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ただ守りたい… 122話

特別教室校舎3階



久保: ハァハァ…


飛鳥: 笑、なんとか意識を失わずに、外に出れたね。


久保: 怖かった…怖かったよ!!



梅澤に頼まれて、久保を連れ、お化け屋敷の中を回った○○達は、満足気な表情を浮かべて仁王立ちをする梅澤に見送られ、お化け屋敷を出た。



飛鳥: 史緒里の驚き顔は、最高だったよ笑


久保: くっ……この悪魔め!


飛鳥: 悪魔?私が?


久保: うん!


飛鳥: そんな称号、私よりも相応しい人いるでしょ。ね?○○。


○○: ま、まぁ…



「誰が悪魔だって?」



○○: はっ!!…いや、ノーコメントで。


飛鳥: 笑


日奈子: いや〜楽しかったね、お化け屋敷!


春時: 日奈子は驚いてはいたけど、史緒里と違って、ずっと笑顔だったな。


日奈子: だって、面白かったもん!


久保: 考えられない…


飛鳥: もう1回入る?笑


久保: 入らないよ!


○○: 笑、それで、美波の頼み事は無事クリアしたわけだけど、次どうする?


春時: 俺はそろそろ、仕事に戻らないとだから。


○○: 確かに、もうそんな時間か。


春時: あと、七瀬先輩が言うには、あと5分ぐらいで、○○に何か起こるんだろ?笑


○○: 忘れようとしてたんだから、思い出させないでよ笑


日奈子: 何が起こるんだろうね!



ピンポンパンポーン



春時: あ、これじゃないか?


○○: …ゴクン…



「さぁ、とうとうこの時間がやってきました…」



飛鳥: これは、桜井先輩の声。


久保: 会長様…



「生徒会プレゼンツ、宝探しゲームのお時間です!!」



○○: 宝探し?


日奈子: お宝、お宝!!



「では、早速ルール説明に移りますが、まず、このゲームへの参加条件は、NCFカードを所持していること。ということで、文化祭に参加している全員が、このゲームに参加できます!!」



日奈子: やったーー!!!私もできる!!


春時: それって、シフト入ってる人もなのかな?笑


飛鳥: NCFカードは持ってるんだし、大丈夫でしょ。まぁ、宝探しはできないけど笑



「ゲームのクリア条件は、私達がこの学校内に隠した5つの宝石のどれか1つを、今から1時間以内に、第1体育館にいる私のところへ持って来ること。」



○○: っ!!



宝石ってまさか…



ポケットの中にある、桜井から渡された赤の宝石を握る。



春時: うわぁ……なんか、カオスな状況になりそう笑


飛鳥: 何百人という人が、その5つの宝石を探し始めるんだからね笑



「どれか1つだけで良いですからね!つまり、5人だけがゲームをクリアできます。そして、ゲームをクリアした方には、私達が用意した景品があります!!」



日奈子: 景品だって!何だろう?!!


春時: 生徒会が用意した景品とか…



「貰える景品は、持ってきた宝石の種類によって違っていて、学業成就の力を持つ青の宝石は、図書カード5万円分。恋愛成就の力を持つ赤の宝石は、某テーマパークのペアチケット。」



春時: 恋愛成就だってよボソッ


飛鳥: うっさい。(赤の宝石…)


○○: …



これ、確定じゃん。

ってことは、宝石を失くさないようにって、奪われないように逃げろってことだったのか。



「無病息災の力を持つ緑の宝石は、有名所の温泉旅行券。金運上昇の力を持つ黄の宝石は、新屋山神社への旅行券。運気上昇の力を持つ白の宝石は、生徒会役員全員が褒めてあげる券です!」



春時: なんか、白の宝石だけ毛色が違うんだが笑


久保: 白白白白白白白白白白白白白…



「皆さん、どの宝石を探すかを今のうちに決めといてくださいね。これから、それぞれの隠してある場所についてのヒントを言っていくので。」



日奈子: みんな、どれ探すの?!


春時: 俺は仕事だけど、一応、緑。


久保: もちろん白!!


飛鳥: 私は…


春時: 赤だろ笑


飛鳥: …


日奈子: あっしゅん、私と一緒じゃん!!


飛鳥: え、日奈子もなの?


日奈子: うん!だって、遊園地のチケットでしょ?!


春時: そこか笑。で、○○は?


○○: …僕は…あ…おかな。青!


春時: 図書カード5万円分だな。何気に嬉しいよな、あれ。


○○: うん。



「決まりましたか?!それでは、隠してある場所のヒントを一度だけ言います。ちなみに、各宝石の効力と景品、場所のヒントは、第1体育館前の掲示板に貼ってあるので、聞き逃した!とか、忘れた!っていう方は、そちらの方をご確認ください。」



日奈子: スタートダッシュをきめるには、この1回だけのヒントを聞き流さないようにしないと!



「順番に言っていきます…
『ありとあらゆる知識が眠る地の番人が、青の宝への道を示す。』
『混沌の台風の中心にいる韋駄天が、赤の宝を握る。』」



日奈子: 混沌の台風の中心?


飛鳥: 韋駄天…


○○: …青の宝石は、知識が眠る地の番人に教えてもらうのか。じゃあ、早速僕は、行ってくるよ。バイバイ!!



そう言って、○○はどこかに走って行った。



春時: お、おう…って、もう見えない…


日奈子: 相当、青の宝石が欲しいんだね!


飛鳥: 韋駄天ってことは、仏教の神様…いや、ここは単純に足の速い人かな…


久保: (混沌の台風の中心…台風の目にいる……この混沌について、文章中で何も示すものがないってことは、既に何かしらのヒントが別で出ているはず……赤の宝石は恋愛成就の力……恋愛の混沌?…)



ガヤガヤ



春時: 他の人達も、一気に動き出したな笑


久保: (恋愛の混沌の台風の中心にいて、足が速い韋駄天…ってそういえば、昨日も韋駄天って文字を見たような……あ、分かった。学校一足が速いって紹介されてて、恋愛の混沌の台風の目にいる…複数人の女性に好意を向けられているものの、それに自分自身では気づいていない人。まぁ、まだ推測に近いけど、あの反応を見ると…)


日奈子: でも、どっちにしろ、誰かが赤の宝石を持ってるんだよね!!


飛鳥: まさか、手当り次第に、宝石を持ってないか聞こうとか思ってる?


日奈子: 正解!!


久保: 笑


春時: 無謀だよな笑


久保: あ、いや……よし、春時。戻ろ。



パッと階段の方に体の向きを変え、春時の背中を軽く叩く久保。



春時: え?


久保: もうそろそろ戻らないとヤバいよ。


春時: 確かにそうだが……白の宝石は良いのか?


久保: 笑、もう白の宝石の場所は分かったし、私は宝石をゲットして、第1体育館に行ってから、戻るつもりだから。


春時: え、マジ?さすがだな。じゃあ、誰が赤の宝石を持ってるかも、分かったのか?


久保: もちろん笑


飛鳥: え?ちょっ、教えて!


日奈子: 教えて!!!



赤の宝石を狙う2人が、久保に一気に体を近づける。



久保: だ〜め笑。こういうのは、自分で解かないと。


飛鳥: チッ


久保: でも、飛鳥ならすぐに分かると思う。


飛鳥: …


日奈子: 私は?!


久保: う〜ん、日奈子も頑張ればいける…かな?笑


日奈子: 分かった!頑張る!!


久保: じゃ、そういうことで。春時、行くよ。


春時: おう。後から、俺にだけは教えてな笑


久保: 笑、気が向いたらね。


飛鳥: 韋駄天…混沌…赤い宝石…ブツブツ


日奈子: 誰が持ってるんだろうな〜



そうして、久保と春時が仕事に向かい、飛鳥と日奈子は赤い宝石を見つけるために、必死に頭を動かすのだった。







○○: …



「赤の宝石は誰が持ってるんだ!」


「緑の宝石を探してみない?」


「一旦、ヒントを見直したいから、第1体育館?に行こう。」



○○: ふぅ…



宝石の1つ、赤の宝石を所持している○○は、息を潜めつつ、どこか良い隠れ場所がないか、学校中を歩き回っていた。



ほんと…やってくれたな、桜井さん。

まさか、このおもちゃの赤い宝石が、こんなことに使われるなんて。


どこが、全然楽な仕事なんだよ。

1時間宝石を狙う人達から、逃げ回らないといけないんだぞ。


めちゃくちゃに大変な仕事じゃん!


もう、いっその事、誰かに渡すか、自分で桜井さんのところに持ってってやろうか…


…よし、一言文句を言いに、桜井さんのところに行こう。

あの場所のヒントが解かれない限りは、僕が追われることはないだろうから、今のうちだ。



そう考え、○○はそれとなく周りを警戒しつつ、急いで、第1体育館に向かった。





第1体育館



ガラガラ



○○: 桜井さんは……あ、いた。


桜井: お。



扉を開き、人がほとんどいない体育館を見回した○○は、ステージの上に立っている桜井を発見し、素早くステージに上がり、桜井の隣へ。



桜井: ○○じゃん。どしたの?


○○: どしたの?じゃ、ないですよ。なんてことしてくれたんですか!


桜井: 笑、そう、かっかしないの。


○○: かっかしますよ!だって、このおもちゃが…


桜井: ちょっ、こんなとこで出さないの!



ポケットから宝石を取り出そうとした○○を、慌てて桜井が止める。



○○: あ、ごめんなさい。


桜井: 全く。まぁ、もうそろそろ、○○が持ってるって気づく人もいるだろうし。


○○: ヒントが抽象的過ぎて、分かる人なんかいないんじゃ…


桜井: 気づく人は気づくよ。なんなら、韋駄天に関しては、体育委員会の企画のところで、○○がそう紹介されてるわけだし、前半の意味が分からなくても、○○が持ってるかも、って思うはずだよ。


○○: え?


桜井: あぁ、まだ体育委員会のとこに、行ってなかったのか。あそこは、乃木高のトップ成績にチャレンジっていう企画をやってるんだけど、そこで、○○が50m走で1番速い人…乃木高の韋駄天って紹介されてるの笑


○○: 聞いてないです。


桜井: 笑、文句は大我に言いな。


○○: はぁ……その紹介文を見た人は、すぐに僕を追ってくるってことですね。


桜井: うん。でも、○○なら捕まらないでしょ?笑


○○: ガチで逃げないとなんですか?


桜井: 当たり前よ。協力してもらってる人達は、みんな本気で取り組んでくれてるんだから。○○だけが本気じゃないとか…ね笑


○○: …ちなみに、その他の協力者って?


桜井: う〜ん、ま、別に○○には言っても良いか。その代わり、他の人に言ったらダメだよ。


○○: 分かってます。


桜井: 青の宝石は、絢音が出す問題に3回連続で正解しないとゲットできないし、緑の宝石は、ザキさんとのクイズ勝負に5回中3回勝たないといけない。ま、直接的に関わってるのは、こんなところ。


○○: うわぁ…激ムズじゃないですか。


桜井: 笑、これと同じぐらいに、○○を捕まえるのは難しいって考えたから、○○に赤の宝石を任せたんだよ。


○○: …頑張ります。


桜井: 笑、学校内であれば、走り回るも隠れるも自由だから。できるだけ、捕まらないでね。


○○: もし、逃げ切っちゃった場合は?


桜井: そうだな〜○○に景品をあげる。


○○: 分かりました。


桜井: なら、早くここを出て行った方が良いよ。そろそろ、ヒントを求めて、私のところに押しかける生徒達が来そうだし。


○○: なるほど。では、いってきます。


桜井: うん。いってらっしゃ〜い笑



ステージの上の桜井に見送られ、○○は第1体育館を出た。



一方その頃、赤い宝石を狙う人達は…



特別教室校舎3階



飛鳥: 恋愛成就の赤い宝石…混沌…


日奈子: う〜ん、なんだろうな〜〜あ!美月ちゃん!


飛鳥: ん?


美月: あれ、飛鳥と日奈子じゃん。こんなとこで、何してんの?


日奈子: お化け屋敷の帰り!


飛鳥: その帰りに、宝探しゲームの放送を聞いて、宝石の場所を考えてる最中。


美月: 笑、やっぱり飛鳥もだったか。


飛鳥: ってことは、美月も?


美月: うん。これから、美波と見回りだから、それをしつつ、赤の宝石を探そうかなっと。


日奈子: あぁ!それで、お化け屋敷に梅ちゃんを迎えに来たんだね!


梅澤: 私がどうした?



お化け屋敷の前で、日奈子と飛鳥が宝石の在処に頭を悩ませているところに、美月が来て、3人で話していると、お化け屋敷の入口から、お化けメイクを落とし、制服に着替えた梅澤が出てくる。



日奈子: 梅ちゃん!お化け良かったよ!


梅澤: 笑、それなら良かった。


飛鳥: まぁでも、もうちょっとメイクを濃くするべきかな。あれじゃあ、梅が持つ圧で脅かしてるだけだし笑


梅澤: …脅かせれば良いんだよ。で?みんな集まってどうした?


日奈子: 宝探しゲーム中!


梅澤: 今さっき、放送で色々言ってたヤツか。


日奈子: うん!赤の宝石を探すの!


梅澤: へぇ〜


美月: 美波。私達も、見回りしながら探すからね。赤の宝石。


梅澤: え、マジ?


美月: 大マジ。絶対に、私が赤の宝石を手に入れて、某テーマパークのペアチケットを手に入れるんだから!


梅澤: それ、そのゲームの景品?随分と太っ腹だな笑。さすが生徒会。


美月: あと、赤い宝石は恋愛成就の力も持ってるみたいだから、それを持ちつつ、○○とテーマパークに行く!


梅澤: ほぉ笑…なるほど。ってことは?



何故ここまで美月のテンションが上がっているかを理解した梅澤は、笑みを浮かべながら、飛鳥の方を見る。



飛鳥: …私だって、絶対に負けない。


美月: 笑、望むところよ!


梅澤: めちゃくちゃ面白い展開だな。それに、この2人がこんな感じということは、他のヤツらも…





第2体育館



紗耶: さぁちゃん!急いで!!


掛橋: 分かったから、ちょっと待って。おばあちゃんの格好は、元に戻るのに時間がかかるんだから……ってか、あの場所のヒントは分かったの?


紗耶: もちろん、全く!だから、解けそうな人に聞きに行く!


掛橋: 誰?


紗耶: 飛鳥先輩か、美月先輩。


掛橋: うん、絶対に2人とも教えてくれないよ。たとえ、答えを分かってても。


紗耶: …確かに…じゃ、じゃあ!○○先輩!


掛橋: まぁ、良いんじゃない?宝石を手に入れた暁には、どっちにしろ、テーマパークに一緒に行こうって、先輩を誘わないとなんだから、今のうちから行動を共にしておくことは……


紗耶: ///そ、そっか…○○先輩を誘わなきゃ行けないんだ…


掛橋: …はぁ……もうちょっと待ってて、すぐに着替えるから。まずは、○○先輩のところに行くよ。


紗耶: う、うん…





教室校舎

1階



ガラガラ!!



珠美: 行くよ!優太!!


新里: 赤の宝石?


珠美: もちろん!○○先輩と、テーマパークに行く!


新里: やっぱりか…


珠美: 探すの手伝って!


新里: まぁ、それは良いんだけどさ……


珠美: 良いんだけど、なに?


新里: …いや…//なんでもない…


珠美: ?


新里: よし、場所のヒントを考えつつ、校内を歩き回ってみよう。


珠美: うん!


新里: 確か、ヒントは、混沌の台風の中心にいる韋駄天が握る…


珠美: 韋駄天って、どういう意味なの?


新里: 足が速い人ってことだったと思う。でも、足が速い人なんて、たくさんいるんじゃ…


珠美: 足が速いと言えば、○○先輩じゃない?


新里: うん、確かに○○先輩は、めちゃくちゃ足が速いけど、他にも速い人は…


珠美: 今のところ、それしか分かんないんだから、○○先輩のとこに行ってみよう!


新里: 了解。まずは、○○先輩を探そう。


珠美: レッツゴー!!!





2階

1組教室前



理々杏: う〜ん…


春時: あ、理々杏。もしかして、赤い宝石を探し中か?笑


理々杏: そうだよ。春時は、今から1組のホールでしょ?


春時: おう。執事になってくる。


理々杏: 笑、格好だけは、もう執事だけどね。


春時: 笑…飛鳥と日奈子、それに美月や紗耶、珠美も狙ってるだろうから、そっちも頑張れよ。


理々杏: うん。負けるつもりはない。


春時: そっか笑。じゃ、行くわ。


理々杏: 頑張って〜



そうして、春時は1組の教室に入って行った。



理々杏: …よし。



プルルルル


ピ



理々杏 T: あ、純奈?


純奈 T: ちょっと待ってくださいね……はい、もう大丈夫です。それで、なんの御用件ですか?


理々杏 T: 赤の宝石を誰が持ってるか、分かる?


純奈 T: 今やってる、生徒会のヤツですか。残念ながら、私も聞かされてないです。


理々杏 T: そう。万理華も同じかな?


純奈 T: はい、おそらく。生徒会役員と、その協力者しか、知らないと思います。


理々杏 T: 分かった。


純奈 T: あ、でも、場所のヒントを考えるのは、手伝えます!


理々杏 T: 笑、よろしく。混沌が指しているものと、韋駄天が誰のことを言ってるのか、分かれば良いんだけど…


純奈 T: う〜ん…あ、韋駄天と言えば、確か…


理々杏 T: 心当たりがあるの?


純奈 T: はい…





特別教室校舎3階



美月: それにしても、ヒントが抽象的だよね。混沌とか、韋駄天とか。


日奈子: どういう意味なのかな?!


飛鳥: 混沌が示すものと、韋駄天が誰なのか…


梅澤: ん?韋駄天?


美月: 美波、どうかした?


梅澤: いや、韋駄天って文字を、昨日学校で見たような…


美月: なに?!どこ!!


飛鳥: 教えて!



2人が、梅澤の体を掴む。



梅澤: ちょっ、落ち着け…えっと……あ、第3グラウンドだ。


日奈子: 第3グラウンドだね!早速…


飛鳥: 待って、日奈子。第3グラウンドのどこで見たの?


梅澤: う〜ん…


美月: 美波、頑張って!


日奈子: 頑張れ!!!


梅澤: そうだ!50m走のとこだ!誰かが、乃木高の韋駄天だって、紹介されてたんだよ。


日奈子: 乃木高の韋駄天?


美月: その、誰が紹介されてたかは、覚えてない?


梅澤: あぁ。そんなじっくり見てたわけでもなかったし。ごめん。


美月: いや、十分だよ。ありがとう。


飛鳥: 乃木高の韋駄天…そう紹介されてたってことは、乃木高で1番足が速い人……え?あ、いや、まさか…


美月: 3年生の誰かってこと?


日奈子: あぁ〜韋駄天って、足が速い人って意味なんだ。それだったら、乃木高で1番足が速い人は…




飛鳥: ○○…



日奈子: ○○だよ!!



純奈 T: ○○です。



3人が、同じタイミングで、その言葉を発した。



美月: え?○○なの?


日奈子: うん!3年生よりも、速いんだよ!!


飛鳥: 確かに、改めて考えたら、○○のあの焦り具合は、自分が赤の宝石を持ってたからだったのか…


梅澤: じゃあ、○○を捕まえれば、赤の宝石をゲットできるってこと?


飛鳥: うん。


美月: ○○を探さないと!!


梅澤: 一応、電話かけてみたら?


日奈子: 私がかける!


飛鳥: この推測が当たってるなら、絶対に出ないだろうけど…


日奈子: なんで出ないの?!!



繋がらない携帯に向かって叫ぶ日奈子。



美月: ってことは、マジっぽいね。


飛鳥: ○○を探す。バイバイ。


美月: うん。協力はここまで。これからは、どっちが先に○○を捕まえられるか、勝負だよ!


飛鳥: 笑、負けない。日奈子、行こ。


日奈子: うん!!!


美月: 美波、私達も。


梅澤: あぁ。





教室校舎1階



理々杏 T: ○○が、韋駄天って紹介されてたのね。


純奈 T: はい。なので、赤の宝石は○○が持ってる可能性が高いと思います。


理々杏 T: 分かった。ありがとう。早速、探してみるよ。


純奈 T: はい。こちらの仕事が終わり次第、私もお手伝いさせていただきますので。


理々杏 T: うん。じゃ。



ピ



理々杏: ふぅ…○○を探さないと。



こうして、赤の宝石を…○○とのデートを狙う女達が、他の赤の宝石を狙っている人達に比べ、いち早く、○○を探し始めるのだった。




to be continued

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