ただ守りたい… 112話
木曜日
朝
教室
ガラガラ
○○: あ、おはよう、理々杏。
理々杏: うん、おはよう…
○○: 笑、そんな不安そうな顔しなくても、分かってるって。
理々杏: え?
○○: 誕生日おめでとう、理々杏。
理々杏: っ!覚えててくれたんだ。ありがとう、○○!
○○: 忘れるわけないじゃん。多分、日奈子も覚えてると思うよ。朝練終わったら、お祝いするって言ってたから。
理々杏: そっか〜楽しみだな〜
美月: ほら、飛鳥。
飛鳥: 分かったって…理々杏、誕生日おめでとう。
美月: おめでと〜
理々杏: 2人もありがとう笑
飛鳥: ごめんね。昨日、○○に聞いたから、プレゼントも何も用意できてないんだ。
理々杏: 良いよ笑。言葉だけでも十分嬉しいから。
美月: 私も焦ったんだよ。もう、最初に誕生日教えといて笑
理々杏: ごめん笑
祐希: …zzz……理々杏、誕生日…おめでと〜…zzz
○○: 笑、祐希も寝言でお祝いしてくれてる。
理々杏: ありがと、祐希。
ナデナデ
祐希: ヘヘヘ笑…zzz
飛鳥: 全く。
美月: まぁ、祐希らしいじゃん笑
○○: あの理々杏が、もう17歳なのか。
理々杏: なに?○○の記憶の中の私は、3歳とかそこら辺で止まってるわけ?笑
○○: いや、前にお祝いしたのがそのぐらいだったからさ。記憶に残ってるのは、小さい理々杏がロウソクの火を消してる姿なんだよ。
理々杏: なるほどね〜
美月: 小さい理々杏、私も見てみたいな。絶対可愛いし。
飛鳥: 確かに。
理々杏: そんなことないって笑…ねぇ○○ボソッ
○○: ん?
理々杏: ちょっと来て。
○○: え、良いけど。
理々杏は、○○の手を引っ張り、教室の端へ。
美月: 秘密の相談事かな?
飛鳥: 気になる。
美月: まぁ良いじゃん。
飛鳥: …よし、料理を考えよう。バイトの先輩に色々とアドバイスを押し付けられたから。
美月: 押し付けられたって笑
○○: で、どうしたの?
理々杏: あのさ、今日の放課後空いてる?
○○: 空いてるって…まぁ、バイトも休みになったし、クラスの出し物の方を手伝おうかなって思ってたけど。
理々杏: …私の家に来ない?
○○: え、理々杏の家に?
理々杏: うん。お誕生日会的なのを、お父さんがやりたいって言ってて。
○○: お誕生日会か…分かった、行く。
理々杏: 笑、ありがと。日奈子も今から誘うから、また3人で一緒に。
○○: 笑、了解。楽しみだな、理々杏の家。
理々杏: そう?あ、お父さんが2人に会いたいって言ってたから、話し相手になってあげて笑
○○: うん。僕も久しぶりに話したいし。
理々杏: あと、純奈先輩も万理華先輩も来るから。
○○: へぇ〜そうなんだ。楽しくなりそう。
理々杏: だね笑
放課後
裏門前
日奈子: よっしゃ、レッツゴー!!!
理々杏: 元気有り余りすぎ笑
○○: ここで、純奈さん達と合流するんでしょ?
理々杏: うん、そうだよ。
○○: ってか、理々杏の家って、裏門側にあったんだ。
理々杏: 転校の時に、学校に近い方が良いってことで、お父さんが決めたんだ。
○○: へぇ〜
日奈子: 昔のお家は、めちゃくちゃ大きかったよね?!
理々杏: 何回も言ってるじゃん笑。そんなことないって。
○○: 笑、ほんとかな?
日奈子: 今のお家も大きいはず!
理々杏: んもう、今から行けば分かるよ。
純奈: おーい!
○○: あ、純奈さん。
万理華: 私もいるんだけど笑
○○: 分かってますって笑
日奈子: 初めまして!北野日奈子です!!
万理華: 笑、元気だね〜私は伊藤万理華。よろしく。
日奈子: よろしくお願いします!
理々杏: あれ、万理華先輩と日奈子は初めましてなの?
万理華: お互いに顔は見てはいるけど、話したことはないかな。
日奈子: はい!
純奈: 日奈子、今のうちから、そんなにテンション上げて、大丈夫なのか?
日奈子: え?
純奈: 笑、誕生日会の最後まで元気が持つか?ってこと。
日奈子: 問題なし!!
○○: 多分大丈夫ですよ。祐希と違って、日奈子の元気エネルギーは、そう簡単に切れないですから。
理々杏: だね。なんなら、家には食べ物も用意してあるだろうから。
万理華: 笑、早速行こう。
日奈子: はい!!
○○: 歩きで行くんですか?
純奈: そりゃそうだろ笑
○○: でも、修学旅行の時は、黒の車に乗って来てましたよね?純奈さんも一緒に。
純奈: あぁ、あれは…
理々杏: 私が寝坊しちゃったから、送ってもらったの。
日奈子: 理々杏ちゃんが寝坊したの?!
理々杏: うん笑。前の日に、修学旅行が楽しみ過ぎて寝られなかったの。
日奈子: 私と一緒じゃん!!
○○: そっか…
万理華: ちなみに、純奈が一緒に乗って行ったのは、純奈も寝坊したからだよね?
純奈: 笑、恥ずかしながらそうだったの。純の家と理々杏の家は近いから、理々杏が寝坊して車で行くって言うんで、ちょうど良いと思って、その車に純も乗ったんだ。
○○: なるほど笑
純奈: さ、もう行こうぜ。
万理華: あ、これ以上話を続けて欲しくなくて、逸らしたな笑
純奈: うっさい笑。ほら、行くよ。
日奈子: はーい!!
そうして、5人は歩き出す。
純奈: どうだ?文化祭の準備は進んでんのか?
日奈子: もちろん、バッチしです!
理々杏: 笑、日奈子はまだクラスの方の手伝いはしてないでしょ。
日奈子: 明日するもん!
万理華: 部活動生は、中々厳しいよね笑
日奈子: はい!
理々杏: まぁ、○○も来てくれないけど笑
○○: だって、それは…チラッ
万理華: 笑、私のせい?
○○: 正直そうですね笑
万理華: いやいや、私は生徒会に依頼を出しただけで、それを了承したのは生徒会なんだから、その指摘はお門違いだよ。
○○: う〜ん…一理ある…
純奈: 笑、生徒会に文句言ってみたら?
○○: でも、了承したのが大園さんだから、言うに言えないんですよね。大園さんは、七瀬さんや桜井さんと違って、ちゃんと仕事量を見て任せられる人ですし。
純奈: 笑、言えてる。あの生徒会役員の中で、そこんとこが常識的なのは、桃子と謙心だけだろうからな。
万理華: あれ、そこに花奈は入らないの?笑
○○: あの人はなんというか…
純奈: 桃子以上に、そういう見極めはできるんだろうけど、ま、大丈夫でしょ的なノリで行っちゃうヤツだから、花奈は。
○○: その通りです。
万理華: 笑、そっか。
理々杏: へぇ〜聞いた感じだと、生徒会の人達って面白そうだな〜
日奈子: 私、今度遊びに行こうかな!
○○: 笑、やめてあげて。今は忙しいみたいだから。
日奈子: え〜
万理華: たまに生徒会室に行くけど、すごいよ、部屋の雰囲気が笑
理々杏: どういう感じで?笑
万理華: 血気迫るというか、とにかく仕事をやらなきゃ!みたいな圧迫感があった。
○○: なんかそれ聞くと不安です。特にあの人が、それについて行けてるのかが…
純奈: 真佑だろ?笑
○○: はい。まゆたんは、所謂おバカですし。
日奈子: まゆたん?!なんか、可愛い!
理々杏: 反応するとこ、そこなんだ笑
純奈: ま、日奈子と同じ感じだよな、真佑は。
日奈子: 顔が似てるの?!
純奈: いや、性格が笑
○○: さすがに、日奈子はツチノコなんか探してないよね?
日奈子: ツチノコ?あんまり興味無いかな。ケルベロスなら、いつも探してるけど。
万理華: 笑
純奈: ほら笑
○○: どうやら、純奈さんが言った通りだったみたいです。
理々杏: ほんと、日奈子は面白いな〜笑
日奈子: え?!やった!
20分後…
理々杏: よし、到着。
普通の一軒家の目の前で、理々杏が止まる。
○○: ほんとに、ここが理々杏の家?
理々杏: うん。ここが、私の家。
○○: ふ〜ん…
純奈: 早く入ろうぜ。
理々杏: そうだね。
ガチャ
理々杏: ただいま。
紫音: あ、おかえり〜
玄関の扉を開けると、奥の扉から、高身長のイケメンが優しい顔をして出てきた。
純奈: お邪魔します、おじさん。
万理華: お邪魔しま〜す。
紫音: どうぞ、どうぞ。
理々杏: ほら、2人も早く。
○○: うん。行くよ、日奈子。
日奈子: はーい!お邪魔します!!
紫音: 2人とも、よく来たね。私の事、覚えてるかな?
○○: もちろんです笑。お久しぶりです、紫音おじさん。
日奈子: おっす!!
紫音: 笑、ほんと変わらないね。さ、入って。
2人は紫音に出迎えられ、理々杏の家の中に入り、リビングへ。
純奈: うわっ、美味しそうだな〜デザート中心だが。
万理華: さすがですね、おじさん。
紫音: 笑、それ程でもないよ。
理々杏: 僕の大好物ばっかりだ!
日奈子: 小さい時も、ご飯は甘い物食べてたもんね!!
理々杏: そうだったかな?笑
紫音: うん。理々杏は昔から、デザートにばかり手をつけていたよ。ま、他で言えば、たらことかも好きだったけど。
理々杏: え〜覚えてない。
純奈: 笑、今もこうやって、デザートの甘いヤツが大好物だって言ってる時点で、そうなんだろうなって予想できるよ笑
万理華: うんうん笑
みんなが理々杏の大好物で、盛り上がっている中、○○は…
○○: …
周りからバレない程度に、家の中を見回していた。
う〜ん…
普通の家だな。
やっぱり、ただの僕の思い込みで、理々杏は普通の女の子なのか?
お嬢様感があるって言うのもそうだけど、どこか秘密を抱えているというか、僕と同じような雰囲気を感じる時があるんだけど…
昔、僕と日奈子が遊びに行っていた、理々杏の家は、確実に普通じゃないレベルの豪邸だったはずなんだ。
あと、父さんと日奈子のお父さん…防衛団団長と警察の組織犯罪対策部の暴力団対策課の警部と、あれだけ仲が良いってことは、紫音おじさんも特別な何かがあるとしか思えない。
まさか、昔はそうだっただけで、今はそうじゃないってことはないはず…紫音おじさんが持つ雰囲気が、昔と全く変わっていないし。
○○: …
紫音: チラッ…よし、パーティーを始めよう!理々杏、ここに座って。
理々杏: うん!
紫音: みんな、準備は良い?
「はい!」
紫音: ○○君は?
○○: 笑、もちろんOKです!
紫音: じゃあ、歌おう!せーのっ!
「Happy Birthday to you 〜〜♬ ♬」
全員が歌い出し、その間に紫音はキッチンの冷蔵庫へ。
そして、歌を歌い終わり…
紫音: 理々杏、17歳の誕生日おめでとう!!
「おめでとう!!」
ケーキを理々杏の前に置く。
理々杏: みんな、ありがとう!!
日奈子: 理々杏ちゃん!火消さなきゃ!
理々杏: 笑、そうだね。行くよ、ふぅ〜
パチパチパチ
紫音: チラッ
純奈: はいはい笑…理々杏、誕生日おめでとう。これからも仲良くしような。
そう言って、プレゼントを渡す。
理々杏: ありがとう、純奈先輩。
万理華: おめでとう。
日奈子: はっ!私も!!理々杏ちゃん、おめでとう!!
理々杏: みんな、ありがとう。
紫音: さ、○○君の番だよ。
○○: はい笑。理々杏、誕生日おめでとう。これからも、一緒に頑張ろう。
理々杏: うん!これまで以上に仲良くしようね!
ギュッ!
隣で言葉を交わしていた、理々杏へのプレゼントをまだ手に持ったままの○○に抱きつく。
○○: うわっ…ちょっと、やめてよ笑
理々杏: 別に良いじゃん、誕生日なんだし。
日奈子: え〜○○ズルい!私も理々杏ちゃんとギューする!
万理華: あぁ、そっちなんだ笑
紫音: …クッ…
純奈: 笑、可愛い娘が取られそうで、怒ってるんですか?ボソッ
紫音: …ま、まぁ…○○君なら許してやらんでもないがボソッ
純奈: そうですか笑(良かったですね、お嬢様。)
理々杏: ねぇお父さん、ご飯食べていい?
紫音: う、うん、もちろん良いよ。みんなもたくさん食べてね。
日奈子: やった!!ほら、○○も席に着いて!
○○: 分かったから、急かすなって笑
純奈: おじさんは食べないんですか?
紫音: うん。私は後から食べるから、この食事の時間は子供達だけで過ごしな。私がいたら気を使うだろうし。
万理華: 分かりました笑
紫音: 理々杏、楽しむんだよ笑
理々杏: うん。
紫音: じゃ、またね。
そう言って、紫音はリビングから出て行った。
理々杏: よし、食べよう。
日奈子: 本当に紫音おじさん、一緒に食べなくて良かったのかな?
純奈: 笑、大丈夫だって。ほら、日奈子、お前の好きなドーナツもあるぞ。
日奈子: ドーナッツ!!
理々杏: 笑、いただきます!
「いただきます。」
日奈子: やったー!ドーナッツ…パクッ……うまっ!!!なんだこれ、私が食べてきた中で一番美味しいかも!!
理々杏: え、そうなの?なら、僕も食べよう〜
純奈: そんな慌てて食ったら、喉に詰まらせるぞ笑
日奈子: バクッバクッ…うまっ…バクッバクッ……グッ…ゴホンゴホン
理々杏: 大丈夫?笑
純奈: ほら、言わんこっちゃない笑
日奈子: み、水〜
万理華: ここにはオレンジジュースと白湯しかないよ笑
理々杏: え、白湯もあるの?
純奈: 日奈子にはオレンジジュースを注いでやれ。にしても、こういうパーティーで白湯とは…ほんと、理々杏のこと好き過ぎだろ笑
理々杏: 笑、嬉しいけどね。
万理華: はい、どうぞ。料理は逃げないんだから、落ち着いて食べな。
日奈子: ゴクンゴクン…はーい!
純奈: 飲むのも勢いすげぇ笑
理々杏: これぞ日奈子だね〜笑
○○: …
紫音おじさんの後を追えば、何か分かるかな?
いやでも、ここを抜け出すのは…
理々杏: ○○、食べないの?
○○: ん?あぁ、いや、食べるよ笑。あまりに全部美味しそうだったから、どれから食べようか迷ってて。
理々杏: なんだ、そうだったのか笑。ずっと考え事してるみたいだったから心配で。
○○: ごめんごめん笑。それで、理々杏は何がおすすめとかある?
理々杏: 笑、僕も食べ始めたばっかだから、それは分からないよ。
日奈子: ドーナッツがおすすめ!!
理々杏: って、日奈子は言ってるけど笑
○○: 笑、了解、ドーナツから食べる。
何考えてるんだろう、僕。
今は、理々杏の誕生日会なんだから、ちゃんと理々杏をお祝いして、今の時間を楽しまないと。
僕の疑問を解決する時間は、これからも十分にあるんだし。
○○: パクッ…あ、確かに美味しいね、これ。
日奈子: でしょ?!この、シュークリームも美味い!
○○: へぇ〜どれどれ…
理々杏: 僕が、お皿に盛ってあげる!
○○: じゃあ、頼んだ笑
純奈: 笑、楽しそうでなによりだ。
万理華: …○○君もちゃんと楽しみ始めたみたいねボソッ
純奈: あぁ。これで問題ないだろうボソッ
こうして、5人での食事の時間が過ぎて行った。
2時間後…
日奈子: ふぅ〜食べた食べた。
理々杏: 満足した?
日奈子: うん!もうお腹いっぱいだよ!!
純奈: 結局、山盛りにあったドーナツは、ほとんど日奈子の胃の中だな笑
万理華: 日奈子は動けるの?笑
日奈子: もちろん、大丈夫!!
理々杏: 笑、○○、どうだった?
○○: すごく楽しかったよ。
理々杏: そっか、それなら良かった。
○○: 今回は僕がおもてなしを受けた側だったけど、次は理々杏が僕の家に来たら?笑
理々杏: え?良いの?!
○○: もちろん、いつでも歓迎だよ。美月もさくらも喜ぶだろうし。姉も1番下の妹も会ってみたいって言ってたし。
理々杏: やった、絶対に行くからね!
○○: 笑、待ってる。
純奈: いや〜でもそれは、もうちょっと後になるんじゃないか?
万理華: そうだね。文化祭の準備にしばらくは追われるだろうし。
理々杏: 確かに…じゃあ、文化祭が終わった後ね!
○○: 分かった。
日奈子: 分かってると思うけど、私も行くから!!
○○: 日奈子の場合は、僕の許可とか関係なしに来るじゃん。なんなら、いつの間にかリビングにいることもあるし。
理々杏: そうなの?笑
日奈子: うん!だって、○○のお家は私のお家だから!
純奈: どっかのガキ大将みたいな言葉だな笑
万理華: ほんと、仲が良いのね。
純奈: よし、そろそろ帰るか。
○○: ですね。時間も時間ですから。
理々杏: もうちょっと、いても良いのに笑
○○: 笑、すぐ明日も会えるじゃん。
理々杏: んもう、そういうことじゃないの。
○○: え?
純奈: 笑、あ、ほら、理々杏。おじさんに連絡しないと。
理々杏: あんまり連絡したくないけど、しょうがない…
そう言って、理々杏は携帯を操作しだした。
万理華: どれだけ○○君と一緒にいたいのよ笑
日奈子: 寂しがり屋だな!理々杏ちゃんは!!
○○: 笑
理々杏: あと10分ぐらいで来るだって。
純奈: そっか。待とう。
万理華: 最後に挨拶して帰るよ。
日奈子: わっかりました!!
○○: 紫音おじさんは、仕事してたのかな?
理々杏: 多分そうだと思う。
○○: 大変なんだね。
理々杏: うん。
10分後…
ガチャ
紫音: ふぅ、ごめんごめん、長引いちゃってさ。
○○: お仕事お疲れ様です。
紫音: 笑、ありがと。みんな、料理は美味しかった?
日奈子: はい!!とても美味しかったです!!特にドーナッツが!!
紫音: そうかそうか笑。用意した甲斐があったよ。
純奈: 改めて、今日はありがとうございました。
「ありがとうございました!」
純奈に続き、3人も感謝を述べる。
紫音: いえいえ。こちらこそ、理々杏の誕生日会に来てくれて感謝だよ。ね?理々杏。
理々杏: うん!みんな、ありがとう!
純奈: 笑、ではそろそろ帰りますね。
紫音: 気をつけて帰るんだよ。
日奈子: はい!!
万理華: 私達がちゃんと、送り届けます。
紫音: 頼んだ。
理々杏: ○○、日奈子、また明日ね。
日奈子: うん!バイバイ!!
○○: じゃあね、理々杏。
そうして、○○達は理々杏の家を出て、帰路に着き、○○の家に向かう道と、日奈子の家に向かう道へ分かれる所までやって来る。
純奈: じゃ、純達は日奈子を家まで送るから、○○は1人で帰れるよな?
○○: はい笑。日奈子を頼みます。
万理華: 任せといて。
日奈子: ○○、バイバイ!!
○○: 笑、ちゃんと先輩達の言うこと聞くんだよ。
日奈子: うん!!
純奈: またな。
万理華: 文化祭の準備頑張ろう〜
○○: はい!
日奈子達の背中が遠ざかって行くのを見て、○○も1人、自分の家に向かって歩き出す。
○○: ふぅ…
やっぱり、違和感があったよな…
まず、純奈さんと万理華先輩の、理々杏や紫音おじさん…特に紫音おじさんに対する態度が、どこかぎこちなかった。
それとあの家。
普通の一軒家で、内装も普通の家族…まぁ、理々杏の所は父子家庭だけど…とにかく、そんな家庭が暮らしている感じの、ごく普通なリビングだった。
けど、あまりに普通過ぎる…
これは、僕の考え過ぎかもしれないけど、なんというか、作られた一般的な家って感じがしたんだよな。
最後に、部屋からリビングに来るまでに、10分もかかるのか?
仕事をしていて、そうなってしまった可能性も十分あるけど…なんか違う気がする。
う〜ん…分からん。
あまりに情報が少ないし、僕が疑問に思っていることも、僕の直感から来てるものだからな。
○○: …よし、一旦切り替えよう。
このまま悩んでも、解決しなさそうだし、もし僕の直感が正しかったとしても、それは理々杏が隠そうとしていることなんだから、無理にそれを暴こうとする必要は無い。
今はとにかく、文化祭に向けて、準備を頑張ろう!
そう考えた○○は、明るく前を向いて、歩き出したのだった。
to be continued