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大統領選はアメリカと同じ運命?サンパウロからの脱出【2022年ふつうの旅#20 ブラジル】

ラグジュアリーでもなく、
貧乏旅でもない。
気の向くままに
観光、仕事、生活していく
#2022年ふつうの旅

どの国も公共物はステッカーだらけ

タンザニアからの長い長い空の旅を経て、サンパウロに到着。30℃を超える夏の都市である。緑が濃い。

木々がなんだか力強い

40時間を超える移動で、時差ボケに襲われるかと思ったが、そんなことはなく、ただただ首がガチガチになった。不規則な生活を長年続けてきた成果?だろうか、寝る時間や起きる時間がバラバラなのはあまり気にならないが、首が固まっている。

完全に夏

サンパウロの日本人街リベルダージのマッサージ店で首肩をやってもらう。自分は室内でやってもらったが、休日には歩行者天国のパウリスタ通りで青空マッサージ屋が現れたりもして、みんなカジュアルに利用している。肩こりの概念があるんだろうか。

鳥居っぽい赤

南米編突入ということで、防犯意識をカリカリに高め直している。今までは、スリやひったくり対策として、常に体の前側にポーチとカメラを斜めがけし、スマホはポケット。という比較的ラフなスタイル(防犯レベル1)であったが、ここ南米では、スマホを街中でいじくる、カメラを持っている、あたりがNGだという。そんなバカな。

銃社会のため、狙われて襲われたらもはやすべてを差し出すしかなく、ダミーのサイフを持ったり、パスポートを持ち歩かないことが重要なのだとか。危険すぎる。びびる。

移民の歴史は1900年代に遡る
テカりがすごい

防犯レベルを一気に3までひきあげ(独自基準)、カメラはポーチ内へ。スマホは目的地への地図を一瞬確認する程度。常に四方八方に気を遣い、あまりの緊張感に手足が少ししびれてくる。そう、熱中症初期の症状である。

暑さ対策を完全にわすれたまま、人々を睨みつけながら歩く日本人はむしろ異様で、誰にも襲われることなく、ハンバーガーカフェで休憩し、何かが違うな、と反省した。過剰な防犯意識からは何も生まれない。とはいえ、目線は穏やかにして、同じスタイルで街を行きながら、ふと気づく。

ローカルレストラン
豆の煮込みがnot for me
謎タワー

街がなんだか浮き足立っている。人々は、何かを待ち望み、何かに浮かれている。あれ?ワールドカップってもう始まったんだっけ?違う。カタールのワールドカップは20日あたりから始まるはず。

そう、10月30日。その日は、ブラジル大統領選の結果が出る日だったのだ。

夜になり、結果が確定する。現職の右派ボルソナロが僅差で落選。左派のルーラ再選である。

謎魚

街中が、一気に騒がしくなる。車にハコ乗りし、旗を振り回す人、連れ立って酒を飲み、歌を歌う人、投票を示す丸いシールを胸につけて、みんなで祝っている。オーレーオレオレオレーの歌を久しぶりに聴いた。Jリーグができた小学校4年生以来である。Jリーグ靴下履いていたなあ。

まるで、サッカーのサポーターのようである。日本とは全然違うなあ、なんて、のんきなことを考えていた。

しかし、この大統領選は、もっと特別なものであった。再選したルーラは貧しい労働者出身の大統領。2000年代、貧しい人達へ補助金を出し、経済を底上げ。犯罪と貧困を激減させてBRICSと呼ばれ、債務も返したのがルーラだったが、2018年にボルソナロというトランプのような男が大統領になったのであった。(by町山氏のTwitterより)

簡単に言うと、企業や金持ちを優遇するのがボルソナロであり、権力側の人間。(アメリカとは逆なのが面白い)

そこから、ブラジルの民主主義は失われた、なんて言われていたのが、今回の選挙でルーラの勝利が決まる。アメリカ同様、社会は混乱しており、警察が道を封鎖し、不正選挙だ!という人間が溢れ、銃による殺人事件が頻発。まるでアメリカと同じ道を辿っている。

こりゃいかん、と、たまたま大統領選の週にサンパウロ入りした自分の引きの強さ(運の悪さ)を呪いながら、イグアスの滝へと飛んだ。

ザ・観光地だけど自然がいっぱいでいい
緑落ち着く
アナグマいた

ブラジルはめちゃくちゃ広い。

2時間ほど飛んだら、30℃から18℃である。沖縄から北海道のような気温差におののきながら(捨てちまったダウンに後悔しながら)、滝へ。

イグアスの滝というひとつの滝があるもんだと思っていたがとんでもない。山脈ならぬ「滝脈」である。横方向にデカすぎる。

デカい
デカすぎる

それに、音。
ザー、なんて生やさしい音じゃない。
バリバリバリバリという、ヘリコプター100台分の音が常に鳴り響いている。うるさい。

滝に近づくと、水滴がついて濡れる、というのはアイスランドでも経験したが、イグアスはレベルが違う。広範囲に水蒸気が広がり、木々を濡らし、そこから水滴が落ちてくる。濡れ始める範囲が広いし、トレッキングしてる間ずっと濡れ続ける。

船で突っ込むアクティビティ
勢いよすぎ

そして、ビジュアル的なインパクトとして、「茶色」であることも大きい。テレビで見たアマゾンのイメージそのものである。(厳密にはアマゾンはブラジル北部であり、ここはイグアス川と呼ばれている)

滝を満喫して帰りのバスを待っていたところ、日本語ペラペラのガイド、ミゲルさんと話して仲良くなる。ボリビアでサッカー選手、福岡でサッカーのコーチ、ブラジルでガイドをしているという。

シブい

ここイグアスの街は、サンパウロと違って平和そのもの。夜には、ミゲルさんに、この街の有名レストランRafainに連れてってもらう。南米各国の歌や踊りのショーを観ることができるのだ。その多彩さはギネス記録を獲得しているほど。

名物レストラン

ここに来たのは2年ぶりだと語るミゲルさん。コロナの影響は、観光の街にはあまりにも大きく、大変な日々を過ごしていたという。それだけではない。近年の気候変動により、滝の水量が増加。アルゼンチン側の橋は流されてしまった。気温も年々上がっており、日光が強く肌を焼くため、初めて日焼け止めを使うようになったと教えてくれた。

そういえばタンザニアでも、この時期は川を渡って北上するからここにいないはずのヌーの大群を見て、ガイドが驚いていた。

世界的に、気候変動待ったなしである。

テーブルの上でタンゴ

大統領選の混乱は、この小さな街にも及んでおり、ブラジル側のバスはストライキで動かなくなってしまった。しかしここは国境の街。ブラジルがダメでもアルゼンチンのバスは動いている

この地帯では、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイが、イグアスの滝という観光資源を分け合っている。特にパラグアイは、滝の近くに造った水力発電により売電し、安定しており、買い物先としても人気だ。

ハイクオリティ宴会芸

アルゼンチンへ陸路で入国し、手続きを済ませる。ブラジル出国のスタンプもアルゼンチン入国のスタンプもなかったが大丈夫だろうか。完全に不安である。ブラジルレアルを、国境を越えたところで乗ったタクシーの運ちゃんに、闇レートでアルゼンチンペソに両替してもらい、アルゼンチン側のイグアス空港へ着いた。

ブエノスアイレスはどんな街だろうか。スペイン語を覚えたい。中南米はスペイン語の国が多いのだ。グラシアス、バモス、アディオス。
(ありがとう、行こう、さようなら)

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パラグアイ音楽よかった
美味シュラスコ美味

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