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ただ守りたい… 160話

日曜日


祐希の家



朝から、勉強道具を持って、一軒家の玄関前に立つ○○と春時の2人。



○○: ……


春時: 祐希が起きてると良いが……まぁ、寝てるだろうな。


○○: だね……


春時: …まだ、七瀬先輩とは気まずいか。


○○: …正直。


春時: ……そりゃそうか……よし、インターホン押すぞ。


○○: お願い。



ピンポーン



春時: ……


○○: ……


春時: …もう一回押すか。



ピンポーン



○○: ……


春時: ………これ、面倒臭いパターンじゃね?


○○: 祐希以外は全員外出してて、その祐希は夢の中、ってパターンか…


春時: 電話で起きるかね。


○○: 起きると信じよう。



そう言って、○○は携帯を取り出し、祐希に電話をかける。


プルルルル


プルルルル



○○: ……


春時: …次の手立てを考えとかねば。


○○: これで起きてくれないかな〜



プルルルル


プルルルル


ピ



○○: おっ!


春時: 繋がった!


祐希 T: …んもう……だれ……


○○: 祐希、時間を確認してみて。


祐希 T: じかん?………くじ…じゅういっぷん……


○○: そうそう。9時11分なのよ、今。


祐希 T: うん…………え。


○○: 開けてもらっていい?


祐希 T: はっ!!○○じゃん!!


春時: 俺もいるぞ〜


祐希 T: す、すぐに開ける!!


ドタバタ



ようやく目を覚ました祐希の声の後、携帯越しに結構な物音が聞こえ始める。



春時: 二度寝とかじゃなく、完全に起きたてだな笑


○○: これはまず、祐希の朝ご飯を待たないと。


春時: うん。ってか、この調子だと、昼飯は○○が作る羽目になりそうじゃない?


○○: 昨日は、祐希が作るって言ってたんだけどね。


春時: いや、あの感じだと、祐希は○○に作ってもらいたがってたぞ。


○○: そう?まぁ、別に良いんだけどさ。


春時: 笑、俺も楽しみにしとこ。


○○: 春時の肥えた舌に合うような料理を作れるよう頑張ります笑


春時: 誰が舌が肥えてるだ笑


○○: だって、春時のお母さんの料理、めちゃくちゃ美味しいじゃん。この前食べた肉じゃがとか、おそらく僕がこれまで食べた肉じゃがの中で、1番美味しいはず?だし。


春時: …そうかよ笑。その感想は、改めてお袋に言ってくれよ。喜ぶから。


○○: うん笑


ドタバタ


春時: やっと来たな。



ガチャ!!



祐希: お、おはよう!


○○: おはよう。


春時: おはよ。ボサボサじゃん笑。それにパジャマだし。


祐希: 今起きたんだもん。しょうがないよ。


○○: ……あれ、その熊のモコモコのパジャマってさ、昔も着てなかった?


祐希: 着てたよ。


○○: やっぱりか笑。前に泊まった時に、見た覚えがあったんだ。


春時: 前に泊まったって…いつ?


○○: 多分、小2とか小3じゃない?


祐希: そのぐらい……のはず。


春時: 笑、そこから身長はのび…


ドスッ!


春時: うおっ!


祐希: うるさいよ、春時。


○○: おぉ……怖っ…


祐希: 早く入って。


○○: お邪魔しま〜す。


春時: お、お邪魔します…



そうして、威圧感を出す祐希に迎えられ、ビビる○○とお腹を抑える春時は、祐希の家に入った。




祐希: パクッ…モグモグ……う〜ん……


○○: …


春時: これの接線は……


祐希: モグモグ…う〜ん……


○○: 祐希、分かんないなら聞いてね。


祐希: うん。でも、まだ自分で考えたい。


○○: 笑、了解。



ほんと、祐希は成長したな。


中学の時は、勉強するってなった瞬間に寝てたのに。

まぁ、今日はついさっきまで寝てたし、朝ご飯のおにぎりを食べながらってのもあるだろうけど、それでも、よく集中できてる。


それに、分からないところがあったら、すぐに聞くんじゃなくて、一旦自分でちゃんと考えるようにもなって…

なんだか泣きそうだ笑


ま、部屋は散らかってたけど。



○○: ニコニコ


春時: 笑(○○、満足そうな顔だな。)


祐希: う〜ん………はっ!微分か!チラッ!


○○: 正解。


祐希: やった!パクッ…モグモグ


春時: やり方を思いついたのは良いけど、そこから解けるかな?


祐希: 全然解けるし。春時より解けるし。


春時: お、じゃあ勝負してみるか?笑


祐希: 受けて立つ!パクッ


○○: うん、なら先に、祐希は朝ご飯を食べちゃおう。微分の計算勝負は、テストの小問対策になるし、その間にパパッと問題を作るよ。


春時: マジ?助かる。


祐希: 頼んだ!○○!


○○: うん笑



2人の勝負のために、○○は問題集の問題を参考に、微分の計算問題を作り始める。



祐希: パクッ…モグモグ


春時: ……キョロキョロ


祐希: …どしたの?いきなり部屋の中をジロジロ見て……変態?


春時: はぁ?違うわ。


祐希: じゃあなんで?


春時: ………ここなら、アレについての話もして良いよな?


祐希: アレ?


○○: ……防衛団でしょ。


春時: コクン


祐希: あぁ、問題ないよ。ってか、祐希の家族ごと防衛団なんだから、家の中でそれについて話すのは、なんの問題もないに決まってるじゃん。


春時: いや、そうなんだが……一応…


○○: 笑、まぁ、春時の警戒は間違ってはないよ。下手に会話が漏れるとアレだし。


祐希: そう?大体の人は、なんのこっちゃ分かんないから、聞き流すと思うけど。


春時: おぉ……さすが、小さい頃から防衛団の関係者なだけあるな。肝の座り方というか何と言うか……結構ビビってる俺とは違うぜ笑


祐希: 笑、春時はビビり。


春時: そりゃそうなるだろ。俺は、いきなり漫画の世界に放り込まれたようなもんだし。


○○: ごめんね笑


春時: 俺も覚悟決めてたんだ。謝んな笑


祐希: 春時はあの、修学旅行中に○○が病院から帰ってきた時に、色々と聞いたんだよね?


春時: おう。防衛団のことも異能のことも聞いたぞ。


祐希: ふ〜ん。


春時: ってかさ、祐希も防衛団員だったんなら、○○の救出に手を貸してくれたら良かったのに。


祐希: ……はぁ…春時さんは、まだまだですね。


春時: え?


祐希: あの時、春時と梅が美月達から離れた後、バス停に残った2人が、アンチに襲われる可能性がまだ残ってたんですよ。だから祐希は、バス停に残ったのです。


春時: 確かに……


祐希: それに、祐希はあくまで仮団員だし、人の捜索には役に立てないし、梅に防衛団へ連絡をするよう………ほ、ほの…


○○: 仄めかすかな。


祐希: そう、仄めかしてたから、最悪○○の護衛が動いてなくても、動いてくれるだろうし、戦力的にも祐希は必要ないって思ったから、祐希は美月達の護衛を優先させたんだけど……文句はありますか?!


春時: ないでございます。ペコリ


祐希: ドヤァ


○○: 笑、すごいドヤ顔。というか、美波に防衛団に連絡をするよう仄めかしたって、どんなこと言ったの?


祐希: えーっとね…………忘れた。


○○: あ〜あ、ここで言えたら、完全にキマってたのに笑


祐希: くっそ~


春時: 残念ながら、俺もその祐希のカッコいい言葉は覚えてないな。○○と理々杏を助けることで、頭がいっぱいだったから。


祐希: っ!ゆ、祐希も!


○○: いや、祐希が言ったんだから、それは違うでしょ笑


祐希: え〜


春時: 笑……なぁ、祐希ってさ、実際どのぐらいなんだ?


祐希: どのぐらいって?


春時: 強さだよ。おそらくだけど、祐希は戦闘部の仮団員なんだろ?


祐希: ……なんで戦闘部?


春時: そりゃ……人探しには役に立てないってことから、情報部ではないだろうし、作戦部は………まぁ、確実にないだろ。な?○○。


○○: そこで僕に話を振らないでよ笑


祐希: なんで祐希は、作戦部は確実にないの?


○○: え、僕に詰め寄るの?


祐希: なんで?


○○: そ、それは………おバカだから。


祐希: うわ〜ん、○○が悪口言ったぁ~


春時: 笑、狙い澄ました嘘泣き。


○○: ……今日はほんとに元気なことで。


祐希: なんか、○○が祐希の家にいると、懐かしくて嬉しいんだよね笑


○○: そうなの?笑


春時: 俺は無視かい笑


祐希: だって、あんまり春時は来たことないじゃん。


春時: まぁな。3、4回ってとこじゃないか?


祐希: 分かんないけど、そのぐらい。


春時: で、俺の質問への答えは?


祐希: …なんだっけ?


○○: 嘘泣き作戦の実行に上書きされたか笑。戦いの強さはどのぐらいなの?って質問だよ。


祐希: あぁ~~祐希は、そんなに戦えないよ。


春時: そうなんだ。


祐希: うん。お母さん譲りのパワーはあるけど………祐希はお姉ちゃんと違ってバカだからさ、上手く戦えないの。



そう話す祐希の表情が少し暗くなる。



○○: ……


春時: へぇ~ちなみにさ、祐希の両親は階級的にはどこになるんだ?


祐希: お父さんは作戦部の1級で、お母さんは戦闘部の1級。


春時: すご。1級って、中々いないんだろ?


祐希: 知らない。祐希はまだ仮団員だから、そんなに情報を教えられてないの。


春時: そっか。でも、団長には会ったことがあるんだもんな。


祐希: ○○と遊んでた時にね。でも、防衛団としては会ったことないよ。


春時: そんなもんなんだな。ってことは、特級団員とかとは、ほんとに会う機会はなさそう。


祐希: 祐希は………あ、戦闘部統括のおかっぱの太っちょさんとは会ったことある。お母さんと一緒に歩いてたら、たまたま会って、挨拶した。


春時: おかっぱの太っちょ?


○○: 笑、日村おじさんか。


祐希: あ、そうそう、日村さん。


○○: 面白い顔だったでしょ?笑、ここだけの話。


祐希: 笑、うん。


春時: 戦闘部の統括はおかっぱの太っちょなのか……


○○: それで言えば、僕は情報部の特級団員とは会ったことあるよ。


祐希: 美月達のお母さんじゃなくて?


○○: うん。お義母さんの部下で、生田絵梨花っていう、僕達と同い歳の特級団員と会ったことあるっていうか、連絡先も交換してる。


春時: は?


祐希: 連絡先を交換してるの?


春時: いやそれよりも、俺らと同じ歳で情報部の特級団員って……その子、めちゃくちゃヤバいんじゃ…


○○: ほんとにすごいよ。見た情報は完全記憶するし、オーラを自在に操れるし。ってか、文化祭にも来てた。


春時: 文化祭って、この前のうちの文化祭?


○○: そうそう。初日の午後に。ほら、パンケーキを全種類頼んで、ドカ食いしてた女の子、覚えてない?


春時: ……あ!あの子か!外にいた未央奈と、随分と○○と仲が良さげな女の子がいるって話してたんだ。


○○: そんな話をしてたの?


春時: ほぇ〜あの子が情報部の特級団員……


○○: 祐希は、生田絵梨花…笑、生ちゃんって呼ばないと怒られるんだけど、生ちゃんのことは知ってた?


祐希: う〜ん、お父さんから同じ歳の子がいるとは、うっすらと聞いてたような、聞いてないような、って感じ。


○○: うん、祐希のお父さんはちゃんと話してたんだろうね。


春時: 機会があったら会ってみたいな。


○○: 今、生ちゃんは大阪にいるからね。中々難しいかもだけど、いつかは会えるよ。というか、連絡先ならすぐに交換できるけど?


春時: いや、さすがにその勇気はない。


○○: 祐希は?生ちゃん、友達を欲してるから、できれば友達になってあげて欲しいんだけど……


祐希: ……じゃあ、お願い。


○○: OK。生ちゃんに許可取ってからになるけど、後から送る。


祐希: うん。


○○: さ、結構、話し込んじゃったけど、勉強会に戻ろう。


春時: おう。


祐希: はーい。


○○: 問題配るから、僕の合図で開始ね。



そう言って、話している間にも作っていた問題を書いた紙を、○○は2人に渡す。



春時: 30問か……


祐希: ……


○○: 2人ともいけそう?


春時: 笑、頑張る。


祐希: 祐希も!


○○: じゃあ、よーい……スタート!!



こうして、○○が見守る中、祐希と春時による熱き計算対決が始まったのだった。






とある地下の談話室


ガチャ



統: お、来たか。


紫音: ごめん、遅くなった。


統: いや、俺らも今来たところだから。


紫音: 笑、お互いに忙しくなったな。


統: まぁな笑


かおり: ご無沙汰しています、紫音さん。


紫音: 笑、そんなに畏まらないでくださいよ。奥さん。


かおり: では、久しぶりですね、紫音さん。


紫音: はい、久しぶりです。


統: お前が纏ってるオーラのせいだろ笑


紫音: え、僕、オーラ纏ってる?


統: おう笑。なぁ?


かおり: 確かにね笑


紫音: まさかの、取っ付き難い系?


統: 若干。


紫音: マジか……でも、そんなこと言う統も、貫禄あるオーラを放ってるぞ。


統: ま、組織の長だからな。そういうオーラは放っとかないと、威厳が保てないし。


紫音: だな。



と、大人達の挨拶が終わったところで、紫音の後ろについて来ていた理々杏が、前に出る。



理々杏: こんにちは、○○のお父さん、お義母さん。


統: おぉ、理々杏ちゃん、こんにちは。


かおり: あら聞いてた通り可愛い。こんにちは。


紫音: やっぱり、可愛いよね?うちの理々杏。


理々杏: ちょっとお父さん。


紫音: 笑、ごめんごめん。でも、理々杏が可愛いのは事実だからさ。


理々杏: それを人に押し付けないの。


統: 相変わらず仲が良いな。


かおり: ほんとね~~改めて、初めまして、理々杏ちゃん。○○と美月の母の白石かおりです。


理々杏: 初めまして。伊藤理々杏です。


かおり: 紫音さんの言う通り、お人形さんのように可愛いわ~


理々杏: いえ……○○のお義母さんこそ、やはり美月や麻衣さん、さくらちゃん、蓮加ちゃんのお母さんなだけあって、ものすごく美人さんです。


かおり: あらら笑、ありがと。


統: ……ほんっと、よくできた子だ。


紫音: だろ?笑


統: 笑………よし、時間もないし、話に入ろうか。


紫音: うん。


理々杏: 失礼します。



防衛団の団長と情報部統括、そして伊藤紫音とその娘、伊藤理々杏が、その部屋に置かれた椅子に腰をかける。


部屋には、中央の机とそこに向かう4つの椅子のみがあり、天井には証明と空調、換気装置がついてるだけで、必要最低限のとてもシンプルな内装となっており、その部屋の中には、4人しかいない。


そんな状況で、重要な会議が始まる。



統: じゃ、俺達を集めた理々杏ちゃん、よろしく。


理々杏: はい。



今回、この3人に、集まって話し合いをしたいと言った理々杏が、場を仕切り出す。



理々杏: では、早速本題に入りますが、この度、皆さんに集まっていただいたのは、○○にかけた暗示について、今一度、話し合いたいと思ったからです。


紫音: うん。○○君にかけたのは…


「「予知」と「暗示」の異能力を持つ者と、大切な人を守るためだけに「解放」を使用できる」

「深川恵と深川麻衣の記憶は存在しないものとするが、月に一度だけ、感情を抑制した状態で一部の記憶を思い出し、「解放」の扱いが上手くなるほど、感情の抑制は減り、思い出す記憶は増える」

「普段は、他人を攻撃することはできないが、意識的に「解放」を使用した場合に、他人を攻撃できるようになる」

「家族と、西野七瀬を除く大事な人が、守る対象の大切な人である」


紫音: の4つだよね?


理々杏: そう。直近で、10月24日に私がかけ直しました。


統: 経緯としては、アンチの黒峰龍水との戦闘中に、理々杏ちゃんを目の前で撃たれて、激昂した○○が、暗示を破って第3段階まで解放したため、戦闘終了後に、理々杏ちゃんが暗示をかけ直した、と。


理々杏: はい。今回は、暗示が解けてからそこまで時間が経っておらず、○○も第3段階解放の反動で完全に意識を失っていたので、私一人でも暗示は成功していると思います。


統: うん。○○の護衛の話だと、週末に金川道場で戦闘の指導を受けている中で「解放」を使用した感じは、以前と変わりがないと、本人から聞いているし、乃木坂病院にいる団員…理々杏ちゃんも会ったことあるあの女性団員からも、前のロボットっぽさは薄れているものの、そんなに変わらないとの報告は受けているから、理々杏ちゃんの暗示は、しっかりと成功していると思うよ笑


理々杏: 良かったです。


紫音: ん?金川道場って、昔、統も行ってたところだよね?


統: そうだ笑


紫音: お前が行かせたの?


統: いや、それがほんと偶然なんだよ。


紫音: へぇ~


かおり: 運命的よね笑


統: あぁ。あそこで○○には強くなってもらわないと。


紫音: ○○君は今、どこまで解放できるの?第3段階解放で暗示を破ったって断言したなら、第2段階は解放できないんでしょ?


統: そうだが……おそらく、第2段階の1歩手前までは、もう行ってるんじゃないかな?何気に「解放」を使う機会は多かったし。


理々杏: はい。美月に○○の記憶の戻り具合を聞いたところ、深川麻衣さんの記憶はほぼ取り戻しているのに対し、深川恵さんの記憶は全く、ということでしたので、第2段階にはまだ至っていないが、第1段階…○○にとっては第1.5段階はほぼ完璧に使える、という感じだと思われます。


統: あ、そうそう、その病院の団員からの情報なんだが、かなり表情が柔らかくなってたから、麻衣について話を聞いたところ、あの時以外のことは全て思い出していたみたいだぞ。


理々杏: では、何かしらのきっかけで、第2段階を解放できるところには至っているということですね。


紫音: 「解放」の異能力者として、第2段階を解放できるようになるきっかけと言うと?笑


統: う〜ん……こればっかりは人それぞれだからな……俺は親父との修練中に使えるようになったし、親父は敵と死闘を繰り広げていた時に使えるようになったって言ってたし、人によっては突然使えるようになったってのもあったらしいから。


紫音: そっか……やっぱ、似たようなもんなんだね。


統: 理々杏ちゃんはどうだった?


理々杏: 私は……それこそ、10月24日に、○○が病室からいなくなって、どこに行ったんだろう、って思ってたら、「予知」の使用自由度が高まったって感じでした。


かおり: 笑、○○君への愛によるものかしら。


理々杏: //笑、かもですね。


紫音: ふむ……


統: 笑、親バカだな~



という統の紫音へのイジりを聞きながら、理々杏は姿勢を正す。



理々杏: それでですね。私が○○にかけた暗示について話し合いたいと言った理由としては、2つありました。


統: ありました?ってことは、今は2つじゃないのかな。


理々杏: はい。先日までは、記憶を思い出した状態ではない○○が、深川麻衣さんを見て泣いている様子から、深川麻衣さんと深川恵さんの記憶を完全に封印してしまった方が良いのではないか、と迷っていたのですが、美月と話してみて、その必要はないと思ったんです。


かおり: 美月?


理々杏: 先日、美月に深川麻衣さんの記憶を、○○がどれだけ取り戻しているのかを聞いた時に、美月の○○への熱い想いを聞いて、たとえ○○が全てを思い出して、心が壊れそうになっても、大丈夫だと安心できました。


かおり: そう……笑、良かったわ。


紫音: じゃあ、残りの1つっていうのは何なのかな?


理々杏: それはあの件の時に、○○にかけた暗示の1つ、「家族と、西野七瀬を除く大事な人が、守る対象の大切な人である」、についてです。



この後も、外と隔絶された空間で、理々杏の話は続いたのであった。



to be continued

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