Knock! Knock! Philippines
第四回目のKnock! Knock!は、フィリピンです。
フィリピンからは、過去に合計6名DOOR to ASIAに参加してくれました。
フィリピンは、世界で一番長い期間ロックダウンが続いた国で、外出規制や地域の移動が制限されていた。
今回4名のデザイナー、デザインユニットの方からフィリピンの状況とコロナ禍の取り組みについて話してもらいました。
Dan Matutina "Take good care of yourself"
Danは、フィリピンを代表するグラフィックデザイナーで、国内外のプロジェクトを手がけています。デザインスタジオPlus 63代表。4つのデザインスタジオで運営するHydro Design Groupを設立。初年度のDTA 2015年に参加、その後もDTA 2017ではメンターとして参加デザイナーのサポート役もし、2019年には初の海外でのDTAであるDTA Bataanを実施しました。
「コロナ前の2019-2020年はHydra Design Groupを立ち上げ、4つのそれぞれ個性の異なるデザインスタジをが共同となり、より大きな仕事に取り組み、クリエイティブのインスピレーションをお互い高め合っています。また我々のスペースでは若手デザイナーのサポートのトークイベントや展示を開催していました。
コロナウイルスパンデミック後は、デザイン専攻の学生に対しての就職サポートや、小規模のフードビジネスに対して、無料のブランディング・マーケティングサービスを行ってフィリピン各地の事業者をサポート。
フィリピンデザインセンターと一緒に、感染症対策をどのように広めていくかのプロジェクトにも携わった。
デザインは現在の問題に対する解決策を提案しますが、急速に変化する世界によってもたらされる不確実性に適応するのにも役立ちます。 デザインは私たちに未来を見据え、さまざまな可能性への想像力を広げさせてくれます。」(Dan)
Roxy Navaro "Design studio life in a lockdown"
Roxyは「Works of Heart」の代表。NGOなど様々社会企業家とのプロジェクトを手がけています。DTA2017の参加デザイナー。
「Works of Heartsのメンバーは、パンデミック以降、首都マニラからみんなそれぞれが自分の家族のところに移動して、Roxyはフルリモートで海・山・自然・コーヒー農園に囲まれた所から働いています。
チームのモチベーションを保つためのワークショップ、またFigma・Airtable・Notionなどリモートツールをフルに使用しています。
コロナ禍でのプロジェクトでは、地域の小規模のお店に感染状況によってその都度変わるお店の営業時間、マスクの着用して入店についての案内表示を簡単に印刷できるシステムを作ったりや、コロナ対策のための行政の予算がちゃんと医療関係の必要なところに使われたのかを見える化できるBudget Trackerを製作しました。
Good Design Assemblyという社会的インパクトとデザインが出会うところをテーマに、アジア各地でのプロジェクトからインスピレーションを得るイベントも手がけた。韓国・タイ・マレーシア・日本はDTAの話などからで、イベント後でもお互いにコミュニケーションが取れるプラットフォームを作った。
パンデミックでWork from homeで働き、その中で大きく変わったことは、クライアントの目的・ゴールをちゃんとお互いに設定してからチームで動くようになったこと。これは、リモートで働くチームに明確・シンプルに伝えるためでもあるが、クライアントも今直面している問題が明確になったからというのもあると思う。」(Roxy)
Dang Sering "Traversing the bardo"
Dangは、デザイナー・編集者・アーティスト・キュレーター。DTA2018のプログラムに参加し、プログラムディレクターとして2019年初の海外のDTA Bataanを開催しました。
また同じくDTA 2018に参加したインドデザイナーのSamiaが手がける、アーティストインレジデンスプログラムにも2020年に参加。
「私の父は病気を患っていて、コロナウイルスパンデミックは、家族の健康管理と病院のスケジュール、家族の健康を生活の第一優先に考えていました。
その中で、ブリティッシュカンシルからのプロジェクトとで、フィリピンとイギリスのもの作りとのコラボレーションプロジェクトのプログラムコーディネーターとして、作り手同志のコミュニケーションのサポートを行いました。
プロジェクトをオンラインで進めて行く中で、「何が大事なのか」「コミュニケーション」「親切な心」「たくさん聞くこと」そして「伝えること」などあるが、まず「やってみる」ことが一番大事。
他の人にとって何が必要なもの?どんな助けを必要としていますか?という疑問。入っていくのか? それとも、見守るのか?パンデミックの中で、クリエイティブプロジェクトと、家族のサポートと重ねあわさる部分がたくさんあった。
Hand to Hand (PH-UK makers’ collaboration )
http://manomano.ph/home/portfolio/hand-to-hand-collaboration/
HAPPY GARAJE "No Templates"
Mark & Johanna
セブを拠点に活動するアーティスト・デザイナーデュオ。
デザインスタジオHappy Garaje。絵本、レストランのプロジェクト、コマーシャルプロジェクトから、セブ地域のプロジェクトなど幅広く手がけています。
「セブは真ん中に山があり、周りに海があり、ユネスコのクリエイティブシティとなっています。
2019年は最高の年でした。DTA Bataanに参加したことは大きな学びで、Mikiから「DTAは問題解決の提案だけでなく、その地域や人々にアイディアの種(可能性)を植えることなんだ」と言われ、デザイナーのMotokiと一緒に、地元の人が主導で運営するローカルガイドを提案しました。
DTAを自分たちの地域であるセブでやりたいと思い、2019年に早速Tropical Forumを開催。DTAに参加したデザイナーたちとセブで活躍するクリエイティブを集めたフォーラム、セブのミュージシャンMandaue Nights @mandauenights @karllucente のライブ。
2020年からパンデミックとなり、ずっと続いていたセブの伝統的なお祭りのSea parade festivalが初めて延期、娘の学校はほぼ2年間ずっとオンラインスクールが続いていて、一度も学校に行けていない。フィリピンでは、世界で一番長いロックダウンが続いている。自分たちデザインスタジオの運営のためにTOY PORTRAITSプロジェクトをスタート。もともと母がおもちゃを作っていて、昔から母から学んでいました。まず友達のポートレート製作からスタートした。
2021年からは、少しづつ友人が新しくスタートしたプロジェクトのデザインが始まり、ロックダウンで外出できない中で、家の軒下でスタートするビジネスが増えた。
職人x デザイナーのKalibutan projetをプロダクトデザイナーと一緒にスタートしました。これはDTAから学んだことを取り入れました。作り手にブランディングを提案するだけでなく、プロダクトデザイナーを招待して一緒に製作しました。2021年の12月にローンチ予定です。
良い時も大変な時も、クリエイティブの仕事は、世界で起きていることに反映しています。その中でも自分たち、地域のためにも自分たちのできることをしていきたいです。」(Mark & Johanna)
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