統 T: 笑、そうか。楽しそうでなによりだよ。


かおり T: これは、特に○○君への負担が大きそうね笑。○○君、大丈夫そ?


○○: 大丈夫だよ笑。たまに、なんで言い争いを始めちゃうのか分からない時もあるけど、僕としては、可愛い妹達と話せてるし、笑顔も見れてるしで、十分。


さくら: 可愛い…//


蓮加: お兄ちゃんったら〜笑


美月: へへっ笑、可愛い…………妹?



可愛いと言われ、初めは顔が蕩けた美月だったが、聞き逃してはいけない単語に気づく。



美月: 私は○○のお姉ちゃんでしょ!!


○○: あ、ごめんごめん笑。ついうっかり。


美月: うっかりって!もうマジで、私が姉だと○○に叩き込んであげなきゃならないようね!!


○○: 叩き込むって……


かおり T: あら笑、その美月が○○君の姉か妹か論争に関しては、美月が姉で決着がついたの?


美月: もちろん!!


かおり T: ○○君は?


○○: ………………………………………………美月が姉です。



しばらくの間、口を開いたり閉じたりを繰り返した後に、○○はそう言った。



統 T: 笑、随分と溜めたな!


かおり T: 相当、抵抗があるみたいね笑


○○: だって、美月は自分の部屋もちゃんと片付けられないし…


美月: グッ…


○○: 帰ってきたら、靴下放り投げるし…


美月: ウグッ…


○○: 挙句の果てには、ベッドの上で汁物まで…


美月: いや、それは史緒里で私は…


さくら: どちらにせよ、よくお菓子を食べてるじゃん。堕落だね。


美月: グハッ!!!



○○が放った2本の矢と、さくらが軽く投げた槍が、美月の心に大きなダメージを与えた。



美月: うえ〜ん……そんなに言わなくても良いじゃ〜ん…



頬をテーブルにつけ、駄々をこねるように手を振る。



麻衣: でも、事実だからな〜笑


かおり T: それは言われてもしょうがないわよ。それを直さないと、○○君からは姉だとは思ってもらえないわよ、美月。


美月: ……チラッ



上目遣いで、○○の方を見る。



○○: ………コクン



それに対し、○○は何も言わずに頷いた。



かおり T: 立派な大人の女性になるためにも、直していかないとなんだから。


美月: ……頑張る。


かおり T: うん。頑張りなさい笑


蓮加: お姉ちゃん、頑張れ〜


美月: ってか、蓮加はいつまで○○に抱き着いてるの!それに○○も早く蓮加の腕を退かしなさい!


蓮加: え〜別に良いじゃん!


美月: は〜な〜せ〜



○○の後ろに抱き着く蓮加を、○○から引き剥がそうと、美月は蓮加の体を引っ張るが、中々離れない。



統 T: 笑、○○は随分と人気だな。


麻衣: まぁね笑


かおり T: はぁ〜私も○○君を愛でた〜い笑



と、少しふざけたように、かおりが言うと…



さくら: ダメ。お兄ちゃんは譲らない。


かおり T: おぉ。そっか〜さくらが言うなら、諦めるしかないわね笑



不機嫌そうなさくらが、そう携帯に向かって言った後、席を立ち、騒いでいる○○…の後ろの2人の元へ。



美月: は〜な〜せ〜!!


蓮加: い〜や〜だ〜!!


さくら: ……



黙ったまま、蓮加の人差し指の爪半月に爪を添わせ…



蓮加: さ、さくらお姉ちゃん?…


さくら: ふっ!


蓮加: イタタタタタ



強めに押し、蓮加はあまりの痛みで、○○から腕を離した。



蓮加: もう〜急に何するのさ〜


さくら: ズルい。


蓮加: 痛かった…


さくら: ズルい。


蓮加: でも…


さくら: ズルい。


蓮加: ………ごめんなさい。



ただ、顔を近づけて、同じ言葉を連呼するさくらに、とうとう蓮加は戦う意思を失い、謝った。



美月: え、なに、怖っ…


○○: さくら、恐るべし…


麻衣: 笑、強くなったわね〜


さくら: ふぅ……美月お姉ちゃんと蓮加ばっかり、ズルいんだから。



自分の席に戻り、さくらはそう言う。



かおり T: さくらもお兄ちゃんっ子なのね笑


さくら: みんなばっかりズルいんだもん。


かおり T: そっかぁ〜笑


統 T: おい、○○!さくらちゃんがこう言ってるぞ!もっと甘えさせてやれ!笑


さくら: ちょっ!お義父さん!///



甘えたいというのを、直接○○に伝えるのは恥ずかしかったのか、さくらは頬を赤く染めて、統の言葉を慌てて止めようとする。



○○: 笑、了解。いつでも甘えて良いからね、さくら。


さくら: ////…うん。



と、俯いて返事をするさくらを見て…



美月: なんで私達はあんな書かれ方をしないんだろうねボソッ


蓮加: それを言っちゃダメだよ、お姉ちゃん。キャラなんだからボソッ



○○に甘えたい他の2人は、小さな声で話していた。



麻衣: ところでさ、こっちのことばっかり話してるけど、お母さん達はどうなの?


かおり T: 笑、私達は変わらずラブラブよ〜ね?統さん!


統 T: まぁ、そうだな笑。こっちも元気にやってるよ。


麻衣: へぇ〜笑



そう話している中で、○○はジェスチャーで、トイレに行ってくると伝え、統とかおりに繋がっている携帯に集まる4人から離れる。



美月: ねぇ、お母さん!好きな人とそんなにラブラブ過ごす秘訣とかあるの?


かおり T: おっ、随分と攻めた質問をするわね〜もしかして、○○君が席を立ったのかしら?笑


蓮加: おぉ!お母さん凄い!正解だよ!お兄ちゃんは、トイレに行った!


かおり T: やっぱりね笑。で、好きな人とラブラブ過ごす秘訣ねぇ〜〜まず1番は、ちゃんと愛を伝えること。


美月: 愛を伝える……毎日、好きって気持ちを伝えるってこと?


かおり T: うん。それが一番大事。ね?統さん。


統: 笑、あぁ。


美月: そっか……分かった。毎日、○○に大好きって伝える!!


かおり T: 笑、堕落生活からの脱却もだけど、そっちも頑張るのよ。


美月: はい!



先駆者である母からの言葉に、美月は元気に返事をした。



かおり T: ちなみにさ、今、○○君を狙っている子って誰がいるの?


美月: え、誰って……名前言って、お母さん分かるの?


かおり T: 笑、舐めないでもらえる?母として、当然よ!


美月: へ、へぇ……まぁいいや。今の私のライバルは、理々杏と、七瀬先輩と、やんちゃんと、珠美。それと、最近は……日奈子も。


かおり T: ふ〜ん……


麻衣: あれ、飛鳥ちゃんは?


蓮加: そうだよ!最大のライバルなんでしょ!


美月: っ……飛鳥は……



悲しそうな表情で、美月は言葉を続ける。



美月: ……もう違うんだって。


麻衣: え?……


蓮加: 違うってどういう…


麻衣: 蓮加。



なぜ、飛鳥がこの勝負から降りたのか、ということに関して、さらに聞こうとした蓮加を、麻衣が止める。



麻衣: その様子だと、美月も色々と話したんでしょ?


美月: ……うん。でも、飛鳥は頑固だからさ。何を言っても、ダメだった。


麻衣: そっ…か……


蓮加: ……


さくら: 飛鳥先輩……



リビングが重苦しい雰囲気に包まれる。


が…



かおり T: ……美月にとって、飛鳥ちゃんという強敵がいなくなったことは、嬉しいことでもあり、悲しいこと寂しいことでもあり、今は複雑な感情を抱いてると思う。


美月: …


かおり T: けど、その道こそが、軽はずみな言動をせず、ちゃんと後先のことを考える飛鳥ちゃんが、選んだ道なんだから。


美月: 選んだ道…


かおり T: そう。飛鳥ちゃんは、その自分で選んだ道を、真っ直ぐに歩いていくはず。なら、美月も、今、自分が歩いている道を、前を向いて、一歩ずつ進んで行かないと。


美月: ……だね。私は、このまま頑張って、絶対に○○のハートを射止める!!!


かおり T: うん笑


麻衣: 笑、美月らしい。


蓮加: お姉ちゃん、頑張って!


さくら: 頑張れ。



強く優しい母の言葉で、その雰囲気は霧散し、美月は更なる決意の炎を瞳に宿した。



かおり T: ま、とにかく勝負の火蓋が切られるまでに、たくさん○○君と喋って、笑い合って、ライバル達よりも一歩先からスタートできるように、頑張りなさい笑


美月: は〜い!って、勝負の火蓋が切られるってどういう…



と、美月がかおりに尋ねかけたところで…



○○: ただいま、戻りました〜



トイレから○○が戻ってきた。



かおり T: あら、○○君が帰ってきちゃったか。


○○: ん?何の話をしてたの?


美月: …笑、さくらが最近、みたらし団子を食べ過ぎてるって話。


さくら: へっ?!



突然、名前を出され、さくらは目をまん丸にして驚く。



○○: 笑、そう。確かに、最近のさくらは、よくみたらし団子の串を持ってる印象があるなぁ〜


かおり T: へぇ〜食べ過ぎはダメよ、さくら。


さくら: わ、分かってるって!


統 T: みたらし団子か……良いお店知ってるから、今度配送で…


かおり T: ちょっと統さん。ダメよ、さくらにそんなことを言ったら…


麻衣: あ、お母さん、もう遅いかも。


ダンッ!!


さくら: お義父さん!!よろしくお願いします!!!



机に両手を叩き付け、携帯に顔を急接近させながら、さくらは、統にお願いする。



統 T: 笑、良いじゃないか、1回ぐらい。


かおり T: はぁ………1回だけだからね。


さくら: やったぁ〜!



母の許可が降りて、義父のおすすめの店のみたらし団子が食べれることになり、さくらは満面の笑みで喜ぶ。



○○: 笑、ほんと嬉しそう。


美月: それ笑


蓮加: もう、見てるこっちまで嬉しくなってくるよ笑


麻衣: はぁ……隠し場所を考えなければ…


統 T: そこまで喜んでくれると、こっちも楽しくなってくるな笑


かおり T: 相変わらずね笑



こんな感じで、○○達家族は、電話を繋いでだが、家族みんなで、元旦を楽しく過ごしたのだった。




to be continued

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