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他人を利用するNPD
自己愛性パーソナリティ障害(以下NPD)は周りの人間を利用することに長けています。
今回は、NPDがどのように自分の周囲を構築し、利用し、管理しようとするのか、その具体例を交えて紹介します。
NPDが自分の周りに置きたがる人の特徴
・自分の劣等感を刺激しない人
NPDは劣等感が強いので、マウントを取られることを特に嫌います。自分の得意なことがあっても誇示しない控えめな人を好みます。
・自分のことを賞賛してくれる人
NPDは承認欲求が強く、とにかく自慢話をたくさんします。そんな時にいつも「すごいですね!」と言ってくれる人を好みます。
・自分の言うことを聞く従順な人
NPDは基本的に自分のすることに自信がありません。普段からあまり自分の意見を言わず、指示に従う人を好みます。
アクセサリー要員
NPD自身にはない能力や魅力があるが、自分を敬い尊敬し、言うことを聞く従順な人
このような存在がいると、NPDはその人をアクセサリー要員として連れ回し、見せもののようにします。うちの組織にはこんなに可愛い子が多いの〜、うちの子こんなにすごい能力があるの〜などと言って自分に欠けているものを補ってくれる存在を近くに置きたがります。そして、そんなすごい手下に慕われている自分を感じることで承認欲求を満たそうとします。また、他人から自分のアクセサリーを褒められることで更に満たされるのでしょう。しかしあくまでも自分を飾るアクセサリーなので、その手下が自分より目立ったり賞賛されると、激怒したり攻撃したりします。
NPDが他人を利用した事例
さて、ナルミ(注1)とのエピソードを事例に、NPDが人を利用していた時のことを紹介します。
(注1)ナルミは中高時代の先輩で、とある教室を運営していました。
【詳しくはこちらの記事】https://note.com/door_pishari/n/n6b1190d223a5
ナルミは自分の教室に生徒を集める時に「うちの教室には可愛い子がたくさんいるんです〜」とよく自慢していました。すると効果はすぐに現れ、可愛い女の子目当てに教室に入ってくる男性がちらほら増えてきました。そういう男性の目的はもちろんナルミではなく、他の可愛い子。不純な目的で教室に入ってきた男性たちの興味はおとりに使われた女子たちへ向けられます。レッスン後に声をかけたり、プライベートでデートに誘ったり。
するとナルミは激怒しました。可愛い女の子をおとりにして教室に誘いこんだのは自分のはずなのに、自分が男性から女性としてみられていないことが気に入らなかったのです。ナルミはそういう男性を容赦なく強制退会させました。また、おとりに使われた女子のことを
「色目を使って男性の前で態度を変えるビッチだ!」
と裏でよく悪口を言っていました。こんなことが何度も続くようになり、ナルミの異常さに気づき始めました。
NPDの手下
ナルミの周りには、自分が開くイベントの手伝いをしてくれる手下が常に10人ほどいました。手伝いをしてくれる手下たちは皆さんとても優しくて謙虚な人ばかりでした。ナルミはこういう人たちをなるべく留めておきたいので、手下をたっぷり褒めてお金以外の報酬で釣って囲い込んでいました。しかしある時、手下のうちの1人がナルミの手伝いを断ったことがありました。他のアルバイトがあるのでナルミの手伝いには来れなかったようです。するとどうでしょう。ナルミは目の色を変えて激しく怒り出しました。
「私の依頼と他のアルバイトを天秤にかけるなんて何事だ!失礼にも程があるだろ!」
断った手下を呼び出し叱りつけたのです。
そりゃ無給の手伝いと有給のアルバイトならお給料が発生する方を選ぶのも無理ありません。しかし劣等感の強いナルミは自分が蔑ろにされたと思い、感情的に反応してしまったのでしょう。
このように相手が自分の思い通りにならないと、ナルミは自分の組織から人を追い出したり、悪者に仕立て上げたり、叱りつけたりして感情的に取り乱していました。
NPDは、一見多くの人に囲まれてカリスマ性があるように見えることがあります。しかし、その裏では他人を利用し、思い通りにならない相手を容赦なく排除したり、コントロールしようとする特徴があります。もし身近にNPDの疑いのある人がいれば、こうした対人トラブルを頻繁に起こしていないか、自分が不当に利用されていないか観察してみるといいかもしれません。