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元映画嫌いの『価値観を変えられた』映画10本

僕は大学卒業するまで、映画館に行った回数が2回程しか無かった。でもここ最近、本当によく映画を観るようになった。今年2021年に入ってからは、少なくとも50本は映画を観た(まだ少ないほうかもだけど…)。

今回は、僕が観てきた映画の中でも、人生における価値観が変わった映画を紹介。大げさでもなんでもなく、本当に価値観を変えられた作品ばかり。


(1)2001年宇宙の旅(Stanley Kubrick)

映画史上、サイコーの作品だと思ってる。この映画では、意味の分からないシーンばかりが続く。しかしその印象は強烈で、全てのシーンに意味がある
映画の金字塔というか、この映画をきっかけに様々な名監督が生まれた(スターウォーズの監督然り)。「映画史に残る」どころか「映画史を作った」映画

現在の日常では決して体験できないシチュエーションばかり。空(くう)・余白の表現で攻めまくっている。まるで俳句のよう。
そして、それらを通じて得られるメッセージは強烈。映画の祖でありながら、現代の商業娯楽のアンチテーゼにも繋がる作品。
僕たちは全てを知っているようで、まだ何も知らない


(2)インセプション(Christopher Nolan)

僕を映画好きにさせられた作品。映画監督という軸の評価なら、僕はChristopher Nolanをナンバーワンに挙げる。その中でも、この映画は最も衝撃的だった作品。

エンタメとして最高に面白い。でもそれだけじゃない。「自分は何者か」を知るためには、過去と現在の自分と向き合う必要がある。それが例え楽しかった思い出であっても、辛いトラウマであっても。
こんな考え方を、この映画では問い直してくる。

別途noteを書いてるんで、あとはそっちを読んでみてください…。


(3)ダンケルク(Christopher Nolan)

連続ノーラン監督ですみません。(だって好きなんだもん)
第二次世界大戦を、文字通り「体験」することが出来る。
他のノーラン映画もだけど、「ほぼCGを使ってない」ってヤバすぎ。爆破や飛行シーンはもちろん、兵士エキストラも原則本当にこの人数を集める徹底ぶり。

この作品は、人によっては非常に退屈。史実や戦争体験者の話に基づいて作られた映画のため、大きな脚色がない。その分、ド派手な映像体験を期待すると裏切られる。
しかし僕は、この作品のエンドロール前ラスト1秒に鳥肌が立った。監督は意図していないらしいが、僕は"この作品を映画として消費した自分"に、"自分自身"をエグられた。
この気持ち、一人でも多くの人に伝わってほしい。改めて、戦争ダメ。


(4)もう終わりにしよう。(Charlie Kaufman)

この映画を観たことで、僕の映画性癖が歪んでしまった(良い意味で)。
こんなにも芸術性豊かで、こんなにも超間接的な表現で、こんなにも胸に突き刺さる鋭い物語は、映画史上なかなか見つからない。

構図・美術・台詞など、映画要素の全てが美しい。それでいて、何故か気味が悪い。
いつの間にか淘汰される」という現在の世界線─例えば資本主義や新自由主義─を振り返るきっかけになった。全くもって他人事ではないお話
あと、この映画には、僕が最もトラウマになったホラーシーンもある。ぜひ


(5)TENET(Christopher Nolan)

はい。またノーランです。通常版とIMAX版、両方おもしろかったです。生まれて初めて映画館に2回観に行きました。
科学の「if」を楽しめるとともに、実存主義的な哲学・思想にも触れられる。

先に記述したダンケルクでも書いた通り、ノーランはCGを基本的に使わない。爆破も人の動きも。その理解の上でこの映画を観ると「ありえない」と思うはず
自分が望む未来を叶えるためにはどうすれば良いか?そのヒントが、この映画には埋め込まれている。


(6)帰ってきたヒトラー(David Wnendt)

今の日本人が「最も見るべき映画」だと確信している
近年のドイツ映画は、テンポ良い作品が多くて観やすい。この映画も御多分に洩れず。史実の「if」を楽しめるし、笑い所も多くてザ・コメディ!

でもそれだけじゃない。気が付かないうちに、だんだんと毒されていくこの作品を観る人すらも。この感覚、ひょっとしたら今の日本にも通じる所があるのでは?


(7)万引き家族(是枝裕和)

たいてい、感動とか辛いとか、作品にそういう感情が沸く時って「ウ、ウェ~」って泣く。でもこの作品を観終わった時、僕は「ツー」っと涙が出た

家族って何なんだろう」って思った。それは言葉通りの「家族」についてだけでなく、日本国・日本社会・個人まで、あらゆる視点から存在意義を振り返るきっかけになる。これは決してフィクションなんかじゃない


(8)LA LA LAND(Damien Sayre Chazelle)

この映画は完全なる予告詐欺。「映画の魔法に包まれる」シーンはたくさんある。いやほんと美しいシーンばかり。でもストーリーは、思いもよらない展開になっていく。

会社員とか自営業の人だけでなく、「ふわふわとした何か」を目標に生きる人の背中をも押してくれる。でも夢を追うには夢に耽るだけじゃダメ。現実と向き合う必要だってある。この映画では、夢と現実、それら両方を突き付けてくる作品。あ、映像と音楽は本当に魔法のように素敵です。


(9)プレステージ(Christopher Nolan)

いやもう本当にすまんやで。またノーランやで。でもどうしても伝えたかったんや…。この映画は、「観ている人が試される作品」なんやで。

先に挙げた「ダンケルク」然り、「市民ケーン」とか「スティング」も然りなんだけど、メタ視点がとんでもなく豊富に散りばめられている
比較的理解しやすい作品なんだけど、自分を自分で疑うきっかけになる作品。そして何よりも、商業娯楽に「待った!」を突き付けてくれる作品。観なきゃ損。


(10)すばらしき世界(西川美和)

僕は軽度のうつ病持ちなんだけど、この映画の主人公の言動がかなり僕と近くてビックリした。そのキャラクター像が近すぎてめっちゃ感情移入した。

犯罪者心理って、一般人の僕らはなかなか理解することが出来ない。いや、もしかしたら理解しようとすら思ってないのでは。日本における「一度失敗したらやり直し難い」という事実を体験できる。犯罪なんて無縁な人でも、かなり心を揺さぶられる。


(おわりに)映画とは、異文化コミュニケーションだ

自分の立場じゃ決して体験できないことだったり、知人に共感してくれない自己感覚だったり…。映画はそれらを体現してくれる。音楽よりも小説よりも、多くの情報量で体験することが出来る。

僕は「映画を観る=異文化コミュニケーション」だと思っている。それは映画じゃなくたって良い。けれど、「多様性」やら「ダイバーシティ」やらを言葉だけ叫ぶくらいなら、まずは体験してほしい。当事者意識を持つようにしてほしい

映画はそのキッカケを、簡単に生み出してくれる。

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