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聖地多すぎ!炎と氷の国は欧米の北海道だった【2022年ふつうの旅 #10アイスランド】
観光、仕事、生活をふつうにしながらあちこち巡る #2022年ふつうの旅
といいつつ、ほぼ観光しかしなかったアイスランド。
国そのものが豊富な自然と地熱エネルギーによる温泉など、観光をメイン産業としている。近年ではAirBnBが盛り上がりすぎて、首都レイキャビクの家賃が高騰し、社会問題にもなっているとか。
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とにかく、自然のスケールが違う。なにしろ、火山と氷河が同居する島なのだ。ユーラシアと北米大陸のプレートの裂け目、なんていう壮大な観光名所もある。ただの岩の壁なんだけど。
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意外だったのが、フィンランドに比べて暖かいこと。メキシコ暖流や地熱の影響で比較的温暖、にもかかわらず、島の内陸部には巨大な氷河があり、溶け出した水が河となり巨大な滝をつくる。このダイナミズム、自然の幅広さがアイスランドの魅力だ。
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歴史を振り返ると大戦後に英米による統治があり、街のトーン&マナーは北欧のオシャレな感じというより、英米のPOPで大味な雰囲気だ。晴れた日が似合うというか。泊まったホステルではファレルの「HAPPY」がかかっていて、今いちばん古くてダサいな〜とほっこりした。
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中世から近代にかけて、暖を取るために森林の伐採があり、ほとんど森がないのも、この島の特徴だ。一度切ってしまった木は、火山灰などの影響でなかなか復元しない。皮肉なことに、そのことが、雄大な山々や草原の景観を産んでいるのも事実。山が始まる裾野のなだらかな部分がハッキリ見えるのは、山が多い日本でもなかなかない。
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笑ってしまうくらいすごいのは滝である。いくつもの有名な滝があり、とにかくデカい。遠近感が狂う。氷河が溶け出して川となり、大地の段差から落ちる。それだけのシンプルな自然が、とんでもなく魅力的だ。マイナスイオンどころではなくて、近づくとびしょびしょになる。なぜかみんな笑顔だ。
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虹が大地から生えているのを初めて見た。滝がデカいとこんなことも起こる。
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氷河は島の内陸部にあり、登ったりハイキングしたりもできる。スノーモービルで攻めることも。ちょっと見学しただけでも、その威容が目に焼き付いて離れない。緑の丘と穏やかな川が、氷河とつながっているのは不思議な光景だった。
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ブラックサンドビーチは有名なロケ地だ。「ゲームオブスローンズ」「007」などの映像コンテンツからMVまで、多くの作品がここで生まれている。歩いてみて納得の格好よさである。浜が黒いのもいいし、岩が神聖さを醸し出している。奥の小島もカッコいい。強風の中ウェディングフォトを撮っている人がいた。ジョン・スノウとデナーリスのようにならないことを祈る。
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火山と氷河が形づくるユニークな自然が、多くのロケ地として選ばれる所以だろう。
特に「ゲームオブスローンズ」のロケ地として、アイスランドは多くの撮影がなされている。イーストウォッチバイザシーへの上陸、アリアの旅、北の壁を越えた雪原などなど・・・。今の時代におけるファンタジーと人間模様と政治と宗教と気候変動を表現したコンテンツとしてこれ以上のものはないと思っているので、ブラックサンドビーチでちょっと動けなくなった。感動で。すごくよかった。U-NEXTに申し込んで「ハウスオブザドラゴン」が見たいが海外なので叶わない。ちくしょう。
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今回は3泊の短い旅だったのですべてツアーに申し込んだが、時間が許すなら、レンタカーとキャンプの旅が楽しいと思う。冒険心が満たされるはずだ。
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北欧は物価が高い。その中でもアイスランドはダントツである。間接税が高い福祉国家であることはもちろん、観光がメインであり、西側諸国から多くの人が押し寄せることもその一因。
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サンドイッチひとつが1200円。コーラが250円する。目ん玉が飛び出る。こちとら長い旅の道中、ここだけでお金を使い果たすわけにはいかない。近所のスーパーで最も安いであろう、1リットル300円の野菜ジュースとバナナとスニッカーズ、それに半額のパンを抱えてツアーに参加した。途中連れていかれるレストランには目もくれずに。そしたら、NYC在住のコリアンであるダニエルにピザを奢ってもらうことになった。ありがとうダニエル。こんど一杯おごるね。
物価高いよね〜といいながら、日本と韓国とNYのハイブリッドな会話が楽しかった。唯一読んだ日本の本が「嫌われる勇気」と「スラムダンク」というのもおもしろい。メンタルヘルスについては都会の方が問題化しているのだろうか。彼はマンハッタンの病院に勤めるナース(看護師)で、NYに来る時は見どころを教えるし体が空いてたらクルマで案内するよ、と言ってくれた。お気に入りはブルックリンで、日本人店主がいるラーメン屋も教えてくれた。限りなくナイスガイだ。
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お礼に出来ることは写真を撮ることくらい。ベンチでくつろいでいるのはワシントンD.Cから来たナイスガイ2で、名前は忘れた。「ホワイトハウス?ハウスオブカーズ?」だけで盛り上がった。
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そして、アイスランドでいちばん有名な観光地であるブルーラグーンへ。天然の温泉ではないが、シリカを多く含んだ泉質で、独特の水色になる。温泉を沸かせるくらいの熱量は地熱発電所として活用されている。ここで生まれた電気は米軍に供給されており、この温浴施設はミリタリーマネーの恩恵で生まれた場所とも言える。
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にもかかわらず、入湯料は10,000円オーバー、送迎バスは7,000円である。強気の値付け。
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まるでとしまえん(行ったことないけど)の温水プールのようで、楽しかった。広いってことはそれだけでアトラクションになる。温泉の中を移動して、泥パックをもらったり、ドリンクをもらったり、あたたかい場所を探したり。
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施設は洗練されたモダンな建物で、システムは完璧。観光に命をかけているこの国の姿勢がいちばん表れている場所とも言える。
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泊まった宿は「Bus Hostel」と言って、宿とツアー会社とバスターミナルが一体となった経済合理性の塊のような施設である。今回はそれが便利でよかった。
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ツアーの特性上なのか、老夫婦や老人の姿が目立つ。高い物価、安全な治安、いい景色、温泉。そうか、ここは、欧米における北海道なんだな、と納得した。または箱根かな。
初めて北海道を訪れた時の海鮮丼や寿司の高さは、あれ?通貨変わった?と思ったものである。アイスランドでは人々はほとんど外食しないという。すべてが観光地価格となっているからだ。かといって地元のスーパーでも高いのでどうしてるんだろうと思うが。
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地理的にアメリカ大陸からも近いからか、多くのアメリカ人と話した。サシで話すと友好的で聞き取りやすく、英語が話せる気分になる。しかし、バスガイドは何を言っているのかわからないし、混ぜてもらった飲み会では、みんなが何で笑っているのかひとつも理解できなかった。ずっと真顔。
これはつまり、自分に届けようとしているメッセージ以外は、理解すらできないということである。これって実は、英語だけじゃないような気もした。つまり、広告やスピーチや文章は、自分に向けて語っていないものは、理解ができない。コミュニケーションが成立していないんじゃないかと。
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レイキャビクの街も、ほんの少し散策した。変なカタチの教会、世界一のホットドッグ屋、ペニス博物館・・・。ユニークなものがたくさんあるので、街歩きも楽しめる。クジラ料理も食べられるらしい。クジラのあそこは、人間の背の高さくらいでした。
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