ただ守りたい… 130話
15時10分
生徒会室
桜井: …外、騒がしくない?
七瀬: …
灰崎: 確かにそうですね…なんか報告来てる?
大園: …いえ、来てないです。
七瀬: ちょっと確認してくるわ。
桜井: うん、お願い…
コンコン
七瀬: ん?
大園: どうぞ。
ガチャ!
若月: 失礼します!
大慌てで、若月が生徒会室に入ってくる。
桜井: そんなに慌てて…何があったの?若。
若月: ふぅ…今、計7…
ピロンピロン
若月: 失礼……っ!!計10件のトラブルが同時に起こってる。
桜井: はぁ?10件も?!
七瀬: っ!!
大園: 10…って…
若月: しかも、さっきの連絡もトラブルの発生についてで、今もトラブルが増加している。
桜井: なんでいきなり、そんな…
灰崎: では、今は非番の風紀委員にも出てもらってるってことですか?
若月: あぁ。ただ、この調子で増え続けると、私達だけで対応するには無理がある。
桜井: だよね…他の委員会にも手伝ってもらうか。
灰崎: しかし、トラブルの内容によっては、風紀委員以外の委員では、荷が重い場合も…
桜井: …なら、私と…桃子!風紀委員室に行くよ。
大園: 分かりました。すぐに用意します。
桜井: 私達は風紀委員室で、トラブルの報告をその場で受け次第、他の委員会に指示を出すから、謙心と七瀬で生徒会の業務をよろしく。できるでしょ?
灰崎: はい。
七瀬: …任せとき。
桜井: 笑、頼んだ。
大園: 行けます!
桜井: よし、若、桃子、風紀委員室へ。
若月: 助かる。
桜井: 笑、会長としての仕事だよ。
大園: 頑張ります。
そうして、3人が風紀委員室に向かい、生徒会室には、灰崎と七瀬が残る。
七瀬: …
灰崎: それにしても、なぜこうも同時に…
七瀬: …誰かが仕組んでるんやないか?
灰崎: かもしれないですね…まぁ、残念ながら、その誰かを調査する余裕は、今の僕たちにはないですけど…
七瀬: せやな。
コンコン
灰崎: どうぞ。
ガチャ!
樋口: 失礼します!
七瀬: あれ、ちまやん。どうしたん?
樋口: いや〜なんか、風紀委員がピンチって聞いてさ。とりあえず生徒会室に来てみたんだけど…
直也: あれ、樋口も来たの?
樋口: ん?直也じゃん。
灰崎: 直也先輩まで……トラブルの件を聞いたんですか?
直也: あぁ、たまたま近くにいた風紀委員に聞いてな。
樋口: それで、ピンチなの?
七瀬: …せや。同時にトラブルがたくさん発生してな。今、ちょうど玲香と桃子が風紀委員の応援に向かったわ。
樋口: え、じゃあ、日奈も風紀委員室に…
直也: いや、それよりも、俺達は部下を対処に使って良いって、桜井に言うだけに留めて、風紀委員室には行かず、ここで生徒会の業務を手伝った方が良いんじゃないか?
樋口: 確かに。風紀委員室に人が集まり過ぎても動きにくいだろうしね。
直也: それに、桜井と大園が風紀委員室に向かったってことは、中田も田村もいないし、お前ら2人で回せって言われたんじゃねぇの?
七瀬: まぁ、せやけど…
灰崎: 大丈夫ですよ。僕達でどうにかなりますから。
樋口: 笑、日奈達を頼って!
直也: そうだぞ笑。今、この状況で信頼して仕事を任せられるのは、俺らぐらいだろ。
樋口: うんうん!
七瀬: …はぁ…しょうがないな笑。ほんなら、頼むわ。
灰崎: …お願いします。
樋口: やった!じゃあ、何からやれば良い?
七瀬: ちまは、ななと初日と2日目の会計処理の続き。直也は謙心と報告書の作成をしつつ、監視業務。
樋口: 了解です!
直也: 分かった。よろしく、謙心。
灰崎: はい。では、こちらに。
直也: おう。
灰崎: この画面には例のコンピュータの動作ログが流れていますので、何かしらの異常が発生したとのテキストが出ないかを確認しつつ、このデータを入力してください。
直也: OK………灰崎は、タブレットで監視カメラの映像を確認しながら、報告書の打ち込みか?
灰崎: はい、そうです。
直也: そのタブレットって、前に言ってた通り、監視カメラの映像から切り替えることはないの?
灰崎: 基本そうです。特にこれを使って何かすることはないですし、ほんとこの監視カメラ用って感じですから。
直也: へぇ〜…笑、この監視しながらってのは、気張り続けなきゃだから、大変だろ。
灰崎: まぁ、そうですね笑。3日もやってれば、慣れてはきましたけど。
直也: そうか笑…でも、一旦休憩したらどうだ?
灰崎: え?
直也: このぐらいの作業ならこなせるし、まだ俺が体力満タンのうちに、お前が回復しといた方が良いだろう。
灰崎: …ですね。なら、タブレットの確認だけお願いします。
直也: あぁ……
そう言って、灰崎から監視カメラの映像が映し出されたままのタブレットを渡され、灰崎が一瞬視線を外したのを見て…
カチッ
右手に隠し持っていたUSBメモリのtypeC端子を、タブレットに差し込み、接続部を右手で覆い隠す。
直也: …この画面で良いんだよな?
灰崎: はい。
直也: …(よし、バレてる様子はない……あと10秒差し込んどけば、ちょうど10分後に時間差でタブレットの画面がリピートになるんだよな……)
樋口: よっしゃ、日奈頑張る!!
七瀬: 笑、頼むで。
直也: 相変わらず、樋口は元気だな笑
灰崎: ですね笑。直也先輩は、美化委員の方の企画は大丈夫なんですか?
直也: あぁ。何かしらのトラブルが発生しなければ、俺が行く必要はないんだが……って、こりゃフラグだな笑
灰崎: ちょっと、今助けに入ってくれたのに、それで抜けられるのは勘弁ですよ笑
直也: おいおい、フラグを重ねんなって、こういうのは意外と当たるんだから……(よし10秒だ…)
灰崎: 笑
直也: 笑……って、あ!
ポケットから取り出した携帯を見て驚く直也。
灰崎: え、まさか…
直也: …そのまさかだ笑
灰崎: マジですか笑
樋口: どうしたの?
直也: ちょっと俺、美化委員の企画の方で呼ばれたから、行かなきゃだわ。
七瀬: 今さっき、来たばっかやん笑
直也: すまん笑…ってことで、タブレット返す。
灰崎: はい。少しの間でしたけど、ありがとうございました笑
直也: 笑、終わらせたらすぐ戻ってくるから、それまで頑張れよ!
灰崎: 了解です。
USBメモリを外し、再び右手に隠しつつ、タブレットを灰崎に渡して、席を立つ。
直也: じゃ、またな。
樋口: うん!頑張ってきて!
七瀬: すぐ戻ってくるんやで!
バタン
直也: ふぅ……早く連絡しないと…
乃木高近くの駐車場
車内
黒峰: …連絡来た。
上位1: ってことは、作戦開始ですね。
黒峰: あぁ。ま、実質もう始まってるんだがなw
上位2: 俺も出発ですか。
黒峰: もちろんだ…あ、もしよ、30分経っても、俺から連絡が来なかったら、騒ぎを長引かせるか、仕切り直して別の場所で騒ぎを起こすかのどっちかをするように、下に命令しとけ。
上位1: 分かりました。
上位2: w、黒峰さんがやるんすから、そんなことにはならないですよ。
黒峰: まぁ、一応なw。最悪のことも考えとかないと。じゃ、行くぞ。
上位2: はい!
上位1: 成功を祈る…いや、絶対に成功しますからね…こういう時、なんと言えば良いのかw
黒峰: ww、適当にいってらっしゃいとかで良いんじゃね?
上位1: wそれでは、いってらっしゃいませ。
黒峰: おうw
ガチャ
黒峰: さぁ作戦開始だ。全構成員に、通達を。
上位2: 了解です!
教室校舎1階
下位1: ほら、まだ優しく言ってる間に、女2人置いて、どっか行った方が身のためだぞw
元気: …
下位2: …あ、連絡来たぞ。
下位1: やっとかw…じゃあ、場合によっちゃ力づくでやっても良いんだよな?
下位2: 場合によっては、なw
元気: (ちょっとマズいか…引いてくれなさそうだし、むしろ今にも殴りかかってきそうな感じだ。)
蓮加: げ、元気…
元気: 良介のそばに…あやめさんも。
蓮加: うん…
筒井: …
後ろにいる鴨田に、2人が寄り、元気が一番前でアンチの下位構成員2人と相対する形になる。
下位1: おうおう、カッコいいじゃねぇかw。女2人を守るために、自分が前に出るとは。
下位2: まるで少年漫画を見てる気分だ。恥ずくねぇのか?そんなことして。
元気: どうしても、許してはくれませんか?
下位1: う〜ん…土下座でもすれば、考えてやらんこともないかなw
元気: …
下位2: おいおい、こんなガキに、人目がある中で醜態を晒す気概があるかっての。まぁ、大人でも中々ないがなw
元気: 笑、それぐらいで済むんなら、快くやりますよ。
下位1: お、だってよw
下位2: じゃあ、見せてもらおうかw
蓮加: そ、それなら元気じゃなくて、蓮加が…
??1: うん、2人ともやらなくて良いからね。
蓮加: え?
下位1: あ?誰だ。邪魔してんじゃねぇよ。
??2: 絡まれてる中学生って、蓮加ちゃん達のことだったんだ!
蓮加: た、珠美さん!
珠美: 笑、久しぶり。もう安心してね、珠美達が来たから。優太、現着連絡するよ。
新里: うん。さぁ、お兄さん達。何があったのか、話してもらえますか?
元気: …(風紀委員…)
下位1: 何いきなりしゃしゃり出て来て、仕切ってんだよ!
新里: あ、見えてないんですか。はい、ここに書いてあるとおり、風紀委員です。
そう言って、左腕につけている腕章を見せる。
下位2: ほぉ、お前らがあの有名な、乃木高の風紀委員なのか。
新里: その有名な人達本人ではないですけど、同じ組織には所属していますね。
下位1: さすがに、堂々としてんだなw
新里: そりゃどうも笑
鴨田: (風紀委員…カッケェ…)
という感じに、新里は元気と男達の間に割り込んで、男達と堂々と向き合っているのだが、内心では…
新里: (顔、こっわ……これでもし、実力行使とかで来られたら、どうしよう……)
と、結構ビビっていた。
珠美: 蓮加ちゃんとそっちの子も、何があったのか話してもらえる?
蓮加: はい!(珠美さん!頼もしい!)
筒井: 分かりました。(風紀委員の先輩が来てくれたんなら、安心かな…)
蓮加: その、蓮加の不注意でその人達とぶつかっちゃって、すぐ謝ったんですけど…
下位1: 謝って済む問題じゃねぇんだよ!w
下位2: ってか、ソイツの言った通りだと、俺らの非はねぇだろ。一方的にそのガキがぶつかってきたんだから。
新里: それで、ぶつかられたのは?
下位1: 俺だが?
新里: う〜ん、怪我をしてる様子もないし、服も問題なし…確かに、ぶつかった方が悪いですよ、あなたの言う通り。
下位2: だろ?w
蓮加: …
新里: でも、すぐに謝ったんなら、それで良いじゃないですか。あなた方に実害はなかったわけで、今もこうして絡んでいることから、何か急ぎの用があったわけでもないんでしょ?
下位1: それは…そうだが…
下位2: w、実害がない?まさか、風紀委員が見た目だけで判断したのか?もしかしたら、精神的な方に害があったかもしれねぇだろうよ!
下位1: っ!(よくもまぁ、そんな言い回しをすぐに思いつけるもんだw)
新里: 精神的な害ですか…じゃあ、保健室に行きましょう。
下位2: は?
新里: そんなこと言うってことは、精神的な害を負ったんですもんね?だったら、保健室には心の病専門の先生もいますから、診てもらいましょう。
珠美: うんうん、この子達には、珠美達の方から注意しときますので!
新里: さぁ、お2人とも、移動しましょう。
下位1: ど、どうする?
下位2: ……な、舐めるのも大概にしろよ!!
新里: ?
下位2: ったく、やっぱり殴る方が楽だわ。こうやって揚げ足取られてたら、余計にストレスが溜まる…
下位1: え、結局やるの?なんか、頭良いって見直してたのにw
下位2: うるせぇ。パッパとやって、仕切り直しだ。
下位1: あぁw
新里: 落ち着いてくださいよ。(やっば、ミスった…このまま流れで、この子達と引き離せさえすればどうにかなったんだけど…)
珠美: どうする?優太。
新里: う〜ん…
元気: ふぅ…
男達と風紀委員2人の様子を見ていた元気の目が、座り始めたところで…
林: あれ?新里と珠美ちゃんじゃん!
清宮: はっ!!みんな!!
筒井: っ!レイ?!
蓮加: レイだ!
松尾: 探してた友達?
清宮: はい!
松尾: 笑、良かったじゃん。ほら行きな。
清宮: ありがとうございました!みんな〜
筒井: もう、どこ行ってたの?レイ!
清宮: ごめんごめん、迷っちゃってさ〜でも、あの風紀委員の先輩方が助けてくれたんだ!
筒井: へぇ〜
蓮加: って、美佑さんと瑠奈さん?!!
林: あれ?!よく見たら、蓮加じゃん!
松尾: ほんとだ笑。久しぶり。
蓮加: お久しぶりです!
林: 笑、で、連絡によると、ここでもトラブってるっぽいけど、どうなの?
新里: あぁ、えーっと〜
下位1: 俺らを無視してんじゃねぇよ!
下位2: ほんと、とことん舐めてんな!
珠美: 殴りかかってくる寸前!
林: おっと笑、それは新里と珠美ちゃんにとっては、大ピンチだったね。
松尾: なら、交代。私達がそいつら相手するから、2人はこの3人をよろしく。
新里: この人達は?
結束バンドによって後ろ手に縛られ、松尾に連れられている、敵意剥き出しの表情をした男3人を見る。
松尾: 特別教室校舎の1階でトラブってた人達。
新里: そういえば、そこでも問題が起こってたね。さすが実力派の2人。もう解決してたんだ。
林: 笑、向こうから手出してくれたからね。遠慮なくやれたよ。もちろん、周りの目もあったし、証人もいたから、正当な対応だったと証明もできるよ。
新里: なるほど。じゃ、お願いします。
林: はーい。
珠美: 代わります!
松尾: うん。
そう言って、新里は中学生組を守るように下がり、珠美は松尾が持っていた男3人に繋がる紐を掴み、松尾と林はイライラゲージMAXとなっている男2人の前に立つ。
下位2: ケッ、女2人に任せるとは、情けねぇ奴だな!w
新里を見ながらそう吐き捨てる。
林: まぁまぁ、適材適所ってやつだから、勘弁してあげて笑
下位1: w、よく見たらお前らも良い女じゃねぇか。
松尾: キモ…
下位3: お前ら!気をつけろ!!ソイツらめちゃくちゃ強ぇ!
珠美: え?
下位1: あ?…ってお前ら…
下位2: ww、てめぇらが弱かったからだろ。よく見とけ。
新里: …(この反応…もしかして、顔見知りなのか?)
松尾: やるよ、瑠奈。
林: うん。
下位2: パッパと片付けてやるよ!!!
そうして、中3組と新里&珠美ペア、捕まった下位構成員3人、その他周りの人が見ている中、松尾&林ペアvs下位構成員2人の戦いが始まった。
少し前
ちょうど、桜井と大園が風紀委員室に到着した頃
第2グラウンド付近
日奈子: ねぇねぇ!次は、あっちに行こうよ!
○○: 笑、OK…
ピロンピロン
○○: ん?
なんだ?いきなり…
連続で鳴った携帯のプッシュ音に驚きつつ、○○は携帯を確認する。
○○: …え?マジで?
日奈子: どうしたの?
○○: いや、風紀委員会からの連絡で、今、色んなところで同時にトラブルが発生してるんだって。
日奈子: 同時にトラブルが?!
○○: うん。
日奈子: じゃあ、もしかして、○○は行かないとダメ?
○○: ごめんだけど、そうなるね。
日奈子: えーー!!!!
○○: また今度、一緒に遊ぶから、今回は許して。
日奈子: う〜ん、しょうがないな〜それ、約束だからね!!
○○: はいはい笑。じゃ、またね。
日奈子: うん!頑張って!!
同じくシフトが入っていなかった日奈子と2人で、文化祭を楽しんでいた○○は、笑顔の日奈子に見送られ、風紀委員として走り始めた。
が…
それにしても、こんな急にトラブルが起こることがあるのか?
しかも15件近く、一気に。
偶然にしては、あまりに…変だ。
考え過ぎかもしれないけど、誰かが狙って今、このタイミングでやっているとしたら狙いは?
目的は何だ。
同時多発的に問題を起こすことで、何がどうなる…
他のお客さんに被害が出る…お店に被害が出る…営業が滞る…評判が落ちる…
と考えたところで、○○の視界の中にふと、実習校舎が入る。
○○: あ…
今の乃木高にとって、一番マズいことは何だ?
それは、僕と上層部にだけ知らされた情報…NCFカードを管理しているコンピュータの動作に異常が出ること。
もし、そのコンピュータを狙ってのことだったとしたら
…
同時多発的にトラブルを起こしているのは、そっちの対処に人々の気を逸らさせ、コンピュータへの意識を薄くするため。
そして、風紀委員をトラブルの対処に奔走させることで、コンピュータへの攻撃への対応を鈍らせる…
これは、考え過ぎか?
いや、有り得なくはない。
まだまだ疑問が残ることはあるけど、一応コンピュータの方を確認するべきだ。
そう考えた○○は、教室校舎に向かっていた体を、実習校舎へと方向転換させて、NCFカードを管理するコンピュータがある実習校舎の4階に向かって走った。
実習校舎2階
立ち入り禁止のテープが貼られている階段の前で、○○は一旦立ち止まる。
何も異常が発生していなければ、ここより上にいるのは、コンピュータがある部屋の見張りをしている先生達だけのはず…
「な、なんだお前は!…グァッ!!」
○○: っ!!
突然、○○の耳に男の呻き声が届く。
な、何が起こったんだ?!
とにかく確認を急がないと!
急ぎつつも、冷静な思考のまま、○○は足音を消して階段を駆け上がり、4階に到着する。
コンピュータがある部屋は、こっち側のはずだから…
「何が目的だ!」
「目的?w…ここに来てんだから、目的は1つしかねぇだろ。全く、教師のくせして頭空っぽだな。」
先生と…誰かが言い合ってる…
○○は、声が聞こえた廊下を、曲がり角からこっそりと顔を覗かせて確認する。
先生: こんなことして、良いと思ってるのか?!
??: 良いと思っているか…ねぇw。俺らの目的からすれば、とても良い事なんだが。
先生: 学生達の文化祭が台無しになることが、良いことだと?ふざけるな!
??: ま、どうでも良いよ。そこのおっさんと同じく、お前も眠っといてw
先生: このっ!
??: お疲れさまです、先生w
バチッバチッ!
黒のスーツを着た黒髪の男が、右手に持ったスタンガンの先端を先生の肌に押し付ける。
先生: ガハッ!
ドサ
??: やっぱ、改造は気持ちが良いね。ちょっと当てるだけで気絶してくれる。
倒れた先生を見下ろしつつ、その男が笑いながら部屋の扉に向かって歩き出した瞬間…
カチ
??: っ!!!
ダンッ!!
強いプレッシャーの放出に続き、廊下に床を蹴る音が響く。
○○: フンッ!!
??: 生徒?いや、風紀委員か!!
○○: 先生達から離れろ!!
ダッ!
直線の廊下を全速力で走り、瞬時に男に接近、そして再び床を蹴って、右足を前に突き出す。
??: はやっw
その蹴りを、スーツを着た黒髪の男…黒峰龍水は、真横に一歩動き、難なく避ける。
○○: ハッ!
しかし、黒峰と扉の間に割り込みつつ、床に着地した○○は、動きを止めることなく、左足に重心を寄せて、右足を大きく払う。
黒峰: おっと…
それを避けるために、さらに一歩引いた黒峰は、まだ笑って○○を見ていた。
「武器を持っておる相手に奇襲をかけるならば、まずは武器破壊を狙うか、武器を手放させるんじゃ。」
○○: ここだ!
そう言って、体の回転を加速させ、黒峰の右手首に掌底を当てる。
黒峰: 痛っ!w、そっちが狙いかよ。
ガタンカタン
黒峰が持っていたスタンガンが、床に落ちた。
○○: まだまだ!
再び、左足を軸に、右足を大きく振る。
黒峰: そんなんじゃ、当たんないって。
床に落ちたスタンガンをそのままに、黒峰は右に飛び、○○と相対した。
○○: ふぅ……
黒峰: クッw、なるほど。賢いなお前。
○○: …
スタンガンが使用されたのを見て、○○が瞬時に考えた奇襲作戦が成功し、黒峰が目的としているコンピュータのある部屋の扉、床に倒れている先生2人、そしてスタンガンが後ろにある状態で、○○は黒峰と向かい合った。
to be continued