ただ守りたい… 137話
黒峰: さぁ、始めるぞ!
タッ!
○○: 来い!
地面を蹴り、接近してきた黒峰に対し、○○は昨日と違い、ドシッと構えるのではなく、軽くステップを踏んで、すぐに動けるように構える。
黒峰: ニヤッ…オラッ!
ブンッ!
昨日と同じように、まずは直線的なパンチを、ものすごい速度で放つ黒峰。
それを、○○は横に避け、真横に来た黒峰の腹に、拳をめり込ませようと、右腕を振るう。
黒峰: っぶなw
○○: ハッ!
右拳をギリギリで回避した黒峰に、○○は蹴りを放つ。
ドンッ!
黒峰: クッ…すげぇ威力。
○○: っ!まだまだ!
思いの外、威力が高かった蹴りを防御したことで、少し怯んだ黒峰の隙を見逃さずに、○○は追い討ちの連撃をかける。
バンッ!
ドスンッ!
バコンッ!
黒峰: 良いなぁ…昨日のは全力じゃなかったのか…オリャ!
ブンッ!!
しかし、2、3撃加えたところで、防御を止め、瞬時に後退した黒峰がその長い足を振り、広範囲に攻撃を仕掛けたことで、○○は連撃を中断せざるを得なくなる。
○○: ふぅ…
黒峰: いや〜昨日とのギャップに驚いた。お前、攻撃もできたんだな。てっきり、他人を攻撃できない腰抜けかと思ってたぜ。
○○: …
黒峰: だが…
再び、黒峰は○○に詰め、右膝を上げる。
○○: フンッ!
パシンッ!
両腕で膝を下に弾き、その反動で跳ね上がった手を、そのまま、黒峰の顎目掛けて動かす。
黒峰: …
それを、顔を動かし寸前で避け、右フックを、○○の脇腹目掛けて放つが、○○はそれを左膝で受けつつ、蹴り込む。
黒峰: う〜ん…
ガシッ
○○: クッ…
黒峰: オリャッ!!
ブンッ!!
掴んだ○○の足ごと、黒峰は○○を投げ飛ばし、投げ飛ばされた○○は地面に背中をつける。
タッ!
○○: っ!マズっ…
仰向けに倒れている○○を踏みつけようと、飛び上がった黒峰を見て、○○は瞬時に体を回転させて避ける。
ドンッ!!!
黒峰: 避けたかw
○○: …
ダッ!
そして、笑う黒峰を見て、そこに最短、最強の攻撃を加えるべく、地面を左足で全力で蹴り、右足を前に出して、真っ直ぐに突っ込む。
黒峰: ま、そう来るよなw
○○: っ!!
片足を残した状態で、黒峰は反転し、○○の蹴りを最小限の動きで避けつつ…
黒峰: ほらっ!w
バコンッ!!
○○: ブハッ!!
回転した体を戻すかのように、再び反転し、飛び込んできた○○の顔面に裏拳を当てる。
タッ
ポタポタ
○○: …
もろに攻撃を受けた○○は、たまらず後ろに下がり、鼻血が出ていることを確認し、黒峰を睨む。
黒峰: やっぱり、お前の攻撃、読みやすいわw
○○: …
黒峰: おかげで、カウンターも決めやすいこと。
○○: そうかよ…
クソ、師範と同じことを言ってやがる。
つまり、これからの俺の攻撃は、師範と同じように簡単に避けられて、カウンターをきめに来られるってことか。
どうにかしないと…
黒峰: さぁさぁ、どんどんギア上げていくぞ!w
その瞬間から、黒峰の攻撃は苛烈さを増して行った。
黒峰: おらおら!w
ビュンッ!
バシンッ!!
ドスンッ!
身長が190cm近くあり、手足も長い黒峰の殴打や蹴撃は、段々と鞭のようにしなり始め、攻撃のモーションのある時点から、一気に加速するようになる。
そのため、○○は黒峰の攻撃モーションの初動から中盤までの動きで、最終的な狙いを予測し、防御をなんとか追いつかせていくが…
ビュンッ!!!
バチンッ!
バコンッ!!
○○: グッ…
黒峰: 昨日と同じじゃねぇか!!w
今の○○は、黒峰の攻撃を防御するのに精一杯であるため、昨日と同じ…いや、もはや、牽制や間合いを取るための攻撃すらできずにいて、完全なる防戦一方になっていた。
マジでヤバい…
このままだと、腕や足に限界が来る。
その前に、なんとかコイツの弱点を見つけて…
そう考えながら、○○は黒峰の攻撃に耐える。
黒峰: お前を倒して、ボスの前に連れてった後は、どうしようかな〜乃木高にまた襲撃かけるか。アンチが息を潜める必要もなくなるし。その時はやりたい放題できるぜ!
○○: ギロッ!
黒峰: おぉ、睨むだけじゃなく、攻撃してこいよ!w
ドンッ!!!
バコンッ!!
○○: グハッ……このっ!
ブンッ!!
思いっきり腕を振るい、黒峰を遠ざけようとする。
黒峰: 危ない、危ないw
しかし、その拳も当たることなく、黒峰は笑って○○の間合いの外に立ったままだった。
○○: ふぅ…
黒峰: さすがに息上がってきたか?
○○: 笑、全く。
黒峰: w虚勢張りやがって。ま、どっちにしろ、どれだけお前のパワーがあろうが、攻撃自体させなけりゃ一緒だからな。そのままお前の限界が来るまで、殴り続けてやるよ。
○○: …
ん?今の言葉…
コイツ、もしかして、俺のパワーを恐れてんのか?
確か、今日の初っ端に当てた蹴り……腕で防御して怯んでたな……それ以降、コイツは俺の攻撃を受けるどころか、捌くことなく、避け続けている。
ってことは、俺のパワーは、コイツの耐久力を上回ってるのかも…なら、一発でも攻撃を当てれば、かなりのダメージが入るはず…
じゃあ、どうすればコイツに避けられることなく、攻撃を当てられるか、だが…
黒峰: よし、殴り合い…いや一方的な暴力を再開しようぜw
○○: …笑
突然、○○が笑う。
黒峰: あ?どうしたんだ?急に笑って。
○○: …いや、俺はバカだな、って思ってよ。
黒峰: あっそ。まぁ、1人でここに来てる時点で、かなりのバカだと思うぞ。
○○: 笑、どうも。
ほんとバカだな、俺は。
今回は別に自由に動いて良いのに、なんで俺はわざわざ、あいつとの正面戦闘、殴り合いに応じてるんだよ。
師範のお墨付きの、強みを活かせっての。
せっかく、場所も広いんだし。
「スピードは中々で、パワーは一級品、反応速度も良い。」
この俺のスピードを活かして、コイツに攻撃を当てる。
○○: ふぅ…
黒峰: (なんか、企んでやがるな、コイツ。目が変わった。)
ダンッ!!
最初の蹴り出しの音を空間に響かせて、○○は黒峰の周りを全速力で走り始めた。
もっと周りを見ろ。
ここは、ただ広いだけの空間じゃない。
まぁまぁな数のガラクタが、まだ残ってる。
黒峰: チッ、ちょこまかと動き回りやがって。それは俺の専門じゃないっての。
と、悪態をつきながら、周りを走る○○を、なんとか視界に入れ続ける。
すると…
ビュンッ!!!
黒峰: あっぶ!
鉄製の細い棒が飛んでくる。
黒峰: 物は投げちゃいけないって、先生から教わらなかったのか?!w
ビュンッ!!!
次は金属製のバケツ。
黒峰: 聞く耳無しかよw
ビュンッ!!!
ビュンッ!!!
ガランッ!ダンッ!カランッ!
○○が投げる物は、全て空気を切る音を鳴らしながら、黒峰の元に飛んで行き、もちろん黒峰は、それを難なく避けるのだが、工場内には投げた物が落ちる音が反響しまくる。
その結果…
黒峰: (これ、見失ったらマズいな…足音で場所を特定できなくなった。ってか、物を拾って投げるまでの速度よ。どんだけ投げてきてんだ。)
そして、○○は仕上げにかかる。
○○: …
ビュンッ!!!
黒峰がいる方向とは違う方向、自分の進路方向に向かって、比較的大きいものを投げる。
黒峰: っ!!!
人間は速く動くものに目が行ってしまうため、これまでは自分の方向にしか物は飛んで来ず、自分から見て、横に移動していたのは○○だけであった黒峰にとって、その横に飛んで行った物は、視線を向けずにはいられないものであった。
さらに、黒峰が○○から視線を外してしまった隙に、大き目の板材を下から黒峰に向かって投げる。
ビュンッ!!
面積が広く、風の抵抗を受けやすい板材は、ちょうど黒峰と○○の間で起き上がり、一瞬だけ留まる。
黒峰: なっ…(物を上手く使いやがる……アイツはこの裏か!)
そう考えた黒峰は、これまでに物を投げ続けられ、自身は避ける一方だったストレスからか、すぐに板材の目の前まで走り、板材の後ろにいると思われる○○を、板材ごと蹴り飛ばしにかかろうとする。
黒峰: 正々堂々やれや!!!!
バキッ!!!
右足が板材を割る。
しかし、その先には…
黒峰: いなっ…
○○: こっちこそ、読んでたよっ!!!
利き手も利き足も右であると、推測していた○○は、黒峰がストレスから板材を右拳または右足で蹴り抜くと考え、黒峰の右側…黒峰からすれば、自分の右足で死角となっている場所に、姿勢を低くして構え、黒峰が板材を割った瞬間に、飛び上がる。
そして…
バコンッ!!!
黒峰: グハッ!!!
○○の右拳が、黒峰の顎を撃ち抜いた。
○○: 良いのが入ったぞ…
顎を抑えながら、"立っている"黒峰に、○○はそう言う。
黒峰: …あぁ。良いのをもらっちまったぜ。もし、流すのがあと少し遅かったら、今頃倒れてただろうな。
○○: なっ…
黒峰: いや〜油断した、油断した。格下相手でも、ちゃんとやんないと、負けるからな、勝負ってのは。
○○: …
マジかよ…
いや、全く効いてないわけではないはずだ。
流すって言っても、流せる衝撃には限度があるからな。
また、同じ作戦で…
○○: …
ダッ!!
黒峰: ww同じ作戦はつまんないぞ!
ビュンッ!!!
その場に落ちていた鉄の棒を、お返しとばかりに○○に向かって、回転させながら投げ、○○はそれを避けるために、方向転換する。
黒峰: まぁ、位置的に右に避けるよな。
○○: っ!!!
ドンッ!!!
○○: ガッ!!
避ける方向を読んでいた黒峰が、一気に○○との距離を詰め、右足で○○を蹴り込んだ。
○○: クッ…
後ろに飛ばされた○○は、すぐに黒峰を見つつ、構えを正す。
黒峰: で、次はどうするんだ?w
と、見下すように笑いながら、黒峰が○○に向かって、そう言っていると…
ガヤガヤ
黒峰: ん?
中位: しゅ、襲撃です!!
という声が、建物の内に響く。
○○: え?
黒峰: …ほぉw…お前の作戦か?
○○: い、いや…
黒峰: まぁ、どっちでも良い。俺がやることは変わらないからな。だが…
○○: …
黒峰: 予定変更だ。お前をすぐに仕留める。
そう言って、黒峰は左手を腰辺りに持って行き…
○○: (なんだ?)
黒峰: おつかれw
カチャ
○○: っ!!銃?!
銃口を向けられて、○○は驚き、一瞬だけ体が硬直した。
バンッ!!!
その一瞬は、拳銃から放たれた弾丸が、○○の元へ到達するまでには十分な時間であった。
少し前
純奈: お嬢様の言った情報だと、ここだと思うんですが…
護衛1: 目の前に、複数人の男がいます。
理々杏: 急いで中に入って!
護衛2: か、かしこまりました。
純奈: …あれはアンチか?
護衛1: その可能性が高いでしょう。お嬢様が言うように、深川○○が危機に瀕しているのであれば。
護衛3: どうします?
護衛1: お嬢様は…
理々杏: ○○を助けに行く!
純奈: ですよね……皆さん、やりましょう。
護衛1: それしかないですね。
護衛3: 最優先事項は通常通り。優先事項に深川○○の救出としましょう。
純奈: はい。
護衛2: 入ります!
理々杏と護衛衆4人を乗せた車が、○○と黒峰がいる建物付近に到着する。
中位1: な、なんだ?
中位2: 全員、警戒!!
ガチャ!!
純奈: お、お嬢様!
理々杏: 早く行かないと!
護衛1: 純奈!お前はお嬢様につけ!俺らでコイツらを制圧する!
純奈: 了解!
上位: チッ…お前ら何者だ!
護衛1: 答える義理はない。
純奈: 待ってください!お嬢様!
理々杏: …(急げ私!急がないと○○が!)
中位3: 行かせるか!
純奈: 邪魔すんな!!
バコンッ!!
理々杏の行く手を阻もうとしたアンチを、純奈が殴り飛ばすも、理々杏は気にせず真っ直ぐ走り続ける。
純奈: お嬢様!
そして…
理々杏: っ!!!
目の前に、銃口を向けられている○○が見える。
純奈: マジ?
理々杏: ○○!!!
その光景に勢いを一瞬止めてしまった純奈に対して、理々杏は止まることなく、○○の元に走って行く。
理々杏: (私の声に○○は気づいてない…ヤバい、このままだと………私が○○を助ける!!)
ひたすら○○だけを見て走る。
理々杏: ○○!!!!
バンッ!!!
○○: っ!!!!
聞きたくなかった音が響いた後、突然横から押され、地面に倒れた。
そして、何が起こったのか理解できず、押された方向をすぐに見る。
するとそこには…
繰り返されたように、見たくなかった光景があった。
地面に広がる赤い液体と、その上に横たわる大切な人。
○○: あ…あぁ…
純奈: お嬢様!!!!
黒峰: おっと…誰かは知らねぇが、助かったなw
そう笑いながら言う黒峰など、見向きもせず、純奈は理々杏のそばに駆け寄り、○○は頭を抑えながら俯く。
純奈: お嬢様!大丈夫ですか?!しっかりしてください!
黒峰: ん?お嬢様?
○○: グッ…あぁ…あぁぁああ!!
黒峰: ww壊れたのかよ。
純奈: ま、○○?…
○○: よくも、理々杏を…よくも、俺の大事な人を!!
黒峰: そりゃ残念だった…
バキッ
黒峰: っ!!!!!!
純奈: っ!!!!
○○: …
怒り心頭といった様子で叫んだ後から一変、気が抜けたように、フラフラと立ち上がる○○から、身の毛もよだつような凄まじいオーラが放たれる。
ダンッ!!
黒峰: え?
ドカンッ!!
黒峰: グハッ!!!
立ち上がった瞬間に地面を蹴り、目で追い切れないような速度で接近してきた○○の一撃に、黒峰は何もできずに吹き飛ばされる。
黒峰: こ、この…
バンッ!!!
バンッ!!!
急いで拳銃を構え、向かってくる○○に向かって発砲するが…
○○: …
ビュンッ!
ビュンッ!
黒峰: う、嘘だろ…
純奈: 銃弾を避けてやがる…
左右に移動し、完全に銃弾を避けた後、驚きで固まっている黒峰の頭を蹴り飛ばす。
バコッ!!
黒峰: ガァッ!!
○○: …
黒峰: な、なんだよお前!!さっきまでは雑魚だったくせして!!
○○: …
ただ近付いてくる○○に対し、黒峰は恐怖で後退る。
黒峰: や、やめろ…
ドスンッ!!
黒峰: こ、この…
バチンッ!!
黒峰: くっ…
バコンッ!!!
黒峰: ゆ、許して…
ドフンッ!!
黒峰: …
○○: …
黒峰の言葉に耳を傾けず、黒峰を吹き飛ばして、歩いて近付き、また吹き飛ばす、という行動を、○○は何も言わず、無の表情のまま繰り返す。
純奈: ○○…
黒峰: …
そして、また地面に倒れる黒峰の頭を掴み、立たせた後、殴ろうとすると…
○○: っ!!
左腕が上がらなくなった。
バフンッ!!
その瞬間に、右足で黒峰を蹴り飛ばす。
○○: …
言うことを聞かなくなっていく自分の体を止めることも、それを疑問に思うこともなく、ただ黒峰に攻撃をし続ける。
その光景を、純奈は理々杏の腕を抑えながら、何も言わずに見ていた。
純奈: (あれは…○○なのか?)
黒峰: …
ブンッ!!
ザザザー
右足も左腕も上がらないため、右手で黒峰の顎を掴み、地面に背中を擦らせるように投げ飛ばす。
○○: …
そしてまた、黒峰に近付こうとすると…
??: あれ?終わる前にって急いで来たけど……www思ってた以上に面白い展開じゃん!!
という声が、建物の入口から聞こえ、純奈も○○もそちらを振り向く。
??: あの黒峰が一方的にやられるって…お前、強いんだな!!!!
前髪はパッツンで他は乱雑に切られたような髪をしている、目をキラキラとさせた男が、○○を見ながらそう叫ぶ。
??: やり合おうぜ!!!!
ダンッ!!
その男は、純奈も目で追い切れないような…先程の○○の速度とほぼ同じ速度で、○○に接近し…
ブンッ!!
右拳を顔目掛けて振るう。
○○: …
バシッ
その拳を、○○は左手で掴んだ。
??: 思った通り…強い!!!ww
異様なぐらいに口角が上がり、興奮しているかのように頬を赤らめて、○○と殴り合う。
バコンッ!!
ドスンッ!!
バチンッ!!
??: かっは〜〜!!!良い!!良いよ!!君!!!
○○: …
??: でも…
ドフンッ!!
○○: っ!!
上がらなくなった左腕ごと、○○の体を蹴り飛ばす。
??: 万全の状態の君と戦いたかったな〜〜だから、また今度戦おう。そのために、今日は生かしとく。
○○: …
蹴り飛ばされた○○は、目は開いているものの、もう体が動かないのか、地面に倒れたまま起き上がらない。
??: さぁ、君はそれで良いとして、お前はどうするべきかな、黒峰。
黒峰: う、うぅ…
??: ま、もう死にかけだし。いっか。
グサッ
黒峰: ブフッ……
腰に挿していたナイフを取りだし、黒峰の胸に突き刺した。
純奈: っ!!!(仲間じゃ…ないのか?)
??: あぁ〜でも、一応、風磨にでも確認とっとくべきだったかな?う〜ん…とりあえず帰ろ。少しだけど、楽しかったし。またね、強い君。
そう言い残して、アンチの幹部である"松本炎司"は去っていった。
それを見て、○○は目を閉じ、完全に意識を失った。
純奈: た、助かった…
本当に見つかっていなかったのかは定かではないが、無事に危機を回避できた純奈は、一瞬だけ安堵し…
純奈: それよりも…お嬢様と○○を病院に!
理々杏: う、ううん……
純奈: お嬢様?!
理々杏: じゅ、純奈……ま、○○は…
純奈: それよりも病院に…
理々杏: 良いから…答えて…
純奈: …先程、意識が無いように戦闘を続けた後、倒れています。
理々杏: っ!!早く…○○のところに私を…
純奈: え?
理々杏: は、早くしないと…お願い…純奈…
純奈: か、かしこまりました。
必死に訴えかける理々杏の言う通りに、純奈は○○のそばに理々杏を運ぶ。
○○: …
理々杏: …やっぱり…
純奈: 完全に意識を失っていますね。
理々杏: ……純奈は…他の敵が来ないかを…見てて。
純奈: は、はい。
理々杏: 「暗示」。
純奈: っ!!
倒れて意識を失っている○○に手で触れながら、言葉を発していく。
「「予知」と「暗示」の異能力を持つ者と、大切な人を守るためだけに「解放」を使用できる」
「深川恵と深川麻衣の記憶は存在しないものとするが、月に一度だけ、感情を抑制した状態で一部の記憶を思い出し、「解放」の扱いが上手くなるほど、感情の抑制は減り、思い出す記憶は増える」
「普段は、他人を攻撃することはできないが、意識的に「解放」を使用した場合に、他人を攻撃できるようになる」
理々杏: …(や、やばい…意識が…)
「家族と、西野七瀬を除く大事な人が、守る対象の大切な人である」
ボワン
理々杏: …よ…し………
口を閉じた理々杏は、○○の隣で意識を失った。
to be continued