【やくだつ原子】Vol.3「炭素(C)」(後編)
本日の原子「炭素」
キーンコーン♪カーンコーン♪
ひこまる先生
「炭素についての授業も、ついに最後となりました。前後編で済むかと思っていたのですが、皆さんが真面目に授業を受けてくれているので、先生もついつい熱が入ってしまいました(笑)
前回はダイヤモンドについての授業になりましたが、YMTさん、簡単に説明してもらえますか?」
YMT
「はい!(ドキッ)
ダイヤモンドは、最も硬い鉱物。引っかき傷には強いけど、落としたり強くぶつけたりすると割れてしまう可能性がある。それから、炭素でできているので、燃やすこともできる。黒鉛などから、人工的にダイヤモンドを作ることもできる。天然ダイヤと人工ダイヤの見分け方は、息を吹きかけること!」
ひこまる先生
「はい、ありがとうございます!さすが、目を煌めかせて授業を受けていただけありますね!
それでは、最後は、炭素がなぜこんなに多様性があるのか。その秘密に迫りながら、炭素についてまとめていきたいと思います」
カミィ
「それにしても、炭素って気体になったり原子配列によって姿形を変えるけど、これが同位体(アイソトープ)というものですか?」
ひこまる先生
「カミィくん、とてもいい質問ですね。よく間違えられるのですが、今回取り上げてきた"原子の繋がり"による性質の違いは、"同素体"というものです。"同位体"は、それとは全く別のものです。
原子の中には中性子というものがあります。簡単にいうと、同じ炭素でも中性子の個数が違うものがあり、それを"同位体"と呼びます。原子において重要なポイントなので、別の形で授業したいと思います。カミィくんはぜひ参加してください(笑)」
カミィ
「はい!」
炭素の特徴「同素体」って何?
ひこまる先生
「なぜ、炭素は同素体を多く持つのでしょうか?他の原子だとあまり聞くことありません。
その理由は、炭素がたくさんの"価電子"を持つからです。
原子には、価電子という結合のための手があり、炭素は価電子を4つ持ちます。いうなれば、腕が4本生えているようなものです。この図から分かるように、ダイヤモンドは一つの原子から、手が4本伸びていて、黒鉛では3本しか伸びていませんね。
全ての価電子を結合に使っているからダイヤモンドは非常に硬いですが、黒鉛は3本の腕しか繋いでいないので、脆くなる、ということです」
喜多
「天津飯みたいですね」
出典:DRAGON BALL/鳥山明 集英社
ひこまる先生
「四妖拳ですね!懐かしい(笑)。まぁ、当たらずも遠からずという所でしょうか。
いつか機会があれば詳しくお話ししますが、電流とは、電子が動くことを言います。ダイヤモンドは、価電子4つ全てを結合に使ったので、電気が通りにくいです。一方で黒鉛は3つしか結合に使っていないので、自由に動ける電子があり、電気がよく通ります。
このように"なぜ"が分かると理科ってすごく楽しいですよね!
ちなみに、以前、実験したことがあるんですが、シャーペンの芯の両端に電流を流すと閃光弾のように物凄く光ります!!非常に高温にもなるので、危険ですから絶対にコンセントなどに入れてはダメですからね!」
喜多
「ダメと言われたらやりたくなる…!」
カミィ
「本当にやめた方がいいよ。火花が散って、コンセントもショートさせちゃうから」
喜多
「え!やったことあるの!?負けてられない!!」
ひこまる先生
「喜多くん、ダメ!絶対!!カミィくんも焚きつけないでください!
炭素の同素体は、他にも、喜多くんが人類の夢だと憧れる、カーボンナノチューブなどもあります。
いやぁ、炭素って広く応用がされていて、身近な原子なのに奥深いんですね。もしかしたら、『炭素を制するものは、原子を制す』のかもしれませんね(笑)」
MAX
「なんかスラムダンクっぽい(笑)」
喜多
「ひこまる先生!原子が学びたいですっ!!」
ひこまる先生
「喜多くん、その熱意は伝わりました!
さて、三回に渡って炭素について学んできました。炭素にはいろんな特徴がありましたが、どんなことが印象深かったですか?」
YMT
「やっぱり、ダイヤモンドについて、詳しく知れたことが良かったです!人工ダイヤモンドには気をつけます(笑)」
喜多
「僕はやっぱり、炭素の可能性ですね!カーボンナノチューブとか、人工ダイヤモンドとか、人類の夢と科学がどう融合していくのか。楽しみです!」
カミィ
「炭素を含んでいるのが有機体で、人間の体にも炭素が含まれている。炭素はとても奥深くて、同素体もですが、やっぱり同位体も気になりますね!」
人間はダイヤの原石?
MAX
「あ、すみません!最後に質問なんですが、人間の体にも炭素が含まれているなら、人間からダイヤモンドを作ることはできるんですか!?」
ひこまる先生
「MAXくん、最後の最後でとんでもない質問ですね…
流石に肉体からダイヤモンドを作ることは、倫理的にもコンプライアンス的にも問題があります。しかし、理論上、炭素を含んでいる人間も、ダイヤモンドになり得ます。前回『灰とダイヤモンド』という言葉が出ましたが、実際に『遺灰からダイヤモンドを作る』というサービスもあったりするそうです。そういう意味では、人間とは文字通り、"ダイヤの原石"なのかもしれませんね」
MAX
「そうなんだぁ。人間はダイヤの原石だったんですね。ダイヤの輝きに恥じない生き方をしたいですね!」
喜多
「さすがMAX!おーい山田く〜ん!座布団一枚!!」
ひこまる先生
「MAXくん、本当にいいことを言いますね!おかげで、良い授業の締めくくりになりました。
それでは、授業を終わります」
炭素のまとめ
・炭素は原子同士のくっつきが強い(同じ重さの鋼鉄に比べて80倍)
・炭素の強度を応用して作られた「カーボンナノチューブ」
・炭素を含む有機体が燃焼することで酸素と結合し、二酸化炭素になる
・酸素不足になると、人体に有害な一酸化炭素になるので換気に注意
・ダイヤモンドも黒鉛も、同じ炭素原子で構造が違うだけ
・ダイヤモンドは最も硬い鉱物で、傷はつかないが、衝撃で砕けたり割れる
・ダイヤモンドは燃える
・人工的にダイヤモンドを作ることができる
・炭素は、電子の結びつき方によって、形を変えるという「同素体」が多い
・電子の結びつき方によって強度が変わる
・人の体にも炭素が含まれており、骨からダイヤモンドを作ることができる。まさに、人間はダイヤの原石。
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道楽舎では、「なりたつ原子」アニメ化プロジェクトを実行中!!物語にして小説化、漫画化、そしてアニメ化を目指しています!
「やくだつ原子」シリーズもプロジェクトの一環として、書籍化を予定していています。過去コラムも今のうちに要チェックです!