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それはまだ、名前のないグレートジャーニー【2022年ふつうの旅 #5カザフスタン】
仕事も、観光も、生活もしながら旅する #2022年ふつうの旅 。
ついにカザフスタンに辿り着いた。
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この国は、日本から遠い。物理的な距離というより心理的に。ヨーロッパの旅人はけっこう訪れるらしく、同宿となったイタリアの研究者によると、カザフは涼しくて自然が多くていいそうだ。(夏の暑い時期にヨーロッパに来るなんて狂ってる!ベストシーズンは10月の終わりだ!と力説された。)
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ドバイから飛んできてまず驚いたことは、めっちゃ涼しい、ということだ。8月なかばの今で、平均20℃とか。そして、英語が全然通じない、ということも。基本はカザフ語なのだが、公用語はロシア語なのだ。スパシーバ。ハラショー。
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GoogleMapよりも2GISが細かく載っていて便利であり、そのアプリから直接YandexGoにつながるので、タクシーも呼べる。Uberではない。このあたりはすべてロシアを中心としたCIS系諸国で流行っているサービスだ。
これまでの文化圏と大きく変わったことが分かる。なにしろサービス業の人が笑わない。スマイルはサービス外だ。公共の博物館のレセプションは総じて無愛想である。つまり旧ソ連み。
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カザフスタンの成り立ちを簡単に振り返ると、もともとはNomadzと呼ばれる遊牧民族の土地だったが、イスラム化したトルコ人からの支配、モンゴルからの支配、中国からの支配、ロシアからの支配など、広大な土地が数多くの国境と接している国ならではの多様な歴史を持つ。20世紀にはロシアの支配下となって、ソビエト連邦の一部に。ソ連崩壊とともに、カザフスタンとして独立し、共和国となった。
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この歴史が実感できるのが、顔だ。モンゴル系のアジアらしい顔(日本人ぽくもある)から、ロシア系の欧風の顔まで、多様な顔の人たちが暮らしており、日本人である自分にも自然にカザフ語またはロシア語で話しかけてくる。なんだか不思議な体験である。オンリーイングリッシュOK?
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朝は、ご飯と肉とにんじんを炒めたプロフというものと、パンと、ミルクティーを飲む。文化の混ざり具合がすごい。お茶は、カップ半分まで。それがリスペクトの証だという。何度も注ぎ足しながらゆっくりお茶を飲むこの国のティータイムがすごく好きになった。途中の味変でジャムを入れたりするのはロシアンティースタイルか。
日本と似ているところもたくさんある。お茶の時間が大好き。家には靴を脱いであがる。お米も食べる。(でもパンもいっしょに食べる。)温泉大好き。そんなにおしゃべりじゃない。
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街に出ると、旧ソ連っぽいクソデカモニュメントがそこらじゅうにあり、イスラム系のモスクは観光名所であり、食べる前にはボナペティと言う。なぜかWoltのバイクがそこらじゅうを走っている。文化のハイブリッド具合がすごい。
特に、首都ヌルスルタン(旧アスタナ)の街並みは壮観だ。故・黒川紀章が設計した未来都市は、シムシティでつくったみたいに主要建築物が一直線に立ち並び、おもちゃみたいで笑ってしまう。観光客が少なく、ややディストピア感もある。マンガのような都市である。手塚治虫の未来のイメージのような。その終わりのない万博感が楽しかった。
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アジア最北端の首都でもあり、世界最新の首都でもある。その新しさと、旧ソ連のインフラの上に駆動する資本主義のダイナミックさが興味深い。物価は日本より安く、おいしい高級ステーキが、ドリンクやサイドメニューも込みで、3~5,000円で食べられる。
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アプリでの出会いもポピュラーで、日本語を勉強しているアリヤとウズベク料理を食べに行ったりした。海外旅行中にライトに人と会って、話したりできるのはとても現代っぽい。離婚しているのだが、子どもが10歳で、ロシアに留学していて心配だという。ロシアや中国などの隣国かつ大国との関係は常に気になるポイントだ。日本では千葉に住んでいたらしい。会う人みんなが声を揃えて、東京の地価は高すぎると言う。俺もそう思うよ。
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民族衣装はとてもカッコいい。ディティールを詰める部分と、ざっくりと形作るバランスが絶妙だ。遊牧民族は土地を持たない。だからこそ、馬や服や宝飾品を大切にしてきたのではないか、と想像した。車は現代の馬である、とも思った。
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涼しかった首都を離れ、南下する。アルマティという山嶺そばの街は、ヌルスルタンよりも欧米っぽさがあり、洗練されていた。ここでは自然を楽しみたかったので、AirB&B宿のホスト兼ガイドにいくつかのツアーを依頼する。
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チャリンキャニオン、コルサイレイク、アシープラトー・・・。聞きなれない言葉が並んだので、わかった!ぜんぶいこう!となり、一泊二日のグレートジャーニーが決定した。
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それはまだ、観光地化されきっていない、カザフスタンの大地。雄大すぎて、言葉を忘れた。見たことのないものを見過ぎると、人は、なんて言ったらいいのかわからなくなる。
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そんな中、はっきりと言葉が出てきたのはこの景色だった。
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WINDOWSやん。
これらの道は半分が悪路であり、4WD必須である。揺れる想いを体じゅうで感じて、このまま消え去りたい。大草原不可避な道を永遠に進み、そうか、この旅にはまだ、名前がついていないんだな、ブランドになっていないんだな。そして、そんな場所がこの国にはまだまだ腐るほどある。と思った。広告屋の悪い癖だ。名前なんてなくたっていいのだ。人に知られていないことが価値なのだから。
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車は天然ガスで走る。なんとディーゼルよりも安いという。資源大国でもあるカザフスタンには、110ある元素のうち、99が見つかっている。そういえば、景色の変わり方がすごかった。土や石の色がどんどん変わることで、見え方の変化がダイナミックになっているのだ。
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このこともまた、観光資源になりうる。現に、ガイドによると、湖の周辺は、去年までは道が舗装されていなかったのに、今年はレストランもホテルも増えている、という。自分は今来れて運が良かったのかもしれない。ちなみにコルサイレイクまではチャーターのバスも走るようになったが、自分は4WDでガイドと1on1で、あちこちの名前のない場所を巡った。かなりの贅沢である。高額のオプションだったが、迷わず支払った。
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というのも、ドバイで日本の知人からコピーライティングの仕事を依頼され、カザフで納品が済んだところだったのだ。振り込まれた報酬を全額、体験にベット!こうしてスポンサードされた豊かなオプショナルツアーをアレンジできたのである。こういう仕事は大歓迎なので、コピーでも、企画でも、映像でも、クラファンでも、サイトづくりでも、旅するコピーライターへの仕事依頼、お待ちしています。時差を超えて、テレカン、提案、ディレクション、納品します。(PRおわり)
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名前のついていない旅の途中、ガイドのRuslanとお茶を飲んでいると、すこし寂しそうな、ジェイソン・ステイサムのような顔になったので、どうした?と聞くと、このクレイジーでワイルドなルートも、4~5年後には舗装され、ホテルとレストランが建つだろう。とつぶやいていた。根っからの冒険野郎である。vs資本主義。
インドなどのヒンズー圏から離れ、ドバイのパッケージされた観光地感からも離れ、暑さからも離れ、たどりついたカザフスタン。気がつくと一度も人に怒っていない。デカいのは自然や建物だけではなく、人の心もなのだろうか。
イスラム圏特有の、別にほかの宗教もあってもいいし、お酒も飲んでいいよ、国を統治させてくれれば、というゆるい国家統治パッケージによる心地よさもちょっと感じた。あと、アルコールが基本NGの前提なので、ノンアルが充実している。お酒飲めない自分にとって、めちゃうれしいポイントだ。
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まだまだ、知られていない国。
名前のないグレートジャーニー。
もう少しだけ、この国のよさがバレないといいな、なんて思ったりした。
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