若宮正子 86歳ITエヴァンジェリスト(1)
記事が掲載される前は、取材していたことを話さないことにしているが、今回はもうすでに話してしまったので、彼女について少し書こう。
若宮にインタビューをしたのは2回目、講演にはおそらく4回行った(以前、1本記事を出している)。今回は、インタビューのために彼女の著書を3冊読み、彼女について書かれた日本語の記事もウェブで見つけたものはほとんど読んでいる。
ウェブで読むことができる記事でお勧めは、VOGUEのもの。Mina Obaの記事。プロフェッショナルな記事だと感心する。写真も素敵だ。
若宮は、大手銀行に勤めていたが、定年退職後に自宅で母親の介護をしながら、それでも、友人や知り合いとつながっていたい、定年後の生活を充実させたいということで、58歳でパソコンを購入して、学び始めた。
他の高齢者にパソコンを教えたり、スマホを教えたりしていて、81歳の時、アプリを開発して、世界でも最も高齢でのアプリ開発者の一人となった。アプリ開発に協力したのが、プログラマーで株式会社テセラクト代表取締役社長の小泉勝志郎だ。若宮がスマホのアプリやゲームが高齢者向きにつくられていなくて、高齢者が若者に勝てるようなアプリをつくってくれと小泉に頼んだところ。それは若宮がつくったらどうか、というところから始まった。
若宮がHinadanというアプリを開発すると、アップル社のCEOティム・クックに招かれ、米国サンノゼで開かれたアップル社の年1回の大イベントに参加した。そこで、クックと会話し、ハグされたと彼女は話していた。その後、国連にも招かれ、「なぜ、高齢者にデジタルを使いこなすことが重要か」という会議の基調講演をおこなった。
久しぶりに会うと、「85歳ぐらいからやっと社会のことがわかり始めました。毎日、新しいことを学んでいます」
大手銀行の管理職まで務めた人の言葉?
この姿勢、学びたい。インタビューしに行ったのだが、結局、こちらがいろいろと学ぶことになってしまった(これはよくあること)。
(敬称略)
(写真は2018年に撮影したもの)