
ただ守りたい… 193話
ピロン
梅澤: ……来たか。
自宅のソファの上で、その時をじっと待っていた梅澤。
目の前のテーブルに置かれた携帯の振動、そして明るくなった画面に表示されたメッセージの送信元を確認して、立ち上がる。
梅澤: 約15分前に外出……行先は…昨日、奈々未さんが言ってたように、歓楽街。よし、瑠奈と美佑に連絡して、さっさと加勢に行くぞ。
昨日、奈々未から○○の動きについての連絡を受けた梅澤は、○○が家を出たかどうかが分かる、○○の家族…
もちろん、美月が最も親しく、連絡しやすいのだが、ここ最近の美月の様子を見ていると、美月に自分が求めている役割を任せてしまうと、変に巻き込みかねない、と考えた結果、梅澤は蓮加に連絡をした。
○○が家を出たら、すぐに教えて欲しい、と。
そして、美月からの連絡には嘘をつき、少ししての今、蓮加からのメッセージを受け取り、事前に動くことを伝えていた林と松尾に連絡を入れつつ、梅澤は家を出たのだった。
15分後
歓楽街前
梅澤: …
仲間の到着を、歓楽街への入口付近で待つ梅澤。
早く加勢に行きたいという気持ちを抑え、加勢により戦場が荒れることを考えると、こちらの戦力を十分に整えてから、一気に加勢に入るべきだと思い、慌ただしい歓楽街の方をじっと見ていると…
林: あ!梅澤先輩!
松尾: 到着しました!
予め、私服で来るようにと言っていた通り、いつもの私服…と言っても、戦いやすい、動きやすいタイプの私服なのだが、そんなのを着た林と松尾が、梅澤の元へとやって来た。
松尾: おはようございます。
林: おはようございます!
梅澤: おう。おはよう。早速だが、準備はできてるか?
林: はい!
松尾: もう、戦いが始まってる感じですか?
梅澤: 多分な。ちょいと騒がしい。
そう言って、梅澤が軽く指した方向を、2人も見る。
松尾: なるほど…
林: もう、○○先輩が戦ってるかもなんですね。なら、早く手助けに行かないと。
梅澤: 同じ、乃木坂高校の風紀委員としてな。
林: そうそう!○○先輩ばっかり活躍しててズルいですもん!私達だって活躍…ってか、このまま、○○先輩にだけ活躍されたら、風紀委員長は梅澤先輩なのに、地域の人達から勘違いされちゃいますよ!○○先輩が風紀委員長だって!
松尾: そのためにも、私達でアンチの奴らを倒す。ですよね?梅澤先輩。
梅澤: あぁ。敵の人数は分からないし、どのレベルの敵がいるかも分からんから、絶対に油断はするな。全力を尽くせ。
林 松尾: はい!
梅澤: 笑、行くぞ!
気合いの入った瞳をしている2人を見て、梅澤は口角を上げ、走り出した。
松尾: 場所はどの辺ですか?
先頭を梅澤、その少し後ろを林と松尾が、並んで走る中、松尾が聞く。
梅澤: それも分からん。だが、以前の報告から、○○が戦闘を行った場所は、歓楽街の飲み屋通り付近。ということは、アンチの構成員が活発に動いているのはその辺で、今、戦闘が起きている場所も同じ辺りにあるに違いない。
松尾: 飲み屋通り……となると、ここを真っ直ぐですね!
梅澤: そうだ。
林: …ってか、警察は何をしてるんですか?見当たらないですけど。
周りを見渡し、制服を着た警察も、私服の警察もいないことを不思議に思う林。
梅澤: それは……(おそらく、アンチに動きを悟られないために、防衛団が警察を遠ざけた、またはいつも通りの配置を行わせたんだろう。)
まだ、防衛団について知らせていない2人に対して、何と答えたら良いのか、考える。
梅澤: …オフィス街の方に、警察は向かっているんだろう。昨日も言った通り、○○の協力者2人は、警察に伝手があるから、歓楽街は我々に、警察はオフィス街に、みたいな役割分担が行われている可能性がある。
林: あぁ、オフィス街にもアンチはいるんですもんね。
松尾: それって、警察に指示を出したってことですよね。なら、その○○先輩の協力者って……
鋭い松尾が、あまり梅澤が突かれたくない部分について、考え出そうとしたため、梅澤はすぐに話題を逸らす。
梅澤: あ、改めて言うが、アンチってのは、ほとんどのヤツが強面だ。お前らも見たことがあると思うが。
林: はい!文化祭の時に。ね?
松尾: うん。見ました。
梅澤: だから、戦場に入ったら、基本的に強面の奴らはぶっ倒すって感じで良い。○○の協力者が誰かは、戦場に入った時に、私が言うから。
林: 了解です!
松尾: 分かりました!
と、2人が返事をしたところで、梅澤達が飲み屋通りに入る。
そしてすぐに、噴水公園の前で戦っている男達を確認した。
林: いましたよ!
松尾: 確かに強面ばっかり…
梅澤: っ!(1人の男と戦ってるのが森田さんで、囲まれているのが東口さん。○○はいないのか。それで、森田さんと東口さんの焦っている表情と、その視線は…)
瞬時に状況を把握し、まず最初に自分達が何をすべきか考えた梅澤は、2人に指示を飛ばす。
梅澤: このまま、あの路地裏付近にいる3人を倒す!
林: OKです!
松尾: はい!
そうして、乃木高の風紀委員長とその舎弟2人は、足を止めることなく、防衛団vsアンチの戦場に入り、○○との阿墨いる路地裏に加勢に行こうとしていたアンチの構成員3人を殴り飛ばし、防衛団側の危機を救ったのだった。
林: え、やっちゃって良かったんですよね?梅澤先輩!
梅澤: 多分な。
林: いや、多分って!
松尾: 梅澤先輩の言うことなんだから、大丈夫に決まってんじゃん。
突然の乱入者の不意打ちにより、地面に背中をつけることとなったアンチの構成員3人の横で、梅澤達はそういうやり取りをしながら、改めて戦場を見渡す。
梅澤: コイツら全員、アンチですよね?……なら、全員片付けても良いですか?!
そんな確認の声が響くと、アンチの構成員達…1人を除いた全員が、未だに唖然としている中で、その1人の相手をしている森田の声が返ってきた。
森田: はい!公園の方の加勢を頼みます!
梅澤: 公園…東口さんの加勢か。囲まれてるし。
松尾: あれって、もちろん、囲まれてる方がその、○○先輩の協力者ですよね?
梅澤: あぁ。
もう一度、戦場にいるアンチの構成員達の状態を確認し、2人に指示を出す。
梅澤: そこの倒れてる3人は、まだ起き上がってくるだろうから、瑠奈に任せる。
林: ボコボコにします!
梅澤: 美佑は、私と一緒にアイツらの制圧な。
松尾: はい。
梅澤: じゃあ、行くぞ!!
再び地面を蹴った3人は、それぞれの役割を果たすべく動く。
中位1: この……よくも…
中位2: 女子高生なんかが、来る場所じゃないぜ、ここは。
下位1: くそっ…
起き上がり始めた、アンチの構成員3人の前に立つ林。
林: さてさて、お仕事、お仕事。
中位2: 仕事だぁ?
林: いやぁ〜ここでしっかりと仕事をこなした上で、ごねれば、また梅澤先輩が作ったご馳走を食べれそうだし。頑張らなきゃ。
中位1: コイツ……覚悟はできてんだろうな?!
あまりに状況に相応しくない言葉を発している林に対し、中位1がそう叫ぶと…
林: 覚悟?……そんなもん、梅澤先輩について行くって決めた時から、できてんだよ!!
林はそう叫び返して、距離を詰め、連撃を中位1に叩き込んだ。
中位1: グッ…ガハッ…
接近に対し、少し反応が遅れたものの、林を迎え撃とうと伸ばした、中位1の右腕を避け、右脇腹と鳩尾に一発ずつ。
さらに、左腿に蹴りと、顎に裏拳。
林: ふぅ…
この連撃は、あまりに攻撃の繋ぎ目が綺麗で、まるで流れる水の如く、中位1に叩き込まれた。
みり愛: アンタは、今の戦い方だと、梅と美佑に確実に置いて行かれる。
林: え、なんでですか?!
3年の先輩である、みり愛との戦闘訓練中。
松尾が若月と梅澤の訓練の方を見学に行き、みり愛と林で一戦を行った後、突然言われた言葉に、林は驚く。
みり愛: だってアンタには、若みたいな類稀な身体能力や戦闘センスがあるわけでもなければ、梅や美佑、純奈みたいに、身長とパワーがあるわけじゃない。まぁ、身長が低い私に言われてもって感じだろうけど。
林: いや……でも、事実、そうです。
みり愛: なら、今のように梅の戦い方を真似するんじゃダメだ。あれは、あくまで梅の戦い方であり、同じぐらいの身長とパワーがある美佑ならまだしも、アンタが真似して強くなれるか、って言われたら無理だ。
林: ……じゃあ、どうすれば…
強くなって、梅澤の役に立ちたい、そして美佑の隣に立っていたいと、心の底から強く思っている林は、自分が強くなれる方法を、みり愛に聞く。
みり愛: 笑、身長低いもん同士、頑張ろうぜ。
林: っ!それは…
みり愛: 私の戦い方を教える。あの2人に追いつくために、私が必死に考え、身につけた戦い方を。
林: い、良いんですか?
みり愛: 可愛い後輩の為だ。教えてあげるよ。ただ、その代わり、ちゃんと訓練に励むんだぞ笑
笑顔で、肩に手を置いてきたみり愛に対し、林も答えた。
林: よろしくお願いします!
こうして、林は厳しい訓練の果てに、身につけたのだ。
林: ふっ!
怯んでいる中位1の左脇腹と右上腹部に、拳を打ち込み、腹を蹴りで押して、距離ができたところに、下段と上段の回し蹴り2連。
中位1: グアッ!!…
ドサ
中位2: マジかよ…
下位1: 嘘だろ…
乃木高の双鬼と呼ばれた2人組の片割れ。
渡辺みり愛の戦い方である、軽やかなステップと、流れるような連撃を。
林: さぁ、まだまだ行くぞ!!
梅澤: おらっ!!!
ボコッ!!
下位2: ウオッ!
強烈なラリアットが、下位2と共に、その後ろにいた下位構成員達を吹き飛ばす。
梅澤: 美佑!
松尾: はい!
すぐに起き上がった下位構成員達に、背を向けた梅澤の横を、松尾が素早く通り抜け、仕上げを行う。
松尾: はっ!!
ドンッ!!
体重を乗せた縦拳が、先頭にいた下位2の胸に撃ち込まれ、よろけると同時に、右脚を引き上げ、蹴りのモーションへ。
ブンッ!!
何とか反応した下位2がしゃがんだことで、その回し蹴りは空振りに終わったが、すぐさま腰を捻り、中段の後ろ回し蹴り。
下位2: ガッ…
右頬に踵が突き刺さり、地面に倒れる。
松尾: ふっ!!
蹴り足を地面に擦らせながら着地させ、再び地面を蹴る。
倒れた下位2の直前で、右足で踏み切り、体を捻らせながら、飛び上がった。
下位3: なっ…
下位4: っ!!
まさか空に跳ぶとは思っておらず、並んだまま、唖然としている下位構成員2人を、左の裏拳と、少し遅れて右の蹴りが襲う。
ドン!!
松尾: ふぅ…
見事、頭にクリーンヒットさせ、2人の意識を奪ったのとほぼ同時に、右拳を地面に叩きつけつつ、着地した松尾。
中位3: くそっ!
梅澤: 美佑!
松尾: 今、カッコよく決めたとこなんですけど!!
梅澤: 知るか!
松尾: 笑、もう!
好きな映画に登場するアイアンヒーローと似たようなポーズをキメることができて、内心喜んでいたところ、すぐに次の仕事を振られ、尊敬する先輩に文句を言いつつ、また地面を蹴った。
梅澤ほどではないが、高い身長とパワー。
そして、天性のバネを持つ松尾は、梅澤に似たパワー型の戦い方に加えて、アクロバティックな戦い方も習得し、併用することで、敵を殲滅していく。
松尾: お前の相手は私だ!!
梅澤: 東口さん!
東口: 助太刀、感謝するっす…
既に大きなダメージを喰らっている東口の周りを囲んでいた奴らに、一発ずつ入れ、松尾に回して行き、とうとう東口と上位の元へと辿り着いた梅澤。
上位: 女に助けてもらうとか、情けねぇなw
梅澤: 女だからって、見下してる方が情けねぇよ!!
ブンッ!!
上位の言葉に、怒りを覚えながら、拳を振るう。
上位: おっと。
しかし、その拳は空気を押すだけに留まった。
上位: これは舐めたらダメなレベルだなw
梅澤: てめぇは、上からものを言わなきゃ、気が済まねぇタイプなんだな。
一歩、後ろに下がった上位と、東口の間に割り込み、上位を睨みつける。
梅澤: コイツは私が相手をするんで、東口さんは美佑のサポートをお願いします。
東口: …分かったっす。
自分の体力と喰らったダメージ量。
そして、梅澤から溢れている、以前とは違ったプレッシャーを感じ取った東口は、梅澤の言葉にすぐに頷き、その場を離れた。
上位: そのタッパと、女の癖してえげつない威圧感。お前、ひょろ長亭梅マヨか?ここ数年は噂もめっきり聞かなくなっちまったが。
梅澤: 随分と昔の名前を呼ぶんだな。
上位: へぇ〜こんな可愛らしい顔した女が、あの中学生…しかも女ながらに、歳上の不良共をボコボコにし回ってたっていう、ひょろ長亭梅マヨさんだとはw
梅澤: 遅れてんぞ、情報が。
上位: あ?
梅澤: 今の私は…
静かに怒りを蓄積しながら、目の前の倒すべき敵に言う。
梅澤: 乃木坂高校風紀委員長の梅澤美波だ。
上位: へっw、面白い冗談だ。むしろお前が、乃木高の風紀委員に取り締まられるべき存在だっただろうに。そんなのが風紀委員長とは……乃木高の風紀委員っていうのも、落ちた…っ!
ビュンッ!!
咄嗟に傾けた頬を、拳が掠める。
梅澤: ふざけたこと抜かしてんじゃねぇよ。
上位: ww良いねぇ。さぁ、本格的にやるぞ!
顔の真横にある梅澤の腕を、右手で強く外に弾きながら、左拳を伸ばす。
梅澤: っ!
弾かれた右腕をすぐに戻し、防御に使用。
左フックを放つ。
ブンッ!
上位: …
右足を下げて上体を逸らすことで、その拳を避け、地面を弾く上位。
胸まで右膝を引き付け、縮めた足の筋肉を思いっきり伸ばす。
梅澤: ふんっ!
ドンッ!!
避けるには時間が足りないと判断した梅澤は、正面での防御を選択し、交差させた両腕で、上位の右の前蹴りを受け止めた。
梅澤: くっ…
想定内ではあるが、その威力に腕が痺れる。
上位: まだまだw
前に出した両腕により、はっきりとではないが、眉間に皺の寄った梅澤の表情を見て、蹴りの連撃に入る。
軸足にしていた左脚を、顔目掛けて振り、右腕で防御させ、左脚に受けた反発力を使い、上段から下段に狙いを移す。
ブンッ!!
太腿を狙った左の蹴りは、梅澤が右脚を引き上げたことで、空気を切る。
が、すぐに腰を回転させ、片足立ちで体勢が整っていない梅澤に、真っ直ぐに右脚を突き出す。
梅澤: っ!!
ドンッ!!!
何とか、右手での防御は間に合ったが、衝撃を抑え切れず、梅澤は真後ろに吹き飛ばされた。
梅澤: …はぁはぁ……
上位: ……その目…まだやんの?w
膝は地面に付けずとも、片手を地面に着け、息も上がっている梅澤だが、前に立つ上位を睨み続ける。
それに対し、上位は口角を上げながら、そう言った。
梅澤: はっ笑……もちろんだろ…
右手で地面を弾き、上体を起こす。
そして…
梅澤: ちょうど、溜まったんだから。
上位: はぁ?何が溜まったって…っ!!!!!
鋭く突き刺さるようなプレッシャーが、辺りに解き放たれる。
梅澤: ほんと、若月さんが卒業する前に、身につけることができて良かったよ……怒りの制御を。
戦闘中、投げかけられた言葉や、喰らったダメージで、少しずつ怒りを蓄積していっていた梅澤。
それを今、溢れさせた。
文化祭の時、大切な親友である美月を傷つけられて、怒りが溢れ出し、その敵を一瞬で倒した経験。
その経験をずっと不思議に、そしてこれから必要になってくると思っていた梅澤は、それを若月に相談し、若月との長い訓練の中で、ようやく習得したのだ。
怒りが溢れ出した状態…"レイジモード"を。
梅澤: さぁ、次はこっちの番だぞ。
上位: コイツっ!
瞬時に距離を詰めた梅澤に対し、上位は素早いジャブを打とうとしたが…
梅澤: おらぁぁああ!!
上位: なっ!!
ドスンッ!!!
頬に拳が当たっても、怯むことなく、振り被った右拳を振り抜き、驚きつつも防御体勢を取った上位の腕ごと、殴り飛ばした。
上位: っ!!(重っ!急激にパワーが上がりやがった!)
梅澤: 喰らえぇえ!!!
もう一歩、左足を踏み出した梅澤は、渾身の右ストレートを放つ。
上位: ヤバっ……
痺れの取れない両腕と、目の前の凶暴な怪物に驚いている間に、上位の顔に、梅澤の右拳がめり込んだ。
梅澤: うぉぉりゃぁぁああ!!!!
上位: ガハッ!!!
強烈な一撃を、顔に喰らった上位は、数メートル後方に飛ばされ、地面に背中を付け、意識を失ったのだった。
梅澤: クソが!!乃木高風紀委員を舐めんな!!
林: やりましたね!!梅澤先輩!!!
松尾: ほんとそうですよ!!!
拳を突き上げて、勝利宣言をした梅澤に続けて、各々で戦っていた林と松尾も、声を上げる。
梅澤: よっしゃ!このまま行くぞ!!
林 松尾: おぉーー!!!!
そんな声を、目の前の敵を相手しながらも、聞いていた防衛団員の2人。
東口: 笑、若いなぁ。おじさんも頑張らないと!!
バコッ!!
下位5: グハッ!
磯村: あの女達もやるなぁ!w
森田: …
重い拳を受け止める。
磯村: 特に、あの1番デカい女。アイツ、強ぇぞ!
森田: 笑、俺もびっくりだよ!!
ドンッ!!
森田の蹴りが、磯村の拳が、お互いの顔に直撃する。
磯村: アイツもやられちまったみたいだし、こっちも決着つけようぜ!!
森田: 望むところだ!!
と、噴水公園前で、それぞれが熱くなる一方、そこから少し離れた路地裏では…
○○: ふぅ……
阿墨: チッ、体力バケモンかよw
体の複数箇所に切り傷があるものの、致命傷は負っておらず、未だに全力で身体を動かせる○○。
それと、顔や足に打撃によるダメージはあるが、まだまだ余裕がある阿墨。
この2人が、お互いの武器…短刀と拳を相手に向けて、静かな空間で、睨み合っていた。
to be continued