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732日

夜にする散歩が好き。

家の近くには工場が沢山あって、昼でも夜でもお構いなく工場の稼働する機械音が聞こえてくる。
人影は無いのに人がいる気配がする。その中を自分もひっそりと息を潜めて歩く。

世界から隔離されて時が止まった自分は、前からの友人との懐かしい思い出話についていけたことは無い。あの頃に取り残されたままで、次第に別人のようになっていく友人たちの背中を見送るしかない。
そんなことを考えながら歩く。

銀河鉄道に乗れる銀河ステーションはどこにも無くて、屍体の液を吸う桜の樹もどこにも無くて、自分の事を百年待ってくれる人もどこにも無くて、寂しさに落胆すると同時に安心する。
そんな夜。

2024.5.18

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