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ただ守りたい… 152話
生徒会室
久保: ふぅ……
生徒会選挙が終わって2日後…久保が生徒会長を引き継いだ翌日の朝、久保の姿は生徒会室にあった。
早川: さ、やっと椅子のクッションの感じも、お尻にしっくりしてきたところやし、他の役員を決めようや。
また、同じように監査を引き継いだ、ゴリゴリの関西弁を話す早川も一緒にいた。
久保: うん。それもそうなんだけど、その前にさ。お互いにこれから作っていきたい生徒会っていうのを、共有しとかない?
早川: え?そんなん、演説を聞いてるから分かるやろ。
久保: まぁそれはそうなんだけどさ。
選挙活動期間中や、選挙当日に散々聞いている演説の中身から、お互いがどんな理想の生徒会を掲げているのかを知ってはいるものの、改めて口に出していくことで、確実な共有をしていく。
早川: 史緒里ちゃんの目指す生徒会は、歴代最高と謳われた前生徒会をも超える最強の生徒会やろ?行事も普段の活動も、前生徒会以上に活発化させ、生徒と共に最高の乃木高を作る。
久保: もっと正確に言えば、最強の生徒会というのは、役員それぞれの欠点を補い合う、全く隙のない生徒会のこと。誰にでも、欠点はあるものだからね。
早川: なるほど。つまり、史緒里ちゃんが目指す生徒会のためには、良く言えばオールマイティ、悪く言えば器用貧乏な人よりも、専門分野に特化した生徒を入れたいわけか。
久保: もちろん、仕事ができる、という最低ラインは越えてる上でね。
早川: ふ〜ん。
久保: 聖来ちゃんが目指す生徒会は?
早川: 仕事を最高水準でこなせるのを前提として、困っている生徒のため、悩んでいる生徒のために動く、正義の生徒会や。
久保: …聖来ちゃんの言う正義は常に、生徒にとっての正義、なんだよね?
早川: うん。生徒を守るための正義。
久保: 笑、良いね。生徒のための乃木高なんだもん。乃木高の生徒会は、生徒のために動かないと。
早川: そや。だから、常に特定の生徒にとって有利になるように動く生徒会はアカン。
久保: というと?
早川: 特定の誰かに操られる、もしくはその誰かの意思が活動に介入しやすいような生徒会はダメってこと。
久保: …それは、生徒会活動における最終決定権を個人が持つ、というのがダメって意味?
早川: それもそうやけど……うん、もう直接的に言うわ。
久保: ?
やっぱり、遠回しに言うのは苦手だと感じた早川は、久保を真っ直ぐに見て、口を開く。
早川: 私が危険視している、今、学校の中で1番影響力のある生徒は誰やと思う?
久保: 1番影響力のある……前会長様?
早川: 違う。確かに、桜井先輩がなにか言えば、大半の生徒は言うこと聞くと思うけど、あの人…3年生は、あと半年もすれば卒業して、この学校から出ていくんや。私が危険視してる人やない。
久保: ってことは、2年生か。なら……○○かな。
早川: そう、深川○○。あの男はありえんぐらいの影響力を持っとるんや。入学した時から、周りに可愛い女の子が集まっとるっていうことで、生徒の注目を集め、かつ本人もスペックが高く、定期試験や体育祭や文化祭でそれをみんなに見せつけた。
久保: 凄かったもんね〜
早川: それに、2年生になってからは、おそらく桜井先輩達と同じ中学やったこともあってか、生徒会役員やないのに、生徒会の手伝いもして。特にこの前の文化祭では、かなり目立っとった。やから、学年問わず、深川○○の名前と顔、そして優秀さは生徒全員に知れ渡っとる。
久保: だね。
早川: よって、もし深川○○が身勝手な行動をし始め、それに有利になるような発言をしたら、生徒全員とはいかんやろうけど、大半の生徒がそれに従う可能性が高い。
久保: 聖来ちゃんは、それを危惧してるのか。
早川: うん。
久保: つまり、聖来ちゃんは、○○の暴走をちゃんと抑え込めるような生徒会を作りたいと思ってるんだね。
早川: そして、その前段階として、深川○○陣営に属している生徒を、あんまり役員にしたくない。
久保: 深川○○陣営っていうのは、○○と仲良しな人ってこと?
早川: いや、仲良し程度ならまだええ。深川○○の言うこと全てにイェスマンの人はアカン。
久保: そっか……
早川: ただ、優秀な生徒は、深川○○と仲良い人が多いからな。完全にゼロは難しい。実際、史緒里ちゃんが役員に引き入れたいって思ってる人も、深川○○と仲良い人やろ?
久保: ……1人は、聖来ちゃんの言うイェスマンかも。
早川: そやろな。だいたい誰かは予想つくわ。
久保: でも、この生徒会に絶対に必要な人材だよ。
早川: 分かっとる。選挙前の演説を聞いとったら、嫌でも分かるわ。深川○○の影響力が高まるというリスクと比べても、あの子を役員にした時のリターンの方がかなり大きい。役職的には、学外の人と話す機会が多い副会長になるやろうけど、さっき言った最終決定権の問題の対策として、会長、副会長、監査に最終決定権を持たせれば、問題ない。
久保: もし、話し合いを重ねた上でも、決定に迷ったら、会長、副会長、監査の3人による多数決で決める、ってことね。
早川: せや。史緒里ちゃんは、会長になった以上、自分の目指す生徒会を元に、判断するやろうし。
久保: もちろん。
早川: 笑、ま、そういうことやから。これらのことを踏まえた上で、一緒に誰を役員にするか考えてこ。
久保: うん。じゃあまず、人数と役職から確認していこうか。
早川: 役職は、会長と副会長、監査、議長、会計、書記、庶務の7つ。そして、会計、書記、庶務はそれぞれ2人ずつなれるから、生徒会役員の最大人数は10人。
久保: そのうちの、会長と監査。あと、さっき私が言った子の副会長と、昨日、前会長から聞いた、理事の指定枠の子は決まってる……で良い?
早川: しょうがないわ笑。にしても、理事の指定枠って何なんやろうな。
久保: 生徒会選挙前に行われる理事会で決まった、次の生徒会役員の枠…
早川: そんなことは分かっとるけど、その存在が気に入らんねん。なんで、理事が生徒会の活動に介入してこようとするんや。教師陣の方に介入しろっての。
伝統的にあるもののようだが、その存在自体があまり気に食わない早川は、苛立ちを見せる。
久保: まぁまぁ。前副会長様も、理事の指定枠だと言っても、理事の方から何か命令されることはないって言ってたし。そこまで気にしなくても良いんじゃない?
早川: う〜ん、なんかモヤモヤすんねんな。ま、ええわ。どうする?最大人数まで入れる?それとも、前生徒会みたいに、最低限の人数にするか?私は別に、会計も兼任してええけど。
久保: いや、最大人数まで入れるよ。
早川: せやろな。史緒里ちゃんの目指す生徒会は、そっちに近いやろうし。でも、その分、役員同士の意思共有をちゃんとやっていかんと、崩壊するで。
久保: 分かってる。コミュニケーションを大事にしていこう。
早川: うん。ってことで、残りは6人。余ってる役職は、議長、会計2人、書記2人、庶務2人。このうち1つは、理事の指定枠の子になるけど。どうなん?その子と仲良い史緒里ちゃんからすると、どの役職が良さそう?
久保: う、う〜ん……仕事はやるだろうけど、だらけ癖があるからな………
早川: なら、議長は却下で、他の3つ……それも他の役員が決まってからやな。その子の尻を叩ける子と同じ役職にすればええやろ。
久保: そうだね。で、私的には、全生徒会の2年生3人をまた生徒会役員に引き入れる方が良いと思うんだけど。どう?
早川: それ、私も考えとったわ。先輩からの引き継ぎ資料があるとはいえ、実際に仕事をした経験がある人達がおった方がええから。
久保: じゃ、その3人も決定で、残り3人。
早川: 残り3人は、まず既に決まった人達を集めてから、みんなで決めへん?
久保: それもそうだね。なら、早速、決まった5人を呼ぼうか。
そうして、久保と早川は放送室に向かい、生徒会室に当代の生徒会役員候補の生徒達を呼ぶのだった。
コンコン
早川: 早速、来たみたいやな。
久保: どうぞ。
ガチャ
??1: 失礼します。
??2: 失礼しまーーす!!!
??3: 笑、失礼します。
??2: いや〜なんか、失礼しますって言って、この部屋に、入るのは久しぶりだね!
??1: 落ち着いてください。私達は呼び出しを受けた身なんですから。
??2: え〜でも、ほんとに久しぶりなんだもん!
??3: まぁ、昨日もここには来てるんだけどね。
久保: 笑、お待ちしてました。大園さん、田村さん、灰崎君。
大園: すみません、会長。まゆちゃんがうるさくて。
田村: え〜
早川: 元気でええやん笑。こういう明るい子がおった方が、仕事もテンション上げてできるやろ。
田村: わっ!嬉しい!
久保: では、早速、皆さんを呼び出した要件なんですが…
灰崎: 笑、ちょっと待ってよ。
久保: なんですか?
灰崎: 今の久保さんは、生徒会長なんだよ。それなのに、僕達に対して敬語っていうのは、おかしくない?
早川: せやな。みんな同級生なんやし、史緒里ちゃんが目指す生徒会では、役員同士のコミュニケーションが大事って話になったやん。それなら、敬語はなしでタメ語で話そ。
大園: ………
灰崎: …大園さんも、この機会だし、タメ語で話すようにしたらどうかな?
田村: そうだよ!みんなで仲良く話そう!敬語だと、やっぱり、ちょっとだけ距離を感じるし!
大園: ……分かりました、善処します。
灰崎: 笑、敬語だけど?ほら、別に僕達は、大園さんの鹿児島弁が出たとしても気にしないから。
大園: っ……分かった。善処する。
田村: やった!!桃ちゃん〜!
ギュッ!
大園: ちょっ、やめて、まゆちゃん。
田村: 良いじゃん、少しぐらい〜
早川: じゃ、史緒里ちゃんも敬語なしで。ってか、私には初めから敬語じゃなかったやんな?なんで?
久保: え、いや……私は、前の生徒会の皆さんに憧れてたから……
灰崎: 確か、僕と初めて会った時は、立ったまま気絶してたよね笑
早川: 嘘やろ?!
田村: そうなの?!史緒里ちゃん!
久保: //恥ずかしながら……
灰崎: あの時は、ほんとにびっくりしたよ。
早川: やっぱ、史緒里ちゃんは面白い人やな笑
久保: もう、忘れて笑
灰崎: う〜ん、中々に印象深い記憶だからな〜
田村: そういうのって、そう簡単には忘れないよね!
大園: それを言う前に、まゆちゃんは、早く離れてよ。
田村: え〜もうちょっと〜
と、わちゃわちゃしていると…
コンコン
早川: お、あと2人の方も来たみたいやな。どうぞ!
大園: 待って、この状態は…
ガチャ
??4: 失礼します!
??5: 失礼…します……
??4: ちょっと、ここまで来て、ウトウトしないでよ。
??5: だって、眠いんだもん……
??4: はぁ……って、なんか向こうもカオスな感じになってるし、1人ぐらい眠そうにしてても、問題ないか笑
久保: いや、問題はあるのよ。
田村: 2人も来たんだ!!
大園: いや、さっきの放送で一緒に呼ばれてたじゃん。
??5: あ、史緒里とまゆちゃんと、あと……は、灰……村!
灰崎: 残念。灰崎だよ。でも、ちゃんと顔は覚えててくれてたんだ笑
??5: うん。梅ちゃんのお友達。
久保: え、梅の?
灰崎: あぁ、桜井先輩からの司令で、修学旅行の時に、次期委員長候補とは、仲良くなっとくように言われてたんだ。
??4: それで、灰崎君は頑張って、美波と友達になろうとしてて、結果、会えば軽く話すぐらいの関係性には、なれたんだもんね笑
灰崎: ほんと、梅澤さんは鉄壁だよ。
??4: ま、これからも頑張って笑
灰崎: 笑、その必要はなくなりそうなんだけどね。
??4: え?
早川: なぁ、そろそろお互いに自己紹介と、みんなを呼んだ理由を説明しようや、史緒里ちゃん。そうせんと、朝の時間が終わってまう……
キンコンカンコーン
早川: ほら、言わんこっちゃない。
久保: ごめん!
早川: 笑、しょうがない。今は、軽く自己紹介だけして、要件に関しては、昼休みにまたここに集まってもらおうかな。
久保: そうだね。
大園: 分かりました。では、元生徒会庶務の大園桃子です。
??5: おぉ……元何とかの、ってやつ、カッコいい…
??4: 確かに笑
灰崎: 笑、元生徒会議長の灰崎謙心です。
田村: じゃあ!元生徒会書記の田村真佑です!
??4: なら、現風紀委員、現生徒会長の友人の白石美月です笑
久保: ちょっと笑
??5: ほぉ、だったら……現図書委員、現生徒会長の友人、西野祐希です!
久保: 祐希まで……全く。
早川: 私は、現生徒会監査の早川聖来や。よろしく!そして、最後にこの人!
美月: おぉ!来るぞ来るぞ!
田村: よっ!大トリ!
祐希: フーフー!!
灰崎: 笑、こりゃ大変だ。
大園: うん……
久保: ……はぁ……現生徒会会長の久保史緒里。
美月: いよっ!待ってました!!
早川: 真打登場!!
田村: カッコいい〜!!
祐希: いぇーい!!
久保: ……
早川: なんや、美月ちゃん。めっちゃノリええやん。気に入ったわ笑
美月: そう?笑。聖来ちゃんも、楽しい人だね!
田村: うわぁ〜なんか、ここでこんなに盛り上がるのは、新鮮だ!
祐希: そうなの?
田村: うん!
久保: やっぱり、考え直すべきか……
灰崎: まぁまぁ笑
大園: 自己紹介も終えたことですし、一旦解散しましょう。そして、昼休みにまたここに集合ということで…
田村: あ!桃ちゃん敬語!
大園: っ……昼休みにここに集合ね。昼食はどうする?
久保: みんなで一緒に食べようか。確か、隣の会議室を使えるんだよね?
灰崎: そうだよ。
久保: なら、また昼休みの昼食会で、ってことで、みんな、教室に戻ろう。
灰崎: 了解。
大園: 分かりま…
田村: ふんっ!
大園: …分かった。
田村: 笑、はーい!
早川: 楽しくなりそうや。
美月: 一緒にお昼ご飯食べれないって、みんなに言っとかないと。
久保: 祐希、寝ないようにね。
祐希: た、多分、大丈夫なはず。
という感じで、久保達は生徒会室を出て、それぞれの教室に戻った。
昼休み
生徒会会議室
久保: さぁ、昼食を取りながら、話を進めていきたいんだけど……
田村: 祐希ちゃんさ、このおかず交換しよ!
祐希: 良いよ。その代わり、これちょうだい!
田村: もちろん!あ、美月ちゃんのも美味しそう!
美月: 笑、いる?
田村: うん!欲しい!
美月: じゃあ、可愛くおねだりしてみて笑
田村: それ、ちょ〜だい♡
美月: おぉ、やりおる…
祐希: 可愛いね、まゆちゃん。
田村: え、私、可愛い?!やった!!
美月: うん、可愛い、可愛い笑
田村: いぇーい!!
大園: ちょっと、白石さん……
美月: 笑、桃ちゃん。私のことは、下の名前で呼んでよ。
大園: …美月さん。
美月: せめて、ちゃん付けが良いなぁ〜
大園: ………美月ちゃん。
美月: うんうん、良く言えました、桃ちゃん!
祐希: なら、祐希も!
大園: 元々、祐希さん…
祐希: ちゃんで!
大園: …元々、祐希ちゃんは、苗字呼びだとお姉さんと混同する可能性があるから、下の名前で呼んでたよ。まぁ、実際に祐希ちゃんに向かって、呼ぶ機会はなかったけど。
祐希: へぇ〜
美月: あ、謙心君も、下の名前で呼んで良いからね。
灰崎: うん。
早川: 笑、盛り上がってんな〜〜なぁ、史緒里ちゃん。
久保: まぁ、仲が良いのは、好ましいことだけど……
昼食会が始まり、皆を呼んだ要件について話そうとするも、元気な3人の大きな声に遮られ、会話が盛り上がってしまったことにより、話すに話せなくなって、黙っていた久保が、とうとう本腰を入れて動き出す。
久保: そろそろ、話を聞いてもらおうか。
その言葉と同時に、会議室内に強いプレッシャーが広がる。
大園: っ!!!
灰崎: っおぉ…すごい。
田村: ひっ!な、なに?!
早川: うぉぉ…鳥肌立ってもうた笑
美月: もう〜そんな怖いオーラ、出さないでよ〜笑
祐希: 良いね史緒里!そのまま出しといて。眠くならないから。
しかし、この2人がいることにより、久保のリズムが崩れてしまった。
久保: はぁ……さすがにこのレベルじゃ、もう美月と祐希には効かないか……
美月: へへ笑、受け慣れてるからね〜
早川: いや、これを受け慣れてるって、どういうことやねん笑
美月: 移動教室の時に、祐希が寝てたりしたら、史緒里はこれを放って、起こそうとするからさ。近くにいる私達も巻き添えを喰らうわけよ。
早川: つまり、これは、祐希ちゃんの目覚ましアラームってことなんやな笑
美月: そうそう笑
久保: グヌヌ……
そして、そのまま話が逸れていく。
灰崎: でも、慣れてない僕達には効果抜群だよ。ね?2人とも。
田村: ほんっと、びっくりしたんだからね!まるで、副会長…いや、七瀬先輩を怒らせちゃった時みたいな感じだったんだから!
早川: え、七瀬先輩って、あんなにほんわかしてそうなのに、怒ったら怖いん?
田村: 正直、1番怖かった。
美月: それ、前に○○からも聞いたかも……なんかちょっとだけ、実際に七瀬先輩が怒ってるとこを見たくなるよね、そういう話を聞くと笑
祐希: ……美月。マジで止めといた方が良いよ。
美月: え、そんなに?
祐希: うん……
灰崎: 笑、さすがに身内の言葉は、説得力があるね。何となくだけど、祐希さんは七瀬先輩によく怒られてそうだから。
祐希: ……正解。
灰崎: 笑、やっぱりか。
田村: でもすごいよ!史緒里ちゃん!七瀬先輩と同じような威圧感を放てるなんて!
久保: え、そ、そう?
田村: うん!怖いけど!キラキラ
久保: お、おぉ……
大園: ……けど、美月ちゃんと祐希ちゃんに効かないのであれば、もっと強いものを出せるようにならないと。
久保: た、確かに……
美月: じゃあ、私のお姉ちゃんとかに習ってみる?私のお姉ちゃんが怒った時の威圧感は、マジでヤバいから笑
祐希: 麻衣さんもそうなんだ……お互い、鬼のような姉を持つと大変だよね。
美月: うん……ほんとにそ…
大園: 麻衣さん?!!!
美月: うぉっ!……う、うん……って、そういえば、桃ちゃんも、お姉ちゃんのファンだったね。笑、今度会いに来る?
大園: え、え、え、え、い、いや、遠慮しときます…
田村: もう!桃ちゃん敬語!
大園: …ふぅ……まだいいかな。
美月: ってことは、いつかは来るんだね笑。なら、その時を待っとくよ。
大園: っ……
早川: ん?白石麻衣……あぁ、御三家って呼ばれてたうちの1人の、3、4代前の生徒会長か。へぇ〜美月ちゃんは、御三家の1人の妹なんや。
美月: そうみたいなんだよね。私も、こっちに転校してきてから知ったんだけど。
早川: その麻衣先輩は家で、私は御三家だ!って自慢しなかったんやな。私なら、してまうわ笑
美月: う〜ん、聞いたことないな〜
大園: 麻衣さんは、そんなことしません。
美月: 笑、桃ちゃんも熱狂的なファンだね。
田村: ねぇねぇ、さっきから、桃ちゃんも、って言ってるけど、他に誰かいるの?その美月ちゃんのお姉さんのファンの人。あ、もちろんたくさんいるとは思うんだけど、身近にいるのかな〜って。
灰崎: 笑、田村さんが、何かに配慮してる。
田村: そりゃあ、私だって配慮するよ!!って、灰崎……謙心君も、そろそろ私のことは下の名前で呼んで。なんなら、まゆたんでも……
灰崎: 真佑さん、で笑
田村: くっ…
美月: 笑、あのね。さっきも話に出てきた、美波もお姉ちゃんのファンなんだ。
大園: え、梅澤さんも?
美月: うん。だから、話してみたら意外と、桃ちゃんも気が合うかもね。
大園: そっか……
祐希: 梅ちゃんは良い子だよ〜
早川: 見た目からは想像できひんな。最近は、まだ雰囲気が柔らかくなったけど、去年とかはホンマに近づきたくないってぐらいに、怖かったもん笑
美月: そうなの?私は去年の美波を知らないからさ。
灰崎: 風紀委員に入るまでは、誰も寄せ付けない、一匹狼の女総長って感じだったよ。
美月: へぇ〜
灰崎: さすがの真佑さんも、話しかけに行けなかったもんね。
田村: だって、珍しく学校で見かけたから、話しかけようと思って、少しでも近づいた瞬間に、ものすっごい威圧感を放ってくるんだよ!
美月: そりゃ怖いわ笑……って、史緒里は美波から、もっと強い威圧感の出し方を習えば良いじゃん。
早川: ほんまやな笑。仲良いなら、聞きやすいやろうし。
と、2人が久保の方を見ると…
久保: …うん。それは分かったんだけどさ……
下を向いていた顔を、ゆっくりと上げる。
美月: ん?
早川: なんや?
田村: な〜に?
久保: 本題に入ろうかニコッ
その笑顔を見た瞬間に、会議室にいた全員が、背筋を伸ばした。
美月: っ!はい!
早川: 笑、せやな。(下手な威圧かけられるより、その目は笑ってない笑顔の方が怖いわ。)
田村: う、うん……史緒里ちゃん…怖い…
祐希: ……zz
久保: 祐希、寝るな!!
祐希: はっ!……うん!
久保: よし!話が逸れる前に、要件を話すよ!
美月: まぁでも、正直、何の話かは分かって…
久保: 美月、静かに!
美月: 笑、はーい。
久保: では、始める!
こうして、久保はようやく、本題に入れたのであった。
灰崎: 今のところ、久保さんの感じはどう思う?大園さんは。
大園: …良いと思うよ。というか、私に対しては、苗字呼びなんだ。
灰崎: え?……笑、そっか、桃子さんはそう思うんだ。
大園: 灰崎君は?
灰崎: ん?
大園: 灰崎君は、どう思ってるの?って聞いてるの。
灰崎: ん?
大園: ……あぁ……謙心君は、どう思う?
灰崎: 笑、僕も同じかな。
大園: ……面倒くさい。
灰崎: いずれ慣れてくるって笑
to be continued