ただ守りたい… 169話
12月25日
とうとう乃木坂高校に、二学期の終業式の日が来た。
午前中のうちに、全校生徒が第3体育館に集まり、相変わらず長ったらしい校長の話を聞き、生徒会長の久保の堂々としたスピーチを聞き、終業式を終えた。
そして、教室や廊下、その他各自の担当場所の掃除を隅々まで行って、12時過ぎ、生徒達は各教室で帰りのホームルームを行っていた。
2年1組教室
高山: さぁ、やることも全部終えたし、あとはこのホームルームを終えるだけなんだけど……早く終わって欲しい?笑
教壇から、生徒達の顔を見ながら、担任の高山は笑顔でそう聞く。
皆はわざわざ口には出さないが、深く頷いた。
高山: 笑、クリスマスだしね。じゃ、冬休み中、まぁこの前返した成績表を見て、勉強しなきゃ!って勉学に励む子もいれば、友達や恋人と遊ぶ子もいると思うけど、とにかく体調面や怪我に気をつけて、過ごしてください!
「はい!」
高山: 年が明けて、三学期の初日に、またみんなと会えることを楽しみにしてます!…って、一応先にあけおめとことよろを言ってた方が良いのかな?…まぁ良いか笑。では、学級委員号令!
久保: 起立!礼!
「ありがとうございました!!」
高山: はい、ありがとうございました笑。みんな、元気でね〜
ガラガラ
教壇に並べていたファイルや資料をパッとまとめて、笑顔でそう別れを告げた後、高山は教室を出て行き、生徒達のやっと冬休みだぁぁ!といった類の声で教室が包まれる。
そんな中、冬休みのことではなく、これからの仕事について考えている人達がいた。
久保: さ、美月、祐希、行くよ。
美月: えぇ〜〜
祐希: はぁ〜い……ウトウト
久保: いや、え〜じゃなくて。祐希もまだお昼なんだけど。
祐希: 昼だからこそ…眠い……
久保: 全く。○○、起こして。
自分の席の近くにいる美月の駄々を一瞬で切り捨て、次はウトウトとしている祐希の席の近くに向かい、祐希の隣に席に座る○○にそう頼む久保。
○○: 笑、了解。ほら、祐希、しっかり目覚まして。
そう言って、○○は祐希の小さな肩を持って、ゆっくりと大きく揺らす。
祐希: おぉ……起きた!
○○: そりゃ良かった。
理々杏: まぁ、お昼は眠くなるよね〜
祐希: うんうん。
久保: このぐ〜たら娘め。さ、2人とも行こう。まずは生徒会室に行って、荷物持って、幼稚園に。
祐希: おっけ〜
美月: ○○!
渋々といった感じではあるが、美月は席を立つと同時に、○○の名前を呼ぶ。
○○: ん?
美月: 夜は一緒に過ごそうね!!夜空に降る白い雪を見ながら!
○○: え?あ、うん。
突然の言葉に、○○は戸惑いながらも了承し、それを受けて、美月は満足そうな笑みを浮かべる。
久保: 笑、じゃ、みんなまたね。
祐希: ばいば〜い。
美月: 絶対だよ!!!
そうして、生徒会役員の3人は、クリスマス企画を大成功で終わらせるために、それぞれの方法で気合いを入れて、教室を出て行った。
理々杏: 生徒会、大変だな〜
○○: 確かにね笑。でも、話を聞く限りじゃ、仕事もやり甲斐があるし、楽しいみたいだよ。
理々杏: うん笑。美月達の表情を見てたら、何となく分かるよ。あの駄々こねは、仕事が嫌なんじゃなくて、○○と一緒にいれないのが嫌なだけなんだろうなって。
○○: 別に帰ってきたら家で一緒にいれるのにね笑
理々杏: ホントだよ。美月は欲張り過ぎ!
と、隣の席である○○と理々杏が話していると、そこにふらっと、飛鳥がやって来る。
飛鳥: ねぇ。
○○: ん?
飛鳥: あのさ、○○。
真剣な表情の飛鳥は○○の目を見て、こう言った。
飛鳥: 今日、一緒に⊿モールのクリスマスツリー、見に行かない?
○○: え、まぁ別に良いけど……笑、珍しいじゃん。飛鳥がそうやって遊びに誘ってくれるなんて。
飛鳥: うん。だから、行こ。
○○: OK。
理々杏: え、なら私も…
トントン拍子で、ライバルである飛鳥のデートが決まったため、理々杏は焦ってそこに割り込もうとするが…
飛鳥: 理々杏。
理々杏: な、なに…
飛鳥: ……ちょっと来て。
そう言って、飛鳥は○○と理々杏に背を向け、教室を出て行く。
理々杏: マジでなに?
○○: 僕も分からないけど、とりあえず行ってみたら?
理々杏: そう…だね。
飛鳥の行動を不思議に思いながらも、理々杏は席を立ち、その後を追った。
○○: どうしたんだろう…
春時: 笑、ほんと成長だよな〜
堀: あの飛鳥が○○君を自然と誘うだなんて……なんか成長に泣きそう。
日奈子: あっしゅん凄い!!!
星野: 笑、日奈子はそれ、意味分かって言ってるの?
1人ポツンと残ってしまった○○の所に、春時達がやって来る。
○○: 成長……笑、そうだね。あんなインドアの極みみたいな飛鳥がねぇ。
春時: しっかりと楽しんで来いよ。
○○: うん。って、春時も来たら良いじゃん。堀さんや星野さん、日奈子も。みんなで遊んだ方が楽しいし。
という言葉を聞き、春時と堀は呆れる。
春時: はぁぁ……全く、お前ってやつは。
堀: 行くわけないじゃんか。
○○: そ、そう……なんかごめん。
春時: 飛鳥は成長したのに、お前は変わらないというかなんというか……もはや逆に安心するぜ笑
星野: これぞ、○○君だね笑
堀: 飛鳥、頑張りなさいよ。
日奈子: ?…とりあえず……あっしゅん!頑張れぇ!!
教室の壁の向こうにいるであろう飛鳥に、堀がそうエールを送ると、それに合わせて日奈子もエールを送り始める。
すると、その声が聞こえたのか、教室の扉が開かれ、外に出ていた飛鳥と理々杏が戻ってくる。
飛鳥: 日奈子、うるさいよ。
日奈子: え〜私だけ?未央奈だって、応援してたもん!ね!
堀: 笑、まぁね。
飛鳥: 全く。
○○: それで、理々杏は…
皆が集まっているところに来た飛鳥と、少し悲しそうな表情をして、その後ろについてきている理々杏に、一緒に行くのかどうかを聞くと、理々杏は笑顔を作って答えた。
理々杏: …笑、残念ながら、飛鳥と話してるうちに、純奈先輩と万理華先輩と一緒に遊ぶ予定が入ってたのを思い出してさ。ごめん、今日は無理だった。
○○: あ、そうなんだ。先約があるのなら、しょうがないね。
堀: ……
春時: ?
その誘いを断る理々杏の言葉に、○○は普通に返事をしたが、堀と春時は、あんなに○○のことが大好きな理々杏が、先約があったとしても飛鳥に先を行かせるような真似を許すのか?という疑問を抱く。
○○: なんか、春時達も行けないみたいだし、2人で…
飛鳥: いや。もう1人。
堀: え?
飛鳥: …日奈子。一緒に行こ。
てっきり飛鳥は○○をデートに誘ったものだと思っていた堀が、思わず声を上げて驚く中、飛鳥は日奈子を誘う。
その言葉を受けた日奈子は、少しの驚きの後…
日奈子: もっちろん!!一緒に行こ!!!
そう飛び切りの笑顔で答えたのだった。
飛鳥: 笑、じゃ、どうしようか……⊿モール前の広場で…16時待ち合わせで。
○○: 了解。
日奈子: はーい!!
飛鳥: ってことで、また後で。
そう言って、飛鳥は教室を出て行き、○○と日奈子もその後すぐに、楽しく喋りながら荷物を持って出て行き、春時達はそれを見送った。
春時: …よく分かんないな。
堀: うん。まさか、日奈子を誘うなんて…
3人が出て行った扉を眺めながら、2人はそう言う。
理々杏: …
堀: 理々杏は何か知らない?
理々杏: ……明日にでも、飛鳥の口から聞けると思う。
堀: …理々杏の口からは言い難いことか……
春時: …でも、さっきのやり取りをしている間の飛鳥の表情を見る感じ、覚悟を決めてたみたいだから。俺らは見守ろう。
堀: …うん。
星野: ……さ!みなみ達も帰ろ!クリスマスだし!
空気を切り替えようと、星野が明るく振る舞う。
堀: 笑、クリスマスだし、はよく分かんないって。
星野: え〜
堀: じゃあ、ゴルマに行く?クリスマス記念の何かやってるでしょ。
星野: お、良いね!行こ!
堀: 春時と、理々杏…は、予定があるのか…
理々杏: 別にないけど。
春時: やっぱり…
堀: なら、理々杏も、一緒に行く?
理々杏: 行く!
堀: 春時は?
春時: いや、男子1人はキツいって笑
堀: じゃあ、暇そうな雅史君と、あと璃勇君も誘って。
春時: 暇そうなって笑。2人が行くなら、俺も行くよ。
堀: OK。なら聞いてきて。
春時: はいはい。
こうして、教室に残った春時達も楽しいクリスマスを過ごそうと動くのであった。
15時50分
⊿モール前広場
○○: …あ、飛鳥が来た。
飛鳥: ん。日奈子は?
○○: まだ。
飛鳥: だよね笑
夕陽が沈み始め、空が赤く照らされている頃、⊿モール前の広場にあるベンチに座っていた○○の隣に、赤のマフラーを首に巻いた飛鳥が座る。
○○: ……あれ、そのマフラーってさ…
飛鳥: 笑、気づいた?
○○: そりゃあ……一昨年のクリスマスに、プレゼント交換会で、僕がプレゼントしたやつだもん。
飛鳥: せっかくだから、着けてきてみた。
○○: ありがとう笑
飛鳥: ………で、感想は?
○○: 感想?……あぁ、めっちゃ似合ってるよ。我ながら、飛鳥に似合うマフラーを選べたな〜って思う笑
飛鳥: ふ〜ん//
と、飛鳥が少し顔を赤くしたところで、この寒い空気を暖かくするような元気な声が聞こえてくる。
日奈子: おぉ〜い!!!○○!!あっしゅん!!!
○○: 笑、相変わらず、日奈子の到着はすぐに分かるね。
飛鳥: だね笑
ベンチから立ち上がり、後ろを振り返りながら、2人は笑顔で日奈子を迎える。
日奈子: 遅れてはないよね!!
○○: うん。16時ちょっと前でセーフ笑
日奈子: いぇーい!!
飛鳥: 笑、よし。中に入ろう。寒いし。
日奈子: うん!!
○○: 今年は、どんな装飾になってるのかな〜
⊿モールの入口に向かって、日奈子と○○が並んで歩き出し、飛鳥もその後に続く。
すると、日奈子が手に着けている手袋に目が行った。
飛鳥: …ねぇ、日奈子。その手袋ってさ。
日奈子: お!気づきましたか!あっしゅん!!
飛鳥: うん笑
○○: え、まさかのプレゼント?
日奈子: そう!このピンク色の可愛い手袋は、一昨年のクリスマスに、あっしゅんから貰ったやつ!!
そうニコニコの笑顔で言って、飛鳥と○○の顔の前に、手袋をはめた手を突き出す。
飛鳥: よく覚えてたね笑。私がプレゼントしたやつだって。
日奈子: そりゃ当たり前よ!舐めてもらっちゃぁ、困るなぁ〜
○○: 笑、まさか飛鳥に続いて、日奈子までプレゼントを着けてくるなんて。ほんとなんか、息が合ってるというかなんというか。
日奈子: え?あっしゅんも?
○○: この飛鳥が着けてる赤いマフラーは、僕のクリスマスプレゼント。
日奈子: あ、あ〜なんか見覚えあるかも…
飛鳥: ほんと?笑。ってか、○○は何も持ってきてないんだね。
日奈子: そうなの?!
○○: ちょっ、それは無理があるって笑。そのプレゼント交換会の時は、僕は春時からタオルのセットを貰ってるし、他のクリスマスプレゼントも色々とあって、選び切れなくて……
飛鳥: 笑、冗談。ほら、行こ。
笑いながらそう言って、飛鳥は○○と日奈子の背中を押す。
日奈子: わわ!あっしゅん、押さないで〜笑
○○: 良かったぁ〜笑
こうして、3人はわちゃわちゃとしながら、⊿モールの中に入った。
⊿モール内
日奈子: うわっ!あそこにも草がある!
飛鳥: いや、草じゃなくてリースね笑
○○: まさにクリスマスって感じだな。
室内に入った3人は、カップルや家族連れがたくさんいる中を進みつつ、クリスマス仕様の装飾を見たり、お店の中を覗いたりしていた。
すると…
日奈子: あ!トナカイだ!
かなり遠くの方のお店の店頭に、大きなトナカイの置物が置いてあるのを視界に捉えた日奈子が駆け出す。
○○: 一体どこにトナカイが……ちょっ、日奈子!いきなり走り出さないで!
そう言いながら、○○も日奈子の後を追いかけ始め、飛鳥は1人取り残される。
飛鳥: 全く………はぁ……
別に○○は、私のことを気にしていないわけじゃない。
こうやって、日奈子がどこかに行って、それを○○が追いかけることは、よくあることだし。
前に同じようなことがあって、私も追いついた後、なんで私を置いていったの?と、○○に聞いたら…
「すぐに駆け出しちゃう日奈子とは違って、飛鳥はしっかりしてるもん。」
って言ったから。
○○は私のことを信頼してくれてるんだな、って思う。
もちろん、その信頼は嬉しいし、私も、○○には駆け出した日奈子が迷子にならないように、追いかけて欲しいと思ってる。
でもさ…
寂しいんだよ、私だって。
飛鳥: …笑、早く2人に追いつこう。
そうして、飛鳥も2人が走って行った方に、ゆっくりと歩き、その先に、トナカイの置物を撫でている日奈子と、それを少し怒ったような表情で眺めている○○を見つけた。
日奈子: よしよし笑
○○: 日奈子。
日奈子: な〜に?○○………怒ってる…
ずっとトナカイの方に向けていた視線を、後ろに向けたことで、真後ろに立っていた○○が怒っていることに気づく日奈子。
○○: いきなり走り出すのはダメって言ってるじゃん。迷子になったら困るし、何より危ないでしょ。
日奈子: ご、ごめんなさい!
○○: 次やったら、ほんと…………飛鳥に罰ゲームをしてもらうから!
日奈子: ひぇっ!あっしゅんの罰ゲーム!!もうやりません!!
飛鳥: ちょっと笑。いきなり巻き込まないでよ。
○○: あ、飛鳥。
飛鳥: まぁ別に良いけど。実際に、私も怒ってるし。
日奈子: だからごめんって〜!!
飛鳥: 笑……よし、日奈子、御手洗に行こう。
日奈子: え?
いきなりのお誘いに、日奈子は驚く。
日奈子: ……ま、まさか、トイレでお説教?!
飛鳥: いやしないから笑。とにかく行こ。
日奈子: う、うん…
飛鳥: ○○はその辺で待ってて。
○○: OK。でも、程々にね笑
飛鳥: いや、マジで説教じゃないから。日奈子もビビってないで行くよ。
日奈子: お説教だったら、すぐに逃げるからね!!
飛鳥: はいはい笑
と、説教をされるのではないかと不安になっている日奈子を連れて、飛鳥は歩き始めた。
○○: え、トイレはあっちだけど………ま、いっか。何かあるんでしょ。
トイレとは全然違う方向に向かって。
日奈子: ねぇ、あっしゅん〜どこまで行くの〜
飛鳥: ……この辺でいっか…
少しの間、2人は歩き、都合良く、あまり人がいない空間へとやって来た。
日奈子: え、ここ?!……やっぱお説教じゃ…
飛鳥: ないから。
そうバッサリと日奈子の不安を切り捨てて、飛鳥は日奈子に向き直る。
飛鳥: 私さ。ずっと日奈子に聞きたかったことがあるの。
日奈子: なに?
そして、真っ直ぐに日奈子の目を見て、先週の日曜日から、やろうと思っていたことを、覚悟を持って実行し始める。
飛鳥: 日奈子も、○○のことが好きなんだよね?
日奈子: っ!!……だから、親友として幼なじみとして好きって言ってるじゃん笑
再び、取り繕った笑顔で日奈子はそう答えるが、今回の飛鳥はそれで止まらなかった。
飛鳥: 嘘つかないでよ。ってか、もうずっと一緒にいるんだから、私に嘘が通じないことぐらい分かってるでしょ。
日奈子: ……嘘なんかじゃない…
飛鳥: 嘘。
日奈子: 嘘じゃないもん!
飛鳥: ……
日奈子: もう、あっしゅん変だよ!!こんな変なあっしゅんは放っておいて、○○のとこに帰っちゃお〜
そう言って、日奈子は飛鳥の横を通り抜けて、○○の所に戻ろうとしたが…
飛鳥: そうやって逃げるんだ。日奈子は。
日奈子: …
飛鳥の言葉で、日奈子の足が止まる。
飛鳥: ……ズルいよ。日奈子だけ自分の心に向き合わずに、ニコニコと笑顔で過ごしてるだけなんて。
日奈子: っ……なんで…
飛鳥: ……
日奈子: なんでそんなヒドいこと言うの?!あっしゅん!!!
ガシッ
勢いよく飛鳥の両肩を掴み、涙目になった日奈子が叫ぶ。
日奈子: 私は!あっしゅんの……みんなの為を思って!!
飛鳥: 誰だよ…
日奈子: はぁ?
飛鳥: 誰が頼んだんだよ!そんなこと!!!
日奈子: っ!!!
逆に肩を掴み返して、飛鳥も日奈子の心に訴えかける。
飛鳥: なんで日奈子だけが、自分の気持ちを抑え込まないといけないんだよ!
日奈子: …
飛鳥: なんで日奈子だけが!……○○が好きって気持ちを堪えて……そうやって取り繕った笑顔を浮かべて、自分の気持ちを否定しなきゃいけないんだよ……
大きな瞳に涙を浮かべながら、飛鳥は言う。
日奈子: あっしゅん……
飛鳥: 自分の気持ちに正直になってよ!日奈子!!
日奈子: …………私は…
飛鳥の強い言葉を受けて、日奈子はずっと心の奥底で閉じ込めていた気持ちを、口に出し始める。
日奈子: …私は、○○のことが……
飛鳥: うん…
日奈子: 大好き……ずっと大好きなんだよ……
絞り出すかのように、日奈子は本当の気持ちを吐露した。
日奈子: ○○と出会った頃から……ずっとずっと…大好きで………でも…理々杏ちゃんやあっしゅん達も…○○のことが好きで……グスン
飛鳥: …ツラかったよね……日奈子。
ギュッ
涙を流す日奈子を、飛鳥は優しく抱き締める。
飛鳥: もう我慢しなくて良いんだよ。
日奈子: あっしゅん…グスッ
飛鳥: だって、みんな、日奈子に気を遣ってもらわなくても良いぐらいに強いんだからさ…グスン
日奈子: …グスッ…グスッ
飛鳥: 理々杏はなんか、○○のことを私達以上に理解しているような気がするし…やんちゃんは健気にずっと○○のことを想ってるし…珠美は強心臓でガンガン行くし……美月なんて…言わなくても分かるじゃん笑
日奈子: …うん…グスッ
飛鳥: それに七瀬先輩も強い……だからさ、日奈子が我慢する必要なんてない。これからは自分の気持ちに正直に、○○に想いをちゃんと伝えるようにしなきゃ…グスン
日奈子: ……グスッ……分かった。
飛鳥: 笑…よし。
日奈子の肩の上…日奈子には見えないところで、飛鳥は手で涙を拭い、パッと離れる。
飛鳥: 日奈子、頑張るんだよ。ものすごい手強いライバル達がいるんだから!笑
日奈子: うん!笑
ゴシゴシと涙を拭った日奈子は、いつも通りの笑顔を見せて、元気よく返事をする。
飛鳥: じゃ、○○のところに行こう。
日奈子: そうだね!……って、そうなると、あっしゅんもライバルだから……
飛鳥: そんなことは考えないで笑。私は、もう吹っ切れてるし、それに、何よりも幼なじみの方が大事なんだから。
日奈子: え?
飛鳥: 良いから行くよ〜
日奈子: あ、待ってよ、あっしゅん〜!!
こうして、真にいつもの関係に戻った2人は、笑顔で、○○の元へと戻るのであった。
to be continued