ただ守りたい… 121話
午後
○○: よし、早めに第2体育館に行こう。
飛鳥: だね。席取っとかないと。
日奈子: やんちゃんのジュリエット、楽しみ!
春時: …
飛鳥: なに、春時も緊張してるの?
春時: いや、そういうわけじゃないが…紗耶も今頃、めちゃくちゃ緊張してるんだろうなって思って。
飛鳥: まぁ、そうだろうね。
○○: でも、紗耶ちゃんは強い子だから、きっと大丈夫。
春時: 笑、だよな。
飛鳥: それに、○○からも背中を押してもらったみたいだし。
春時: そうなのか?
○○: 背中を押したって言うか、エールを送っただけ。
春時: 笑、1組の方に行ったのな。
飛鳥: そりゃそうでしょ。やんちゃんに加えて、たまちゃんもいたんだから。
○○: それと、さぁちゃんも。
春時: じゃあ、1組に行くのは必然だったのか笑
飛鳥: うん笑。○○に、なでなでしてもらってたよ、やんちゃんとたまちゃん。
春時: へぇ〜
○○: 全然、OK出してくれなかったから、結構長いことやったよ笑
飛鳥: その時の美月の目がさ笑
春時: うわ、そりゃ怖ぇ笑
美月: …(誰かが噂をしてる気が…)お帰りなさいませ、ご主人様♡
日奈子: ちょっと、何やってるの!早く行かないと!!
○○: はいはい笑。日奈子がもう待ちきれないみたいだから、行こう。
飛鳥: 一応、開演まで残り30分はあるんだけどね笑
春時: 小腹満たすために、途中で何か買ってくか。
○○: あ、それ良い。日奈子!何か食べたいものある?!
日奈子: 食べたいもの?…ドーナッツ!!
飛鳥: ないでしょ笑
○○: …いや、あったような…
春時: マジ?
○○: ほら、ここ。
飛鳥: ほんとだ。しかも第2体育館の近くじゃん。
春時: まさか、この状況を見越して…
○○: いや、たまたまでしょ笑
日奈子: ドーナッツ食べれる?!
飛鳥: うん。途中で買ってから行こう。
日奈子: やったー!!!ドーナッツ!ドーナッツ!!
春時: おいおい、声が大き過ぎるぞ笑
日奈子: あ、ごめんごめん笑
○○: 笑、さ、行こう。
こうして、○○達は途中でドーナツをいくつか買い、外で食べ終わってから、第2体育館の中に入るのだった。
第2体育館
○○: やっぱ、結構人いるな。
飛鳥: うん。あ、前の方空いてるけど…
○○: 良いじゃん。行こ。
春時: いや、紗耶のためにも前は止めたが良いかもだぞ。
○○: え、そうなの?
飛鳥: 確かにね…でもまぁ、やんちゃんなら大丈夫でしょ。日奈子ももう行っちゃったし。
春時: やべ、こっちに手振り出した。早く行こうぜ。(紗耶、すまん。)
演劇専用の体育館ということで、少ない装飾で上品な雰囲気にまとまっているステージを、一番近くのど真ん中で見られる席に、○○達は座った。
日奈子: ソワソワ
○○: 笑、日奈子ソワソワし過ぎ。
日奈子: だって、楽しみなんだもん!
○○: あと少ししたら、始まるんだからさ笑
日奈子: やんちゃんと、さぁちゃん、どんな感じなんだろう〜
飛鳥: やんちゃん、緊張して失敗しないといいけど…
春時: さくちゃんの方は、ロミオ役がかっきーだって聞いてるから安心だが、紗耶の方はどうなんだ…
飛鳥: 聞いてないの?
春時: あぁ。聞くに聞けなくてな。
飛鳥: 笑、何気に心配なんだね。
春時: いや、俺じゃなくて…おそらく、まだ会ってはないが、じいちゃんも来てるはずなんだよ。
飛鳥: え、あのやんちゃんが大好きな、おじいちゃん?
春時: おう…となると、劇の途中でもロミオ役を殴りに行きかねなくて…
飛鳥: そんなに?
春時: その可能性の方が高い。
飛鳥: だったらヤバいじゃん。
春時: マジで、キスシーンがないことか、ロミオ役が女の子なこと、あとじいちゃんが奇跡的にキスシーンを見ないことを願うしかない。
飛鳥: さぁちゃんが台本の作成に関わってるって言ってたから、やんちゃんがキスシーンをやるようにはなってないと思うけどな〜
春時: そう信じる…
と、春時が両手を合わせて願ったところで、体育館の照明が消され、真っ暗になり…
日奈子: 始まる始まる!
春時: (無事に終わってくれ…)
「それでは、1年1組のチームBLUEによる、ロミオとジュリエット、開演です。」
「ロミオ、おはよう!」
「おはよう?…まだ、そんな時間だったのか。」
「あぁ。まだ朝だぞ。にしても、随分と浮かない顔をしているな。何か悩みでもあるのか?」
「はぁ…俺は、君から見ても分かるぐらいに、悩む表情をしているんだな笑…」
「…もしや、その悩み…恋か?」
「…愛する人の好意を得られない。その人は恋をしないと誓っているんだよ。」
「だったら、俺の言うことを聞いて、そんな女のことは、忘れてしまえ!」
「どうやって?」
「俺が、その人以上に美しく魅力的な人を見せてやる!」
「笑、無理だよ。」
「絶対に口だけでは終わらせないから、覚えておけ。」
春時: (ロミオ役…あれは、女の子じゃないな。正真正銘、男だ。)
○○: (ロミオ役の子、緊張してるな。笑顔がぎこちない。)
「ジュリエット様〜」
「なに、誰か呼んだ?」
「お母様ですよ。」
「はい!お母様、なんの御用?」
「実はね…と、その前に婆や。少し席を外して…」
「ん?笑」
「い、いえ、やはり居てちょうだい。知っての通り、ジュリエットも、もう年頃。」
「そりゃもう。お嬢様のお年なら何時何分何秒、地球が何回回ったかまでも、存じ上げております。なんなら、お嬢様が産まれてからこれまでの行動から心情まで、一からご説明させていただいても…」
「やめて!婆や。」
「かしこまりました、止めます。」
「笑、婆やの娘に対する愛情の深さは分かったわ。それで、今、お話したいことは、あなたのお嫁入りのことなの。」
「お嫁入りですか?」
日奈子: (やんちゃん可愛い!!それと、さぁちゃんも…可愛い?)
飛鳥: (なんか、婆や役がしっくりきてるんだけど笑…演技力が高いって事なのかな。)
「もしも僕の卑しい手が聖なる御堂を汚すなら、それより優しい罪はこれ。こうして控え、そっと口付けして、手荒な手の跡を清めよう。」
「巡礼様、そう仰っては貴方の手が可哀想。こんなにも礼儀正しく、帰依する心を示しているのに。聖者の像の手は、巡礼の手が触れる為にある。掌の触れ合いは、巡礼たちの口付け。」
春時: (ヤバい、キスシーンが来るぞ!)
飛鳥: (さて、どうなるか…ってか、やんちゃんは私達に気づいてないな。)
「では…動かないで。祈りの成就を見るまでは。」
そう言って、ロミオ役の男が跪き、ジュリエット役の紗耶の手を取り、手の甲に唇を重ねた。
ガタンッ
春時: (ふぅ…手の甲へのキスに変えてたか…)
飛鳥: (まずは、セーフね。)
日奈子: (きゃ〜やんちゃん!)
○○: (紗耶ちゃんの演技良いな〜)
「さぁ来たぞ。見よ!あの軽やかな足取り。」
「ごきげんよう、神父様。」
「あぁ、ジュリエット!」
春時: (二度目のキスシーンだ…ここは、結婚のシーンだから、さっきのような回避はできないはず…どうか…どうか…)
「さぁ、誓いの口付けを!」
日奈子: (ひゃーーー)
○○: おぉ…
春時: っ!!(やばっ)
飛鳥: (やって……ないか…でも、ここまでやってるフリが上手いと…)
「こんの…」
バシンッ!!!
○○: ん?(なんか今、すごい音が……気のせいかな。)
春時: (今さっきのはじいちゃんの声……ってことは、お袋も一緒に来てるのか。なら安心だ。)
状況を把握した春時は、安心して、演劇を楽しむのであった。
体育館の外
日奈子: いや〜良かったね〜
○○: うん。みんな演技上手だったし、楽しめた。
日奈子: あのキスシーンのところは、ほんとにやってたのかな?ニヤニヤ
飛鳥: んなわけないでしょ。やってるフリ。
日奈子: な〜んだ。一番最後のシーンは、やんちゃんも顔真っ赤になってたから、本当にやってたのかと思ったよ。
飛鳥: あれは多分、目の前にいる私達に気づいたから。
○○: そうっぽかったよね笑
日奈子: やんちゃんは、その最後だけだったけど、ロミオの方は、ずっと顔赤かったよ!
飛鳥: 笑、うん。
春時: …
○○: ん?春時は誰か探してるの?
春時: いや、じいちゃんとお袋はもう行っちゃったかなって思って。
○○: え、来てたの?…って、そりゃ来るか。
春時: まぁ、見つけたところで、話しかけるつもりもないし…次、どうする?
○○: 良いの?
春時: おう。だって、話しかけたところでだろ。一緒に回るわけでもあるまいし。
○○: 笑、一緒に回ったら良いじゃん。
春時: 嫌だよ笑
日奈子: ねぇ、みんな!次どこ行く?!私は、お腹空いたんだけど!
飛鳥: ドーナツ食べたじゃん笑
日奈子: それでもなの!
○○: はいはい笑
春時: まともに昼飯食ってないからな…ちょっとこの時間に食べるのは、アレかもしれないが、俺が前から気になってるのは、粉物ランドっていう模擬店で…
日奈子: 粉物ランド?!楽しそう!
飛鳥: いや、遊べるところじゃないから。
日奈子: え…
○○: 粉物ランドって確か、七瀬さんのクラスだよね?
飛鳥: …
春時: あぁ。たこ焼きやお好み焼き、それにパンケーキとか、とにかく粉物を揃えてるらしい。
日奈子: お好み焼き!!食べたい!!
○○: うん。僕もそこがいい。
春時: 飛鳥は?
飛鳥: え、あ、うん。私も。
春時: よっしゃ、なら早速、教室校舎に戻ろう。
日奈子: いぇーい!!
そうして、○○達は教室校舎へと戻り、途中で自分達のクラスの様子も見つつ、3階に向かった。
教室校舎3階
春時: また、2階とは違った活気があるな。
日奈子: なんか、お祭りみたい!
○○: だね。
春時: 粉物ランドの入口はどこ…って、めっちゃ目立ってんじゃん笑
日奈子: おっきい看板だ!
粉物ランドとどデカく力強く書かれた、木の看板が立てかけられている教室に近づくと…
店員: いらっしゃい!
日奈子: おおっ!
元気よく声をかけられる。
春時: とりあえず入るか。
○○: ほら、飛鳥行くよ。
飛鳥: うん。
店員: 何名様で?!
日奈子: 4名様です!!
店員: では、お席にご案内します!!!!
日奈子: はい!!!!!!
春時: いや、張り合わなくて良いから。先輩もですよ笑
店員: すまんすまん笑。じゃ、ここに。すぐお冷持ってくるんで。
そう言って、店員が離れ、四人席に座った○○達はそれぞれで、周りを見回し始める。
○○: お客さん多いね。
春時: イートインとテイクアウトの両方をやってみるみたいだし。さすがに繁盛してるな笑
日奈子: だけど、私達も負けてない!!
春時: それは当たり前だ笑
飛鳥: あ、史緒里と梅いるじゃん。
○○: え?
飛鳥: ほら、一番端っこの席。
○○: あ、ほんとだ。
飛鳥が指した方向を見ると、遠くの2人席に座る、たこ焼きを大量に食べる梅澤と、それを苦笑いしながら眺めている久保がいた。
春時: あの2人って、そんなに仲良かったんだ。
○○: 修学旅行ぐらいから、美月経由で段々と交流が増えたみたいで、最近は美月と3人で遊びに行ったりしてるみたい。
春時: へぇ〜
飛鳥: 笑、学校一の優等生と学校一のヤンキーが、まさかここまで仲良くなるとは。
春時: 確かに笑
日奈子: 話しかけに行こうよ!!!
飛鳥: 食べ終わってからね。まだ、注文すらしてないんだから。
日奈子: じゃあ、早く注文しよう!!
飛鳥: みんな、どうする?私は、来た時から気になってた、この肉増量豚玉にするけど。
春時: 笑、結構いくね〜腹減ってたんじゃん。
飛鳥: まぁね笑
春時: 俺は、海鮮系が良いな…お、これ良さそうじゃん。
日奈子: 私はもんじゃ焼きとパンケーキ!!
飛鳥: 組み合わせ笑。で、○○は?
○○: う〜ん、何にしようかな〜
と、○○が注文を迷っていると…
七瀬: なら○○は、この本格王道たこ焼きな。
○○: え?
日奈子: 七瀬先輩!!
後ろから、お冷を持った七瀬が話しかけてきた。
七瀬: はい、4人分。
飛鳥: …
春時: ありがとうございます。
○○: そのたこ焼きって、七瀬先輩のおすすめですか?
七瀬: もちろんや。なんなら、ななが監修してるんやし。
○○: おぉ…だったら、それにします。確実に美味しいでしょうから。
七瀬: 笑、ありがと。それで、みんな注文決まったんか?
春時: はい。俺は、この海鮮ミックスで…
日奈子: 私は、チーズ餅もんじゃと、チョコパンケーキです!
七瀬: 分かった。飛鳥は?
飛鳥: えっと、私は肉増量豚玉で。
七瀬: ほぉ〜この時間にガッツリ行くんやな笑。よしじゃあ、できるだけ急いで持ってくるから、少し待っとき。
○○: はい、お願いします。
注文を取った七瀬は、厨房の方へ歩いていった。
日奈子: もんじゃ焼き…パンケーキ…早く食べたい!
春時: 少ししたら来るんだから、落ち着けって笑
日奈子: 待てないよ〜…って、あ、ちょっと、いってきます!!
飛鳥: 笑、はーい。
席を立った日奈子は、店員に断りを入れてから、お店の外に出た。
○○: 笑、でさ、話を戻すけど、次期生徒会長の最有力候補が史緒里で、次期風紀委員長の最有力候補が美波だから、あの2人は、未来のトップ3のうちの2人なんだよ。
再び、○○達の視線に未だに気づいていない2人の方を、チラッとだけ見る。
飛鳥: 最有力候補ね〜風紀委員長の方は別としても、生徒会長の方は、まだ決まってないんじゃないの?笑
○○: そりゃあ、生徒会選挙がまだなんだから、決まってはないけど…
飛鳥: いや、そういう事じゃなくて、最有力候補が史緒里がどうかは、まだ決まってないんじゃない?ってこと。
○○: いやいや、今の史緒里なら次期生徒会長に一番相応しいでしょ。一番頭も良くて、人望も厚く、仕事もできる。
飛鳥: …ってもしかしてさ、○○が史緒里のイメージ改善に動いてたのって、そのため?
○○: 笑、なんのことかな?
春時: あ、コイツ、自分が生徒会長とはいかないまでも、生徒会には無理やり入れさせられる可能性を考えて、史緒里を最高の囮になるよう育ててやがったのか笑
○○: 言い方が悪過ぎるし、育てたって言っても、ただ史緒里がこういう子だよ〜ってのを、少し広めたぐらいで、あとは全部、史緒里が持ってた力なんだから。
春時: それは分かってるが、史緒里を生徒会長に押し上げるために、動いてたのは、事実だろ?
○○: まぁね。史緒里が一番、生徒会長に相応しいって思ったし。
飛鳥: 笑、桜井先輩達は、そう思ってないだろうけど。
春時: な笑。○○が押し上げた史緒里の対抗馬は○○に違いない。
○○: でも僕は、生徒会に入るつもりはない。
飛鳥: なんで?
○○: ……なんとなく。
春時: 理由ねぇんじゃねぇか!笑
○○: 史緒里と灰崎君達が中心の生徒会を、今みたいな感じで、少しサポートできれば良いかな、ぐらいにしか思ってないよ。
飛鳥: ふ〜ん…ま、○○がそう思ってるんなら、それで良いんじゃない?別に私達も、○○に絶対に生徒会長になって欲しいとも、思ってないし。そうでしょ?
春時: あぁ。生徒会長になったら、今以上に一緒に遊べなくなるだろうからな。
飛鳥: うん。
○○: 笑、ありがと。
春時: なんの感謝よ、それ笑
飛鳥: 笑…って、日奈子遅くない?
春時: 日奈子なら、お店に戻ってきた後、史緒里達のとこにいるぞ。
飛鳥: え?あ、ほんとだ。
○○: そろそろ、料理も来そうだし、日奈子を呼びに行くかな。
春時: そうだな。
飛鳥: 私行ってくるよ。
○○: うん。よろしく。
日奈子: ねぇねぇ、梅ちゃんはさ、何個ぐらいたこ焼き食べれるの?!
梅澤: まぁ50はいける。モグモグ
日奈子: すごい!!
久保: ほんとね笑
梅澤: で、なんでお前はここにいるんだ?
日奈子: だって、2人と話したかったから!
梅澤: …誰と来たんだよ。
日奈子: 誰って…
久保: 笑、そんなの決まってるじゃん。
飛鳥: 史緒里、梅、ごめんね。うちの犬が迷惑かけて。
日奈子: あ、あっしゅん!
久保: ほら。(犬って呼ばれたことには、ツッコまないんだ笑)
梅澤: ま、そうだろうな。いや、迷惑はかけられてないよ。その直前だったのかもしれないが笑
飛鳥: なら良かった。日奈子、もうすぐもんじゃ焼きとパンケーキが来そうだから、戻るよ。
日奈子: はーい!もんじゃ焼き!パンケーキ!
久保: 元気だな〜
梅澤: モグモグ…あ、飛鳥。
飛鳥: なに?
梅澤: あとで、飛鳥達に頼みたいことがある。
飛鳥: なに?
梅澤: 笑、ここ出てから教える。
久保: ?
飛鳥: じゃあ、早く食べてよ。
梅澤: そっちもな笑
久保: 頼みたいことってなんなの?
梅澤: まぁ良いじゃん。食べようぜ。
久保: うん。
そうして、飛鳥と日奈子は○○達のいる席に戻り、久保と梅澤は山のように積み上がっているたこ焼きを食べるペースを早めるのだった。
七瀬: お待たせ〜
○○: ナイスタイミングです。七瀬さん。
七瀬: そう?
日奈子: やった〜美味しそう!!
春時: 飛鳥のヤツ、思ってたよりデカイな笑。食べれるのか?
飛鳥: 笑、舐めんな。
七瀬: ご注文の料理は全部揃ってる?
○○: はい、揃ってます。
七瀬: 分かった。じゃあ、ごゆっくり…って、1つ○○に言っといた方が良いことがあるな笑
○○: え、怖いんですけど…
日奈子: なんですか?!モグモグ美味しい!
七瀬: 笑、ありがと。これから遊ぶなら、○○は、あと1時間以内に遊んどきや。
笑ってそう言いながら、七瀬は去っていった。
○○: 1時間以内…なんで…
飛鳥: 1時間後に、何かあるってことでしょ。
春時: だろうな。
○○: うわぁ〜怖すぎる〜
日奈子: 大丈夫だって!モグモグ
春時: ま、七瀬先輩がそう言うなら、確実に何かあるんだろうから、残り1時間を楽しもうぜ。パクッ…あ、マジで美味い。
日奈子: でしょ?モグモグ
飛鳥: 私もた〜べよ!パクッ
○○: はぁ…パクッ
30分後…
日奈子: ごちそうさまでした!!!
店員: またいらしてください!!!!
日奈子: はい!!!!!!
春時: だから、張り合うなって笑
飛鳥: あ、いた、梅。
梅澤: お、来たか。
美味しい料理を食べ終わり、粉物ランドを出た○○達は、少し先に出ていた梅澤と久保と合流する。
春時: あの量のたこ焼きを食べるのは、史緒里、キツそうだったな笑
久保: マジでヤバかった…
日奈子: 良い食べっぷりだったよ!
久保: 笑、そう?
3人が話しているのを見て、梅澤は○○と飛鳥に頼み事を伝える。
梅澤: でな、頼み事っていうのは、史緒里を私達んとこの、お化け屋敷に連れてきて欲しいってことなんだ。
飛鳥: 笑、なるほど。
○○: え、史緒里って大のお化け嫌いじゃん。
梅澤: だから面白いんだろ笑
飛鳥: 確かに笑
○○: …2人とも怖い笑顔してるよ。
梅澤: 私も史緒里を驚かしたいから、先に行って誰かと代わってくる。
飛鳥: 了解。なんとしてでも、史緒里を連れて行くね。
梅澤: 場所は、特別教室校舎の3階だから。頼んだ。
そう言って、梅澤は走って行った。
飛鳥: よし、やるよ、○○。
○○: え〜
飛鳥: ○○もお化け屋敷には行きたいでしょ?
○○: まぁ、面白そうだし行きたくはあるけど。
飛鳥: 史緒里も成長しなきゃだし…あ、それこそ、次期生徒会長になるために、必要なものなんじゃないの?お化けにビビらないような、強い心っていうのは。
○○: すごいこじつけ笑…でも、強い心は必要だね。
飛鳥: なら、協力して。
○○: …少しだけだよ。
飛鳥: うん!笑
久保の怖がる様子を思い浮かべて、溢れ出てくる笑みを噛み殺しながら、飛鳥は楽しそうに話す久保に近づく。
久保: ん?どうしたの?飛鳥。
飛鳥: ちょっと来て。
久保: え?
ガシッ
腕をしっかりとホールドする。
飛鳥: さ、みんな行くよ〜
日奈子: どこ行くの?!
飛鳥: 楽しいとこ。
日奈子: なら行く!!
ガシッ
久保: いやいやいや、それはどこなの?!
飛鳥: 良いから良いから。
久保: ってか、梅は?!
飛鳥: 良いから良いから笑
春時: なんか随分とテンション高いな、飛鳥。
○○: ほんと、生き生きとしてるよ笑
こうして、○○達は久保を連れて、お化け屋敷に向かうのであった。
さぁ、久保の運命はいかに!
久保: どこに行くのかだけでも教えて!ちょっ、私がキャリーケースみたいに引き摺られてるから、みんなに見られてるから!!飛鳥、日奈子!!
to be continued